介護師

介護士のスキルが活かせるトラベルヘルパーとは?概要や採用方法を解説!

トラベルヘルパーは、介護士としてのスキルを試せる素晴らしい職業です。

お金を頂く仕事であるものの、旅行を楽しめるというメリットもあります。

しかし情報が少なく、何を行えばよいか分からない方も多いのではないでしょうか。

この記事ではトラベルヘルパーの概要や採用方法について詳しく紹介します。

採用されやすくなるポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。

この記事を読み終わるころには、トラベルヘルパーとして楽しく働く姿をしっかりとイメージできるでしょう。

1.トラベルヘルパーとは

トラベルヘルパーとは

トラベルヘルパーとは、被介護者の外出支援を行う専門家のことです。

ひとりでの行動が困難な被介護者に寄り添い、外出先でのさまざまなニーズやトラブルに対処します。

たとえば、車いすでの走行が困難な階段の介助をしたり、現地へ到着するまでの話し相手を務めたり、などです。

場合によっては、旅行プランの策定や費用管理なども行います。

トラベルヘルパーは、旅行を楽しむメンバーかつ、介護士として、被介助者のサポートを行う職業です。

次に、トラベルヘルパーとガイドヘルパーの違いについて紹介します。

ガイドヘルパーとの違い

トラベルヘルパーの概要はわかりました。

しかしトラベルヘルパーについて調べると、ガイドヘルパーという職業も目につくと思います。
トラベルヘルパーとガイドヘルパーの違いは、以下の通りです。

  トラベルヘルパー ガイドヘルパー
目的 外出支援 移動支援
認定者 民間団体 各都道府県知事
資格の種類 民間資格 公的資格

トラベルヘルパーは、ひとりで旅行するのが困難な方をサポートする専門家です。

介護業務はもちろんのこと、旅行会社としての業務も兼任します。

一方ガイドヘルパーは、ひとりで行動するのが困難な、視覚障がい者や全身性障がい者、知的障がい者の移動支援を行います。

外出先に制限がないため、旅行プランの策定などは業務範囲に含まれません。

旅行に付き添うことは可能ですが、お買い物やお散歩などの移動支援も行います。

各都道府県知事が認定する公的資格なため、取得要件も厳格です。

このようにトラベルヘルパーとガイドヘルパーは、業務内容や資格の種類が異なります。

被介護者の旅行をサポートしたいという方は、トラベルヘルパーを取得する方が簡単でしょう。

次に、トラベルヘルパーとして働く具体的なメリットを見ていきましょう。

2.トラベルヘルパーで働く4つのメリット

トラベルヘルパーとして働くメリット

トラベルヘルパーの概要とガイドヘルパーとの違いについて紹介しました。

ここでは、トラベルヘルパーで働くメリットを、以下の4つに分けて紹介します。

  1. 被介助者の明るい人生をサポートできる
  2. 被介助者と一緒に旅行を楽しめる
  3. 利用者から直接感謝される
  4. 介護のスキルアップができる

それぞれの詳しい内容を見ていきましょう。

メリット1.被介助者の明るい人生をサポートできる

トラベルヘルパーは、身体が不自由な被介助者の人生を明るくサポートできます。

外出が困難な被介助者に対し、旅行というプレゼントを与えられるためです。

実際、好きな場所があっても、身体が不自由なことで諦めている被介助者は、多くいらっしゃいます。

トラベルヘルパーは、外出に制限のある被介助者の悩みを解決できる素晴らしい職業です。

メリット2.被介助者と一緒に旅行を楽しめる

トラベルヘルパーは介護が中心であるものの、旅行も一緒に楽しめます。

被介助者と一緒に思い出の地や観光地をまわれるためです。

実際、トラベルヘルパーの仕事を通して気持ちが楽になった、という介護士も多くいらっしゃいます。

また、被介助者が旅行先で笑顔になっている姿を見れば、こちらまで楽しくなってくるでしょう。

トラベルヘルパーは、自由な行動こそできませんが、ストレス解消やリフレッシュ法としてもおすすめです。

メリット3.利用者から直接感謝される

トラベルヘルパーは、仕事の質がよければ、被介助者から直接感謝の言葉を受けられます。

旅行中ずっと被介助者と行動を共にするためです。

実際、トラベルヘルパーの仕事を通して、自信を回復したという方も多くいらっしゃいます。

お客様から直接お礼の言葉をもらえず、モチベーションが上がらない、という方はぜひご検討ください。

メリット4.介護のスキルアップができる

介護のスキルアップのために、トラベルヘルパーを選ぶ方もいます。

トラベルヘルパーの仕事は、未舗装道路の移動補助や露天風呂での入浴補助など、施設介護では経験できない業務が多いためです。

これはトラベルヘルパーが、民間資格であり、介護保険法に準ずる必要がないことと大きく関係しています。

法律に縛られることなく自由にサービスを提供できるため、一風変わった業務を体験できるのです。

旅行中のさまざまな業務を通して、施設介護に役立つスキルも十分身に着けられるでしょう。

次に、トラベルヘルパーの仕事内容とお給料の目安を見ていきます。

3.トラベルヘルパーの仕事内容と給料目安

トラベルヘルパーのメリットについて紹介しました。

しかし、実際にトラベルヘルパーとして働くには、「仕事内容」と「お給料」もたいへん重要な要素です。

ここでは、2つに分けてお話ししていきます。

  1. 主な仕事内容
  2. 給与目安

それぞれ見ていきましょう。

(1)主な仕事内容

トラベルヘルパーは、通常の介護業務に加え、旅行会社としての業務を行います。

一般的な業務内容は、以下の通りです。

  • 利用者との打ち合わせ
  • 旅行プランの作成
  • 移動車の手配
  • 旅行への同伴
  • 旅行中の移動、食事、入浴、排せつ等の介護介助
  • 旅行中における業務報告書の作成

