「介護職だけどレクリエーションが苦手」という人は、意外と多いですよね。
確かに、毎日違うレクリエーションを考えることは大変なので、介護士の負担になっているかもしれません。
しかし、身体能力の維持や認知予防など、レクリエーションは利用者に欠かせない時間です。
今回は、介護現場で使えるレクリエーションをご紹介!
苦手な人向けに当日スムーズにレクリエーションをする方法も紹介しているので参考にして下さいね。
利用者の笑顔のために、楽しくレクリエーションを考えましょう。
目次
1.介護現場でレクリエーションを行う目的
「そもそもなぜ介護現場でレクリレーションの時間があるの?」と気になる人もいると思います。
レクリエーションの目的は、以下の3つです。
- 身体能力の維持・向上
- 認知症予防
- 利用者同士の交流
3つの目的を知ることで、よりレクリエーションに意義を見出せるようになります。
詳しく確認していきましょう。
目的1.身体能力の維持・向上
身体能力の維持・向上のために、レクリエーションを行います。
介護施設にやってくる65歳以上の高齢者は、どうしても身体機能が衰えてしまっているものです。
少しでも今の身体能力を維持させ、向上させるためには軽い運動が欠かせません。
レクリエーションの時間がなければ、寝たきりや椅子に座りっぱなしの時間がほとんどになります。
レクリエーションの時間にストレッチや軽い運動をすることで、高齢者の身体機能の維持・向上につながるのです。
目的2.認知症予防
レクリエーションを活用して、認知症予防を行うことも目的です。
というのも、手先や言葉、頭を使うことで認知症の改善や予防につながります。
日常生活では行わない動きをしたり考え事をしたりすることで、普段使っていない脳を刺激できるのです。
年齢を重ねていくことで避けられない認知症を予防して、健康的な日常生活を送れます。
目的3.利用者同士の交流
レクリエーションの時間は、利用者同士が交流できる時間でもあります。
普段、ひとりで生活している高齢者でも、デイサービスのレクリエーション中に会話が生まれるでしょう。
介護施設で暮らしていると、職員以外と交流する機会はあまりありません。
しかし、レクリエーションを通じて利用者と交流することで「楽しい」という感情が生まれます。
社会的活動の楽しさを知るきっかけにつながり、精神状態も良くなることが期待できるのです。
2.介護現場で使える!レクリエーション4選
レクリエーションの目的を知れば、レクリエーションの時間をより有意義なものにしたいと感じると思います。
介護の現場で使えるレクリエーションは、4つの種類があります。
- 体を動かす
- 指先を使う
- 頭を使う
- リラックス・リラクゼーション
順番に見ていきましょう。
レク1.体を動かす
まずは、体を動かすことを目的としたレクリエーションです。
普段の生活では、高齢者はなかなか体を動かす機会がありません。
無理せず体を動かしながら、楽しめるレクリエーションをしましょう。
例えば、以下のような体を動かすレクリエーションがおすすめです。
- お手玉
- 座ってできるストレッチ
- ボール遊び
- ペットボトルボウリング
- ラジオ体操
介護状況に合わせて、誰にでもできるレクリエーションを考えましょう。
レク2.指先を使う
次に、指先を使うことを目的としたレクリエーションです。
日常生活で動かさない手先を使うことで、脳の働きを活性化させられます。
昔を思い出すような懐かしいレクリエーションにできるので、喜んでもらえることが多いです。
例えば、以下のような指先を使うレクリエーションを行いましょう。
- 折り紙
- 工作
- 豆運び
- 切り絵
- 塗り絵
できあがった作品を見ると達成感があります。
誰かにプレゼントすることも提案し、生きがいを作ることにもつながるでしょう。
レク3.頭を使う
続いて、頭を使うことを目的としたレクリエーションです。
頭を使うことで、高齢者の脳の働きを活性化させるために役立たせられます。
脳が活性化することで、認知症予防にもつながります。
例えば、以下のような頭を使うレクリエーションがおすすめです。
- クイズ
- しりとり
- オセロ
- あやとり
- イントロクイズ
グループ戦にすると、利用者同士の交流も活発になります。
普段、家族と会えない利用者にとって、レクリエーションは大切な社交の場です。
交流があれば「楽しい!」という感情が生まれ、生きがいにもつながります。
簡単なルールを作り、誰でも楽しめるゲームにする配慮を忘れないようにしましょう。
レク4.リラックス・リラクゼーション
最後に、リラックス・リラクゼーションを目的としたレクリエーションです。
介護施設で生活を送る高齢者も、家族がおらず一人きりの家で生活する高齢者も、高齢に対する不安やストレスを抱えています。
そこで、レクリエーションを活用してリラックス・リラクゼーションの時間を作ることで、心を癒すことができるのです。
例えば、以下のようなリラックス・リラクゼーションできるレクリエーションがおすすめです。
- 散歩
- カラオケ
- DVD観賞(映画・漫談など)
- 楽器演奏
- 地域の子どもとの交流
リラックス・リラクゼーションの時間を積極的に取り入れることで、心のケアにつながります。
3.レクリエーションのアイディア出しのコツ
毎日レクリエーションを考えていると、マンネリ化してきてしまう施設もあります。
そこで、レクリエーションのアイディア出しのコツを知っておきましょう。
レクリエーションのアイディア出しのコツは、3つあります。
- 季節に関連付ける
- 自分の趣味を活かす
- 雑誌を参考にする
ネタ作りに困ったら、参考にしてくださいね!
