介護師

あなたの経験を証明する実務経験証明書とは?介護福祉士になるために必要!

未経験から介護士として働いてきて、数年。

そろそろ、キャリアアップを目的に介護福祉士の資格を取ろうと考えているあなた。

介護福祉士の国家試験を受験するために必要な「実務経験証明書」をご存知ですか?

意外と、実務経験証明書がどのようなものか知らない人も多いと思います。

実務経験証明書が無ければ、介護福祉士の国家試験を受験することができません。

そこで今回は、介護福祉士の国家試験を受験するために、必須の実務経験証明書について解説していきます!

本記事を読むことで、実務経験証明書の知識や作成方法を知ることが可能です。

実務経験証明書に関する知識を得て、受験の際にスムーズに申請できるようになりましょう。

1.あなたの経験を証明する「実務経験証明書」

実務経験証明書とは

はじめに、実務経験証明書とはどのようなものかご存知ですか?

実務経験証明書は、ズバリ「あなたの経験を証明する書類」になります。

なぜこのような書類が必要かというと、介護福祉士の国家試験や転職するときなどに実務経験を把握する必要があるからです。

本人が口頭でいうのは簡単ですが、それでは信頼性が無いので、実務経験証明書という書類に経験があることを明記しています。

そのため、実務経験証明書には職種や実際に働いている期間などを記入するわけです。

このように実務経験証明書は、あなたが介護業界でどんな経歴で働いてきたか証明してくれる大切な書類となっています。

では、どのようなときに実務経験証明書は必要となるのでしょうか?

次に必要となる場面を紹介していきます。

2.実務経験証明書はどんなときに必要?

実務経験証明書とは、あなたの経験を証明してくれる書類だとお伝えしました。

では、実際に実務経験証明書はどんなときに使用するのでしょうか?

実務経験証明書が必要となるのは、主に介護福祉士の国家試験を受験するときです。

国家試験を受験するためには、福祉系高校や養成施設などを卒業して受験資格を得る方法と、介護士として実務経験を積む方法があります。

実務経験の方法を選んだ場合、国家試験の受験申請をする際に、実務経験があることを証明する書類が実務経験証明書です。

このように実務経験証明書は、介護福祉士国家試験を受験するためには必須となる書類になります。

また、そのほかにも転職するときに転職先が経験年数を確認するため、実務経験証明書の提出を求める場合もあるでしょう。

実務経験証明書は、使用機会が高いものではありませんが、介護士としてのキャリアの節目に使用する重要な書類です。

(1)介護福祉士国家試験を受験するためには3年以上の経験が必要!

介護福祉士国家試験を受験するためには、先ほど紹介したように実務経験を積む方法があります。

では、必要となる実務経験はどのくらいの期間なのでしょうか?

受験するために必要となる経験年数は、以下の通りです。

  • 従業期間:3年以上(1,095日以上)
  • 従事日数:540日以上

従業期間は職場に所属していた在職日数のことで、従事日数は実際に仕事をした日数のことを意味します。

この2つの条件を国家試験がある年度末までに達成可能な人が、介護福祉士国家試験の受験資格を得ることが可能です。

上記の条件を確認するために、便利なツールとして以下のようなものがあるので、気になる人は確認してみましょう。

公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「従業期間計算表

(2)経験に含まれる職種とは?

介護現場で3年以上の経験を積めば、どんな職種でも国家試験の受験資格を得るのかというとそういうわけではありません。

実務経験として認められるものは、決められています。

対象となる職種は、下記の表にまとめられた職種です。

児童福祉法関係の施設・事業
施設・事業 介護等の業務に従事したと認められる職種
  • 知的障害時施設
  • 自閉症児施設
  • 知的障害児通園施設
  • 盲児施設
  • ろうあ児施設
  • 難聴幼児通園施設
  • 肢体不自由児施設
  • 肢体不自由児通園施設
  • 肢体不自由児療護施設
  • 重症心身障害児施設
  • 重症心身障害児(者)通園事業
  • 肢体不自由児施設または重症心身障害児施設の委託を受けた指定医療機関
  • 児童発達支援
  • 放課後等デイサービス
  • 障害児入所施設
  • 児童発達支援センター
  • 保育士
  • 介助員
  • 看護補助者
  • 指導員(児童発達支援・放課後等デイサービス)
  • 児童指導員
  • 障害福祉サービス経験者

