介護師

臨床心理士になるには?介護士からのキャリアアップを解説

「臨床心理士ってどんな仕事?

「介護士からでもなれるって本当?」

本記事は、こんなお悩みをお持ちの人に向けて書いています。

介護士からのキャリアアップの1つに、臨床心理士という資格があることをご存知でしょうか?

言葉を聞いたことのある人はいても、仕事内容までは知らない人も多いはずです。

加えて、介護士からのキャリアアップにオススメといわれると、ますます疑問がわきますよね。

本記事では、臨床心理士の具体的な仕事内容から未経験からの資格取得方法、なぜ介護士のキャリアアップにオススメなのかを解説します。

この記事を読めば、介護士からのキャリアの1つとして、臨床心理士を具体的にイメージできるでしょう。

1.臨床心理士ってどんな仕事?

臨床心理士とは

初めに、臨床心理士とはどんな仕事なのかを見ていきましょう。

一言で述べるなら、相談者・患者の心の問題を解決する仕事です。

心理学の専門家として、心理テストやカウンセリングを用いて相談者・患者の心の問題を理解し、解決するための手助けをします。

しかし、いまいちイメージしづらいですよね。

もっと具体的に理解するため、臨床心理士資格を認定する日本臨床心理士資格認定協会の公式サイトの記載内容を見てみましょう。

臨床心理士の専門業務は、次のように記載されています。

  1. 臨床心理査定
  2. 臨床心理面接
  3. 臨床心理的地域援助
  4. 上記に関する調査・研究

上記4つの業務をもとに、解説していきますね。

まず臨床心理査定は、臨床心理の第一段階です。

心理テストや面接を通じて、患者の悩みや心の問題を探っていきます。

患者の悩みを理解し、解決するための援助の方向性が決まったら、第二段階の臨床心理面接です。

臨床心理面接は、臨床心理士のメインの仕事といえます。

患者の年齢や状況、悩みに合わせて、最適な心理療法を用いなければなりません。

行動に焦点を当てた行動療法、物の考え方から改善を図る認知療法、絵や音楽を通して悩みの解決を図る芸術療法など、その手法は様々です。

また、臨床心理士は臨床心理的地域援助として、個人だけでなく学校や職場など、コミュニティ全体における心理援助求められます。

いずれにしても、人々の心の悩みに寄り添い、解決できるよう援助していくのが臨床心理士の仕事です。

日本臨床心理士資格認定協会の認定する民間資格

前述で日本臨床心理士資格認定協会という言葉を出しました。

臨床心理士資格は、日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格です。

日本臨床心理士資格認定協会は、1988年に心理学関係学会の協賛を得て発足した協会になります。

発足以来、心の専門家である臨床心理士の養成、臨床心理士資格の普及・発展につとめてきました。

心理学系の資格は複数ありますが、民間資格においてもっとも信頼性のある資格は臨床心理士資格です。

以上、臨床心理士の仕事内容と資格についてお話しました。

高齢者・障害者に寄り添う介護職とも、親和性の高い資格といえるでしょう。

次は臨床心理士になったとして、具体的にどのようなメリットがあるかを解説します。

2.介護士から臨床心理士になるメリット3つ

臨床心理士になるメリット

臨床心理士の仕事内容をお話しました。

次に気になるのは「臨床心理士になることのメリットってあるの?」という点ですよね。

特に介護士からのキャリアアップを考えている人は、とても気になる点です。

ここからは臨床心理士になるメリットを3つ紹介していきます。

  1. 最適な心のケアを提供できる
  2. 将来の需要が見込める
  3. 仕事先の選択肢が広がる

順番に見ていきましょう。

メリット1.心のケアを提供できる

1つ目のメリットは、最適な心のケアを提供できる点です。

介護の仕事では、介助など各種生活における身体的な支援が主となります。

そこに臨床心理士の知識を用いることで、精神的な支援も可能となるでしょう。

もちろん介護の仕事は利用者と信頼関係を築き、心にも寄り添うことが大切です。

とはいえ、心の問題のプロではありません。

臨床心理士の知識と技術が加わることで、寄り添うだけでなく、心の問題を解決するための手助けをできるようになります。

「心身ともに、もっと深いケアを提供したい」

「利用者の抱えている悩みを一緒に解決したい

こうした思いを持っている人にとって、臨床心理士の知識は強い味方となるでしょう。

メリット2.将来の需要が見込める

2つ目のメリットは、将来の需要を見込める点です。

多くの人がご存知のように、日本は高齢化社会へと進んでいます。

しかし、高齢者領域の臨床心理士の数は多くなく、特に介護施設における臨床心理士の存在は希少です。

一般社団法人「日本臨床心理士会第 3 期後期高齢者福祉委員会」の出す「高齢者領域における臨床心理士の活動実態に関する WEB 調査報告書(2018)」を見ても、医療施設と介護施設では、臨床心理士の数に10倍もの開きがあります。

