介護師

介護士から精神保健福祉士になるには!?資格の取得方法を徹底解説!

介護士を務めている人でメンタルが不安定な患者を支えたいと考えてはいませんか?

そう考える人にオススメなのが、精神保健福祉士です。

本記事では、精神保健福祉士になるための方法を紹介していきます。

介護士から精神保健福祉士になったときのメリットや、精神保健福祉士になる前に知っておくべきポイントも触れているのでぜひ参考にしてください。

1.PSW?精神保健福祉士とは

精神保健福祉士とは

精神保健福祉士は精神科ソーシャルワーカー(Psychiatric Social Worker)の頭文字を取って「PSW」とも呼ばれる、社会福祉士や介護福祉士と並ぶ福祉系国家資格です。

主に精神の障害を抱える患者に対して相談援助の業務に携わり、良い方向へ導く手助けをする役割を持っています。

人と関わり合う仕事のためメンタルが強く落ち着いている人や、話上手・聞き上手な人に向いている職種です。

基本フルタイム勤務で休日出勤も稀に発生するほど多忙な職種でもあります。

カウンセリングから生活支援、社会復帰への手助けなど多岐にわたる業務をこなすので、やりがいのある仕事です。

実際の求人を参考にした給与面では、基本給170,000円~250,000円、当直手当8,000円、職務手当20,000円程度。大体の相場は年収350万円~500万円となっています。

精神科病院・リハビリ総合病院・養護老人ホーム・児童指導員など活躍の場は広いので、比較的職場は選びやすい特徴があります。

給与は職場によって変動するので自分が納得いく仕事内容と福利厚生、給料を与えてくれる職場を選ぶことが大切です。

参考:honne.biz
参考:求人ボックス 精神保健福祉士

2.介護士から精神保健福祉士になるには

介護士から精神保健福祉士になるには

日本精神保健福祉士協会の国家試験受験資格を得た後に、実際に受験し合格することで介護士から精神保健福祉士になることができます。

まず大切になってくるのが、国家試験受験資格をどのように得るかです。

国家試験受験資格を得るには様々なルートがありますが、大きく分けると以下2種類の方法があります。

  1. 大学・短大を卒業して一般養成施設(もしくは短期養成施設)及び実務経験を経る
  2. 大学を卒業せずに実務経験を4年積み、一般養成施設に通う

精神保健福祉士の受験資格を得るための詳細な手段は下記に記しています。

自分の状況に応じて最適な方法を選びましょう。

大学を卒業する場合

  大学4年制 短大3年制 短大2年制
保健福祉系 ・指定科目を履修済み ・指定科目を履修済み
・実務経験1年
・指定科目を履修済み
・実務経験2年
福祉系 ・基礎科目を履修済み ・基礎科目を履修済み
・実務経験1年
・短期養成施設6ヶ月以上
・基礎科目を履修済み
・実務経験2年
・短期養成施設6ヶ月以上
一般系 ・一般養成施設1年以上 ・実務経験1年
・短期養成施設1ヶ月以上
・実務経験2年
・短期養成施設1ヶ月以上

大学を卒業しない場合

  • 相談援助の実務経験4年+一般養成施設 など(1年以上)

社会福祉士登録者であれば、短期養成施設にて6ヶ月以上を経験を積むことで受験できるようになります。

大学を出ていない人の場合は、相談援助実務経験を4年積んだ後に一般養成施設等1年以上の経験を積むことで受験資格を得られます。

そのため介護士や社会人から精神保健福祉士として働きたいと考えている場合は、社会福祉士に登録もしくは実務を4年積んだ後に一般養成施設で1年以上勤務して受験する方法がおすすめです。

3.精神保健福祉士の資格の難易度は?

