介護士が転職を考えたとき、保育士はその有力候補の1つになるって知っていましたか?
実は今、介護士から保育士への転職に注目が集まっています。
介護士と保育士は、共通する部分がたくさんあり、国も、将来的にはこの2つの資格を一本化しようという考えを持っているからです。
今回は介護士から保育士になるには?というテーマで、その道のりを徹底的に解説しました。
これを読めば、なぜ介護士から保育士なのか、また保育士がどういう資格で、どうすればなれるのか、など全て解決します。
保育士への転職に少しでも興味がある方、是非最後まで読んでみてください。
目次
1.介護士から保育士に転職する人っているの?
介護士から保育士に転職する人は、実際に存在します。
保育士は、介護士としてのスキルが活かせる職業だからです。
保育士と介護士は、お世話する方々は違えど「人を相手にする」、「コミュニケーションを取る」という点において共通しています。
実は、政府は以前からこの点に注目しており、介護士と保育士の資格統合も視野に入れているようです。
2018年からは、介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士に対して、保育士の国家試験において一部が免除されることになりました。
これも資格統合への一環で、この制度改正により、介護士から保育士への転職する流れができてきています。
介護士から保育士へ転職する人は実際にいますし、もしかすると今後もっと増えてくるかもしれませんね。
次の章ではこの「スキルの共通点」や「制度の改定」について、もう少し深く掘り下げて解説します。
なるべくわかりやすく書いていきますので、是非お読みください!
2.介護士から保育士に転職する理由・メリットは?
先ほどの章でも少し、介護士から保育士に転職する人がいる理由を説明しました。
この章ではその理由について、もう少し掘り下げていこうと思います。
以下の4つの項目に分けて説明していきますね。
- 介護士としてのスキルや経験が活かしやすい業界
- 夜勤がないなど人によっては保育士の方が負担が少ない
- 将来的には介護と保育を統合しようという国の政策がある
- 保育士国家試験科目が一部免除
1つずつ見ていきましょう。
メリット1.介護士としてのスキルや経験が活かしやすい業界
保育は介護士としてのスキルや経験が活かしやすい業界と言えます。
「人の日常をお世話する」という点が共通だからです。
確かに、お世話する対象が年配の方か、子どもかという点は違います。
ですが、どちらも人を相手にする仕事ですから、保育士は介護士としてのスキルや経験が活かしやすいです。
今まで培ってきた技術とスキルを、保育士でも活かせるのは大きなメリットになるでしょう。
メリット2.夜勤がないなど人によっては保育士の方が負担が少ない
夜勤がつらいなと思っている介護士の方であれば、保育士に転職することで身体の負担は減るでしょう。
保育士の場合、夜勤はほとんどないからです。
夜勤は、いくら仕事に慣れた介護士でもきつい時がありますよね。
日勤と夜勤を交互に繰り返すことで体調を崩しやすく、身体にも負担がかかります。
仕事とは言え、つらいと感じる人もいるのではないでしょうか。
また、夜勤の日はご家族とすれ違いの生活となり、旦那さんやお子さんとの団らんの時間も持てなくなります。
ご家族にも負担をかけてしまい、精神的にも窮屈な思いをすることもあるでしょう。
その点、保育園では24時間預かり体制はごく少数、夜勤はほとんどありません。
シフトが遅番だったとしても、20時頃には保育園をでることができ、夜は自分や家族との時間に充てることが可能です。
リズムを狂わす変則的な勤務が無くなる分、体はだいぶ楽ですよね。
人によっては、保育士に転職することで肉体的にも、精神的にもだいぶ楽になるのではないでしょうか。
メリット3.将来的には介護と保育を統合しようという国の政策がある
実は、政府は将来的に介護福祉士や保育士などの福祉職の資格を統一するという構想を持ってっています。
統一することで、介護と保育の人材不足の解消が図れると考えるからです。
介護分野と保育分野を統一し、両方をより少ない人数で提供する体制を作る、というのが目的となります。
その影響で、「幼老複合施設」といって、介護施設と保育施設を合体した複合施設も、全国で増加傾向です。
統一にはまだ時間がかかることが予想されますが、今の時点でどちらの資格も取っておくと良いとも言えるでしょう。
保育士国家試験科目が一部免除
介護士が保育士の国家試験を受験するのは、他の人よりとても有利だと言えます。
なぜなら、筆記試験において一部免除される科目があるからです。
2018年から、介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士に対しては、保育士国家試験の筆記試験9科目のうち、3科目が免除されることになりました。
具体的には、以下の3科目です。
- 社会福祉
- 自動家庭福祉
- 社会的養護
これは、先ほどの章で説明した、介護士と保育士の資格の統一を見据えた措置の1つと言えます。
9科目のうちの3科目、つまり全体の1/3が免除なので、とても有利になりますよね。
この点も、介護士から保育士への転職を促進している要素と言えます。
こうやって書き出してみると、介護士から保育士への転職が有利であること、またメリットもたくさんあることがわかりますよね。
では、次の章からは、保育士についてもう少し詳しくなっていきましょう。
保育士の仕事内容や、保育士として働くメリットについても解説していきます。
3.まずは保育士について知ろう
先ほどの章では、介護士から保育士へ転職するメリットについて話しました。
ここからは、保育士そのものについて知っていくことにしましょう。
わかりやすいように以下3つに分けて解説します。
- 保育士の仕事内容と資格
- 保育士の楽しさ・やりがい・メリット
- 幼稚園の先生と何が違うの?