など入所者の保護に直接従事する職員

  • 保育所等訪問支援
  • 居宅訪問型児童発達支援
  • 訪問支援員
障害者総合支援法関係の施設・事業
施設・事業 介護等の業務に従事したと認められる職種
  • 障害者デイサービス事業(平成18年9月までの事業)
  • 短期入所
  • 障害者支援施設
  • 療養介護
  • 生活介護
  • 児童デイサービス
  • 共同生活介護(ケアホーム)
  • 共同生活援助(グループホーム)
  • 自立訓練
  • 就労移行支援
  • 就労継続支援
  • 知的障害者援護施設
  • 身体障害者更生援護施設
  • 福祉ホーム
  • 身体障害者自立支援
  • 日中一時支援
  • 生活サポート
  • 経過的デイサービス事業
  • 盲ろう者向け通訳、介助員派遣事業
  • 訪問入浴サービス
  • 地域活動支援センター
  • 精神障害者社会復帰施設
  • 在宅重度障害者通所援護事業
  • 知的障害者通所援護事業
  • 保育士(児童デイサービス)
  • 介護職員
  • 介助員(盲ろう者向け通訳、介助員派遣事業)
  • 寮母
  • 生活支援員
  • 指導員(児童デイサービス、地域活動支援センター)
  • 精神障害者社会復帰指導員(精神障害者社会復帰施設)
  • 世話人(共同生活介護、共同生活援助)

などのうち、主たる業務が介護等の業務である者

  • 居宅介護
  • 重度訪問介護
  • 行動援護
  • 同行援護
  • 外出介護(平成18年9月まで)
  • 移動支援事業
  • 訪問介護員
  • ホームヘルパー
  • ガイドヘルパー

など主たる業務が介護等の業務である者

老人福祉法・介護保険法関係の施設・事業
施設・事業 介護等の業務に従事したと認められる職種
  • 老人デイサービスセンター
  • 指定通所介護(指定療養通所介護を含む)
  • 指定地域密着型通所介護
  • 指定介護予防通所介護
  • 第1号通所事業
  • 指定認知症対応型通所介護
  • 老人短期入所施設
  • 指定短期入所生活介護
  • 指定介護予防短期入所生活介護
  • 養護老人ホーム
  • 特別養護老人ホーム
  • 指定介護老人福祉施設
  • 指定地域密着型介護老人福祉施設
  • 軽費老人ホーム
  • ケアハウス
  • 有料老人ホーム
  • 指定小規模多機能型居宅介護
  • 指定介護予防小規模多機能型居宅介護
  • 指定看護小規模多機能方居宅介護(複合型サービス)
  • 指定訪問入浴介護
  • 指定介護予防訪問入浴介護
  • 指定認知症対応型共同生活介護
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院
  • 指定通所リハビリテーション
  • 指定介護予防通所リハビリテーション
  • 指定短期入所療養介護
  • 指定介護予防短期入所療養介護
  • 指定特定施設入居者生活介護
  • 指定介護予防特定施設入居者生活介護
  • 指定地域密着型特定施設入居者生活介護
  • サービス付き高齢者向け住宅
  • 介護職員
  • 介護従事者
  • 介護従業者
  • 介助員
  • 支援員(養護老人ホームのみ)

など主たる業務が介護等の業務である者

  • 指定訪問介護
  • 指定介護予防訪問介護
  • 第1号訪問事業
  • 指定定期巡回、随時対応型訪問介護看護
  • 指定夜間対応型訪問介護
  • 訪問介護員
  • ホームヘルパー
  • 指定訪問看護
  • 指定介護予防訪問看護
  • 看護補助者