受験資格を得ることができたら、試験の合格を目指しましょう。

精神保健福祉士は国家資格のため、試験を受けられる回数は年に1回です。

受験申し込みの受付はおよそ半年前から開始されるので、余裕を持って申し込み期間までに受験資格を保有しておくことをおすすめします。

受験資格を得たらすぐに期間内に申し込みをして試験日までにしっかりと学ぶようにしましょう。

2019年度 第22回の受験者数は6,633名で合格率は62.1%です。

参考:厚生労働省 第21回精神保健福祉士国家資格合格発表

過去と比較しても近年では合格率62%前後のため、きちんと知識勉強をしていれば難易度はあまり高くはない資格となっています。

詳しい精神保健福祉士の資格については、次の見出しを確認しましょう。

4.精神保健福祉士の試験概要

受験資格を得たら、試験の詳細を理解しておきましょう

精神保健福祉士の試験概要について、以下の表をご覧ください。

試験地 北海道・宮城県・東京都・愛知県・大阪府・広島県・福岡県
申し込み方法 受験の申し込みに必要な書類「受験の手引」を請求し、「受験申込書」と「受験の手引」を受付期間内に郵送
合格基準 1.問題の総得点60%程度を基準として難易度で補正
2.1を満たし、試験科目の16科目群すべてに得点があった者

参考:精神保健福祉士国家資格

試験を実施していない県も多いので、最寄りの試験地を確認しておきましょう。

5.精神保健福祉士の学習方法は通学制・通信制の2つ

精神保健福祉士の資格勉強方法は、通学制と通信制の2つの方法が選べます。

  1. 通学制
  2. 通信制

どちらもメリット・デメリットがあるので自分の環境に合わせて学習方法を選ぶのがおすすめです。

通学制・通信制ごとにかかる学費は異なるので、それぞれ比較していきましょう。

(1)通学制

通学制の学習は、1年間学校に通いながら国家資格の勉強をする方法です。

ここでは、精神保健福祉士国家資格の合格者数が全国1位として有名な「日本福祉教育専門学校」を例に通学制の紹介をします。

日本福祉教育専門学校では、国内の大学卒業以上または実務経験者対象学科であることが条件で、昼間と夜間の2種類があります。

昼間部とナイトコースの概要は以下の表をご覧ください。

コース種類 昼間 ナイトコース
定員 80名 80名
通学日 時期:4月~3月
授業日:月~金
時期:4月~3月
授業日:月~金
授業時間 9時~16時10分 18時10分~21時20分
カリキュラム時間 1,200時間 1,200時間
総実習時間 210時間以上(28日間) 210時間以上(28日間)
年間学費 1,300,000円 1,230,000円
その他費用 テキスト代:50,000円
国家試験受験料:17,610円
テキスト代:50,000円
国家試験受験料:17,610円

参考:精神保健福祉士養成科 昼間部(1年)
参考:精神保健福祉士養成科 ナイトコース(1年)

ナイトコースなら介護士として働きながら学ぶことが可能です。

通学制のメリットは、講師と対面しながら学べる点です。

分からない所もすぐに解決できるサポート体制が整っているので、自宅学習が苦手な人に向いています。

ただし、入学金や年間学費は基本一括払いで定員も80名と少ないので、通信制と比べると入学するのも難易度が高いため気をつけてください。

もし社会人で通学することが負担という人は通信制で学ぶ方法がおすすめです。

(2)通信制

通信制の学習は、自宅でテキストや教材を使いながら自己学習をする方法です。

ここでは、毎年全国トップクラスの合格率を誇る「日本福祉教育専門学校」を例に通信制の紹介をします。

日本福祉教育専門学校の通信制で学ぶためには、国内の大学卒業以上または実務経験者対象学科であることが条件となります。

また、社会福祉士の資格を持っている人は、短期学習で資格受験が可能です。

一般と資格保有者別の概要は以下の表をご覧ください。

  一般の場合 資格保有の場合
定員 200名 250名
学習期間 1年7ヶ月 9ヶ月
学習内容 スクーリング(5日間)
レポート学習
実習
資格受験対策
スクーリング(2日間)
レポート学習
実習
資格受験対策
学費 推薦入試:260,000円
一般入試:460,000円
推薦入試:150,000円
一般入試:350,000円