旅行プランの作成は、利用者側が行うこともあるため、必ずしも必要ではありません。

打ち合わせを通して、利用者と一緒に行うことも多いです。

(2)給与目安

トラベルヘルパーの平均日給

給料は、時給1,000円・日給10,000円前後で、所属する組織や会社によって手当や一時金も出ます。

一般的な介護業務のように基本給は発表されておらず、会社によってもらえる金額もまちまちです。

ただし施設介護における給与体系と比較しても、それほど低くはありません。

たとえば、平成30年度における常勤介護職員の基本給は181,220円でした。

1日8時間・週休二日制で考えると、時給1,100円前後です。

このように考えると、トラベルヘルパーのお給料は、一般的な介護業務とあまり変わりません

では、介護士からトラベルヘルパーになるには、具体的に何をすればよいのでしょうか。

4.介護士からトラベルヘルパーになるには

トラベルヘルパーの仕事内容と平均給与を紹介しました。

ここからは、トラベルヘルパーになる具体的なステップを紹介します。

以下の3つに分けて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

  1. トラベルヘルパーの資格を確認する
  2. まずは3級をめざす
  3. 旅行会社や専門の事業所に就職、転職する

それぞれ見ていきましょう。

流れ1.トラベルヘルパーの資格を確認する

トラベルヘルパーを名乗るなら、日本トラベルヘルパー協会が発行する資格を取得しなくてはなりません。

トラベルヘルパーの資格には、「3級」「準2級」「2級」があります。

  費用 実地研修
3級 15,000円(税別) なし
準2級 73,400円(税別) 日帰り2日間
2級 109,800円(税別) 2泊3日の合宿

3級は在宅試験のみで、実地研修はありません。

準2級は、実地研修後、日本トラベルヘルパー協会の事務所で筆記試験と面接試験を受けます。

2級は介護経験が必須で、検定内容も筆記試験のみです。

いずれの試験も教材到着後1年間が受講期限なので、余裕をもってパスしましょう。

それぞれ試験では、同時受講も認められています。

その場合、準2級と3級は79,900円(税別)、2級と準2級は168,100円(税別)、3級・準2級・2級は179,000円(税別)の受講料が必要です。

トラベルヘルパーをお考えの方はまず、3級の取得を目指しましょう。

流れ2.まずは3級をめざす

トラベルヘルパー3級は、旅行介護を行うための基本知識が網羅されており、準2級や2級へと進むための必須条件です。

合格もそれほど難しくないため、必ずパスしましょう。

3級は、「自宅学習⇒課題提出⇒在宅検定⇒資格取得」というステップで取得します。

自宅学習がメインとなるため、時間のない方にもおすすめです。

準2級と2級は、実務をイメージできるくらい3級の内容が定着してから受講しましょう。

すべての資格を取得したら、関連会社への就職・転職を目指します。

流れ3.旅行会社や専門の事業所に就職・転職する

資格を取得したら、旅行会社や日本トラベルヘルパー協会と提携している事業所に就職・転職します。

「あ・える倶楽部」「クラブツーリズム」などが有名どころです。

あ・える倶楽部は、トラベルヘルパーの人材サービス事業者です。

日本トラベルヘルパー協会や日本旅行業協会と提携しており、トラベルヘルパーを多数派遣しています。

資格取得の段階で日本トラベルヘルパー協会と関係を深められれば、職場も探しやすくなるでしょう。

クラブツーリズムは、近畿日本ツーリストグループが運営する旅行会社です。

バリアフリー旅行「杖・車いすで楽しむ旅」というツアーで、被介助者の旅行サポートを行っています。

採用募集と同時に応募すれば、トラベルヘルパーとして働ける可能性が高いです。

では、トラベルヘルパーとして、どのような点に注意すべきでしょうか。

5.トラベルヘルパーとして働くときに知っておきたいこと

トラベルヘルパーになるための、具体的なステップについて紹介しました。

ここでは、トラベルヘルパーとして働く際の注意点を、3つに分けて紹介します。

  1. 海外旅行より国内旅行の方が多い
  2. 国家資格があると有利になる
  3. 余裕のあるスケジュールが良い

実務で迷わないように、しっかりと準備しましょう。 

(1)海外旅行より国内旅行の方が多い

トラベルヘルパーの業務は、孫の結婚式や温泉巡りなど、国内旅行がメインです。

中にはスーパーや居酒屋など、近場への移動をサポートする場合もあります。

そのため、国外旅行を期待してトラベルヘルパーになるのはおすすめしません。

トラベルヘルパーとして働く場合は、9割以上が国内旅行になると思っておきましょう。