高齢化社会の進みとともに、心の問題を抱える高齢者もますます増えることでしょう。

現時点でも介護施設の臨床心理士数は少ないですが、時代背景を考えるに今後の需要はさらに見込めます。

需要の増加は、この先の転職や就職において大きなアピール材料となるでしょう。

メリット3.仕事先の選択肢が広がる

3つ目のメリットは、仕事先の選択肢が広がる点です。

臨床心理士の就職先は、介護施設だけではありません

前述の通り、今後介護施設における臨床心理士の需要は見込めますが、心の問題を抱える人は様々なところにいます。

それは同時に、臨床心理士を求める場所も様々にあるということです。

具体的には医療施設や学校、企業などがあげられますね。

介護施設にとらわれず、様々な職先を選べるでしょう。

とはいえ、「介護の仕事は続けたいけど、今の仕事や現場がつらい」という悩みを持っている人もいますよね。

介護現場であれば、介護職員が心の問題を抱えていることもあります。

臨床心理士になれば、介護現場を支える職員のサポートという形での関わり方もできるでしょう。

いずれにしても、臨床心理士資格は働く先の選択肢を広げてくれます。

数ある選択肢の中から、自分に最適な仕事先を選んではいかがでしょうか。

ここまで、介護士から臨床心理士になることのメリット3つでした。

できることが増え、キャリアも豊富に選べるのは臨床心理士になることのメリットといえるでしょう。

では、介護士から臨床心理士になるにはどうしたらいいのか?

次はその点を解説していきます。

3.介護士から臨床心理士になるには?

臨床心理士の仕事内容とメリットが分かったところで、ここからは臨床心理士になる方法を解説していきます。

結論からいうと、臨床心理士になる方法は「臨床心理士資格試験」に合格するだけです。

ただし、臨床心理士試験を受けるためには、下記の受験資格いずれかを満たさなければなりません。

臨床心理士資格試験の受験資格
受験資格1 指定大学院(1種・2種)を修了し、所定の条件を充足している者
受験資格2 臨床心理士養成に関する専門職大学院を修了した者
受験資格3 諸外国で指定大学院と同等以上の教育歴があり、修了後の日本国内における心理臨床経験2年以上を有する者
受験資格4 医師免許取得者で、取得後、心理臨床経験2年以上を有する者 など