1つずつ見ていきましょう。
(1)保育士の仕事内容と資格
保育士とは、乳児から小学校就学前(0歳~6歳)までの幼児を保育する人のことを言います。
保育士になるには保育士国家資格が必要で、保育士国家試験に合格するか、厚生労働省の認めた養成学校を卒業することで取得可能です。
その仕事は想像以上に大変だと言われています。
子どもは体調が急変しやすく怪我も多いので、楽しく安全に預かるには保育士の各所での配慮や努力が必要だからです。
大変な分、やりがいもあるのが保育士の魅力でもあります。
「先生ー!」と子どもが勢いよく駆け寄ってきてくれた時は、心がほっこりして自然と笑顔になる瞬間です。
また、昨日までできなかったことがあなたの指導でできるようになったとき、かけがえのない喜びを感じます。
「子供が好き」という人にとっては、天職とも言える職業でしょう。
(2)保育士の楽しさ・やりがい・メリット
それでは、保育士の楽しさやメリットをみていきましょう。
お伝えしたい点は3つです。
- 子どもの成長に携われる
- 年齢に関係なく続けられ出産経験はむしろ有利
- 共働き増加で需要はますます拡大傾向
それでは1つずつ紹介します。
子どもの成長に携われる
子ども達の成長を間近で見守れるのは、保育士の仕事の魅力の1つです。
- なかなかお友達ができなかった子が自分から「遊ぼう」と誘えるようになった
- ニンジンが嫌いだけど頑張って食べられた
- おもちゃを他の子どもにも貸してあげられるようになった
これらは、保育士が目の当たりにする子どもの成長の一例です。
特に、保育士の声掛けによって子どもの成長が促された場合、何とも言えない嬉しさを味わいます。
また、子どもなりに一生懸命考えて行動していることに気がついたり、子どもの純粋で無垢な心に触れた時は、感動すら覚えるでしょう。
年齢に関係なく続けられ出産経験はむしろ有利
保育士は、年齢に関係なく再就職がしやすく、長く続けられる職業と言えます。
結婚・出産の経験がハンデとならず、むしろプラスに捉えられるからです。
一般的な会社員の場合、30代半ばを過ぎたころから転職や再就職が難しいと感じる人が増えてきます。
ブランク後の社会復帰は難しく、就職が決まらなくて困っている女性がたくさんいるのも事実です。
一方、保育士の場合、結婚・出産・子育てが落ち着いてから保育士として復帰する方が多くいらっしゃいます。
結婚や出産はハンデにならず、むしろ子育ての経験が保育の仕事に活かせるからです。
そのため、保育士の年齢層は20代から上は60代までとかなり幅広く、どの年代の方もいきいきと働いています。
何歳からでも再就職がしやすいのは、保育士ならではです。
あらゆる観点から見て、保育士は女性にとってとても魅力的な職業と言えるのではないでしょうか。
共働き増加で需要はますます拡大傾向
保育士の需要は、今後ますます増えていくことが予想されます。
女性の社会進出が進み、保育園に子供を預ける家庭が増えてきているからです。
厚生労働省が発表している、保育士の有効求人倍率をご覧ください。
【参考】保育士の有効求人倍率の推移(全国):https://www.mhlw.go.jp/content/000636780.pdf
2020年4月の時点での全職種の有効求人倍率が1.23倍に対して、保育士は2.45倍と、ほぼ2倍です!
