介護師

介護士が特別養護老人ホームで働くメリットは?仕事内容も徹底解説!

特別養護老人ホームの介護士で働きたいとお考えですね。

特別養護老人ホーム(特養)は、利用者からもそして働きたい人からも人気が高いとても安定した職場です。

そして、身体介助のスキルをはじめ、今後の介護に役立つ技術も多くあります。

とはいえ、そんなうまい話があるのかと、不安にもなりますよね。

この記事では、具体的な仕事内容を踏まえ、特養で働くメリットや大変な事を丁寧にお伝えします。

仕事内容を知るだけでも、将来の選択肢がグッと広がるでしょう!

それでは、この記事を通してあなたのイメージをより具体的に掴んでください。

目次

1.特別養護老人ホームで働く3つのメリット

特別養護老人ホームで働く介護士

それではまず、特別養護老人ホームで働くメリットから見ていきましょう。

特養でしか磨くことができないメリットが以下の3つです。

  1. 連携を取りやすく働きやすい
  2. 対応力が身につく
  3. 公的施設ならではの安定性

ひとつずつ見ていきましょう!

メリット1.公的施設ならではの安定性で給与が良い

特別養護老人ホームは、公的施設なので経営が安定しており給与が良いです。

また、従業員に対する福利厚生や、給与面の待遇が手厚いので大きなメリットと言えます。

例えば、厚生労働省の出した平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果を見てみましょう。

介護士が、特養で働いた場合の平均基本給は、342,230円です。

他の施設に比べて、15,000円〜60,000円ほどの月給の幅があることがわかります。

施設名 基本給 特養との差
特別養護老人ホーム 342,230円 0円
介護老人保健施設 326,540円 ▲15,690円
訪問介護事業所 301,480円 ▲40,750円
通所介護事業所 277,010円 ▲65,220円

さらに、家族手当や、住宅手当なども充実している特養も多いです。

安定的に仕事があるので、収入面で悩まなくてよくなり、仕事に専念することができます。

仕事に専念できると、キャリアの選択肢もふえて、良い循環が回るでしょう。

公的施設ってどういうこと?

特別養護老人ホームを運営しているのは、社会福祉法人や自治体という国です。

つまり、国が運営している公(おおやけ)の施設なので「公的施設」となります。

もし、似たような老人ホームを民間企業が運営しているのであれば「民間施設」です。

民間施設と公的施設を比べると、国が経営していることで圧倒的に資産力があります。

資産力があると、安定した経営が行われるので雇用も安定する傾向が強いです。

結果として、長期的に同じ特養で働くことができるうえに、資産もあるので給与などの待遇も良くなると言えます。

メリット2.働きやすい環境で過ごしやすい

特別養護老人ホームでは、働きやすい環境作りができていることで過ごしやすいです。

「これ介護士の仕事なのかな?」

「なんであの人の仕事までしなきゃならないの?」

と悩みながら働いた経験はないでしょうか?

特養であれば、他の介護士や様々な業務を担当する職種の人などの人数が十分に揃っています

そのため、連携が取りやすいだけでなく、業務分担をして働きやすいです。

要するに、働きやすい環境が整っていることで過ごしやすいわけですね。

他の職種と連携し、身体介助に専念できるので、身体介助のスキルを大幅に伸ばすというチャレンジもできます。

特別養護老人ホームの働きやすい環境は、過ごしやすいだけではなく技術向上にもなる大きなメリットです。

メリット3.身体介助の対応力が身につく

特別養護老人ホームの業務を通して、身体介助の対応力を身につけることができます。

なぜなら、介護度が高く多種多様な状態の利用者さんを相手にすることができるからです。

例えば、寝たきりの人の中には、声を発することのできない利用者がいたとしましょう。

そんな利用者に対して状況から察して、適切な身体介助を行うことで対応力がどんどん鍛えられます。

他にも、車椅子の人に機械浴をする、ストレッチャーを活用した入浴技術なども身につけられるはずです。

さらに、些細な状態の変化から異変をいち早く見つけられる判断力が身につくことも。

特別養護老人ホームで得た対応力や技術は、現場の介護士へ指導するときやケアプランの作成にも役立つでしょう。

特別養護老人ホームで介護士として働くメリットはどれも魅力的でしたね。

ですが、意外に特別養護老人ホームってどんなことをするところだっけという人は多いです。

働いたときのイメージをするのにも役立つので、まずは基本から知っておきましょう!