上記を踏まえて、次では臨床心理士になるまでの具体的な流れを解説していきます。

4.介護士から臨床心理士になるまでの流れ

臨床心理士になるには

ここからは、臨床心理士になるまでの具体的な流れを解説していきますね。

介護士から臨床心理士を目指すなら、「日本臨床心理士資格認定協会」指定の大学院を卒業するコースを選びましょう。

以下の3ステップで解説します。

  1. 四年制大学を卒業する
  2. 日本臨床心理士資格認定協会の指定大学院を修了する
  3. 臨床心理士資格試験を受験する

ステップごとに、詳しく見ていきましょう。

流れ1.四年制大学を卒業する

1つ目のステップは四年制大学を卒業することです。

これは、臨床心理士資格の受験資格ではありません。

後述する大学院の受験資格が、四年制大学卒業者となっているためです。

ただし、四年制大学であれば学部はどこでも問題ありません。

もし四年制大学を卒業していない場合、東京福祉大学がオススメです。

日本臨床心理士資格認定協会の指定大学院があり、通信教育過程もあるため、働きながらでも比較的受講しやすいでしょう。

流れ2.日本臨床心理士資格認定協会の指定大学院を修了する

2つ目のステップは、日本臨床心理士資格認定協会の指定大学院を修了することです。

修了期間は、前期・後期を合わせて2年間となっています。

指定大学院は「日本臨床心理士資格認定協会の公式サイト」に記載されているので、確認しましょう。

ただ、「確認しましょう」といわれても、どの大学院を選んだら良いか悩みますよね。

場所や学費など選択基準は様々にありますが、オススメの基準は通信制かどうかです。

介護職からのキャリアアップを考えている人は、働きながらでも通えるかは大きなポイントでしょう。

ただし、臨床心理士の修士課程は実習があるため、通学するときもあるので注意です。

とはいえ、全日程通学の大学院に比べれば、通信制は働きながらでも学びやすいでしょう。

一例として、「四年制大学を卒業する」でも触れた東京福祉大学は通信制となっています。

流れ3.臨床心理士資格試験を受験する

指定大学院を修了したら、3つ目のステップである臨床心理士資格試験の受験です。

試験は2回あり、下記の通りになります。

  1. 筆記の一次試験
  2. 面接の二次試験

筆記試験の出題は、マークシートによる選択問題と論述問題の2種類です。

問われる内容は、臨床心理士の専門業務を中心とした基礎知識を主としています。

具体的な内容としては、臨床心理査定、臨床心理面接、臨床心理的地域的援助、その他臨床心理士に関する法律の知識などがあげられますね。

試験対策としては、過去問題集の活用をオススメします。

協会監修の公式問題集も出ているので、そちらをもとに学習していきましょう。

筆記試験を突破したら、次は二次試験の面接です。

面接試験は、2名の面接官から質問に回答する形で進んでいきます。

主な質問内容は、現在の仕事や大学院での学び・実習内容の他、今後の臨床心理士としての活動などを問われるようです。

以上2つの面接に合格すれば、合格通知が届きます。

その後は「日本臨床心理士資格認定協会の公式サイト」に記載の通り、所定の手続きを完了させましょう。

所定の手続きを終えると資格登録証明書が発行され、晴れて臨床心理士となります。

以上が臨床心理士になるための3ステップでした。

ところで、ここまで読んだ人の中には「けっこうお金がかかりそうだな…」と感じた人もいますよね。

次は臨床心理士の資格取得にかかる費用を解説します。

5.臨床心理士の資格取得にかかる費用

ここまで臨床心理士になるための方法を説明しました。

次にお話するのは、資格取得につきものの費用についてです。

臨床心理士資格の取得にかかる費用を以下の表にまとめましたので、ご覧ください。

学費については東京福祉大学をもとに算出しています。

費用全体を見ると、大学院の学費が圧倒的に高いですね。

各大学院で提携している教育ローンなどもありますので、利用するのも1つの手でしょう。

費用科目 費用額
大学院前期の学費 1,260,000円
大学院後期の学費 1,120,000円
資格試験の申請書類費用 1,500円
資格の審査料 30,000円
資格の登録料 50,000円
合計 2,461,500円

ご覧の通り、安くはない費用です。

前述の通り教育ローンなどの選択も含めて、計画的に資金を準備する必要があるでしょう。

以上、臨床心理士の資格取得にかかる費用でした。

相当な金額のかかる臨床心理士ですが、いくらくらい稼げるのか気になりますよね。

以下で、臨床心理士の年収について解説していきます。

ちなみに臨床心理士の年収ってどれくらい?

