「介護士の仕事って大変だよね」って言われて悩んでいませんか?
確かに福祉業界における人手不足問題や力仕事のイメージが強く、大変そうと思われるかもしれません。
しかし、その分やりがいを感じながら働く介護士は多いです。
今回は、介護士の主な仕事内容や大変と思われる理由を解説します。
介護士のやりがいやメリットも紹介しているので、参考にして下さい。
介護士の大変さを乗り越え、仕事にやりがいを見出しながら働きましょう。
目次
1.大変と思われやすい介護士が働く現場の現状
介護業界は慢性的に人手不足という大きな課題を抱えています。
介護施設に入りたい高齢者は増えているものの、入居待ち状態が続いている事業所は多いです。
実際、介護労働安定センターの『平成29年度 「介護労働実態調査」の結果 』によると、すでに介護施設の66%は人手不足で悩まされているという調査結果が出ています。
平成30年の「高齢社会白書」(内閣府)によると、現在日本は65歳以上の高齢者の割合が27.7%となっています。
このまま高齢社会が加速すると、2035年には約79万人の介護従事者が不足すると経産省が試算を出しました。(「介護人材不足、35年に79万人 15年の20倍 経産省試算」│SankeiBiz)
さらに今後も高齢社会は進んでいき、2065年には2.6人に一人が65歳以上・3.9人に一人が75歳以上と予測されているのです。
政府も介護業界の人手不足を大きな課題と捉えており、労働環境の向上のための施策を打ち出しています。
たとえば、勤務10年以上の介護福祉士には月額8万円を給付する施策や届出のある事業所に対して一人の介護士につき数万円の給付する施策があります。
まだ成果は目に見えづらいものの、平均賃金が前年比+1万円になるなど小さな変化が伺えるのも事実です。
消費税増税の使い道として高齢社会問題を挙げていたので、今後大きな改善に期待できるでしょう。
2.本当に大変?介護士の主な仕事内容とは
介護業界の現状について確認しました。
しかし、実際の介護士の仕事内容を見なければ本当に大変なのかが分からないですよね。
介護士の主な仕事は、以下の2つです。
- 身体介護
- 生活のサポート
もちろん、施設や勤務先によって若干の違いはあります。
しかし、基本的にはこれら2つの仕事が介護士の主な仕事です。
詳しく確認していきましょう。
仕事内容1.身体介護
介護士の仕事内容と言われて想像するのが、この身体介護です。
身体介護には、食事・排泄・入浴・移動や移乗などの介助を行います。
食事介助 | 自分で食事のできない人に対して、食事の準備・摂食介助・後片付けのサービスをします。本人の能力を活かして楽しんで食事してもらうことが大切です。 |
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排泄介助 | 自分で排泄できない人に対して、おむつ交換・トイレ誘導・衣類の上げ下げ・排泄後の処理・陰部洗浄のサービスをします。排泄のタイミングに合わせた誘導が必要です。 |
入浴介助 | 自分で入浴できない人に対して、脱衣・洗体・洗髪・入浴出入りの介助のサービスをします。安全面はもちろん、プライバシーにも配慮が必要です。 |
移動・移乗 | 寝返りや起き上がり、立ち上がり、着席、徒歩のサポートを行います。安全面に配慮し、床ずれが起きないよう定期的な介助が必要です。 |
もちろん、利用者のできること・できないことによってサービス内容は変わります。
しかし、どの施設に勤めてもこれらの身体介護は行うので覚えておきましょう。
仕事内容2.生活のサポート
利用者の生活のサポートをすることも、介護士の仕事です。
たとえば、掃除・洗濯・調理・買い物などの身の回りのお世話をします。
必要であれば、病院の付き添いをして利用者に代わって体調を伝えることしなければなりません。
もちろん、できることは自分でやってもらうことが基本です。
しかし、安全面・衛生面も考え、利用者が必要としていることを見極めてお手伝いをします。
また、認知症予防や身体機能維持・向上のためにレクリエーションの時間を設ける施設がほとんどです。
1日2時間程度、手足の運動や折り紙、ゲームなどを行います。
レクリエーションの内容を考えるのも介護士の仕事です。
このように、施設内でいかに楽しく健康的に過ごしてもらえるかを工夫しながら働く必要があります。
3.介護士の仕事が大変と言われる4つの理由
ここまで介護士の仕事を見てきました。
「介護士の仕事が大変」と言われても、あまりピンとこない人もいるかもしれません。
介護士の仕事が大変と言われる理由は、4つあります。
- 力仕事が多い
- 人手不足の施設が多い
- 利用者との相性が合わない
- 利用者を見送ることが精神的に辛い
4つの理由が分かれば、介護士の仕事が大変と言われることに納得いくかもしれません。
順番に確認しましょう。
理由1.力仕事が多い
介護士の仕事を見て分かるように、力仕事が多いので「大変だ」という印象を持たれやすいです。
利用者の体を支えたり持ち上げたりする介助が多く、しゃがんだりかがんだりしながらの作業もたくさんあります。
そのため、身体への負担が大きいです。
特に腰痛に悩む人が多く、労災で病院に通う介護士も少なくありません。
介護技術を学ぶことでできるだけ体の負担を減らして業務をすることも可能です。
しかし、負担をゼロにすることは難しく仕事終わりには疲れてしまいます。
理由2.人手不足の施設が多い
人手不足の施設が多く、どうしても一人あたりの負担が大きくなります。
そのため、「大変な仕事」だと思われやすいです。
実際、介護労働安定センターの『平成29年度 「介護労働実態調査」の結果 』によると、介護施設の66%は人手不足であるとアンケートに答えています。
人手不足によって有給休暇の取得が難しかったり、残業が多かったりする施設も少なくありません。
結果的に十分な休息が取れず、疲れが取れないまま出勤しなければならないのです。