2.そもそも特別養護老人ホームとは

ここまで、特別養護老人ホームで働くメリットを紹介してきました。

待遇が良く過ごしやすいなら働いてみたい

という人もいるのではないでしょうか。

しかし、実際に働いてみると失敗したという人もいるのが事実です。

そこで、特別養護老人ホームとはどのようなものかを以下2つに分けて紹介します。

  1. 介護度の高い利用者が多く過ごしている
  2. 現場は体力との勝負になる

それぞれ、確認しておきましょう!

(1)介護度の高い利用者が多く過ごしている

まず、特別養護老人ホームは、他の介護施設と比べて、要介護度の高い患者が利用しています。

入居するためには、要介護度3以上の認定を受けた人というのが条件だからです。

加えて、厚生労働省の特別養護老人ホームの入所申込者の状況を見ると、利用者からの人気が高いことがわかります。

施設によっては常に待機待ちで、入れない待機者が全国で30万人にものぼるのです。

では、これほど待機者が出ている特別養護老人ホームの利用者は、一体どのような人なのか気になりますよね。

具体的に言うと、意思疎通が取れない人であったり、身体に大きな不自由を抱えた人などです。

ときには、身体的には健康でも、重度の認知症により安定した生活が困難なケースもあります。

つまり、デイサービスや有料老人ホーム、グループホームと比べると、身体的な支援を多く行うことになるわけです。

(2)現場は体力との勝負になる

先ほどお話しした通り、特別養護老人ホームでは身体介護を中心とした利用者の自立支援がメインとなります。

意思疎通が取れない人であれば、上手くパッド交換をするために誘導する必要があるでしょう。

身体に大きな不自由を抱えた人なら、体位交換から入浴までしっかりと身体を支えて進める必要があるはずです。

そのため、仕事内容を十分にこなすには体力が必要とされます。

ですが、体力がない人でも工夫をすることで十分に働くことが可能です。

例えば、特別養護老人ホームのオシメ・パッドの交換をするとしましょう。

かなりの人数を担当することもあり、体位交換などを含めると重労働です。

ですが、体の動かし方から、手際よく進めるように用品の準備をするなどの工夫をすれば負担を大きく軽減することができます。

入浴なら、ストレッチャーや機械浴といったものを使えるようになれば女性でも十分に対応できるものです。

ここまで、特別養護老人ホームについてお話しましたが、これだけではイメージしにくいですよね。

では、実際にどのような仕事をすることになるのかを見てみましょう。

3.特別養護老人ホームの仕事内容

特別養護老人ホームでの介護士の仕事内容

ここまでは特別養護老人ホームがどんな施設なのかを紹介しました。

それでは、具体的に特別養護老人ホームではどんな仕事をするのか見ていきましょう。

まずは、以下の3つの仕事ジャンルに分けて紹介します。

  1. 身体介助
  2. 生活援助
  3. レクリエーション

それでは一つずつ見ていきましょう。

(1)身体介助

特別養護老人ホームの身体介助では、以下の3つがメインとなります。

  1. 食事介助
  2. 排泄介助
  3. 入浴介助

それぞれ簡単に確認していきましょう!