参考:精神保健福祉士養成通信課程 一般
参考:精神保健福祉士養成通信課程 資格保有者

通信制の学習メリットは、平日・休日など空いた時間に自己学習ができる点です。

自分のペースで学べるので働きながらでも負担なく学習が進められます。

通学制と比べても比較的学費が良心的なので、費用をかけずに学びたい人は通信制をおすすめします。

6.基本的な精神保健福祉士の業務内容

精神保健福祉士の職場・働く場所

精神保健福祉士は最初に紹介した通り、精神的に参っている人や困っている人を手助けする役割です。

基本的に勤務先でも相談や支援する役割に変わりありませんが、業務内容は勤務先によって変動します

精神保健福祉士の主な勤務先は大きく分けて、以下の3つから選ぶことが可能です。

  1. 医療施設
  2. 福祉施設
  3. 行政施設

各施設ごとにどのような特徴があるか確認していきましょう。

内容1.医療施設

医療施設での精神保健福祉士のポジションは、入院患者のカウンセリングや社会福祉面の情報提供などが挙げられます。

入院患者に対しては社会復帰のための手助けを行い、退院患者に対しては仕事の紹介や各種公的支援制度の案内を行います。

社会復帰を目標に患者に対して役に立つ情報を与えるのが医療施設での精神保健福祉士の仕事です。

内容2.福祉施設

福祉施設での仕事は、入居者のリハビリとして日常動作の練習やコミュニケーションのやりとりなどが挙げられます。

福祉施設は気軽に外出できないため、スポーツや運動、動くことが好きな入居者だと気が滅入りやすい環境となっています。

そのため、各入居者に合わせて最適なリハビリを行い、社会復帰を目指すサポートに携わるのが福祉施設での精神保健福祉士の役割です。

内容3.行政施設

行政施設では、役所の福祉部門など地方自治体で働き、地域住民の相談や精神障がい者への支援などを行います。

また、精神保健福祉士はグループホームや訪問看護を必要とする患者への支援、就労の相談窓口、公的支援(生活費・入院費等)を担うポジションが多いのが特徴です。

地方自治体によって担当する業務は変動するので、求人を探す場合は業務内容をしっかり確認しておきましょう。

7.介護士から精神保健福祉士になるメリットは

精神保健福祉士になるメリット

精神保健福祉士は人との繋がりを切り離せない職種でもあるため、コミュニケーションに自信を持っている人に向いているとされます。

介護士から精神保健福祉士になるメリットは、以下の3つが挙げられます。

  1. 就職・転職が有利になる
  2. 仕事の幅が広がる
  3. プライベート時間がとりやすい

各メリットについて次の見出しを確認していきましょう。

メリット1.就職・転職が有利になる

精神保健福祉士の資格を保有していると、就職や転職が有利になります。

精神保健福祉士は専門性のある国家資格のため、人材を求めている病院や介護施設では優先的に採用されやすい特徴があります。

また、資格を保有していることで専門的な知識やスキルを身につけているとすぐに判断できるので、即戦力として求められやすく雇用機会に恵まれやすいです。

介護士から精神保健福祉士になった場合、介護士としての勤務経験やスキルもプラスに捉えてもらえるので、結果的に就職・転職が有利になります。

メリット2.仕事の幅が広がる

精神保健福祉士になると仕事の幅が広がりやすくなります

理由としては、医療施設・福祉施設・行政施設など様々な機関が精神保健福祉士の資格を保有する人材を求めているからです。

精神保健福祉士の資格を保有していると数多くの求人が選べるので、比較的自分の希望通りの職場が選びやすい特徴があります。

また、あらゆる機関で働けるので、仕事に飽きが来にくいというメリットもあるでしょう。

メリット3.プライベート時間がとりやすい