(2)国家資格があると有利になる

国家資格を保有している方ほど、トラベルヘルパーとして有利になります。

トラベルヘルパーが、国家資格が必要な現場での職務経験を重視しているためです。

実際、多くの現場では、施設介護で経験を積んだベテラン介護士がメインとなって働いています。

トラベルヘルパーは、認知度が低く競争率も高いため、国家資格という現実的な強みをもって目指しましょう。

トラベルヘルパーとして有利になる国家資格は、介護福祉士と社会福祉士です。

介護福祉士は、施設介護や訪問介護を行うための必須資格であり、介護経験を積むのに役立ちます。

社会福祉士は、福祉サービスの必要な人が、快適に日常を送れるようにサポートする職業です。

社会的弱者の相談にのることが多いため、被介助者と接する際の参考になるでしょう。

トラベルヘルパーとして働く際はまず、介護福祉士、余裕があれば社会福祉士を目指しましょう

(3)余裕のあるスケジュールが良い

スケジュールに余裕のある方が、トラベルヘルパーとして働きやすくなります。

トラベルヘルパーは、基本的に被介助者のスケジュールに合わせるためです。

突然仕事のお誘いがくる場合も珍しくないため、本業と被らないスケジュール管理が重要になります。

本業が忙しすぎると、せっかくよい案件に恵まれても、実務経験を積めません。

トラベルヘルパーとして働く際は、本業の仕事を減らすなどして、スケジュール管理を徹底しましょう。

次は、トラベルヘルパーに向いている人について紹介します。

6.トラベルヘルパーに向いているのはこんな人

トラベルヘルパーに向いている人の特徴

トラベルヘルパーとして働く際に、知っておくべきことを紹介しました。

ここでは、トラベルヘルパーに向いている人を、3つに分けてご紹介します。

  1. 介護の経験がある人
  2. 旅行会社の業務を知っている人
  3. コミュニケーションを円滑に取れる人

それぞれ見ていきましょう。

(1)介護の経験がある人

トラベルヘルパーに求められるのは、高い介護能力です。

旅行プランの策定などは旅行スタッフでも代用できますが、介護業務はトラベルヘルパーしか行えません。

実務でも、旅行サポートより階段の昇降や非舗装道路の走行などがメインとなることも多いです。

トラベルヘルパーとして働きたい場合はまず、介護士として経験を積み、高い介護能力を身につけましょう。

(2)旅行会社の業務を知っている人

介護スキルが重要なのは言うまでもありませんが、旅行会社の業務を知っている人も重宝されます。

トラベルヘルパーは、旅行プランの立案や計画を頼まれる場合もあるためです。

旅行会社として高いスキルを持っていた方が、採用する側にとっても教育コストの削減につながります。

トラベルヘルパーとして働きたい場合は、旅行会社の業務も知っておきましょう。

(3)コミュニケーションを円滑に取れる人

トラベルヘルパーは、コミュニケーション能力の高さも評価されます。

トラベルヘルパーに依頼することに不安を感じる、被介助者や家族がいるためです。

誰だって赤の他人と旅行することになれば、不安や緊張を覚えるでしょう。

トラベルヘルパーとして働くには、被介助者や家族に安心感を与えるような、社会性やコミュニケーション力が必要です。

トラベルヘルパーは、まだまだ発展途上の職業です。

最後に、トラベルヘルパーとしてステップアップする方法を見ていきましょう。

7.トラベルヘルパーはまだまだ上を目指すことができる

トラベルヘルパーに向いている人について紹介しました。

トラベルヘルパーは、利用者の要望によって、行く場所や環境が異なります。

介護士として貴重な経験を得られる場合もあるので、向上心をもって臨みましょう。

3級取得後は、時期をみて、上位の資格を目指してください。

トラベルヘルパーは、上位になるほど、できることが増えます

  取得後の業務遂行レベル
3級 トラベルヘルパーとして働くための基本知識をもてる
準2級 仕事として外出や日帰り旅行に同伴できる
2級 仕事として宿泊を伴う旅行に同伴できる

まとめ

トラベルヘルパーは専業ではなく、施設介護と並行して行うのが一般的です。

普段とは異なる働き方が可能なため、スキルアップやリフレッシュ法としても活用できます。

トラベルヘルパーとして採用されるには、3つのステップを実践しましょう。

  1. トラベルヘルパーの資格を確認する
  2. まずは3級をめざす
  3. 旅行会社や専門の事業所に就職、転職する

3級だけで独立した業務を行うのは困難なので、時期をみて準2級・2級にステップアップしてください。

3級の段階から、準2級と2級に申し込むことも可能です。

トラベルヘルパーについて詳しく知り、やりがいのある職場で働きましょう。