キャリア

介護福祉士とは?介護士との違いを5つのポイントで徹底比較!

「介護福祉士ってどんな仕事なの?」

「介護福祉士って資格をどのように取得するの?

と、気になる方もいるでしょう。

この記事では、介護福祉士はどのような仕事なのか、どんなメリットがあるのかを解説します。

この記事を読めば、介護福祉士の役割が分かりますよ!

1.介護福祉士とはなにか?

介護福祉士とは

介護福祉士という言葉を聞いて、どのような仕事かイメージがわかない人もいるでしょう。

厚生労働省の資料によると、介護福祉士は次のような役割を担う資格とされています。

  • 名称独占の国家資格
  • 専門的知識・技術をもって介護をする
  • 介護者に指導する

日常の介護業務だけでなく、介護者への指導的な役割も求められるのです。

さらに、介護福祉士は今後も需要が高まる資格でもあります。

なぜなら、高齢者の割合は今もなお増え続けているからです。

例えば、総務省統計局の調べによると、2019年の65歳以上の高齢者の割合は、28.4%。

2040年には、35.5%まで上がると予想されています。

日本ではどんどん高齢化が進むので、介護福祉士のような専門的な技術や知識を持った人がどんどん求められるでしょう。

では、介護士と介護福祉士にはどのような違いがあるのでしょうか?

次の章では、2つの違いを5つのポイントで比較します。

2.介護福祉士と介護士の5つの違いとは?

介護福祉士と介護士は、「介護福祉士の概要」によると5つの違いがあります。

それぞれの項目を分かりやすくするために表にまとめました。

給料にも違いがあることがわかるはずです。

  介護士 介護福祉士
資格 介護職員初任者研修
(資格がなくても働ける)
国家資格
資格取得に必要な期間 介護職員初任者研修
→最短1か月
①実務経験+実務者研修
→最短3年
②養成施設
→福祉関連の高校:3年
→それ以外の高校、大学卒業:2年
必要な実務経験年数 なし ①実務経験+実務研修
→3年半以上
②養成施設→不要
仕事内容 現場の介護 指導的な立場も求められる
給料面 26~28万円 30万円前後

また、介護福祉士と介護士とでは、資格取得に必要な期間や仕事の内容が変わります。

どのような違いがあるのか、具体的に見ていきましょう!

資格の違い

介護福祉士と介護士の大きな違いは、国家資格かどうかです。

介護福祉士は、厚生労働省から定められた国家資格

資格取得には、実務経験が3年以上必要です。

介護士は、資格がなくても仕事を始められます。

介護士の経験を積むと、スキルアップのために「介護職員初任者研修」を受講する人が多いです。

介護職員初任者研修とは?

厚生労働省が認可している介護研修です。

介護員養成研修の取り扱い細則によると、介護士として働くために必要な最低限の知識や技術の取得を目的としています。

研修を終了すると、求人数が増え、資格手当が貰えます。

介護福祉士を取得する期間は、選ぶルートによって異なります

選ぶルートごとに、どの程度の期間が必要なのかを見ていきましょう!

3.介護福祉士の資格取得に必要な期間

介護福祉士と介護士の大きな違いは、国家資格の違いであることを述べました。

介護福祉士は、国家資格として国から認定されています。

介護福祉士の資格取得方法は、以下の3つです。

  1. 実務経験
  2. 養成施設
  3. 福祉系高等学校

1つひとつ見ていきましょう!

(1)実務経験の場合

介護士の実務経験を積みながら、資格を取得するには以下の条件が必要です。

  • 介護業務従事した経験 3年以上(実労働540日以上)
  • 介護福祉士実務者研修の受講
実務者研修とは?

