「介護の仕事が、もっと高給だったらモチベーションが上がるのに…」
そんな気持ちで、将来設計に不安を抱えている人も多いのではないでしょうか?
介護の仕事は心身ともに大変な仕事のため、他の業種と比べて低賃金であることに納得いかない人もいるでしょう。
もっと楽で賃金が高いサービス系の仕事も多くあるため、無理もありません。
この記事では、介護士の給料の実態や高給を得る方法などについて、くわしく解説していきます。
おすすめの資格や、高給の介護施設へ転職する際のポイントも紹介しているので、興味のある人はぜひ参考にしてください!
目次
1.厚生労働省が公表する介護士の平均給料
最初に、厚生労働省が公表している、介護職員の平均給料について見ていきましょう。
介護職員全体の平均給料は、令和2年の資料によると平均勤続年数が8.1年で315,850円です。
平均勤続年数が1年の場合は283,480円で、10年以上の場合は350,820円となっています。
全産業の平均給料は358,633円のため、他の産業計と比べるとやや下回っています。
介護職員の勤続年数 | 介護職員の平均給料 |
---|---|
1年 | 283,480円 |
3年 | 291,010円 |
10年以上 | 350,820円 |
事業所によっては、処遇改善加算の状況によりもっと給料が低いこともあります。
実際には平均給料を下回る事業所も多く、介護職員の給料は高いとは言えないのが現状です。
平均給料については分かりましたが、実際に介護士の低賃金は深刻な悩みとリンクしているのでしょうか?
次の章では、介護士の悩みと低賃金について見ていきましょう。
2.介護士は高給が得られない?悩みは低賃金
先ほどは、厚生労働省が公表している介護職員の平均給料を解説しました。
平均給料を見ると、自分の給料の良し悪しを判断できますよね。
この章では、介護士の悩みと低賃金に焦点を当てています。
厚生労働省の資料によると、仕事内容の割に低賃金が2番目に多い悩みとなっています。
- 人手不足:53.0%
- 仕事内容の割に低賃金:39.6%
- 有給休暇が取りにくい:34.2%
介護士にとって、低賃金は人手不足に次いで深刻な悩みと言えるでしょう。
また、仕事内容の割にという言葉の意味も見逃せません。
介護の業務には、排泄介助や意思疎通の難しい認知症利用者のサポートなど、大変な内容も多いですよね。
心身ともにハードな仕事をしているのに、「給料はこれだけ…?」という思いを持つ人も少なくありません。
一方で、厚生労働省では以前より、介護職員の処遇改善の取り組みを行っています。
具体的には、経験や技能のある介護福祉士に対して、月平均8万円相当の処遇改善を実施しています。
介護士もキャリアを積めば、産業計の職種と比較しても引けを取らない収入を得られる、と言えるでしょう。
今後も、厚生労働省はさらなる処遇改善の取り組みを行う予定なので、将来的に高給が期待できます。
介護士の悩みと低賃金についてお話してきましたが、解決策を知りたいですよね?
次は、介護士が高給を得るための方法を紹介します。
3.介護士が高給を得るための方法は?
