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福祉コンサルタントとは?福祉の現場を改善に取り組む仕事を解説

福祉コンサルタントになりたいとお考えですね。

福祉関連の仕事というと、介護施設などでの勤務をイメージするかもしれません。

しかし、施設で働く以外にも選択肢はたくさん存在します。

その中の1つとしてあげられるのが福祉コンサルタントです。

この記事では、福祉コンサルタントの概要や仕事内容などについて解説します。

読むことで、福祉コンサルタントの概要が理解できるので、転職時の判断基準にすることができるはずです。

また、オススメの資格や求められる資質などについても解説しているのでぜひ参考にしてみてください。

1.福祉コンサルタントとは

福祉コンサルタントとは

福祉コンサルタントとは、各種福祉施設の運営サポートを行う人のことです。

施設には、介護施設や児童施設、さらには障がい者施設など様々なものがあります。

これらの福祉施設を利用する人は多く、万が一施設運営がうまくいかないと利用者に不便が生じるでしょう。

万が一施設が経営不振で閉鎖するようなことになれば、生活に困る人も出てくるかもしれません。

さらに、施設利用者の家族にも迷惑をかけることになります。

そこで、福祉コンサルタントが施設運営の改善に取り組むのです。

このように、福祉施設の運営がスムーズに行われるようにするのが福祉コンサルタントの役割の1つと言えるでしょう。

ちなみに、新しく福祉事業を始める際のコンサルタントを行うケースもあります。

福祉コンサルタントが求められる背景

福祉コンサルタントが求められる背景にあるのが、高齢化に伴う福祉関連施設の多さです。

また、高齢化に伴い福祉施設は今後も増加することが予想されます。

さらに、施設によっては運営時の課題を抱えることもあるでしょう。

福祉コンサルタントは、施設の多さに加え各施設が抱える課題を解決するために求められる存在なのです。

2.福祉コンサルタントの仕事内容

福祉コンサルタントの仕事内容

先ほども触れていますが、福祉コンサルタントの仕事は、福祉施設の運営がうまくいくようにサポートとすることです。

具体的には、以下のようなものが挙げられます。

  1. 開業支援
  2. 人材育成
  3. 経営改善
  4. 施設の問題点の発見および改善

それぞれについて、具体的な仕事内容を解説します。

(1)開業支援

1つ目の仕事内容は、これから新たに福祉施設を立ち上げようとしている、企業や経営者に対して開業支援を行うことです。

例えば、事業を立ち上げる前の段階での市場分析を行うことはコンサルタントの役割の1つと言えます。

同じ地域内に他の福祉施設はどのくらいいるのか、利用の見込みはどのくらいありそうか、などの情報を集めて立地選びなどを行います。

また、それと同時に融資や収支に関する計画の立案、施設開設にあたっての各種申請手続き、施設の規約などの作成も福祉コンサルタントの仕事です。

(2)人材育成

人材育成も福祉コンサルタントが行う仕事の1つです。

福祉施設では各種研修をコンサルタントに依頼することがあります。

福祉コンサルタントは、法令違反にならないように研修マニュアルを作成し、内容に沿って研修を実施しなければいけません。

新規で福祉施設を開設している場合は、職員間での考えや仕事の仕方にばらつきが出やすいので、研修が重要な役割を担うことになります。

福祉関連施設側は、質の高い人材を育成し、施設運営を行なっていくために、コンサルタントに人材育成を依頼するのです。

(3)経営改善

福祉コンサルタントは、施設の経営改善を行うこともあります。

例えば、現場レベルでの業務効率化の実施や経費削減のほかに、経営レベルでの重要な判断のサポートを行うこともあるでしょう。

ときには、新しい施設の開設について相談されることもあるかもしれません。

企業の将来を左右する可能性のある重要な役割を、福祉コンサルタントが担うことになります。

(4)施設の問題点の発見および改善