  • 介護福祉士を取得するのに必要な研修です。研修は、6か月以上で、450時間以上の研修を受講する必要があります。

介護士として働きながら介護福祉士になるには、介護業務3年と実務者研修6か月以上の期間が必要です。

(2)養成施設の場合

介護福祉士の養成施設を卒業した後に、介護福祉士の試験を受験する道もあります。

養成施設を卒業して資格を取得するには、最低でも2年以上の期間が必要です。

養成施設は、専門学校や短期大学に併設されています。

養成施設に関しては、厚生労働省の「介護福祉士養成施設一覧」を参照してください。

(3)福祉系高等学校の場合

福祉系高等学校を卒業後に、資格を取得する方法もあります。

卒業に必要な年数は、他の高等学校と同様に3年です。

福祉系高等学校を卒業すると、介護福祉士の実技試験が免除されます。

福祉系高等学校は、厚生労働省から定められた高校です。

指定の高校を知りたい方は、「福祉系高等学校一覧」を参考にしてみてください。

4.介護福祉士の具体的な仕事内容

介護福祉士の仕事内容

介護福祉士の資格を得るのに必要な期間を紹介しました。

ここからは、介護福祉士の仕事内容を紹介します。

主な仕事内容は、こちらです。

  1. 介護業務
  2. 介護者への指導
  3. 責任者

介護福祉士になってからも、日常の介護業務を行います。

また他の介護者の指導や介護主任を担うことも。

介護福祉士の資格は、介護士としてのキャリアアップにおすすめです!

とはいえ、せっかく資格を取得しても、給料も気になるでしょう。

次の章では、給料について紹介します。

5.介護福祉士になると給料はどのくらいになる?

介護福祉士の平均月収

介護福祉士になると給料がアップするのか気になる方もいるでしょう。

介護士と介護福祉士の給料を比較しました。

介護福祉士の資格は、資格がない場合よりも5万円近く給与が貰えます

厚生労働省 介護職員処遇改善給付金の効果について」によると、給料は以下の通りです。

  平均月給(常勤)
保有資格なし 261,600円
介護職員初任者研修 285,610円
介護福祉士実務者研修 288,060円
介護福祉士 313,920円

*平成30年9月調べ、経験年数は5-8年

ただし資格取得には費用が必要です。

どの程度の費用が必要なのか気になる人もいるでしょう。

介護福祉士の資格取得には、およそ20万円の費用がかかります。

内訳は以下の通りです。

資格名 費用
介護職員初任者研修 約6万円
介護福祉士実務者研修 約13万円
介護福祉士国家試験 15,300円

*関東の5つの養成施設の平均値です(日本キャリアパスアカデミークリエ福祉アカデミーむさし介護アカデミーメディカルライフケア湘南国際アカデミー

資格取得の費用で受講するのをためらってしまう方もいるかもしれません。

もし仮に、費用が高額で受講できないと考えているのであれば、『介護福祉士修学資金貸付制度』を利用するのもよいでしょう。

介護福祉士修学資金貸付制度は、厚生労働省が定めたものです。

介護福祉士の資格取得を促すために定められた制度でもあります

例えば、東京都の場合を見てみましょう。

就学資金としてサポートが得られるのは、以下の費用です。

介護福祉士の受講に悩んでいる時の参考にしてみてください。

介護福祉士の給料について紹介しました。ここからは、介護福祉士の国家試験について解説します。

6.介護福祉士の国家試験ってどんなもの?

介護福祉士の給料について述べました。

ここからは、介護福祉士の国家試験について紹介します。

紹介する内容は、以下の3つです。

  1. 受講資格
  2. 試験の合格率
  3. 介護福祉士の試験範囲

それでは、1つひとつ解説します。

(1)受講資格

介護福祉士の受講資格を得るためには、3つの方法があります。

  • 実務経験を積む
  • 福祉系の高等学校に通う
  • 養成施設に通う

それぞれの方法で、受験資格を得るまでの期間は異なります

  実技経験を積む 福祉系の高等学校に通う 養成施設に通う
実務経験 3年 -(ただし特例校の場合は9ヵ月の研修期間が必要)
介護福祉士実務者研修の受講 必要 不要 不要
受験資格を取得するのに必要な期間 3年半 3年 2年~4年

どのルートを選ぶかで資格取得までの道のりが変わります。

具体的などのルートを選べばよいか気になる方は、以下の記事を参考にしてください。

介護福祉士になるには実務経験を積もう!資格取得までを徹底解説

(2)試験の合格率は?

過去5年分の試験の合格率を、まとめました。

  第28回 第29回 第30回 第31回 第32回
合格率 57.9% 72.1% 70.8% 73.7% 69.9%

引用元:厚生労働省 第32回介護福祉士国家試験合格発表

令和2年の合格率は69.9%です。例年70%前後で推移しています。

介護福祉士の合格率は、介護に関連する資格の中では高いです。

実際に他の介護関連の資格と比較してみましょう。

介護関連の資格 合格率
介護福祉士 69.9%
社会福祉士 29.9%
介護支援専門員(=ケアマネ) 19.5%
介護事務管理士 50%

介護福祉士は、介護関連の資格の中でも高い合格率です。

しっかりと対策をすれば、合格する範囲に届く試験と言えるでしょう。

(3)介護福祉士の試験範囲は?