保育士の需要が、いかに高いかがわかりますね。
実際、保育士は慢性的に人手不足で、国や自治体もこれを解消するために、保育士の待遇改善に動いています。
このような背景から、保育士の需要は今後もますます増えていくでしょうし、将来性があると言えるでしょう。
(3)幼稚園の先生と何が違うの?
「保育士と幼稚園の先生って何が違うの?」
これは、多くの方が疑問に思うことではないでしょうか。
簡単に言うと、管轄する省庁が違います。
幼稚園教員は文部科学省管轄の「教員」であり、活躍の場は主に幼稚園です。
一方、保育士を管轄しているのは、厚生労働省の管轄となります。
つまり保育士は教育というより、福祉分野での国家資格といえるのです。
ここまでで、だいぶ保育士という職業について詳しくなりましたよね。
では、次の章では保育士の給料や年収について触れていきます。
気になるところだと思うので、是非チェックしてみてください。
4.保育士の年収・給与
先ほどの章では、保育士の仕事内容、やりがいやメリットについて見てきました。
「転職して給料が大幅に下がったらいやだな…」
心配になっている人、いますよね?
結論から言うと、保育士と介護士の平均年収はあまり変わりません。
政府の発表している2019年度「賃金構造基本統計調査」によると、常勤・フルタイムの保育士へ決まって支給される現金給与額は、平均で244,000円です。
年間賞与等の平均は623,000円、年収換算すると約3,550,000円となります。
一方、福祉施設職員に決まって支給される現金給与額は平均で245,000円、保育士とほぼ同じ水準です。
年間賞与等の平均は515,000円で、年収換算すると約3,455,000円。
つまり、保育士と介護士はほとんど変わりないと言えます。
勤める施設や勤続年数、役職・資格によって差がでますが、平均年収で比べると介護士と保育士はほぼ同じ水準なので、心配ありませんね。
ここまでで保育士のお給料がどのくらいか、イメージできたと思います。
では、今度は保育士が活躍できる職場を見ていきましょう。
5.保育士が活躍できる職場は?将来性は高い?
先ほどの章では、保育士の年収・給料について知ることができました。
ここからは、保育士が活躍できる職場を具体的に見ていきます。
実は、保育士が活躍できる職場は想像以上にたくさんあるのです。
「え?保育士は保育園で働くんじゃないの?」
と思う人も多いでしょう。
この章では、合わせて保育士の将来性についても触れています。
- 保育園以外の就業先
- 保育士の求人傾向
- 昇給制度が細分化され給与もそれに合わせて上昇
3つの項目に分けて書いています。
1つずつ見ていきましょう。
(1)保育園以外の就業先
保育士を必要としているのは保育園だけではありません。
児童養護施設、認定こども園などでも、保育士を一定数配置することが義務付けられているからです。
保育士の配置が義務付けられている施設の例を挙げてみました。
- 保育所
- 認定こども園
- 児童養護施設
- 障害児入所施設
- 児童発達支援センター
- 情緒障害児短期治療施設
その他、児童館や学童クラブ、病院、ベビーシッターとして勤務する場合も、保育士の資格を持っていると就職しやすいです。
近年は、デパートなどの商業施設や、民間企業や病院内の託児所などでも、保育サービスを提供するところが出てきました。
保育士の活躍の場は、かなり広いことがわかりますね。
(2)保育士の求人傾向
保育士の求人は、右肩上がりです。
待機児童問題、共稼ぎが増えたことなどから、保育士の需要は年々高まっているからです。
以下の表をご覧ください。
2017年~2019年の、保育士の有効求人倍率をまとめた表です。
有効求人倍率は求人数を求職者数で割った値ですから、保育士の求人数は、求職者の4倍近いことになります。
年度 (月) | 有効求人倍率 |
2017年(12月) | 3.40倍 |
2018年(1月) | 3.64倍 |
2019年(1月) | 3.86倍 |
ちなみに、同じ時期の「全職種」の有効求人倍率はどのくらいだと思いますか?
令和元年1月の時点で、約1.60倍です。
他の職種に比べて、保育士の求人がいかに多いかがわかりますね!
