介護師

【勉強法付】ケアマネジャーの試験内容から対策方法までを教えます!

今の仕事からキャリアアップのために、ケアマネジャーの資格取得を考えている人もいるのではないでしょうか。

「ケアマネジャーの試験ってどんな試験なの?」

「今の知識で受験しても合格できる?」

この記事では、こんな疑問を解決できるようにケアマネジャーの試験内容や勉強方法について解説します!

本記事を通して、ケアマネジャーの試験対策で重要なポイントや具体的な対策方法を理解し、勉強を効率的に進められるでしょう。

1.ケアマネジャーになれば給料が増える?

ケアマネジャーの平均月給

ケアマネジャーへの転職・キャリアアップを考えている人にとって気になるのが、給料が増えるかどうか、高待遇を望めるのかですよね。

ここでは、ケアマネジャーの仕事内容と給与について介護士・介護福祉士と比較して確認してみましょう。

まず、ケアマネジャーの主な仕事内容は次の通りです。

表を見るとわかるように、介護福祉士の仕事内容と共通している部分もあることがわかります。

仕事内容 詳細
ケアプランの作成 利用者・家族と介護の方針を決定する
課題解決 利用者からの相談に対して、解決策を提案する
自宅訪問 利用者の自宅を訪問し、状況確認や問題点の解決に取り組む
要介護認定に関連した業務 介護保険サービスの申請手続きを行う
給付管理業務 介護保険の利用単位数などを計算・管理する

介護士・介護福祉士として働いた人であれば今までの経験を活かして、ケアマネジャーとして働くことが可能です。

次に、厚生労働省が発表している「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果」から、介護士・介護福祉士とケアマネジャーの平均給与額を比較してみます。

ケアマネジャーは介護士・介護福祉士に比べて平均給与が約2〜5万円高く、給与面において高待遇です。

介護職員(介護士・介護福祉士) 介護支援専門員(ケアマネジャー)
常勤の者 300,970円 常勤の者 350,320円
非常勤の者 209,470円 非常勤の者 229,050円

介護士や介護福祉士として働いた経験があれば、これまでの経験を活かした上で給与アップも目指せます。

ケアマネジャーを目指すメリットを理解した上で、ケアマネジャー試験の概要について確認していきましょう。

2.ケアマネジャー試験ってどんな試験?

