「他の施設は何人で夜勤をやっているの?」
「施設によって人数は違うのかな?」
このような悩みを抱えていませんか?
この記事では、介護士の人員配置基準や夜間の人数の違いについて解説します。
記事を読むことで、勤務時間の違いやオンコール体制についても理解が深まるはずです。
介護現場の夜勤体制は、施設種別によって異なります。
この記事を読んで知識をつけ、自分の働き方と比較してみましょう。
目次
1.夜勤の業務内容と時間
まずは、夜勤の勤務時間と業務内容について解説します。
夜勤の勤務時間は主に2パターンに分かれますが、業務の流れは大差ありません。
夜勤の勤務時間と業務内容について、次の順番で解説します。
- 勤務時間
- 夕食準備〜就寝介助
- 記録
- 夜間の巡視と排泄介助
- 起床介助〜朝食
それぞれの内容を深堀りしていきましょう。
(1)勤務時間
夜勤は2種類の勤務形態があり、16時間と8時間の勤務があります。
始業時間と就業時間は職場によって多少前後しますが、16時間勤務の夜勤を採用している職場が多いでしょう。
16時間勤務をロング夜勤、8時間勤務をショート夜勤と呼ぶこともあります。
16時間勤務は長いですが、夜勤明けの翌日は必ず休みになる場合が多いです。
この場合シフト上は、夜・明・休となり休日は一日だけですが、体感的には1.5日分くらいあります。
この感覚は個人差がありますが、16時間勤務の夜勤の方が休日の体感が多いというメリットを挙げる介護士も多いです。
時間だけ比較すると大変そうですが、勤務時間の向き不向きはあるので、可能なら両方体験してみるのがおすすめです。
ちなみに、筆者は16時間夜勤の方が身体は楽でした。
現在、8時間夜勤をしていますが、非常に大変です。
(2)夕食準備〜就寝介助
ここからは、業務内容の解説に移ります。
夕食の準備とは、食器をセッティングしたりお茶を用意したりといった業務です。
そして夕食が来たら配膳をします。
食事は、1人で摂れない利用者さんも多いです。
必要に応じて食事介助を行うことも多いでしょう。
食事のあとは必要な人に服薬介助をして、口腔ケアを行います。
さらにその後、トイレ誘導などを行い、就寝介助をする流れです。
実際の業務は、夕食の片付けをしながら、その合間にトイレ誘導を行うこともあるでしょう。
複数の業務が同時に進行するため、とても慌しくなります。
(3)記録
利用者さんが寝たら、次は記録に移ります。
8時間夜勤の場合は、夕食が終わり利用者さんが寝たこのタイミングで出勤です。
記録は、利用者さんの食事量や排泄の様子をまとめて、PCに入力します。
PCの記録は看護師が読んだり、往診の際に医師に提示したりするので、正確に入力するように心がけましょう。
(4)夜間の巡視と排泄介助
記録が済んだら、あとは夜中の巡視と排泄介助です。
巡視の時間は職場により決められているので、それに従いましょう。
たいてい、2時間ごとと定められている場合が多いです。
巡視では、利用者さんの入眠や呼吸状態の確認を行います。
(5)起床介助〜朝食
朝になったら、利用者さんを起こします。
時間になったら自分で起きられる人や声かけが必要な人、介助が必要な人など様々です。
朝食の時間に間に合うように、ある程度の順番を決めて起こしていきます。
8時間夜勤の場合は、起床介助までやったところで退勤です。
16時間夜勤の場合はもう少しあります。
利用者さんが起きたら、朝食の準備と食事介助、服薬介助までやって夜勤終了です。
夜勤の業務は、このような流れになっています。
勤務時間は長いですが、利用者さんが寝ている時間も多いです。
そのため、日勤に比べて業務量は少ない場合が多いでしょう。
慣れてくれば、日勤より夜勤の方が楽だと思う人もいるかもしれません。
日勤とは異なる業務ですから、職員の人数も当然違ってきます。
夜勤帯の職員数は施設により異なるため、次の見出しで解説します。
2.夜間の介護士人数は施設による
夜勤の業務内容は、どの施設でも大差ありません。
しかし、職員数においては、施設の構造や施設種別により違いがあります。
まずは施設の構造について、違いを抑えていきましょう。
介護施設は、構造の違いから2つのタイプに分かれます。
各構造の違いによって生まれる、夜間の人数の差を見ていきましょう。
- ユニット型
- 従来型