福祉コンサルタントの役割は、経営面でのサポートを行うだけではありません

ときには、福祉施設の利用者のために施設の問題点を洗い出して改善に取り組むこともあります。

例えば、施設の職員の方や実際の利用者、さらにはその家族などに対してヒアリングを行い、問題点の改善に取り組むといったイメージです。

利用者にとって生活しやすい環境を作ることも福祉コンサルタントの役割の1つとなります。

3.介護士から福祉コンサルタントになるメリット

福祉コンサルタントになるメリット

ここからは、福祉コンサルタントとして働く際のメリットについて解説します。

ここでは福祉関連の業界で勤務していた人が転職する際のメリットについての解説です。

ぜひ参考にしてみてください。

  • 自分の現場での経験を活かせる
  • 介護業界に対するスキルや知識の幅が広がる
  • 給料アップの可能性がある

それぞれ見ていきましょう。

メリット1.自分の現場での経験を活かせる

1つ目のメリットとしては、自分自身のこれまでの福祉関連施設での勤務経験を活かせる点があげられます。

これは、業務経験があればどこに業務の無駄が発生しやすいのか、問題点はどこで起きやすいのかといった点が理解しやすいためです。

例えば、利用者と関わった経験から利用者のニーズを把握しているかもしれません。

また、施設内で使い勝手の悪いところはどこなのかわかっているケースもあるでしょう。

未経験の状態からではなく、経験を積んだ状態でのキャリアチェンジとなります。

そのため、この点は他の人に比べてこの点は大きなアドバンテージとなるのです。

メリット2.介護業界に対するスキルや知識の幅が広がる

福祉コンサルタントになると、介護業界や福祉関連のスキルや知識の幅が広がります。

これは、コンサルタントとして、様々なタイプの介護施設や福祉関連企業と関わるためです。

例えば、介護施設別の特徴やそこで働くスタッフの仕事内容などを知ることもあるでしょう。

それぞれの施設で各スタッフが何をしているのかがわかれば、課題や改善点がどこに出てくるのかも考えやすくなります。

自分自身の知識や経験の幅が広がれば、仕事のチャンスなどもさらに増えていくはずです。

メリット3.給料アップの可能性がある

福祉コンサルタントに転職することで、給料がアップする可能性があります。

これは、コンサルタントという職種の平均給与が比較的高めとされているためです。

例えば、ある求人では、福祉関連企業へのコンサルタントを行う企業の年収は420万円以上でした。

一方で、介護福祉士の平均給与は約312万円とされています。

転職することで福祉関連施設で働いていた時よりも給料が一気にアップするケースもあるでしょう。

4.福祉コンサルタントになるには

では、福祉コンサルタントになるにはどうすればいいのでしょうか?

1つの流れとして考えられるのは福祉関連の業界で業務経験を積んでから転職を目指すというものです。

先ほども説明したように、業界内の知識や経験があることは大きなアドバンテージとなります。

ただし、この場合コンサルタントとしての経験がありません。

そのため、まずコンサルティング関連の業務ができる企業に転職するのが現実的でしょう。

要するに、コンサルティングの経験を積み将来的に福祉コンサルタントになるという流れです。

ちなみに、福祉関連の業界だけでなく、医療業界などでの業務経験も福祉コンサルタントとして活動する際に活かせるでしょう。

コンサルタントはクライアントをはじめとして多くの人と関わることになります。

そのため、コミュニケーションスキルのような対人関係のスキルが高いことに越したことはありません。

また、資格に関しては、特に持っていなくても活動はできますが、福祉コンサルタントとして活動するのであれば、介護福祉経営士を取るのも1つの方法です。

介護福祉経営士は、介護福祉の経営に関する専門家であることを証明する資格となります。

福祉コンサルタントとして活動するのであれば、取得しておいて損はしないでしょう。

介護福祉経営士とは?