ケアマネジャー(介護支援専門員)試験は、介護が必要な人のサポートを行える知識・スキルを持っていることを証明する資格です。

国家資格ではなく、都道府県が認定する資格になっています。

[介護支援専門員]:公益財団法人 社会福祉振興・試験センターから、ケアマネジャー試験の概要を表にまとめました。

受験資格が厳しく設定されており、ハードルの高い資格であることがわかります。

試験日程 年1回(10月頃)
受験費 各都道府県による
(東京都の場合は、12,800円)
受験資格

①以下のいずれかの国家資格を保有している + 実務経験が通算5年以上、従事日数が900日以上

医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士含む)、精神保健福祉士

②以下のいずれかの職種に従事している + 実務経験が通算5年以上、従事日数が900日以上

生活相談員、支援相談員、相談支援専門員、主任相談支援員

試験日程が年1回のため、しっかり試験対策を行って受験することが重要です。

次の章では、ケアマネジャー試験の具体的な試験内容と問題数について見ていきましょう。

3.ケアマネジャーの試験内容と問題数

ケアマネジャー試験の問題は、5つの選択肢の中から正しい選択肢を選んで回答する形式です。

多くの都道府県では、マークシート方式での解答が使われています。

試験時間と問題数は、それぞれ次の通りです。

  • 試験時間:120分
  • 問題数:全60問

単純計算すると、1問を約2分で解答する必要があるため、解答スピードの速さと正確さが求められるでしょう。

また、ケアマネジャー試験では、次の3つの分野から出題されます。

  1. 介護支援分野
  2. 保健医療サービス分野
  3. 福祉サービス分野

それぞれの分野の詳細・特徴について説明しますね。

(1)介護支援分野

介護支援分野では、主に次のような内容がよく出題されます。

  • 介護保険制度について
  • 介護サービス計画書の作成について
  • 介護保険で利用できるサービスについて

上記の通り、介護保険に関する知識が求められるため保険概要や特徴をしっかり理解しておくことが必要です。

また、介護支援分野からは全25問が出題され、配点が多いのでしっかり対策して得点を稼ぎたい分野と言えます。

(2)保健医療サービス分野

保健医療サービス分野では、主に次のような内容がよく出題されます。

  • 高齢者に多い疾病や障害について
  • 高齢者の特徴について
  • 在宅に関する問題、終末期ケアの問題について

「高齢者」というキーワードがポイントになっていることがわかりますね。

保健医療サービス分野からは、全20問が出題されます。

(3)福祉サービス分野

福祉サービス分野では、主に次のような内容がよく出題されます。

  • コミュニケーション技術について
  • ソーシャルワークについて
  • 介護保険について

福祉サービスで必要になるスキルや理念について問われる場合が多いです。

また、介護に関する知識も問われるため、介護支援分野と合わせて対策を行いましょう。

福祉サービス分野からは全15問が出題されます。

他の分野に比べて配点は少ないものの、実際の仕事にも役立つ知識が問われるためしっかり理解しておきたい分野です。

ケアマネジャーの試験内容がわかったところで、次は合格ラインについて見ていきましょう。

4.ケアマネジャー試験の合格ライン

ケアマネジャー試験の合格ラインは「介護支援専門員実務研修受講試験事業実施要綱」によると、各分野で一定割合以上の正答の場合に合格であると定められています。

上記の「一定割合以上の正答」を決める合格基準点は、試験問題の難易度に合わせて「補正」が加わり、毎年点数が異なります。

東京都介護支援専門員実務研修受講試験正答番号及び合格基準」を見ると、合格基準点は次の通りです。

点数にばらつきはありますが、各分野で約70%程正解する必要があります

  介護支援分野(正答率) 保健医療福祉サービス分野(正答率)
第18回 13点(52%) 25点(71%)
第19回 13点(52%) 22点(63%)
第20回 15点(60%) 23点(66%)
第21回 13点(52%) 22点(63%)
第22回 16点(64%) 25点(71%)

例えば、介護支援分野で満点を取ったとしても、他2分野の点数が低ければ合格にはなりません

得意分野の点数を確保するのはもちろん、苦手分野があればしっかりと対策することが大切です。

合格ラインを知って「ケアマネジャーの試験は難しいかもしれない」と感じた人もいるかもしれません。

次に、ケアマネジャー試験の難易度について介護福祉士の資格と比較して確認しましょう。

5.ケアマネジャーの試験内容は難易度が高い?

結論から言ってしまうと、ケアマネジャー試験の難易度は高いです。

その理由を確認するために、ここでは「介護福祉士の試験」と「ケアマネジャーの試験」を問題数や受験資格などから比較してみます。

表を見てみると、問題数・試験時間は介護福祉士試験の方が約2倍と多いことがわかりますね。

  介護福祉士 ケアマネジャー
問題数 125問 60問
解答方式 五肢択一方式
(5つの中から1つを選ぶ)
五肢複択方式
(5つの中から複数を選ぶ)
試験時間 220分 120分
受験資格

以下のいずれかを満たす必要あり
・3年以上の実務経験 + 実務者研修の修了
・3年以上の実務経験 + 介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修の修了