食事介助

まず、「食事の介助」です。

特養の利用者は介護度が高く、噛む力や飲み込む力が弱い人が多く集まります。

そんな利用者のために、食事はペースト状に出されることが多いです。

このままでは、利用者がこぼしてしまったりして食べにくいので、そのサポートを行います。

大変なときには、1人で何人もの人に食べていただく介助をすることもあるはずです。

冷静に落ち着いて、順番に食べてもらうことが上手く介助するポイントとなるでしょう。

排泄介助

食事の次は、「排泄の介助」です。

主に、トイレの誘導や、汚物の処理、オムツ交換を行います。

「恥ずかしい、こんなところ見られたくない」

といった利用者の気持ちを、意思疎通が取れなくても察して丁寧に進めましょう。

必要なものを用意する、利用者の特徴を覚えて手際よく進めるなどの工夫をしてみてください。

自らの負担の軽減にもなるし、利用者にかかる負担も減らせるはずです。

入浴介助

そして「入浴介助」を行います。

特養の利用者は、介護度が高いことで1人での入浴が困難な人がほとんどです。

ですが、身も心もリフレッシュしてもらうためには必要なケアとなります。

「思ったより体力を使うのでは?」

と不安になったり、つらいイメージを持つ人も多いはずです。

そこで、特養の入浴では機械浴やストレッチャーを上手く使う工夫をしましょう。

入浴で必要なすべてをあなたがフォローすると、男性であっても体力は持ちません。

その後の仕事でも、ミスを出してしまえば大きなトラブルに発展してしまいます。

特養の入浴では、機械浴の機器やストレッチャー、入浴椅子などの使い方を覚えることで、負担を減らして働きやすくしてみてください。

(2)生活援助

生活援助は、利用者の身体に触れることなく行う援助です。

利用者の身体に触れる介護士だからこそ分かる、「利用者目線」での援助が求められます。

例えば、「どんな食事スペースだったら、気持ちよくに食事できるだろう?」と利用者目線で考えて準備・片付けすることも生活援助です。

他にも洗濯、ベッドメイク、共用スペースの掃除など、利用者が気になるけどできないそんな日常生活のお手伝いをします。

利用者の気持ちを汲み取り、どれだけ思いやることができるか、サービス精神が発揮できる仕事ですね。

(3)レクリエーション

レクリエーションはクイズやゲームを通じて利用者の身体機能向上を目指す取り組みです。

しかし、特別養護老人ホームは利用者の介護度が高いので、レクリエーションにも工夫が必要です。

例えば、クイズは難易度の低い問題を出題して、考えることを目的にしてもらいます。

運動のレクのでいえば、車椅子の利用者でもできる、輪投げを近い距離でしてみるなどです。

利用者それぞれが身体機能に応じて無理なく、みんなで楽しめるレクを考えることが重要といえます。

(4)その他

その他にも季節に応じた遊びの企画も重要な仕事の一つです。

季節の移り変わりをイベントを通して体験して、利用者の心のリフレッシュを目的としています。

例えば、月ごとのイベントが分かりやすいです。

お正月の新年会、ハロウィン、クリスマスパーティなどを行います。

このようなイベントは、特養外と交流することもあり、レクよりも社会的な繋がりを感じてもらうことが重要といえるでしょう。

特養はどうしても施設内で暮らす時間が長く、利用者は閉塞感を感じてしまいやすいです。

社会的な繋がりを強く感じてもらい、生きがいと笑顔を取りもどしてもらう素敵なお仕事ですね。

どれも利用者に欠かせない素敵な仕事内容です。

それでは、気になる給与事情を次の章で説明します。

4.特別養護老人ホームで働く介護士の給与目安

特別養護老人ホームで働く介護士の給与

ここまで、仕事内容をお伝えしましたが、具体的な給与額はやっぱり気になりますよね。

この章では、特別養護老人ホームと、他の施設でどれだけ給与が違うのかを比較してお伝えします。

ご紹介する項目は以下の3つです。

  1. 基本給と年収
  2. 資格手当
  3. 夜勤手当・賞与

それではひとつずつ紹介します。

(1)基本給と年収

介護士が、特養で働いた場合の平均基本給は、342,230円です。

下の表を見ると、他の施設に比べて基本給・年収共に良いことが分かります。

施設 基本給 基本給
特養との差
年収
(基本給×12)
年収
特養との差
特別養護老人ホーム 342,230円 0円 4,106,760円 0円
介護老人保健施設 326,540円 ▲15,690円 3,918,480円 ▲188,280円
訪問介護事業所 301,480円 ▲40,750円 3,617,760円 ▲489,000円
通所介護事業所 277,010円 ▲65,220円 3,324,120円 ▲782,640円

参考:平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果

特養は他の施設に比べて、夜勤があり、身体介助も多いので給与が多い傾向にあります。

精神的、身体的ともに他の負担が大きいのでその分高いイメージですね。

デイサービスと比べて年収だと、800,000円近い差があります。

給与が多いことは、仕事のやりがいに直結するのでぜひ参考にしてください。

(2)資格手当

特養で働く上で、何の資格があれば、いくらの給与があるかをまとめました。

見てみるとおおよそ、中位の立ち位置であることが分かります。

資格名 月給 介護士との差
介護福祉士 342,230円 0円
社会福祉士 371,630円 +29,400円
介護支援専門員 382,510円 +40,280円
実務者研修 315,120円 ▲27,110円
介護職員初任者研修 316,130円 ▲26,100円
資格なし 288,120円 ▲54,110円