ここまでは、介護士が現場で抱える悩みと低賃金について説明してきました。
低賃金は深刻な悩みであり、給料に満足していない介護職員が多いことが分かりましたね。
具体的な解決策を模索するために、この章では介護士が高給を得るための方法を紹介します。
同じ介護の仕事でも、給料には大きな差が出ることもあるんです。
施設の待遇や働き方・経験によって、高給に近づくことも夢ではありません。
ここでは、介護士が高給を得るための4つの方法を紹介していきます。
- 介護老人福祉施設で働く
- 夜勤専従になる
- 役職につく
- 資格を取得する
「今よりも、もっと給料がほしい!」という介護士は、ぜひ参考にしてみてください。
方法1.介護老人福祉施設で働く
1つ目の方法は、介護老人福祉施設で働くことです。
特別養護老人ホーム(特養)とも呼ばれており、厚生労働省の調べでも、介護施設の中でもっとも給料が高いことが分かっています。
介護老人福祉施設の平均給料は332,260円で、2番目に高い介護老人保健施設とは14,910円の差があります。
なんと、もっとも平均給料が低い通所介護事業所との金額の開きは、69,360円です。
介護サービスの種類 | 平均給料 |
---|---|
介護老人福祉施設 | 332,260円 |
介護老人保健施設 | 317,350円 |
訪問介護事業所 | 291,930円 |
介護療養型医療施設 | 285,360円 |
認知症対応型共同生活介護 | 276,320円 |
通所介護事業所 | 262,900円 |
高給を望む場合は、介護老人福祉施設の求人を探すのがおすすめです。
介護老人福祉施設は、高給がもらえる条件がそろっています。
具体的には、以下のようなポイントが高給につながりやすいです。
- 公的施設が運営していて、民間の運営よりも安定感がある
- 要介護度3以上の利用者の介助をするため、他の施設よりも大変
- 夜勤がある
介護老人福祉施設での仕事は、給料が良いため人気です。
求人をこまめにチェックしておくと、チャンスがあるかもしれません。
方法2.夜勤専従になる
2つ目の方法は、夜勤専従という働き方をすることです。
夜勤のみを行うスタッフとして働けば、日勤だけの場合や日勤&夜勤といったシフトよりも、稼ぎやすくなります。
なぜなら、夜勤の22時~5時までは、25%以上の割増賃金が支払われるからです。
割増賃金に加えて夜勤手当が付く施設もあり、介護施設夜勤実態調査によると、2交替夜勤の平均手当額は6,125円です。
また、労働時間は月/年で平均40時間に加え、残業も1カ月42時間まで認められています。
さらに、特別な事情がある場合は、1カ月42時間以上の残業も臨時的に可能です。
とにかく稼ぎたいという人は、夜勤と残業を駆使すれば一気に稼せげるでしょう。
ただし、夜勤協定を妥結している施設では、夜勤回数に上限があるケースもあります。
たくさん稼ぎたい場合は、夜勤回数を多めに入れてもらい、残業もできるという意思表示をしておくのも一つの手です。
夜勤は体調管理が大変ですが、日勤よりも効率的に稼げるため、高給を得たい人におすすめできます。
方法3.役職につく
介護士が高給を得るための3つ目の方法は、役職につくことです。
どの業界でも言えることですが、キャリアを重ねれば給料は高くなります。
特に、2019年から運用が開始された介護職員等特定処遇改善加算により、ベテラン介護士の給料は高まりつつあります。
役職 | 介護職員等特定処遇改善加算を取得した施設で働く職員の平均給料 |
---|---|
介護職員(全体) | 325,550円 |
生活相談員・支援相談員 | 355,150円 |
介護支援専門員 | 362,510円 |
介護福祉士(継続10年以上) | 366,900円 |
役職や経験があり、介護施設でリーダーシップが取れるようになると、平均給料もアップしやすいです。
キャリアップを重ね、高給が取れるように目標を立てることがおすすめです。
次に紹介する、資格を取得する方法も合わせて確認していきましょう!
方法4.資格を取得する
4つ目の方法は、資格を取得することです。
2018年の厚生労働省の資料によると、資格を持っている職員と持っていない職員とでは、給料に差があることが分かっています。
無資格者の人と介護福祉士資格を持つ人では、平均給料に52,320円もの違いがあります。
資格の有無 | 平均給料 |
---|---|
保有資格なし | 261,600円 |
実務者研修 | 288,060円 |
介護職員初任者研修 | 285,610円 |
介護福祉士 | 313,920円 |
月に5万円以上給料が増えれば、60万円以上も年収がアップするため、メリットは大きいですよね。
資格の所持、または研修を修了していると給料が高くなるため、積極的に資格を取得していくと良いでしょう。
高給を得るためには、資格取得が大きなポイントです。
次の章では、高給を得たい介護士におすすめの資格を紹介します。
4.高給を得たい介護士におすすめの資格
前章では、介護士が高給を得るための方法をお話しました。
現状を変えるために、何をすべきかがイメージできたと思います。
この章では、高給を得たい介護士におすすめの資格を見ていきましょう。
「一生、介護の仕事を続けていきたい!」
そう思う人にとっては、資格取得は必須と言えます。
時間はかかるかもしれませんが、確実に給料アップにつながるからです。
ここでは、高給を得たい介護士におすすめの資格を、3つピックアップして紹介していきます。
- 介護福祉士
- 認定介護福祉士
- 認知症ケア専門士
長期的な展望を見据えて、資格を取りたいと思う人は要チェックです!