※3年以上の実務経験とは、従業期間3年(1095日以上)かつ従事日数540日以上という意味

前述の通り

問題数に対する試験時間も介護福祉士試験の方が短いため、ケアマネジャー試験の方が若干ですが解答時間にゆとりがあります。

解答方式を比較すると、介護福祉士試験は5つの選択肢の中から正しいものを1つを解答する「五肢択一方式」です。

一方、ケアマネジャー試験は5つの選択肢の中から正しいものを複数個解答する「五肢複択方式」になっています。

複択方式では、1つでも解答が間違っていれば正解にならず、「勘で当たる」ということはほとんどありません。

そのため、すべての解答の正誤を把握することが求められ、正確に回答する必要があります。

解答方式はケアマネジャー試験の方が難しくなっていると言えるでしょう。

また、受験資格も大きく異なります。

介護福祉士試験は実務経験が3年以上ですが、ケアマネジャー試験は実務経験が5年以上必要です。

試験の難しさに直結するわけではありませんが、受験するまでのハードルはケアマネジャー試験の方が高いこともわかります。

次に、気になるケアマネジャー試験の合格率について見ていきます。

6.ケアマネジャー試験の合格率

「介護福祉士の試験より難しいのはわかったけど、合格率はどうなの?」

と思われる人もいますよね。

ここでは、厚生労働省が出している「第22回介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況について」から、直近5年間の結果を見てみましょう。

試験の合格率は10〜20%前後になっており、合格するのは簡単でないことがわかります。

  受験者数 合格者数 合格率
第18回 134,539人 20,924人 15.6%
第19回 124,585人 16,281人 13.1%
第20回 131,560人 28,233人 21.5%
第21回 49,332人 4,990人 10.1%
第22回 41,049人 8,018人 19.5%

難易度の高い試験こそ、よりしっかりとした試験対策が必要ですよね。

では、次の章でケアマネジャー試験に合格するための具体的な勉強方法について見ていきましょう!

7.ケアマネジャー試験の具体的な勉強方法3つ

ケアマネジャー試験の勉強方法

受験したいという前向きな気持ちはあるものの、どうやって勉強するか考えていない人もいるかもしれません。

ケアマネジャー試験の勉強方法は、主に次の3つになります。

  1. 独学
  2. スクール
  3. 通信講座

それぞれの具体的な方法やメリット・デメリットについて解説しますね。

勉強方法1.独学

独学で試験対策を行う場合は、学習期間をしっかり確保し、毎月勉強する範囲を明確にして勉強を進めましょう。

独学の場合、勉強スケジュールをしっかり立てないことで、学習範囲が偏ってしまう可能性があります。

また、仕事で忙しい場合は勉強不足になってしまうこともあるでしょう。

ケアマネジャー試験は、各分野で高い正答率が求められるため、各分野ごとにしっかり対策する必要があります。

例えば、次のように月ごとに勉強する範囲を決めて、学習を進めると良いでしょう。

学習期間 学習内容
5月 介護支援分野の対策
6月 保健医療サービス分野の対策
7月 福祉サービス分野の対策
8月 苦手分野の対策+過去問題演習
9月 過去問題演習

独学での試験対策は、自分のペースで無理なく学習を進められる点がメリットと言えます。

一方で、いつでも勉強をサボれてしまう点や、わからない部分があっても自力で解決する必要があるといったデメリットがあるでしょう。

勉強方法2.スクール

スクールに通う場合は、独学での勉強が難しいと感じる人におすすめの学習方法です。

合格に向けたカリキュラムや教師に不明点を教えてもらえるなど、効率的に学習を進めることが期待できます。

スクールによっては、自分の実力を確認できるテストが用意されているところもあるでしょう。

ただし、独学と比較してネックになるのが学習費用です。

独学であれば、参考書や問題集の購入費で数千円で済みますが、スクールであれば数万円は用意しておく必要があります。

また、独学や後述する通信講座とは違い、通学する必要もあるため人によっては交通費の考慮が必要です。

参考までに、ケアマネジャー試験の対策ができるスクールを紹介します。

スクール名 費用 特徴
ニチイのケアマネジャー受験対策パーフェクトゼミ 税込 70,125円
  • ベテラン講師による指導あり
  • 最短2ヶ月で学べる
  • 全国統一模試を受けられる
藤仁館医療福祉カレッジ 税込 15,400円
  • 個人に合わせた学習計画を組み立ててくれる
  • 平日土日を問わず開校している
  • オリジナル教材で対策できる
三幸福祉カレッジ 税込 39,600円
  • 的中率80%のオリジナル教材を使用している
  • 組み合わせ自由なコースが豊富に用意されている
  • 直前対策講習会を開催している