参考:平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果

特養では介護支援専門員(ケアマネジャー)が最も給与が高いでしょう。

介護士との差はおよそ40,000円と大きい額です。

介護士として働きながら、ケアマネジャーを目指し、給与をアップすることもできますね。

(3)夜勤手当・賞与

特別養護老人ホームの勤務は夜勤があり、夜勤手当がもらえます。

夜勤手当の算出方法は施設によってまちまちです。

「一律で支給」や、「一律+割増率」で加算など方法は多くあります。

ですが、特養の手当額と施設を比べてみると、大きな差はないでしょう。

施設 手当平均額 特養との差
特別養護老人ホーム 5,754円 0円
介護老人保健施設 7,152円 +1,398円
グループホーム 5,186円 -568円

参考:2019年介護施設夜勤夜勤実態調査結果
参考:平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果
(一時金×6ヶ月で一回のボーナスを算出)

また、賞与に関しては介護士の、一回のボーナス支給の平均は290,520円です。

求人を見てみると、月給3〜4ヶ月分を賞与として支給する事業所が多く見られます。

他の施設に比べても高い水準といえるでしょう。

特養ごとに条件は違うので、気になる特養があればしっかりチェックしてくださいね。

それでは、次の章で特別養護老人ホームの介護士に求められるポイントをお伝えします。

5.特別養護老人ホームの介護士に求められること

ここまで、給与についてお伝えしましたが、特養は他に比べて高水準であることがわかりましたね。

それでは、具体的に特別養護老人ホームの介護士に求められる力を3つ紹介します。

  1. 身体介助の知識と技術
  2. 状況判断力
  3. タフな精神力

それでは、ひとつずつ見ていきましょう。

(1)身体介助の知識と技術

まずは、身体介助の知識と技術が求められます。

特養は介護度が高い利用者が多く、身体介助の高い技術を必要とするからです。

例えば、寝たきりの利用者が多い場合ですと、定期的な体位変換や、おむつの交換など排泄介助も何度も行うことになるでしょう。

ですから、複数利用者の介助をスムーズに行える身体介助の技術が必要なのです。

とはいえ、そこまで難しいものではありません

人それぞれのやり方を覚え、数をこなしていくうちに必ずスピードは上がります。

さらに、工夫を凝らしていくことで技術も自然についてくるものです。

例えば、着替えの介助では、筋肉の知識を学んでみるとどうでしょうか。

身体のどの部分が動かなくなっているから、体のこの部分をしっかり押さえたほうが良いなどの工夫ができるようになります

特別養護老人ホームで働くうちに、身につくものですから気負いしないで学ぶ気持ちを持って向かうのが良いでしょう。

(2)状況判断力

特別養護老人ホームの介護は、状況判断力を求められることがあります。

なぜなら、寝たきりの利用者が多く、言葉でコミュニケーションをとれない場合があるからです。

例えば、寝ているときに身体が固まってきた、痛くなり、体位を変えてほしい場合で考えてみましょう。

他の施設の利用者であれば、声かけを聞けばいいですが、特養の利用者はそうはいかないことが多いです。

最後にいつ体位交換をしたのか、つらそうな素振りはないかなどの情報から察する必要があります。

こうした判断力が求められますが、基本的には働くうちに自然に身につくはずです。

もし、不安があるなら先輩の職員に聞いてみると良いでしょう。

適切な対処を知っているはずなので、困ったときは積極的に聞いて技術として身につける姿勢があれば問題ありません。

特別養護老人ホームで働くと、判断力を養えると前向きに考えることがポイントです。

(3)タフな精神力

特別養護老人ホームので働くなら、いつもよりも少しだけタフな精神力があると好ましいです。

利用者の数が多い特養ではときに、作業的に身体介助の数をこなすことが求められます。

入浴介助の体力的な負担が多いときや、排泄介助の数が増えると、慣れていても精神的な負担が出てきてしまうからです。

疲れてきたと感じたなら、休日のリフレッシュを充実するようにしてみましょう

散歩をしてみる、趣味に没頭するなどのリフレッシュは、介護の世界で働くなら考えておきたいものです。

特養に限らず、介護に関する仕事をしていれば、苦しいと思う瞬間は誰にでもあります。

リフレッシュできる環境を整えておくだけで良いので、特別養護老人ホームで働くなら自らの余裕を持てるようにしておきましょう!