コツ1.季節に関連付ける
季節に関連付けると、アイディアが広がります。
日本には、以下のようにたくさん季節感のあるイベントがあります。
- お正月
- ひな祭り
- 端午の節句
- 梅雨
- 紅葉狩り
- ハロウィン
- クリスマス
このように、イベントや季節感のあるレクリエーションを考えてみましょう。
たとえば、切り絵や折り紙をするにしても、「雛祭りに向けて、お内裏様を作りましょう!来週はお雛さまを作りましょう!」と、続けて作品を作ることができます。
施設にこもっていると季節を感じづらいので、利用者にも喜ばれるレクリエーションができるでしょう。
コツ2.自分の趣味を活かす
自分の趣味を活かして、レクリエーションを考えてみましょう。
たとえば、以下のような趣味があればレクリエーションに取り入れることができます。
- 楽器
- ダンス
- フラワーアレンジメント
- 書道
- 刺繍
もし、趣味がない人であっても、子どもの時の習い事や学校の図工や音楽の時間を思い出してみましょう。
誰でも楽しめるレクリエーションを思いつくはずです。
コツ3.雑誌を参考にする
どうしてもアイディアが浮かばない時は、介護施設向けのレクリエーションに特化した雑誌を参考にしましょう。
たとえば、「介護レク広場.book」は、2ヶ月ごとに雑誌が刊行されています。
2020年9月刊行の内容を見ていると、以下のような特集が組まれていました。
- 介護レクで人との繋がりを意識する
- 認知症予防にもつながる介護レクリエーション
- 昔を思い出すレクリエーション
2ヶ月ごとに刊行されているので、季節感のあるアイディアが満載です。
施設で購入できないのであれば、「介護レク広場.book MOVIE」で動画を見ることでヒントももらえます。
4.レクリエーションをスムーズに行うための流れ
ここまではレクリエーションの中身について見てきました。
しかし、「レクリエーションをどう盛り上げて良いか分からない」という人も多いでしょう。
そこで、レクリエーションをスムーズに行うための流れについて確認していきます。
レクリエーションの流れを、以下の5つに分けてみて行きましょう。
- 準備をする
- レクリエーションへ誘導する
- ウォーミングアップをする
- レクリエーションをする
- 終了の合図をする
順番に確認して行きましょう。
流れ1.準備をする
まず、レクリエーションの準備を行いましょう。
決められた時間が1時間なのであれば、1時間をどのように使うかをしっかり考えておきます。
レクリエーションの流れは職員に共有しておき、どのようなサポートが必要かまで伝えておきましょう。
何か物を作る場合は、「時間内にできなかった人はどうするのか?」まで考えておくと、余裕を持って進行できます。
レクリエーションに必要な道具は前日までに揃えておくと安心です。
流れ2.レクリエーションへ誘導する
レクリエーションが始まる時間に全員が集合できるよう、利用者を誘導しましょう。
これからレクリエーションが始まることを知らせるために、楽しい音楽を流すと分かりやすいです。
全員揃ったタイミングで、今日のレクリエーションの内容や終了時間を知らせます。
流れ3.ウォーミングアップをする
レクリエーションを始める前に、ウォーミングアップをしましょう。
なぜなら、レクリエーションをする脳に切り替えさせるためです。
手のひらをグーパーグーパーと開けたり閉じたりする運動や、簡単なクイズを出して会場を盛り上げましょう。
流れ4.レクリエーションをする
ここまでできたら、ようやくレクリエーションの内容に入っていきます。
レクリエーション中は、大きな声でゆっくりと説明しましょう。
利用者の顔を見て、分かってなさそうだなと思ったら何度でもゆっくり説明する必要があります。
不安そうな利用者がいれば、サポート役の職員に声をかけて側についてもらうことも大切です。
それぞれの反応を見ながら、全員が楽しめるレクリエーションをしましょう。
流れ5.終了の合図をする
レクリエーションが終わったら、終了の合図を送りましょう。
利用者に感想を聞いたり、時間内にできなかった人への指示をしたり、まとめの時間に入ります。
次回のレクリエーションについて「明日は14時からボーリング大会ですよー!」などと声かけをすると、利用者の楽しみが増えます。
利用者の反応や表情を見ておき、反省点があるなら次回のレクリエーションに活かしましょう。
5.レクリエーションを行うときに気をつけたい注意点
ここまで読めば、レクリエーションをスムーズに行うことができるでしょう。
しかし、以下の4つの注意点を知っておくことをおすすめします。
- 無理にやらせない
- プライドを傷つけない
- 孤立する人を作らない
- 横転やケガの予防をする
注意点に気をつけなければ、気を悪くする利用者や怪我をする利用者が出てきてしまいます。
十分に確認しておきましょう。