それぞれ解説します。
(1)ユニット型
ユニット型とは個室が基本で、1ユニット10名で構成されており、少人数での生活が可能な造りのことです。
ユニット型の施設は、2ユニットに職員1名体制がほとんどでしょう。
1人夜勤である場合が多いので、1人が不安な場合は不向きかもしれません。
とはいえ、1人で夜勤ができるので、気楽に働きやすいという介護士もいます。
(2)従来型
一方で従来型は、多床室を基本とし、食堂なども大人数で利用する前提で作られています。
ユニット型は従来型に比べ、少人数であることが多いため、1人夜勤の施設も多いです。
従来型は大人数を複数の職員で見る体制のため、2~3人での夜勤が多いでしょう。
1人夜勤が不安な場合は、従来型での勤務がおすすめです。
施設の種別が異なると、夜勤の人員配置基準も異なります。
そして、夜間の職員数もそれに準じて変化します。
次の見出しで施設別の人員配置基準を見てみましょう。
3.施設別!夜間の人員配置基準を解説
夜勤中の職員数は、施設の構造や施設種別により1人であったり、複数であったりします。
たとえ1人夜勤であっても、配置基準を満たしていれば何も問題はありません。
実際、1人夜勤の体制を取っている介護施設はとても多いのが現状です。
ここでは、次の5施設の基準を紹介します。
自分の職場や、働きたいと考えている施設の基準を確認しましょう。
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護老人保健施設(老健)
- グループホーム
- 有料老人ホーム(有料)
- サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
それぞれの人員配置基準を一覧で示します。
(1)特別養護老人ホーム(特養)
特養の配置基準は25:1以上です。
利用者さん25名に対し、職員1名以上となっています。
この基準があるため、ユニット型(1ユニット10名)では1人夜勤であることが多いのです。
(2)特別養護老人ホーム(老健)
特養の配置基準は40:2です。
利用者さん40名に対し2名の職員が必要です。
老健は必ず2名以上の職員が必要なため、1人夜勤になることはありません。
また、老健は看護師が24時間常駐している施設もあります。
知識や技術的に不安のある場合は、老健の様な体制はおすすめです。
(3)グループホーム
グループホームの配置基準は9:1です。
利用者さん9名に対して1名の職員がいれば、基準はクリアしています。
特養や老健に比べ、1人でみる利用者さんの人数は少ない場合が多いです。
またグループホームは、ある程度自立して生活できる利用者さんが多い施設もあります。
1人夜勤の可能性は高いですが、職場を選べば負担はそれほど大きくないでしょう。
(4)有料老人ホーム(有料)
有料の配置基準は要介護者1名につきスタッフ1名以上です。
要介護の利用者さんが1名でもいれば、1名以上のスタッフが必要です。
配置基準的には、職員1人の夜勤でも問題ありません。
とはいえ有料老人ホームは、入居金や月々の費用が施設の立地やグレードによって、大きな差があります。
入居金などの費用が高額なハイグレードな有料は、配置基準を上回る手厚い体制を取っている施設も珍しくありません。
(5)サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サ高住は、夜間のスタッフ配置義務はなしです。
サ高住に関しては、夜間のスタッフ配置義務自体がありません。
とはいえ、サ高住は比較的自立して生活を送ることができる利用者さんが多いため、それでも問題なく運営しているのかもしれません。
夜間にスタッフを配置しない場合は、緊急通報装置の設置などで対応しているところが多いでしょう。
以上が施設種別ごとの人員配置基準です。
施設が違うと、夜勤の雰囲気や職員の負担も大きく変わります。
もし今の職場で、夜勤体制に疑問や不安・不満を感じている場合は、他の施設への転職も考えてみてもいいかもしれません。
夜間は介護士の人数が少ないですが、それでもしっかり介護サービスは提供できます。
施設によっては、看護師など医療職がいない時間帯もありますが、緊急時にも対応できる体制になっているのです。
次の見出しで、夜間の介護体制について解説します。