理由3.利用者との相性が合わない
利用者との相性が合うとは限らないため、「大変そう」と思われます。
というのも、利用者には一人ひとりの個性があるからです。
多くの入居者のいる介護施設なら、できるだけ同じサービスをまとめて提供した方が効率よく働けます。
しかし、「Aさんには嫌われている」等相性の合わないことが顕著になると、他の介護士さんの協力が必要です。
また、認知症によってうまくコミュニケーションが取れない利用者も少なくありません。
相手のいる仕事であるため、相性の問題は意外と重要です。
理由4.利用者を見送ることが精神的に辛い
看取り介護を想像して「大変な仕事だ」と感じる人は多いです。
実際、介護士として働いていると、利用者を見送ることも少なくありません。
毎日接していた人の死に向き合うことを、精神的に辛く感じてしまう人もいます。
有料老人ホームやグループホームでは、終身で入居する人が多いです。
後期高齢者も多く、いつ体調が変化してもおかしくないといった利用者も珍しくありません。
「残された時間をどう有意義に過ごしてもらうか」を考えると、前向きに仕事ができます。
4.大変だけど介護士の2つのやりがい
ここまで、介護士の大変なことに焦点を当てて詳しく仕事内容を見てきました。
しかし、「大変だけどやりがいがある!」という介護士はたくさんいます。
介護士のやりがいは、以下の2つです。
- 利用者や家族からの感謝の言葉
- 利用者の回復が目に見えて分かること
やりがいがあるからこそ、介護の仕事を頑張れるという人は多いです。
大変なことだけに目を向けず、介護の仕事にやりがいを見出しましょう。
やりがい1.利用者や家族からの感謝の言葉
利用者や利用者の家族から、感謝の言葉を伝えられるとやりがいを感じます。
たとえば、食事や入浴の介助で「美味しかった」「気持ちよかった」と声をかけてもらえることが多いです。
入居利用者やデイサービス利用者の家族に会うと、「いつもありがとうございます」と言ってもらえます。
このように介護士には、感謝されるシーンがたくさんあるのです。
利用者の笑顔や「ありがとう」という言葉は、大変なことがあっても介護士の仕事をしていてよかったと思わせてくれます。
やりがい2.利用者の回復が目に見えて分かること
利用者の回復が目に見えて分かると、「頑張ってよかった」とやりがいを感じます。
たとえば、「今までできなかったことが出来るようになった!」と、利用者の小さな変化に気付きやすいです。
「今日は自分でできましたね!」「腕の体操頑張ったからですね!」と声をかけながら、利用者と喜びを分かち合うことができます。
利用者が元気になっていく様子や表情がほぐれていく様子を見ると、大きなやりがいにつながるのです。
5.介護士の仕事を続ける3つのメリット
介護士の仕事は大変ですが、介護士の仕事を続けるメリットも多いです。
メリットを知れば、「介護職で頑張ろう!」と前向きになれます。
介護士の仕事を続けるメリットは、3つあります。
- 資格を取れば高給取りを目指せる
- 長く働き続けられる
- 家族の介護に知識が活きる
順番に確認していきましょう。
メリット1.資格を取れば高給取りを目指せる
持っている資格によっては、高給取りも目指せます。
というのも、国家資格である介護福祉士を習得すれば、年収50万円アップも目指せるからです。
厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」によると、介護職の平均年収は約340万円となっています。
介護福祉士だけに注目すると、平均年収は約380万円と高いです。
また、ユニットリーダーや主任などのマネジメント役職につくと年収はもっと多くなります。
このように、介護福祉士の資格を取得すれば高給取りも夢ではありません。
メリット2.長く働き続けられる
介護士は、長く働き続けられます。
なぜなら、介護業界は人手不足に悩まされているからです。
そのため、結婚や出産、育児などでキャリアが途絶えてしまった人でも、介護士として復帰できます。
フルタイムで働く正社員はもちろん、パート・派遣・夜勤専従など、自分の生活スタイルに合わせた働き方が可能です。
子育て中はパートで働き、子育てから手が離れたらまた正社員として働くこともできます。
このように、一度介護スキルを身につければ長く働き続けられる仕事です。
メリット3.家族の介護に知識が活きる
介護の現場で得た知識や技術を、家族の介護に活かすことができます。
高齢社会が進み、親や配偶者の親の介護を考える機会は増えてきました。
家族に介護が必要となった時、自分が介護をするという選択肢があります。
また、どんな施設に入れるべきかどんなサービスを受けるべきか等、知識が活かすことができるでしょう。
ケアマネージャーの話も理解しやすいので、家族にも感謝されるはずです。
介護士の仕事内容をそのまま実生活で活かすことができます。
6.介護士に向いてる人はどんな人?
ここまで介護士の仕事について見てきました。
「介護士にはどんな人が向いているの?」と疑問に思った人もいるかもしれません。
介護士に向いている人は、以下のような人です。
- 高齢者との会話が好きな人
- 直接感謝を伝えてもらうことにやりがいを感じる人
- 向上心のある人
- 将来的に働き続けたい人
確かに、介護士の仕事は決して楽ではありません。
しかし、高齢者との会話を楽しむことができ、感謝されることにやりがいを見出せる人なら頑張り続けることができます。
利用者と向き合い、利用者や利用者の家族の笑顔のために頑張りましょう。
まとめ
介護士の仕事が大変だと言われる理由は、以下の通りです。
- 力仕事が多い
- 人手不足の施設が多い
- 利用者との相性が合わない
- 利用者を見送ることが精神的に辛い
確かに大変だと感じることは多いですが、その分やりがいやメリットは多いです。
介護士の大変さを乗り越え、介護士の仕事にやりがいを見出しながら楽しく働きましょう。