資格1.介護福祉士
1つ目におすすめの資格は、公益財団法人社会福祉振興・試験センターが主催する、介護福祉士です。
国家資格として認定されているので信用度も高く、転職の際にも有利になります。
特定処遇改善加算についても、勤続10年以上の介護福祉士がいるかどうかが基本的な目安です。
そのため、資格手当も付きやすいため、介護士としてキャリアを積みたい人が目指す資格と言えるでしょう。
介護福祉士の資格を受験する際の条件は、以下を参考にしてください。
- 実務経験が3年以上必要
- 実務者研修または喀痰(かくたん)吸引等研修&介護職員基礎研修を終了
- 筆記試験のみで実技は免除
介護の経験がない人は、養成施設や高校を卒業して条件を満たす必要があります。
介護の仕事で高給を取りたい人は、介護福祉士の資格取得を視野に入れるとよいでしょう。
資格2.認定介護福祉士
2つ目の資格は、認定介護福祉士です。
介護福祉士の上位資格であり、一般社団法人 認定介護福祉士認証・認定機構が主催しています。
地域の介護サービスのリーダー的な役割を担い、医療やリハビリなど他業種との連携も行えるようカリキュラムが組まれています。
認定介護福祉士の資格の主な特徴や条件は、以下を参考にしてください。
- 介護福祉士として5年以上の実務経験が必要
- 100時間以上の研修受講と試験またはレポートを提出
- 200時間以上の研修を受講した場合は試験やレポートは免除
認定介護福祉士の資格は、すでに介護福祉士を所持していて、さらに上を目指したい人におすすめです。
資格3.認知症ケア専門士
3つ目の資格は、一般社団法人日本認知症ケア学会が認定する、認知症ケア専門士の資格です。
介護施設では、認知症の利用者とコミュニケーションを取る機会も多くあります。
症状への理解や問題行動の対応方法など、適切な知識を持っていると強みになるはずです。
認知症ケア専門士の資格の主な条件や特徴は、以下を参考にしてください。
- 過去10年間で3年以上の認知症ケアの実務経験が必要
- 筆記試験で70%以上正解すると論述・面接試験を受けられる
- 認知症ケア上級専門士資格もある
認知症ケア専門誌の資格があると、活躍の場が広がり高給にもつながりやすいと言えるでしょう。
ここまでが高級を得たい介護士におすすめの資格でした。
しかし、介護士として高給を得るためには、資格を取るだけでは不十分です。
次に紹介する、介護士として高給を得るためのマインドも大切になります。
5.介護士として高給を得るためのマインド
先ほどは、高給を得たい介護士におすすめの資格を紹介しました。
資格の取得は高給への近道になりますが、さらにステップアップするためには強い気持ちも大切です。
ここからは、介護士として高給を得るためのマインドを確認していきましょう。
高給が欲しいという願望は誰にでもありますが、ただ願うだけでは実現しにくいのが現状です。
そのため、しっかりと決断して、何をすべきかを考えて行動することが大切です。
具体的には、以下のようなマインドを心がけましょう。
- 目標収入を設定する
- 高給を得たときにやりたいことを思い描く
- 期間を決める
それぞれ順番に解説していきます。
マインド1.目標収入を設定する
1つ目のマインドは、目標収入を設定することです。
ゴールがないと、途中であきらめてしまう可能性があります。
「絶対、月収40万にしたい!」
こんな風に繰り返し自分に言い聞かせて、モチベーションを保つことが大切です。
目標収入を設定すれば、達成するために何をすればよいかを考えて、働き方や職場が選べるようになるでしょう。
マインド2.高給を得たときにやりたいことを思い描く
2つ目のマインドは、高給を得た先に何がやりたいのかを明確にすることです。
はっきりとした目的があると、人は頑張れるもの。
仮に夜勤が辛くても、前向きに仕事に取り組みやすくなります。
紙に書いたり計画を立てたりして、目的をイメージすることがおすすめです。
たとえば、以下のような目的も設定してもいいでしょう。
- 新車を買う
- 旅行に行く
- マイホームを買う
高給を得て何をやりたいかを頭の中に思い描くと、気持ちがブレにくくなります。
マインド3.期間を決める
3つ目のマインドは、期間を決めることです。
期限がないと、人は怠けたくなってしまうものです。
はっきりと期間を設けると、目標達成までに必要な行動が考えやすくなります。
たとえば、6カ月・1年など、頑張る期間を決めることがおすすめです。
期間が限られていると、勉強や転職などにもチャレンジする意欲がわいてくるはず。
高給を得るためには、自分の中で期間をセットしましょう!