ここまで、お話してきた求められることを振り返ると、合わないかもと感じている人もいるはずです。

ですが、次に紹介するポイントを押さえておくだけで、他の施設と変わらず働くことができるようになります。

さっそく見ていきましょう。

6.特別養護老人ホームで働くときのポイント

先ほどお話しした、特別養護老人ホームで求められることを読んだなら不安を感じている人も多いですよね。

働くのがつらそうだし合わないかも

と思っているかもしれませんが、ポイントを押さえておくだけで働きやすい環境を整えることができます。

意外に見落としがちな点ですから、あなたが疲れてしまう前に以下3つのポイントを見ておきましょう。

  1. 協調性と細かな配慮
  2. 仕事内容を理解して働く
  3. 施設の特色を把握する

それでは、ひとつずつ紹介しますね。

ポイント1.ちょっとした気遣いをしてみよう

特別養護老人ホームの介護士として働くなら、気遣いを意識してみましょう。

多くの利用者を、少ない職員で見ていくことになります。

なので、気遣いをしておくだけで失敗を減らして働きやすい環境が整うのです。

例えば、いつも通りに過ごして安定しているなら、少しだけ声掛けを増やしてみます。

反応がないかもしれませんし、ときには顕著に手足で伝えてくれることもあるはずです。

こうした、小さな気遣いで得られるきっかけが、利用者の異変に気付くきっかけになります。

「あれ?いつもと違うぞ?」

と感じたときには、様子をしっかりと観察しておきましょう。

このように、ちょっとした気遣いだけで大きなトラブルを未然に防げます

そうすると、ミスを減らして利用者の過ごしやすい環境を整えられるのです。

あなたが働く特別養護老人ホームの環境が整い、働きやすい状態を作れるのでぜひ試してみてください。

ポイント2.仕事内容は細かく確認しておこう

特別養護老人ホームでは、仕事内容を細かく確認しておくことが大切です。

利用者は、介護度が高いということはお話しました。

しかし、同じ介護度でもケアの方法の違いがあることは、すでに知っていますよね。

特養では、意外にこのケアの違いによって、使う用品からやり方まで細かく決められていることがあります。

例えば、肌の弱い人のケアとして保湿クリームを使う、患側を下にして横に寝かせないなどです。

こうした細かいことを知らないことで、ミスが増えて先輩介護士に怒られることは多くあります。

事前に知れることを知らずに働いてしまい、「こんなはずでは…。」と悩むことほど不幸なことはありません。

ですから、特別養護老人ホームならではの細かい点も含めて聞いておくようにしましょう。

教えてもらおうとすると、面倒くさがられることもあります。

しかし、細かく知ってから働くことは、失敗して怒られるよりもはるかに楽です。

あなたの働きやすさを一気に向上し、信頼度も高まるので意識してみてください。

ポイント3.施設の特色を知るとアピールになる

特別養護老人ホームの特色を知ると、アピールポイントを増やすことができます。

先輩介護士に認められることが、介護士としての一人前ではないはずです。

より上の存在に認められることで、見る目が変わり働きやすさも徐々に向上できます。

例えば、特養で採用されている二分化である「従来型」と「ユニット型」を考えてみましょう。

従来型」は施設全体で共同生活する大型の特養です。

そのため、まわりのスタッフと協力して利用者を支える協調性が求められます。

ユニット型」は1ユニットで10人以下の共同生活を行うことが特徴です。

1ユニットを、ユニット専属従業員が見るのでより密なコミュニケーションを求められます。

そのため、施設も利用者間もとてもアットホームな雰囲気です。

こうした特色を知っておくと、何に気をつけて働くべきかを明確にできますね。

そうすることで、施設側が求めるケアを提供できているアピールになります。

確かに、特別養護老人ホームでの仕事は大変に感じるかもしれません。

ですが、技術を磨きながら、働きやすい環境を作ることが自らの評価にもつながることはおわかりいただけたはずです。

では、ここまでお話したポイントを押さえて働くために取得しておきたい資格についてもご紹介します。