(3)昇給制度が細分化され給料もそれに合わせて上昇
もう1つ、皆さんに知っておいて欲しいことがあります。
それは、平成29年度から、保育士のキャリアアップの仕組みが大幅に改善された、ということです。
これまで、保育士のキャリアップには時間がかかるという問題がありました。
保育士の役職は「役職なし」、「主任」、「園長」の3種類だけで、主任になるための道のりが長かったからです。
主任になるまで何年もお給料が上がらないなんて、やる気の維持が難しいですよね。
今回、保育士のキャリアアップの仕組みも大幅に改善されたことで、主任までに新たに3つの役職が設定されました。
- 副主任保育士
- 専門リーダー
- 職務分野別リーダー
1つずつ、階段をのぼる様に次の役職を目指していけるので、目標が定めやすくてやりがいが増しますよね。
新しい役職になれば給料も上がる仕組みなので、待遇面の改善にも繋がります。
以上が、保育士の活躍の場と将来性について、でした。
保育士の活躍の場は大変広く、需要が高いことがおわかりいただけたのではないでしょうか。
ではいよいよ、保育士になるには具体的にどういう方法があるのかを、次の章から解説していきますね。
先に言ってしまうと、大きく分けて2つの方法があります。
2つとも詳しく解説するので、一緒に見ていきましょう。
6.介護士から保育士になるにはどうしたらいい?
それでは、この章では介護士から保育士になる方法を解説していきますね。
保育士になるには、2つの方法があります。
- 保育士国家試験に向けて勉強をする
- 保育士国試験を受ける
- 厚生労働省指定の保育士養成学校を卒業する
1つずつ、その流れを見てきましょう。
流れ1.保育士国家試験に向けて勉強をする
保育士になるためには、保育士の国家試験合格を目指しましょう。
保育士は国家資格の1つなので、国家試験に合格することで資格取得が可能だからです。
この方法だと、介護士として働きながら保育士の資格を目指せます。
試験に合格さえすればいいので、学校に通う必要もなくマイペースに学習できるからです。
保育士国家試験のテキストや問題集はたくさん書店に並んでいるので、それらを利用して独学で試験対策することもできます。
完全独学に自信がない方には、通信教育を利用するのもおすすめです。
例えば、ユーキャンの場合、月々3,980円 x 15回= 59,700円で受講でき、教材費、添削10回分、1日3回までの質問が含まれます。
一人で国家試験に立ち向かうのに心が折れそうな場合、こういったサポートを利用するもいいかもしれませんね!
保育士国家試験の受験資格は?
保育士国家試験の受験資格の判定ですが、実は少し複雑と言えます。
卒業年度や実務経験など、細かい条件が設定されているからです。
大学・短大を卒業している方はその時点で受験資格がありますので、心配する必要はありません。
高校卒業の場合、卒業日が平成3年3月31日以前であれば受験資格があります。
詳しくは、こちらの「一般社団法人 全国保育士養成協議会」で受験資格をご参照ください。
フローチャート形式で受験資格を説明してくれているので、大変わかりやすくおすすめです。
流れ2.保育士国家試験を受ける
勉強をしたら、保育士国家試験を受けていきましょう。
国家試験の内容は以下の2つです。
- 筆記試験
- 実技試験
それぞれ解説します。
筆記試験
保育士の国家試験ですが、筆記試験と実技試験の2つにわかれます。
まずは、筆記試験合格に集中しましょう。
なぜなら、筆記試験を合格しないと実技試験に進めないからです。
筆記試験はマークシートによる択一式で、全部で9科目、合格ラインは、各科目100点満点のうち6割以上になります。
筆記試験の試験科目は以下の通りです。
筆記試験の科目 |
|
昨年、2019年は、筆記試験の合格率は約14%と2割を切っていますので、油断することなくしっかり対策をして臨みましょう。
もし、筆記試験に合格できなかった場合でも、そこで諦めないでください。
一度合格した科目は3年間有効だからです。
不合格だった科目を重点的に勉強して次の試験に臨めば、必ず合格できますから、1回の試験で諦めず、何度でもトライしていきましょう!