など主たる業務が介護等の業務である者

生活保護関係の施設・事業
施設・事業 介護等の業務に従事したと認められる職種
  • 救護施設
  • 更生施設
  • 介護職員
  • 介助員

など主たる業務が介護等の業務である者

その他の社会福祉施設等
施設・事業 介護等の業務に従事したと認められる職種
  • 地域福祉センター
  • 隣保館デイサービス事業
  • 独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園
  • ハンセン病療養所
  • 原子爆弾被爆者養護ホーム
  • 原始爆弾被爆者デイサービス事業
  • 原子爆弾被爆者ショートステイ事業
  • 労災特別介護施設
  • 介護職員
  • 介護員
  • 介助員
  • 看護補助者

など主たる業務が介護等の業務である者

  • 原爆被爆者家庭奉仕員派遣事業
  • 原爆被爆者家庭奉仕員
  • 家政婦紹介所
  • 家政婦
  • 訪問看護事業
  • 看護補助者

など主たる業務が介護等の業務である者

病院または診療所
施設・事業 介護等の業務に従事したと認められる職種
  • 病院
  • 診療所
  • 介護職員
  • 看護補助者
  • 看護助手

など主たる業務が介護等の業務である者

介護等の便宜を供与する事業
施設・事業 介護等の業務に従事したと認められる職種
  • 地方公共団体が定める条例、実施要綱等に基づく事業
  • 介護保険法の基準該当居宅、介護予防サービス
  • 障害者総合支援法の基準該当障害福祉サービス
  • その他の介護等の便宜を供与する事業
  • 介護職員
  • 訪問介護員

など主たる業務が介護等の業務である者

参考:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「実務経験の範囲について

表に明記された職場・職種で必要な実務経験を積むことで、介護福祉士国家試験の受験資格を得ることができます。

これらの職場で必要な実務経験を積んだら、次は実際に実務経験証明書を作成していきましょう!

ですが、ここで1つ大切なお知らせがあります!

実務経験証明書は、自分で作成することができません

では、どうやって作成すれば良いのでしょうか?

作成する方法を次で、紹介していきましょう。

3.実務経験証明書の入手方法は?

実務経験証明書の入手方法

先ほど紹介した対象となる施設・職種で必要な実務経験を積んだら、実務経験証明書を作成していきます。

ですが、すでにお伝えしたように実務経験証明書は自分で作成することができません。

作成することができるのは、職場の施設長や理事長といった証明権限を有する人のみです。

そのため、実務経験証明書が必要になったら施設長や理事長に作成を依頼するようにしましょう。

このときに注意してほしいのは、記入欄にある自分の名前や住所なども自分で記入してはいけません。

作成は証明権限を有する人のみなので、すべての作成を依頼するようにしてください。

このように実務経験証明書が必要になったら、施設長や理事長に作成を依頼しなければなりません。

作成には記入する手間や勤務日数計算などをしなければならないので、余裕を持って依頼するようにしましょう。

次に、実務経験証明書の2つの様式について紹介していきます。

4.実務経験証明書の様式は大きく2つ

実務経験証明書の様式

実務経験証明書を作成するためには、施設長や理事長に依頼しなければならないことをお伝えしました。

では、どのように作成を依頼すれば良いのでしょうか?