知識を得ることで、解消できる疑問も多いので参考にしてみてください。

7.特別養護老人ホームの介護士として持っておきたい資格

特養介護士におすすめの資格

ここまで、特別養護老人ホームで働くポイントをお話してきました。

「本当に務まるのか不安」

と感じている人もいるはずです。

結論から言うと、特別養護老人ホームは資格がなくとも、働くことができます

ですから、働きながら知識と技術を得る場所として選ぶこともできるわけです。

ですが、求人など見ると「資格を持っていること」が募集要件になっていることって結構ありますよね。

これは、技術と知識を事前に持っている方が働きやすいことを伝えています。

じゃあ、どうして資格を持っておくと良いのかを見ていきましょう。

介護士のあなたなら、すでにお持ちの資格もあるかもしれませんね。

  1. 介護職員初任者研修
  2. 介護福祉士実務者研修
  3. 介護福祉士
  4. 介護支援専門員(ケアマネジャー)

それでは、ひとつずつお伝えします。

(1)介護職員初任者研修

特養で介護士を目指すのであれば、取得すべき資格が介護職員初任者研修ですよね。

採用基準にもなっており、持っておくべき資格の1つといえます。

介護に関する基礎中の基礎を学ぶことができて、資格取得まで最短1ヶ月で可能な資格です。

先ほど、特別養護老人ホームは、無資格で働くこともできることをお話しました。

しかし、介護度の高い人が多く、身体介助がメインとなるので基礎を学んでおくだけで働きやすさが格段に変わります

例えば、無資格だとして、介護の基礎から学びながら働くと覚えることがかなり多いです。

身体介助で必要な基本技術から学ぼうにも、特殊なケアが必要となる利用者が相手だと難しくなります。

ですから、あなたの働きやすさも考えるなら、特別養護老人ホームで働く前に取得しておきたい資格となるでしょう。

(2)介護福祉士実務者研修

介護福祉士実務者研修は、介護福祉士になるための必須の資格です。

特養で介護士としての経験を積み、介護福祉士を目指すのであればぜひ取得を目指しましょう。

介護福祉士実務者研修の資格を取得していると、医療的ケアを行うことができます。

医療的ケアとは主に以下の二つです。

  1. 喀痰吸引
  2. 経管栄養

「喀痰吸引」は、自力でたんが出せない利用者に気道確保の目的で吸引器等を使用して、対外へ排出することを指します。

「経管栄養」は、口から食事を摂るのが困難になった利用者の胃や腸に直接チューブなどで栄養を送ることをいいます。

どちらの実務も、介護福祉士実務者研修を取得していると従事可能です。

そして、特養は介護度が高い人が多くこれらの実務ができるととても重宝されます。

採用の際にも有利になることでしょう。

取得には、450時間のカリキュラムの時間と、無資格の場合10〜15万円の費用がかかります。

しかし、かけた時間と費用に見合う給与アップや、仕事の幅の広がりを期待できるでしょう。

(3)介護福祉士

介護福祉士の資格は特養でも求められる資格の一つです。

国家資格で、介護士としてのプロフェッショナルとしての証といえます。

介護福祉士の国家資格を取得すれば、採用時はもちろん、給与面での待遇がよくなります。

資格がない場合と比べて月で5万前後多く給与をもらうことができます。(参考:平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果

さらに、介護福祉士の資格があることで、主任・リーダーなどの管理職、ケアマネジャーなどの相談員業務へとステップアップすることも可能です。

資格取得には、以下の時間とおおよその費用がかかります。

  • 従業期間3年(1,095日)以上、かつ従事日時540日以上の実務経験
  • 講座+試験代 30,000〜100,000円

介護士として働くのであれば、よりよい将来設計をするために、資格取得を目指すことをおすすめします。

将来の選択肢の一つとして、記憶に留めてくださいね。

特別養護老人ホームは人気の職場ですが、転職の失敗例があります。

その失敗例とどう乗り越えたのかを次の章で解説しますので、事前に対策を講じておきましょう!