勉強方法3.通信講座

「独学は難しそうだけど、スクールに通う余裕もない」

という人は、通信講座を検討してみると良いかもしれません。

介護士として働きながら試験対策を考えている人の多くは、なかなか学習時間を確保できないのが実情です。

通信講座は、試験対策に適したカリキュラムやテキストで学習でき、スクールのように通う必要もなく自宅で学習できます。

忙しい合間を縫って、効率的に学習したい人におすすめの学習方法です。

通信講座で試験対策をしたい人は、次の3つの通信講座がおすすめなので参考にしてみてください。

通信講座名/スクール名 費用 特徴
ケアマネジャー合格講座(DVD)/たのまな ヒューマンアカデミー 税込 33,000円〜
  • テキストがイラストや図表でわかりやすく解説されている
  • DVD教材がある
  • eラーニングコースも用意されている
ケアマネジャー合格コース Web通信/資格の大原 税込 68,000円
  • Webで学習できる
  • 基礎からしっかり学べる
  • 効率の良い学習方法で学べる
ケアマネジャー講座/ユーキャン 税込 49,800円(一括払いの場合)
  • 豊富なテキストで試験対策が可能
  • 質問制度がある
  • 問題や模試の添削をしてもらえる

具体的な勉強方法を理解して、少しは合格できるイメージが湧いてきた人もいるかもしれませんね。

より合格に近づけるように、次の章では合格するためのポイントについて見ていきましょう!

8.ケアマネジャー試験に合格するための3つのポイント

前述したように、ケアマネジャー試験は難易度が高く、しっかりとした試験対策を行う必要があります。

前述した勉強方法に加えて、試験に合格するためのポイントを押さえておくと、より合格する可能性が上がるでしょう。

試験に合格するためのポイントとして、次の3つが挙げられます。

  1. 基本の内容をしっかりと確認しておく
  2. 対策に時間を取り分野ごとに勉強をする
  3. 過去問題を活用する

ひとつずつ見ていきましょう!

ポイント1.基本の内容をしっかりと確認しておく

試験勉強を進める際は、基本内容をしっかり理解するように学習しましょう。

なぜなら、どんなに難しい試験・問題であっても基本を理解していなければ正解するのが難しくなるからです。

例えば、問題文や選択肢に出てくる専門用語を理解できなければ、正しい答えを選ぶことができませんよね。

どんなに得点源といえる問題であっても、基本を理解していないと正解できるとは限らないでしょう。

ですので、合格するためにもまずは基本的な内容を参考書でしっかり理解するように努めてください!

ポイント2.対策に時間を取り分野ごとに勉強をする

試験対策はできるだけ時間をとって行い、分野ごとに勉強しましょう。

ケアマネジャー試験では、3分野すべてで70%程正解しなくてはいけないため、それぞれの分野でしっかり対策を行う必要があります。

また、合格率も10〜20%と低く、並大抵の勉強では合格は難しいと考えておくのが良いでしょう。

スクールや通信講座の場合は、3〜6ヶ月で学べる講座が多く用意されており、専用のカリキュラムに沿って勉強するのが効率的です。

独学であれば半年はしっかり時間を確保し、分野ごとに徹底的に勉強することを目標にします。

ポイント3.過去問題を活用する

試験の基本内容を理解したら、過去問題を活用して演習に取り組みましょう。

過去問題は、その名の通り過去に出題された問題です。

全く同じ問題が出ることはないかもしれませんが、似たような問題が出題されることは往々にしてあります。

また、過去問題から出題傾向を理解しておくことで、効率的に知識を吸収できるでしょう。

過去問題は、前回分を「第22回介護支援専門員実務研修受講試験問題」から確認できます。

スクールや通信講座によっては、過去問題を参考にしたオリジナル問題を用意していることもあるでしょう。

これらの過去問題を活用して、合格を目指して勉強してください!

まとめ

記事を通して、ケアマネジャーの試験内容や対策方法について解説しました。

試験の難易度は高く、合格するのは簡単ではありませんが、しっかり対策をすることで合格を目指せます

ケアマネジャーになると、介護士よりも体力的な面での負担が減ったり、給与アップが狙えたりといったメリットも豊富です。

ぜひ試験に合格して、ケアマネジャーとして活躍してくださいね!