実技試験
次に、実技試験についてです。
実技試験では、あなたの趣味や小さいころの習い事が活きてくるかもしれません。
ピアノやギター、絵画が試験科目になるからです。
保育士国家試験の実技試験では、言語・音楽・造形(絵画制作)のうち2科目を選択する形で行われます。
音楽表現で問われるのは、楽器の演奏技術です。
課題曲をピアノ、ギター、アコーディオンのいずれかで演奏するのですが、平成31年の課題曲は『どんぐりころころ』と『バズごっこ』でした。
造形表現では、保育の状況をイメージした情景や人物を、絵で表現することが求められます。
試験時間は45分間、課題は当日発表され、模写ではないのでので見本はありません。
言語表現では、保育士として子ども達にお話を聞かせる能力を見られます。
3歳児クラスの子どもに「3分間のお話をする」という想定で、課題の中から1つ選択してお話を行う試験です。
課題例は『おむすびころりん』、『ももたろう』、『3びきのこぶた』など。
どれもなじみのある童話ですね。
この試験では、子どもが集中して聞けるような、声の大きさ、口調、表情、抑揚など、保育士としての技量が試されるようです。
重要なのは読み聞かせではなく「お話」だということ。
つまり、話がしっかり頭の中に入っていることが前提となります。
合格ラインは、選択した2科目それぞれ50点満点のうち6割以上です。
3つのうち2つを選択するので、自分が得意なこと、好きなこと、頑張れそうなことを選ぶようにしましょう。
保育士国家試験の合格率
保育士国家試験の合格率は、毎年20%前後です。
極端に低くもありませんが、簡単でもないのでしっかりと対策が必要と言えるでしょう。
参考までに、こちらが令和元年の保育士試験の実施状況です。
2019年 保育士試験の実施状況(厚生労働省HP):https://www.mhlw.go.jp/content/000656128.pdf
2019年は、合格率が全国合計で約23%でした。
一次試験にあたる筆記試験の方が合格率が低く、二次試験(実技試験)になると合格率は少し上がります。
まずは一次試験である筆記試験を突破することがカギ、と言えますね。
資格までの取得スケジュール
国家試験は年2回、以下のスケジュールで行われます。
- 1回目(前期):筆記試験 4月・実技試験 6月
- 2回目(後期):筆記試験 10月・実技試験 12月
申し込みの締め切り日はしっかり確認しておきましょう。
願書の締め切りが思ったよりも早く設定されているからです。
保育士国家試験の願書締め切りは、試験の約3ヶ月前に設定されています。
意気込んで勉強をはじめたら、すでに申し込みが閉め切られていた、なんてことがないようにしてください。
試験日程と同時に、願書の締め切り日も確認するようにしましょう。
また、通信教育で学習して合格を目指す場合、標準学習時間は12ヵ月と言われています。
勉強期間は人それぞれですが、標準通り12ヵ月勉強するなら、試験日から逆算して最低でも1年前には学習し始めないといけません。
まずは自分がいつの試験を目指すかを明確にして、そこから逆算して学習スケジュールを立てましょう。
流れ3.厚生労働省指定の保育士養成学校を卒業する
国家試験に合格するのとは別に、もう1つ保育士の免許を取得する方法があります。
厚生労働省指定の保育士養成学校を卒業することです。
保育士養成学校を卒業すると、卒業と同時に資格が手に入り、国家試験を受ける必要がありません。
ただ、保育士養成学校は短大で2年、4年制大学なら4年と、卒業までに時間がかかりますし、学費も安いとは言えないです。
試験勉強や試験のプレッシャーからは解放される反面、費用と時間を要する、ということは押さえておきましょう。
保育士の学校の選び方
保育士養成学校は、大学、短大、専門学校、通信制学校などがあります。
全国47都道府県に約680校ありますので、自分の通いやすい学校を選びましょう。
早く働き始めたい人は2年制の短大や専門学校、通信学校がおすすめです。
学問としても保育を学びたいなら、4年制大学も選択肢になると思います。
働きながら学校に通うなら、通信制大学という手がありますよ。
参考までに、関東と関西の代表的な通信制大学をまとめましたのでご覧ください。
費用は通学が必要な学校と比べて、かなり抑えられます。
ただし、コース終了までには2年~4年かかり、通信制だからといって、取得までの期間が短縮されるわけではありません。
学校・学部名・学科名 | 卒業までの期間 |
聖徳大学 教育学部 | 2年~4年 |
小田原短期大学 通信教育課程 保育科 | 3年 |
大阪芸術大学 短期大学部 通信教育部 保育科 | 2~3年 |
仕事をしながら取得を目指す人で、時間をかけても自分のぺースで学びたいとうい方には良い方法かもしれませんね。
学費はどのくらい?