8.特別養護老人ホームの転職失敗例と解決策

特別養護老人ホームでは、意外と転職に失敗した人が多くいます

失敗の原因は「理想と現実のギャップ」が根本の原因であることが多いです。

つまり、このギャップを如何に少なくできるかを知ることで、「こんなはずでは…」という感情を抱く可能性が小さくなります。

それでは実際の具体例を2つあげて紹介します。

  1. 施設の方針と自分の考えが不一致でトラブルに
  2. 肉体と精神の疲労が溜まり挫折した

失敗から学びを得て、同じ失敗をしないようにしましょう。

失敗例1.施設の方針と自分の考えが不一致でトラブルに

施設の方針と自分の考えが合わないことが、トラブルの原因となります。

「自分の考え=理想」、「施設の方針=現実」この両者間でギャップが生じている状態です。

例えば、介護士の立場としては、利用者ファーストでもっと一人の利用者と長く介助の時間を使いたいと悩んでいます。

しかし、施設がそれを認めず、とにかく「利用者を多く入居させることが第一目的」との考えだった場合ではズレが生じてしまいます

そして、仮に施設が「身体介助は作業的にとにかく回す。」と利用者の人権を無視したような対応をとっているとすれば、このズレは大きくなってしまいますよね…。

このような施設の考えを変えることはなかなか難しいです。

上層部に直談判をするなどしても変わらないようであれば、思い切って施設を変えることを考慮したほうがいいでしょう。

具体的な解決策を紹介します。

解決策

先述したように、施設という組織の考えを一人の従業員が変えようと思うと骨が折れます

その上、いろいろな根回しなど、方向性が違うスキルを必要とします。

現場の声が全く届かない施設は現状維持の思考強いので、なおさら大変です。

転職する前には、方針を理解したうえで職場選びを検討してみてください。

では、どこで職場を選べば良いのか迷っている人に、転職の際にぜひおすすめしたいサイトを記しておきます。

ぜひチェックしてみてください。

サイト名 ナイス介護エージェント
URL https://713515.net/agent/
特徴 求人紹介から内定後まで手厚いサポートを徹底。
条件交渉や連絡代行などもアドバイザーが引き受けてくれ、負担が少ないです。
サイト名 しろくま介護ナビ
URL https://www.heartful-kaigoshi.jp
特徴 厳選されたホワイトな施設のみを取り扱う。
アドバイザーが直接施設に行き、具体的な内部情報を収集しているので確かな情報があります。

続いての例をご紹介します。

失敗例2.肉体と精神の疲労が溜まり挫折した

特養は肉体的にも、精神的にも疲労が溜まりやすいです。

なぜなら、身体介護が他の施設よりも多く、なおかつ介護度が高い人が集まっているからです。

例えば、ほとんど自ら身体を動かせない人の、車椅子への移乗や入浴をしたとしましょう。

全体重を支えながら、しっかりと安全を確保してケアをすることになります。

そうすると、肉体的にも疲労するほか、気疲れして精神的にも疲れてしまうのです。

入る前から覚悟をしていたとしても、予想以上の疲労が溜まってしまうことはあります。

人不足が続いているので、介護士一人にかかる負担は想像以上になるケースは意外に多いです。

あなたが気付かない間に肉体も精神もダメージを受けていることもあります。

手遅れになって大切な身体が壊れてしまう前に、解決策を覚えておいてください。

解決策

解決策としては、以下3つです。

  1. 人員増強を求める
  2. 設備拡充で効率化を求める
  3. 思い切って転職する

上司や、管理職に素直に人や設備が足りておらず、体調に不安を感じていることを伝えてみ
ましょう。

また、それでも待遇が変わらない場合、施設を変えることを検討しましょう。

通常の有料老人ホームであれば、特養よりも介護度は低く、利用者が少ないので、身体的負担は少なくなります。

上述したサイトでも探すことができるので、ぜひ探してみてくださいね。

それでは、次は特別養護老人ホームに介護士にむいている人を紹介します。

9.特別養護老人ホームの介護士に向いている人

特養介護士に向いている人

ここまで特別養護老人ホームの理想と現実をお伝えしました。

そうはいっても、特養で介護士になるにはメリットが多いので、向いている人をお伝えします。

以下の4つのうち、どれかに当てはまれば、あなたは特養の仕事に向いているといえるでしょう。

  1. 身体介助の技術をさらに向上させたい
  2. 将来的に現場をまとめる管理職、相談員業務に就きたい
  3. 利用者・職員共に多くの人と関わりを持ちたい
  4. 安定した高い給与で働きたい