マインドをセットしたら行動に移すだけですが、高給を得るためには転職が必要と考える人も多いはず。
次の章で取り上げるのは、高給を取りたい介護士が転職をする際のポイントです。
6.高給を取りたい介護士が転職をする際のポイントは?
ここまでは、介護士として高給を得るためのマインドを説明してきました。
高給を得るためには、実績や資格に加え、強いマインドも必要なことが分かっていただけたのではないでしょうか?
最後に紹介するのは、高給を得たい介護士が転職をする際のポイントについてです。
「転職しないことには絶対に高給は無理…」
そう感じている人も少なくないはずです。
ある程度の期間同じ職場で働けば、5年後や10年後の自分がイメージでき、高給が取れる可能性の有無も見えてきますよね。
しかし、今の職場に希望がないからと言って、考えなしに転職しても高給が取れるとは限りません。
ここでは、高給を取りたい介護士が転職をする際のポイントを3つに分けて解説していきます。
- 特定処遇改善加算があるかどうか
- 研修制度が充実している
- 社会福祉法人の施設をねらう
転職を成功させて給料アップを目指したい人は、ぜひ参考にしてみてください。
ポイント1.特定処遇改善加算があるかどうか
1つ目のポイントは、転職先の施設が介護職員等特定処遇改善加算を取得しているかです。
なぜなら、取得している施設は給料が高くなるからです。
介護職員等特定処遇改善加算は、2019年に導入されたばかりで、2020年度から算定がスタートしました。
取得するためには、職場環境等要件やキャリアパス要件など、複数の条件を満たせなければなりません。
介護職員等特定処遇改善加算の特徴は、以下の通りです。
- 継続年数10年以上(事業所の裁量で決める)の介護福祉士が対象
- 月額8万円の給料アップまたは年収440万円になる職員を設定する
- 平均処遇改善額は他の介護職員の2倍以上でなければならない
転職をする際には、介護職員等特定処遇改善加算を取得しているかどうかも、確認しておくのがおすすめです。
ポイント2.研修制度が充実している
2つ目のポイントは、研修制度が充実しているかです。
研修制度を設けている事業所は、キャリアアップしやすくなります。
たとえば、介護福祉士や認知症ケア専門士の資格取得をサポートしている施設もあるのです。
特に、大手グループが運営する施設は、研修制度が充実していると言えます。
研修を積めば給料アップにもつながるため、転職の際には研修制度も確認しておくと良いでしょう。
ポイント3.社会福祉法人の施設をねらう
3つ目のポイントは、社会福祉法人が母体の施設をねらうことです。
さきほども紹介した、もっとも給料が高い介護老人福祉施設は、社会福祉法人や自治体によって運営されています。
民間施設よりも給料は高く、待遇もよいことが多いです。
給料が低い施設と比べると、約7万円も平均給料が高くなります。
月に7万円給料が増えると、生活はかなり楽になりますよね?
転職の際には、社会福祉法人が運営する介護老人福祉施設を、積極的に探してみましょう。
まとめ
ここまで介護士の平均給料や高給を得るための方法、おすすめの資格などを紹介しました。
高給が得たい人は、経験を積み、働き方を工夫することで給料アップも期待できます。
キャリアアップを重ねつつ、よい条件の求人があれば転職するのもおすすめです!
また、厚生労働省も処遇改善の取り組みを積極的に行っているため、今後は介護士の賃金に関する悩みも減ってくるでしょう。
この記事で紹介した、高給を得るためのマインドや転職のポイントも参考にして、ぜひ実践してみてくださいね!