介護福祉経営士とは、介護福祉の経営を担う専門職のことです。

介護福祉に関連する各種法律や財務・会計、コンプライアンス、人材育成などに関わる各種知識を習得しています。

介護福祉経営士は、介護福祉士の様な実際の介護現場で働く人が自身のキャリアパスとして活用可能です。

また、介護施設の経営者が高いレベルのマネジメントスキルを学び経営に活かしていくケースも少なくありません。

さらに、介護関連の職種から独立して自分で事業を起こす人が取得する人もいるなど、様々な人が取得することを想定しているのがこの資格の特徴です。

そのほかにもコンサルタント会社のスタッフが取得することで福祉関連の事業におけるコンサルタントを行う際に活かすケースもあります。

福祉コンサルタントが介護福祉経営士を取得することで、現場で働くスタッフや施設の経営者とのコミュニケーションがはかりやすくなるのです。

そうすれば、さらなるビジネスチャンスにつなげることも期待できるでしょう。

5.福祉コンサルタントとして働くには

ここからは、福祉コンサルタントとして、実際に働くためにはどうすればいいのか、具体的な仕事の見つけ方について解説します。

方法はいくつかあるので、自分に適したものを選んでみてください。

(1)福祉関連のコンサルティングを行っている企業に入社する

福祉コンサルタントとして働く方法としては、コンサルティング会社に入社することが挙げられます。

これは、コンサルタントを行なっている会社であれば、福祉関連企業のコンサルタント案件を担当できる可能性があるためです。

例えば、幅広いジャンルのコンサルタントを行なっている会社でも、福祉関連企業の案件を扱っているケースもあります。

福祉関連の案件を扱っていれば、その業界での勤務経験のあるあなたを企業側も活用しようと考えるかもしれません。

最初から福祉コンサルタントとして活動できるかどうかは企業にもよりますが、チャンスは十分にあるはずです。

求人サイトをチェック

福祉コンサルタントとして働ける企業を探す場合、求人サイトの活用がオススメです。

求人サイトの検索欄で、実際に「福祉コンサルタント」と検索してみたところ数件の企業がヒットしました。

求人サイトには以下のようなものが挙げられます。

また、求人サイト以外にも、転職エージェントに相談してみるのも1つの方法です。

転職エージェントは、基本的に利用料金がかかりません。

また、転職希望者に対しては専任の担当者がつき、志望動機などの提出書類の添削や面接対策を行ってくれます。

求人サイトでは掲載されていない様な求人を扱っているケースもあるので、こちらもぜひ利用を検討してみてください。

(2)フリーランスとして活動する

福祉コンサルタントとして働く2つの目の方法は、フリーランスとして活動するというものです。

フリーランスという形であれば、すぐにでも活動を始めることができます

ただし、仕事を自分自身で見つけてこなければいけません。

また、経理関係の各種手続きや営業活動、確定申告など本業以外でやることが多くなってしまいます。

さらに、コンサルタント会社での業務経験がないとなかなか仕事が得られない可能性もゼロではありません。

もし過去にコンサルティング会社で働いていたことがある場合は、この方法も1つの選択肢となるでしょう。

6.福祉コンサルタントに求められる資質

福祉コンサルタントに必要な資質

ここからは、福祉コンサルタントとして働くうえで必要となる以下の資質について解説します。

コンサルタントとしてのスキルや知識はもちろんですが、それ以外の資質がなければ十分な成果を残すことは難しいです。

そこで、求められるのが以下3つの資質となります。

  1. 柔軟な思考を持っている人
  2. 学習する意欲のある人
  3. コミュニケーションスキル

ぜひチェックしてみてください。

(1)柔軟な思考を持っている人

コンサルタントとして働くうえでは、柔軟な思考を持っていることが欠かせません。

これは、コンサルタントは様々な視点から物事を分析するケースが多いためです。

例えばある介護施設のコンサルタントを担当することになったとき、自分では「こうしたほうがいい!」という考えを持っているかもしれません。

しかし、利用者やスタッフへのヒアリングを進めていくうちに自分の考えが適していないとわかるケースもあります。

そういったときに、自分の考えを柔軟に変更できるかどうかは重要なポイントです。

コンサルタントは、自分の考えを押し付けることが目的ではなく、あくまでもクライアントの課題解決が目的ということを忘れてはいけません。

目的を達成するためにはどうすればいいのか、を常に考えながら何事にも柔軟に対応できる様にしておきましょう。

(2)学習する意欲のある人

コンサルタントは、コンサルティングに関する知識やスキルが求められます。

また、それ以内にも担当する業界やその周辺業界に関する知識、さらには一般的な社会情勢や経済の動向などを把握することも必要です。

これは、知識やスキルの向上ができていないことで違和感を与えてしまうことが関係しています。

「いつの話をしているの?」

「業界のことをわかっていない人だなあ」

という印象を持たれてしまうのです。

このような事態を避けるためにも、常に学習する意欲は持っておく必要があると言えます。

そのため、常に周囲にアンテナを張り情報収集や学習に取り組む必要があるでしょう。

(3)コミュニケーションスキル

コンサルタントは、仕事を通してたくさんの人と関わることになります。

特に福祉コンサルタントとなると、同僚以外にも介護施設のスタッフやそこの利用者、さらには利用者の家族と話をする機会もあるでしょう。

そういったときに欠かせないのがコミュニケーションスキルです。

相手の話をちゃんと聞き、相手の意見を踏まえて自分の意見を伝えることは仕事をするうえでは必須となります。

コンサルタントだからと言って、威張り散らす様な事はあってはいけません。

施設のスタッフに対しても、経営者に対しても利用者に対しても同じ姿勢でコミュニケーションを取るようにしましょう。

7.福祉コンサルタントの将来性は?

これから福祉コンサルタントを目指す人に中には、将来性を気にする人もいるのではないでしょうか。

福祉関連の仕事は、高齢化の影響もあり需要はかなり高いと言えます。

また、不景気になっても高齢者の福祉施設などに対するニーズは変わらないため、そういった意味では安定しているともいえるでしょう。

さらに、コンサルタントの仕事は、経験を積み重ねていくことで、独自性や専門性を発揮することができます。

そのため、これから先福祉コンサルタントとしての活動を継続して行なっていくことで、福祉分野の専門家としてのキャリアアップを築くことができるでしょう。

福祉コンサルタントは、福祉業界の需要の高さと、自身の専門性を磨いていくことで、将来にわたって活躍できる仕事となるはずです。

まとめ

今回は、福祉コンサルタントに関して、その概要から仕事内容、働く方法などについて解説しました。

福祉関連の仕事は施設で働くことだけではありません。

福祉コンサルタントのように、施設の外から関わる方法もあります。

もちろん、現在福祉関連の仕事をしている人がいきなり福祉コンサルタントになるのは簡単ではありません

しかし、資格を取得して少しずつ学ぶことができれば、十分に目指すことは可能です。

まずは、第一歩を踏み出す勇気を持って、スタートしてみてください。