特養は他の施設と比べると利用者の介護度が高い分、やりがいや身につくスキル、給与の見返りが大きいです。

また「将来に向けたスキル」を身につけたい人にとってはうってつけの職場となります。

給与も高い水準が保たれているので、生活も安定して更にキャリアアップを考えることもできるようになるはずです。

介護士としてしっかりスキルを蓄えて、管理職や、相談員業務に就くという目標がある人はぜひチャレンジしてみましょう。

特別養護老人ホームの介護士に向いていない人

反対に、残念ながら以下に当てはまる人は、他の施設を検討した方がいいかもしれません

  • 体力に自信がない人
  • 多くの職員と関わることに抵抗がある 

向いていない人でも特養で働くことはできます。

しかし、どうしても施設の特徴上、体力仕事や人間関係からは逃れることが難しいです。

介護職でも比較的対人関係や、関わる人の少ないデイサービスや、訪問介護を検討してみるといいかもしれませんね。

それでは最後に、特別養護老人ホームの介護士求人を見て、よりイメージを掴んでください。

10.特別養護老人ホームの介護士求人を見てみよう

ここからは、特別養護老人ホームの介護士求人を紹介しているサイトを3つお伝えします。

まずは、求人を見てみて、イメージをさらに膨らませてくださいね。

  1. きらケア
  2. 介護求人.com
  3. マイナビ介護職

まずは気軽に、求人をみてみましょう!

サイト1.きらケア

きらケアは、職探しの段階で、専任のアドバイザーが付くことが大きな特徴です。

また、働いてからのギャップが生じないように、職場の雰囲気や、有給の消化率などリアルな実態を教えてくれます。

働いてからのギャップに悩まされると、「また転職しなければ…」と悩んでしまうので、前もって情報知れることは大きなメリットです。

実際に調べてみると、7,700件の求人数が見つかりました。

月収順で並び替えることもできて、非常に使いやすいサイトです。

会社名 レバレジーズメディカルケア株式会社
住所 東京都渋谷区渋谷二丁目24番12号
対応エリア 全国
TEL 0120-295-888
公式サイト https://job.kiracare.jp/
利用手数料 無料

サイト2.介護求人.com

介護求人.comは、介護求人に特化した求人サイトです。

様々な雇用条件の求人があり、年齢、資格、経験不問の求人を多く扱っています。

また、アドバイザーが履歴書の書き方や、面接のアドバイスなどを伝授してくれて、初心者の人でも安心です。

実際に「特別養護老人ホーム」の求人数は約4,000件ほどあり充実しています。

キーワードなどを考えなくても、サイトに入って条件をクリックするだけで直感的に求人にたどり着けるのでとても使いやすいサイトです。

会社名 株式会社 日本教育クリエイトa
住所 新宿区西新宿1-23-7 新宿ファーストウエスト7F
対応エリア 全国
TEL 0120-240-350
公式サイト https://creatework.jp
利用手数料 無料

サイト3.マイナビ介護職

マイナビ介護職は、求人大手のマイナビが運営する介護に特化したサイトです。

大手ならではの手厚さが特徴で、全国で転職相談会を無料で実施しており対面のフォローを受けられる魅力があります。

アドバイザー制度を採用しており、面談のセッティングや履歴書作成のアドバイスなど、求職活動にかかる時間を大幅に削減してくれます。

実際に特別養護老人ホームの求人数を調べてみると、約5,700件の求人数が見つかりました。

大手ならではのサポート体制ではじめての方にも安心ですね。

会社名 株式会社 マイナビ
住所 東京都千代田区一ツ橋一丁目1番1号
対応エリア 全国
TEL 03-6267-4000
公式サイト https://kaigoshoku.mynavi.jp/
利用手数料 無料

まとめ

特別養護老人ホームで介護士として働くことはとても大きなやりがいにつながります。

他の施設と比べて大変なこともありますが、給与や安定面、将来性を考えると、とても良い選択肢といえるでしょう。

考え方は人それぞれですが、「目先の1年の豊かさをとるか」、「10年後豊かになりつづけているのをとるか」と考えるとどちらでしょうか?

特別養護老人ホーム働くことは、後者で将来に役立つ実力や、経験を得ることができます。

特養で働いたという経験が、相談員業務、管理職業務といった、あなたの将来の幅を広げることは間違いありません。

特養で働くことをゴールに置くのではなく、さらに視野を広げて挑戦してみましょう!