臨床心理士の平均年収

資格取得にかかる費用を解説しましたが、同時に気になるのは臨床心理士の年収ですよね。

いくら臨床心理士になるメリットがあったとしても、あまりにも稼げないと目指しづらいというのが正直なところです。

臨床心理士の年収は、求人情報サイト「介護求人ナビ」の掲載情報をもとに見ていきましょう。

介護求人ナビによる算出では、臨床心理士の平均年収は356万円となっています。

国税庁で算出されているサラリーマンの平均給与は約400万円ですので、それよりも低い数字ですね。

ですが、356万円はあくまでも臨床心理士の平均年収です。

全体の給与幅を見てみてください。

296〜743万円と広いことがわかります。

この給与幅から想定されるのは、個人のスキルや経験年数、また勤務先によって給与が大きく変動するということです。

後述の「介護士から臨床心理士に向いている人」でも記載していますが、臨床心理士は勉強し続けていかなければなりません。

コツコツとスキルを磨き、より良い職場にキャリアアップすることで、年収を高められるでしょう。

臨床心理士の年収情報は以上です。

次は、先ほども少し触れた「臨床心理士に向いている人」について解説していきます。

6.介護士から臨床心理士になるのに向いている人

臨床心理士に向いている人の特徴

ここまで臨床心理士の仕事内容やメリット、なる方法、そして費用や年収情報を解説しました。

ここから解説するのは、介護士から臨床心理士になるのに向いている人についてです。

臨床心理士を目指すべきか判断するうえで、適性の有無は大きな判断材料となります。

ぜひこの「介護士から臨床心理士に向いている人」の情報をもとに、臨床心理士を目指すべきか検討してみてください。

臨床心理士に向いている人は、下記の3つです。

  1. コミュニケーション力
  2. 気持ちの切り替えができる人
  3. 勉強を続けられる人

それぞれ解説していきます。

(1)コミュニケーション力がある人

1つ目はコミュニケーション力がある人です。

コミュニケーション力というと、少々わかりにくいですよね。

具体的には相手の話をよく聞き、相手の様子や心情の変化を察することができる人です。

臨床心理士は相談者や患者と信頼関係を築き、心の問題を話してもらわなければなりません。

そのためにも相手の話をよく聞き、心情に寄り添うことが求められます。

心情に寄り添うというのは難しく感じますが、大切なのは相手の話を聞いて共感することです。

相談者・患者と信頼関係を築くためにも、コミュニケーション力のある人は臨床心理士に向いているといえます。

(2)気持ちの切り替えができる人

2つ目は気持ちの切り替えができる人です。

臨床心理士が携わる心の問題は、非常に重たい内容もあります。

重たい心の問題は、人によっては感情移入し過ぎてしまい、聞く側がかえって精神的にまいってしまうことあります。

そのため、気持ちを上手く切り替えられる人、冷静に話を聞ける人でないと、臨床心理士を続けていくことは難しいかもしれません。

(3)勉強を続けられる人

3つ目は勉強を続けられる人です。

心理学の分野は日々新たな研究が進んでいます

研究の進歩とともに、臨床心理士も勉強していかなければなりません。

というのも、臨床心理士資格は5年に一度資格更新をする必要があるからです。

その更新も単に手続きをすれば良いというものではなく、研究会や講習への参加を求められます。

また、勉強しスキルを向上させれば「臨床心理士の年収ってどれくらい?」でも述べたように、年収のアップにも繋がるでしょう。

いずれにせよ臨床心理士は、資格取得後も勉強を続けられるかが大きな適性の1つです。

以上、臨床心理士の適性3つを紹介しました。

もちろん適性を満たしていないからといって、臨床心理士になれないわけではありません。

とはいえ、臨床心理士の資格取得にかかる労力や費用は大きいものです。

紹介した適性を1つの判断基準に、資格取得を検討してみてください。

次は臨床心理士となったときに働ける職場を紹介していきます。

7.臨床心理士となったときに働ける職場

ここからは臨床心理士となってときに働ける職場を紹介します。

「臨床心理士になることのメリット」でも述べたように、臨床心理士の職場は様々です。

どんな職場があるかは、一般社団法人 日本臨床心理会の臨床心理士の活動の場でも述べられています。

その中から以下の3つを抜粋して、紹介していきますね。

  1. 医療・保険
  2. 教育
  3. 福祉

それぞれ見ていきましょう。

(1)医療・保険

1つは医療・保険です。

具体的な現場としては、病院や診療所の精神神経科・心療内科、他には保険センターなどがあげられます。

関わり方は、病院であればがん患者や身体疾患を持つ人への心理ケアです。

保険センターでは引きこもりの家族相談、アルコールや薬物依存症などの家族教室を通して相談者をサポートしていきます。

(2)教育

2つ目は教育です。