注意点1.無理にやらせない
嫌がる人や体力的に厳しい人に対して、無理にレクリエーションをやらせないようにしましょう。
日によって、人のコンディションは違うからです。
無理にゲームに参加させたり、ストレッチをさせたりすると、怪我につながりかねません。
また、「折り紙は好きじゃない」という人や「そもそも大勢で何かすることが嫌い」という人がいても当然です。
「やりたくない」という本人の主張を尊重しましょう。
注意点2.プライドを傷つけない
レクリエーションによって、プライドを傷つけないよう注意しましょう。
というのも、高齢者にはプライドの高い人が多いからです。
そのため、1対1になるような個人戦は避けるべきと言えます。
負けた人のプライドが傷ついてしまい、「もう次は参加したくない」という気持ちにさせるかもしれません。
その点、チーム戦であれば負けてしまっても悔しい気持ちを共有できます。
また、なぞなぞやクイズも誰にでも解けるような内容にしておくと、プライドを傷つけずに済みます。
レクリエーションの内容に工夫をしましょう。
注意点3.孤立する人を作らない
レクリエーション中に孤立する人を作らないように注意しましょう。
積極的におしゃべるのできる人がいれば、他人と交流することが億劫な人もいます。
輪に入れなさそうな人には積極的に声がけをし、他の人との交流がしやすいよう誘導しましょう。
また、グループ分けやペアで楽しむレクリエーションのときは、職員から指示するとスムーズです。
注意点4.横転やケガの予防をする
どんなレクリエーションでも、横転やケガの予防は徹底しましょう。
たとえば、みんなで立ち上がって行うゲームであれば、盛り上がることもあるかもしれません。
急に立ち上がったり、走ったりすることがないよう、サポート役の職員の声かけが重要になります。
特に、散歩などで外出するのであれば、事故のないよう細心の注意が必要です。
6.レクリエーション介護士という民間資格もある!
ここまで介護レクリエーションについて、詳しく解説してきました。
近年、介護施設ではレクリエーションを通じて「楽しい」と思う気持ちが生きがいにつながるとして、重要視されるようになっています。
そんな中、「もっと介護レクリエーションについて学びたい」という介護士も増えてきました。
そこで、レクリエーション介護士といった民間資格が注目されています。
資格を取ることで、より高齢者に喜んでもらえるレクリエーションの時間を企画できるようになるのです。
通信講座のユーキャンや通学講座が受けられる日本アクティブコミュニティ協会運営事務局で、気軽に勉強・取得できます。
レクリエーション介護士1級・2級についてそれぞれ詳しく確認していきましょう。
(1)レクリエーション介護士2級
レクリエーション介護士2級は、自分の趣味や特技を生かして高齢者に喜ばれるレクリエーションを学ぶことのできる資格です。
以下のように考えている人に、おすすめの資格と言えます。
- もっと高齢者の笑顔が見たい
- 高齢者とのコミュニケーションをうまく行いたい
- レクネタに困らずレクリエーションをしたい
レクリエーション介護士2級を取得すれば、以下のような3つの能力が身につくのです。
- 高齢者とのコミュニケーション力
- 自分の趣味・特技を生かしたレクの企画力
- アイディアを企画書に落とし込んでレクリエーションを実行する力
レクリエーションだけでなく、高齢者との対話方法や表情の読み取り方、声かけの方法なども学べます。
今まで習ったことのない介護レクリエーションを学ぶことができるため、3万人以上の介護士が学んでいる資格です。
(2)レクリエーション介護士1級
レクリエーション介護士1級は、目的に合わせたレクリエーションの企画・計画の方法を学べる資格です。
以下のように考えている人に、おすすめの資格と言えます。
- レクリエーションリーダーとして活躍したい
- レクリエーション講師として介護施設を回りたい
- 地域のイベントの企画をしたい
レクリエーション介護士1級を取得すれば、以下のような3つの能力が身につくのです。
- 目的に合ったレクリエーションを企画する力
- 参加者の状況によってレクリエーションをアレンジする力
- 介護レクの意義や役割を人に伝える力
自分のレクリエーション能力を高めるだけでなく、人にレクリエーションの意義を伝えることができます。
地域住民や幼稚園・保育園などとの交流イベントにも役立てることができるでしょう。
まとめ
レクリエーションは、身体能力の維持・向上、認知症予防のために欠かせない時間です。
介護施設では毎日必ず行いますが、ネタに困ったら以下のコツの通りにアイディア出ししてみましょう。
- 季節に関連付けさせる
- 自分の趣味を活かす
- 雑誌を参考にする
利用者の笑顔のためにも、自分自身が楽しめるレクリエーションの時間を作ってみてください。