4.夜間の介護体制
これまで、1人夜勤の場合などでも、配置基準を満たしていれば問題ないと解説してきました。
しかし、夜間の人数が極端に少ない施設では、介護サービスの提供はどのようになっているのでしょうか。
今回は、少なくとも夜間に1名の介護士がいる施設を想定して、次の2通りで解説します。
- 通常時
- 非常時
順番に見ていきましょう。
(1)通常時
介護士の巡視のみで対応します。
トイレ誘導や排泄介助、体位交換など基本的な介護サービスは日中同様です。
夜間の転倒や発熱などがあった場合でも、緊急性がなければ翌日に医療職が出勤するまで待ちます。
転倒や発熱などの対応は、マニュアルが用意されている場合が多いのでそれに従います。
(2)緊急時
介護職だけでは対応できないことが起きた場合には、看護師にオンコールする体制が取られています。
オンコールとは、電話連絡をし、指示を仰ぐことです。
たいてい次の様な場合は、オンコール対応となる場合が多いです。
- 転倒して頭を打っている
- 発が38.5℃以上
- 意識障害やチアノーゼなど、救急搬送が必要そうな時
オンコールの基準は施設によって決められているはずなので、内容を確認しましょう。
とはいえ、マニュアル通りでなくても、判断に困ったときはオンコールしておいて間違いありません。
看護師の方が、知識は間違いなくあります。
考えても分からないことは解決しないので、知恵を借りましょう。
24時間看護師常駐の施設もありますが、緊急時のみ看護師や医師にオンコールをする体制の施設がほとんどです。
慣れれば知識もついてきますが、それなりに緊張感もあります。
1人夜勤に不安を感じるなら、看護師常駐の施設で夜勤をするのがおすすめといえます。
1人での夜勤は責任も負担も大きいし、大変ですよね。
とはいえ、どれだけ大変でも基準を満たしていれば当然違法性などはありません。
しかし、人員配置基準ではなく、労働基準法に焦点を当てると、違法性のある可能性もゼロではありません。
次の見出しで、介護士の1人夜勤について解説します。
5.介護士1人での夜勤は違法?
1人夜勤の場合でも、人員配置基準を満たしていれば問題ないと解説してきました。
しかし、1人夜勤で違法性のある可能性もゼロではありません。
労働基準法では、労働時間が8時間以上の場合、1時間以上の休憩時間を取る必要があると定められています。
つまり、1人夜勤自体は問題なくても、1人で夜勤をしていて休憩が取れていない場合は、労働基準法違反の可能性があるということです。
とはいえ、介護士1人体制の夜勤をやっている介護施設で、休憩が取れていないのは珍しくないのが現状です。
加えて、休憩が取れていない分の残業代が出ないことも多いでしょう。
そうした施設に勤めている場合は、労働基準監督署(労基)に相談に行けば、残業代を払ってもらえる可能性があります。
とはいえ、労基に相談に行くためには、休憩が取れていない証拠を集めるなどの準備が必要です。
時間と労力がかかるため、実際には労基に訴えを起こすより、きちんと休憩の取れる職場に転職を考える人の方が多いでしょう。
筆者の周りでも、労基に相談に行こうか悩んでいると相談を受けたことはあります。
しかし、結局何もせず働き続けるか、訴えを起こさず転職してしまうかがほとんどです。
転職の際に、休憩が取れていない職場を回避するには、面接時に「夜勤の休憩はとれていますか?」としっかり確認してください。
また、介護士複数人の夜勤体制を採用している施設では、休憩を取れることが多いです。
そのため、1人夜勤の施設を避けるのも1つの方法です。
まとめ
今回は、介護施設の夜間の人数について解説しました。
施設種別によって配置基準は異なりますが、ユニット型の施設は1人夜勤である場合が多いです。
また、夜間の介護施設は介護士のみ常駐という場合が多いため、緊急時はオンコール体制を取っています。
1人で夜勤をやっていて、不安や感じる責任が大きい場合は、複数人で夜勤をやる施設や看護師常駐の施設を探してみるのもおすすめです。
介護施設の夜勤は、人数や時間などで体制が様々あります。
合わない施設で働いてしまうと心身ともに疲労が蓄積してしまい、とてもつらいはずです。
自分に合う働き方ができる施設を探し、もっと負担を減らして仕事に取組んでいきましょう。