主な教育現場としては、幼稚園・小学校・中学校・高校に加え、予備校や教育委員会を代表的な現場としています。

具体的な活動としては、登校や集団行動の難しい生徒とその保護者に対する心理相談などです。

スクールカウンセラーや教育相談員という職名で、教育現場における心理サポートを行います。

(3)福祉

3つ目は福祉です。

主な活動現場として介護施設はもちろん、児童相談所やDV相談支援センターなども含まれます。

子育ての相談に応じたり、虐待やDV被害克服のための支援、障害を持った子供と大人の相談が主な活動です。

福祉と一くくりにしていますが、現場ごとに抱えている問題はまるで違います

いずれの問題も、悩みを理解して適切な心理ケアの実施する点は同じです。

一部ですが、臨床心理士の働ける職場について紹介しました。

働ける職場が幅広い分、抱えている心の問題や必要な心理サポートも多種多様です。

職場に応じて必要な心理ケアを学ぶことを求められるでしょう。

それでは最後に、臨床心理士に関するQ&Aに触れていきます。

【参考】臨床心理士に関するQ&A

本記事も終盤ですが、最後に臨床心理士に関するよくある質問に回答します。

よくある質問として、以下3つを抜粋しました。

  1. 公認心理士とは何が違うの?
  2. 臨床心理士だけでは生活できないって本当?
  3. 臨床心理士は機械的な反応しかできない?

順番に回答していきます。

Q1.公認心理士とは何が違うの?

1つ目の問いは、公認心理士との違いです。

どちらも心理学の専門資格であり、業務内容にも共通点があります。

違いについて表にまとめましたので、ご覧ください。

資格の種類や受験資格に差はありますが、仕事内容に大きな差はありません

唯一の違いは、臨床心理士は業務に関する調査・研究を求められるのに対し、公認心理士は情報提供を求められます。

この違いはどちらが優位というものではありません。

公認心理士の方がより対外的な発信を求められるというだけです。

ただ、似たような業務だと、どちらの資格を取るべきか悩みますよね。

結論として、現状は臨床心理士をオススメします。

臨床心理士の方が比較的容易に受験資格を得られ、信頼性も高いからです。

公認心理士は国家資格ですが、2017年にできたばかりの資格のため、その歴史はまだ浅いといえます。

歴史の長さからして、臨床心理士の方が信頼性は高いといえるでしょう。

各項目 臨床心理士 公認心理士
資格の種類 民間資格 国家資格
受験資格 指定の大学院を修了 四年生大学および大学院にて、指定の科目を修了する など
仕事内容
※相談者および周囲への心理サポートはおおむね同じ
臨床心理に関する調査・研究 心の健康に関する教育・情報提供

以上が臨床心理士と公認心理士の違いになります。

前述の通り現状は臨床心理士の取得を勧めていますが、今後の公認心理士の普及によっては逆転するかもしれません。

参考情報としてご覧ください。

Q2.臨床心理士だけでは生活できないって本当?

2つ目は臨床心理士だけでは生活できないって本当?という問いです。

結論としては、人によります。

「臨床心理士の年収ってどれくらい?」でも述べた通り、働く先やスキル、経験年数によって収入は変動するからです。

ただし、非常勤よりも常勤として働いている人の方が昇給もあり、給与は高い傾向にあります。

いずれせよ介護職からの資格取得を目指すなど、他の職種とかけあわせることで、スキルの向上ひいては給与アップを図る必要があるでしょう。

Q3.臨床心理士は機械的な反応しかできないの?

最後、3つ目の問いは臨床心理士は機械的な反応しかできないの?です。

臨床心理を学ぶ過程でぶつかる悩みに、以下のようなものがあります。

「対話方法通りにしか話してはいけないの?」

マニュアルに縛られて思ったことがいえない…」

こうした悩みを踏まえた問いの回答は、機械的な反応しかできないということはありません。

むしろ、相談者に合わせて柔軟かつ多岐にわたる対応を求められるでしょう。

大学院で学ぶマニュアルや対話方法は、必要な基礎知識です。

しかし、様々な相談者全てに対して、基礎的な対応が当てはまるわけではありません。

相談者に応じた適切な反応・心理サポートこそ、臨床心理士に求められるスキルです。

そして、適切な反応や心理サポートは、実際に現場に出て実践する中で勉強していく必要があるでしょう。

以上、よくある質問として3つの問いに回答しました。

いずれも臨床心理士を目指すうえで、大事なポイントです。

ぜひ参考にしてみてください。

まとめ

以上、臨床心理士の資格について解説してきました。

臨床心理士は、相談者の心の問題を解決するための支援者です。

とはいえ、心の問題と一口にいっても、その種類は様々にあります。

病院や介護施設、学校など、担当する現場が変われば支援する問題も変わるでしょう。

特にますます高齢化の進む日本において、介護現場における臨床心理士の必要性は高まるばかりです。

これからの介護職のキャリアの1つに、臨床心理士を検討してみてはいかがでしょうか。