実務経験証明書の様式には、以下の2つの様式があります。

  1. 書式をダウンロードして紙に記入
  2. HPの実務経験証明書作成支援ツールを使用

それぞれの様式について、説明していきます。

様式1.書式をダウンロードして紙に記入

1つ目の様式は、書式をダウンロードして紙に記入するものです。

この方法では下記のHP(ホームページ)から書類をダウンロードして、実際に記入していきます。

・公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「実務経験証明書

紙にボールペンで記入していくので、書き損じや誤りには注意が必要です。

訂正する場合は証明権限を有する人の職印で、訂正印を押して修正しなければなりません。

この方法は実際に記入しなければならないので、やや時間がかかります。

そのため、パソコンを使用することができ、簡単に作成したい方には次に紹介する方法がおすすめです。

様式2.HPの実務経験証明書作成支援ツールを使用

2つ目に紹介する方法は、HP(ホームページ)の実務経験証明書作成支援ツールを使用する方法になります。

この方法では下記のHPにアクセスし、説明される手順に則って、必要な項目を記入していけば良いので簡単です。

・公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「実務経験証明書作成支援ツール

誤りがあっても簡単に修正することができるので、パソコンを使用することができる人はこちらの方法が良いでしょう。

このようにどちらかの様式を用いて、実務経験証明書を作成することが出来ます。

おすすめは修正の手間や書き込む時間がかからない、実務経験証明書作成支援ツールを使用する方法です。

では、最後に実務経験証明書を作成するにあたって、こんな時はどうやって作成したら良いか疑問に回答していきます。

5.【実務経験証明書Q&A】こんな時はどうすれば?

ここまで、実務経験証明書を作成する方法について紹介してきました。

最後に実務経験証明書を作成するうえで、疑問となりやすい下記の3つについて解説していきます。

  1. 2箇所以上の介護現場で働いていた場合
  2. 受験申し込み時に実務経験が見込みの場合
  3. 働いていた職場が廃業した場合

それぞれの疑問について、回答していきましょう。

Q1.2箇所以上の介護現場で働いていた場合

仕事をしている人の中には、介護の職場を2箇所以上働いた経験がある人もいると思います。

この場合は、それぞれの職場の経験を合算して実務経験に通算することが可能です。

各職場での実務経験を合わせて通算の実務経験とすることができるので、経験日数を達成する前に転職しても実務経験にカウントできます。

このように、複数箇所で働いていても実務経験を積むことは可能です。

また、中には同じ時期に職場を掛け持ちして働いている人もいるかと思います。

そのような方は、掛け持ちして働いていたことの証明に「従事日数内訳証明書」の提出が必要という点に注意してください。

Q2.受験申し込み時に実務経験が見込みの場合

実務経験は介護福祉士の国家試験がある年度末までに、必要日数を満たすことができれば受験することが出来ます。

そのため、国家試験を申請する時点で実務経験が見込みとなる可能性もあるでしょう。

この場合には1度、実務経験見込みとして、実務経験証明書を提出します。

その後、必要な実務経験日数が達成した段階で、再度実務経験証明書を作成し、提出することで受理可能です。

見込み書式は、通常提出するの実務経験証明書の書式と同じものを使用します。

・公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「実務経験証明書

ですが、仮に国家試験を受験して合格しても、年度末である3月31日までに実務経験が足りなければ、資格が無効となってしまうので注意してください。

そのため、実務経験の計算は間違いが無いようにしましょう。

Q3.働いていた職場が廃業した場合

職場の中には会社自体が潰れたり、経営上の理由だったりで、実務経験証明書の作成を依頼できないということもあります。

この場合には、自分で作成して提出することが可能です。

作成には、以下の経歴等を証明する書類が必要になります。

  • 施設・事業種類
  • 職種(職名)
  • 従業期間
  • 業務従事日数
  • 受験の手引きにある「廃業した施設・事業所等の実務経験について」

各経歴を証明する書類は、職業安定所や法務局などの公共機関で入手することが可能です。

最後の「廃業した施設・事業所等の実務経験について」は、介護福祉士国家試験を受験申請するときに必要となる「受験の手引き」に同封されています。

以上の必要となる書類を揃えて、受験を申請する際に提出することで受理することが可能です。

このようにイレギュラーな場合でも、適切な対応をすることで問題なく申請することができます。

このような状況におちいっても、焦らずに対処していきましょう。

まとめ

このように実務経験証明書は、あなたの実務経験を証明するうえでとても重要な書類ということがお分かり頂けたかと思います。

特に、介護福祉士の国家試験を受けるうえでは必須となる書類であるため、実務経験から介護福祉士になりたい人は知っておいて損はありません。

実務経験証明書が必要となったときには、本記事の情報をもとにスムーズに作成しましょう。