精神保健福祉士は介護士と比べてプライベート時間がとりやすいメリットを持っています。

介護士は常に人材不足のため、業務内容が多忙で長期休暇がとりにくい職種です。

一方で精神保健福祉士の場合、働いている施設によって変動はありますが、職員同士のチームワークが悪い職場でない限り激務になることはあまりありません。

そのため、精神保健福祉士は介護士よりもプライベートを充実させやすい特徴があります。

8.精神保健福祉士になるなら知っておきたいこと

精神保健福祉士は精神障がいを抱える人を支え、生活支援や社会復帰のサポートをする分、大変な業務をこなす必要があります。

精神保健福祉士になる前に知っておいたほうが良いポイントを2つまとめたので、介護士から精神保健福祉士を目指している人は必見です。

  1. 精神的負担が大きいことがある
  2. 給与が低くなりやすい

それでは一緒に確認していきましょう。

(1)精神的負担が大きいことがある

精神保健福祉士は仕事としてやりがいが大きい分、精神的負担が大きい職種でもあります。

精神障がいを抱える人とコミュニケーションをとるので、中には突然暴れる人や怒鳴り声をあげる人とも根気強くやり取りをする必要があります。

そのため、メンタルが強い人や仕事として線引きできる人であれば問題ありませんが、メンタルが弱い人やコミュニケーションが苦手という人は逆に精神を病んでしまう場合もあるので注意が必要です。

メンタルが強くても精神的に参ってしまう場合や精神的負担が大きいと感じたときは、休日に心身を休めて上手くストレス発散させることを意識しましょう。

(2)給与が低くなりやすい

仕事内容と比べて給与が低くなりやすいため、人によっては不満が出やすい職種です。

施設によって業務内容は違いがありますが、基本的に仕事のボリュームが多く、多岐にわたって仕事を任されやすい特徴があります。

しかし、仕事内容が多くても職場での立ち位置は最重要とされないことが多いので、給与に反映されにくい難点を抱えています。

そのため、精神保健福祉士として活躍をする場合は、きちんと評価をしてくれる職場選びが大切です。

9.精神保健福祉士の職場選びの仕方

ここでは、精神保健福祉士の職場の選び方を紹介します。

精神保健福祉士の主な勤務先として多いのは、総合病院の精神科や精神病院、福祉施設などが挙げられます。

また、精神科・心療内科の病院やメンタルクリニックなどの医療機関で精神保健福祉士を求めていることがほとんどです。

もし、入退院患者の相談窓口やリハビリ支援、医療・福祉関係者と連携して患者をサポートしたいと考えている人なら医療機関を選ぶと良いでしょう。

体が不自由な高齢者や心が不安定な子供を支えたい人は、介護施設・養護施設などの福祉機関があります。

福祉機関では介護士としての仕事経験も役に立てるのでおすすめです。

地方自治体と協力して地域住民の生活支援に携わりたいときは、行政機関の求人に応募すると良いでしょう。

稀に司法機関でも精神保健福祉士を求めている場合もあり、児童相談所では児童福祉司として相談窓口の仕事もあります。

また、勤務先を選ぶ際は福利厚生や評価制度、業務内容をきちんと把握することが大切です。

自分がどのような人の役に立ちたいか、どんな仕事をしたいのかを具体的にイメージしながら最適な職場を選ぶようにしましょう

まとめ

精神保健福祉士になるには国家資格が必須で、資格を保有していると市役所や病院、介護施設、老人ホーム、児童相談所など様々な施設で勤務ができるようになります。

精神保健福祉士になると仕事の幅が広がるだけでなく、自分のキャリアの選択肢も広がるのでキャリアアップを目指している人にこそおすすめの職種です。

もし、困っている人を支えたい介護士やサポートが得意という人は、精神保健福祉士を目指してはいかがでしょうか。