保育士養成学校の学費ですが、学校の種類によってばらつきがあります。
以下、相場をまとめてみました。
- 私立大学(4年間・400万)
- 短大(2年間・250万)
- 専門学校(2年間・200万)
- 通信制大学(2~4年・20万)
実際に通学する学校は、やはり学費が高めです。
一旦仕事を辞めて、学生に戻りたい!という人でない限りは、通信制大学がいいかもしれませんね。
流れ4.介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士になってから保育士への転職を目指すのも選択肢
介護の仕事がつらくて、今すぐに保育士へ転職したいと考えていても、転職のタイミングは慎重に判断するようにしましょう。
介護・福祉業界にも国家資格があり、それらを取得してから転職する道もあるからです。
介護業界には「三大福祉士」と呼ばれる国家資格がありますよね?
介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士の3つです。
この3つは福祉・介護業界の国家資格で、実務経験を積んだ人、もしくは専門の勉強をした人にしか受験資格が与えられません。
例えば、介護福祉士の場合、実務者研修取得に加えて実務経験が3年以上あることが条件です。
つまり、受験資格を得る前までに、すでにかなりの年月を費やしていることになります。
何が言いたいかというと、せっかくなら介護福祉士を取ってから、保育士を目指すという手もあるのでは?ということです。
三大福祉士になると、保育士の国家試験で筆記試験の3科目が免除になります。
介護分野において国家試験を取ることで集大成にもなりますし、さらにそれが保育士試験で役立つとなれば、考えてみる価値はありますよね。
自分の今の状況や、どうなっていきたいかなど、よくよく考えて、転職のタイミングを判断しましょう。
それでは、最後にどんな人が保育士に向いているか、について書いていこうと思います。
あなたにも当てはまるものがあるかも?
読んでみてくださいね!
7.保育士として働くのに向いている人は?
ここからは、保育士に向いている人の特徴を挙げてみようと思います。
保育士に向いている人の特徴は全部で4つです。
- 子どもが好き
- 何事も楽しめる
- 体力に自信がある
- 細かい変化に気が付く
1つずつ、解説しますね。
1.子どもが好き
まず、何よりも「子どもが好き」ということ、これが必須だと思います。
言うまでもなく、保育士は日々子どもと向き合う仕事だからです。
仕事ですので、厳しく辛いことも時にはありますが、自分のやっていることが「好き」という気持ちが根底にあれば、乗り越えていけるでしょう。
子どもが好き、子どもと接するのが好き、という人は、それだけで保育士に向いていると言えます。
2.何事も楽しめる
子どもと接する仕事では、何事も新鮮に楽しめることが大切になります。
なぜなら、子ども自身が日々、発見と驚きを楽しんでいる存在だからです。
セミの抜け殻を見つけて大喜びしたり、泥団子を作ることに没頭したり…。
そういった子どもの日常に、一緒になって喜んだり驚いたりできる人は子どもから好かれます。
童心を忘れず、子どもと一緒に遊びを楽しめる人は、保育士に向いていると言えるでしょう。
3.体力に自信がある
保育士には体力も必要になります。
エネルギッシュな子どもを相手にするのは体力勝負だからです。
子どもを抱っこしたり、おんぶしたりしますし、男性が少ない職場なので女性であっても重いものを運んだり、筋力も必要になります。
疲れを知らない子どもの相手なので、体力は必須と言えるでしょう。
3.細かい変化に気がつく
子どもの変化に気が付ける人は保育士に向いています。
小さい子どもは体調が急変することもあり、様子がいつもと違うときにすぐに気が付いてあげる必要があるからです。
体調面の変化だけではありません。
例えば、できなかったことができるようになった時など、子どもはそれを認めて欲しいものです。
小さくても成長した点を見逃さず、それに気が付いて褒めてあげられる人は、保育士に向いていると思います。
まとめ
以上が、介護士から保育士に転職するまでの全貌の解説でした。
大変長くなってしまいました。
皆さん、お疲れ様でした!
読んでいただいてお分かりかと思いますが、保育士の国家資格を取得するのは、簡単ではありませんね。
ですが、一度取得してしまえば生涯使え、女性が働きやすい職業であることは間違いありません。
今すぐ保育士に転職したい人、介護士としてもう少しキャリアを積んでから保育士に転職しようと考えている人、両方いるでしょう。
どちらも正解だと思います。
転職のタイミングは人それぞれです。
自分にとって、ベストなタイミングを見つけてくださいね。