介護福祉士の試験範囲は、厚生労働省の「介護福祉士の概要」によると、以下の通りです。

筆記試験の概要

  • 社会福祉概論
  • 老人福祉論
  • 障害者福祉論
  • リハビリテーション論
  • 社会福祉援助技術
  • レクリエーション活動援助法
  • 老人、障害者の心理
  • 家政学概論
  • 医学一般
  • 精神保健
  • 介護概論
  • 介護技術
  • 形態別介護技術

資格取得には、試験範囲と過去問の分析が必須です。

試験範囲を知ることで、資格取得に向けて効率的に勉強することができます。

7.介護福祉士国家試験を合格に導く学習のコツとは?

介護福祉士の国家試験に合格するには、医療用語の理解が不可欠です。

医療用語は、介護の経験をしていた方が理解やすいでしょう。

たとえば、高次脳機能障害という言葉。

4つの代表的な症状があります。

実務経験がないと、高次脳機能障害の症状を丸暗記するしかありません。

介護経験があれば、担当した利用者からどのような症状なのかをイメージしやすいです。

他にも介護福祉士の国家試験では、喀痰吸引に関する問題も出題されます。

現場での経験があれば、吸引に必要な物品や吸引前後の注意点について理解しやすいでしょう。

介護福祉士の国家試験を目指すなら、実務経験を通して勉強するのが効率的です!

介護福祉士の資格取得までの流れを知りたい方は、こちらも参考にしてみてください。

介護福祉士になるには実務経験を積もう!資格取得までを徹底解説

8.介護福祉士を目指すならルートを考えよう

介護福祉士を目指すなら、どのルートで目指すのかを考えましょう。

介護福祉士になるには、大きく分けると3つのルートがあります。

  1. 実務経験
  2. 養成施設
  3. 福祉系の高等学校

実務を経験していた方が医療用語を理解できるメリットはあります。

しかし、養成施設の方がゆっくりと介護の勉強ができるメリットもあるのです。

あなたの今現在のキャリアでどのルートで資格を取得するのかを決めるべきでしょう。

すでに介護士としての1年の実務経験があるなら、働きながら資格を取得するべきです。

もし高校を卒業する予定なら、実務経験と養成施設のそれぞれのメリットを比較しながら決めるのがよいでしょう。

どのルートで介護福祉士を取得するのか迷っている人は、こちらも参考にしてみてください。

介護福祉士になるには実務経験を積もう!資格取得までを徹底解説

【参考】介護福祉士について知っておきたいQ&A

介護福祉士について、よく質問されることをまとめました。

(1)介護福祉士の試験日はいつ?

2021年度の国家試験社会福祉士・試験センターによると以下の日程で行われます。

  • 筆記試験:令和3年1月31日
  • 実技試験:令和3年3月7日

試験の申し込みは、令和2年8月12日から9月30日までです。

(2)介護福祉士の試験会場はどこ?

介護福祉士国家試験の試験会場は、以下の通りです。

筆記試験(34試験地)
北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、福島県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、石川県、岐阜県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県
実技試験(2試験地)
東京都、大阪府

事前に受験会場を知ることはできません。

試験の申し込みをした後に受験票が郵送されます。

郵送される受験票にしか試験会場は記載されていません

(3)介護福祉士を取得すると就職や転職に有利になる?

介護福祉士の資格を取得すると就職や転職に有利に働きます

なぜなら、介護福祉士を採用することで「サービス提供体制強化加算」というお金を国から貰えるからです。

サービス提供体制強化加算」を狙って、介護福祉士を採用する事業所もあります。

介護福祉士の資格を持っていると、就職や転職では有利になるでしょう。

まとめ

介護福祉士とはどんな仕事なのかについて紹介しました。

介護士と介護福祉士の違いについて振り返っておきましょう。

  介護士 介護福祉士
資格 介護職員初任者研修
(資格がなくても働ける)
国家資格
資格取得に必要な期間 介護職員初任者研修
→最短1か月
①実務経験+実務者研修
最短3年
②養成施設
福祉関連の高校:3年
福祉関連以外の高校、大学卒業:2年
必要な実務経験年数 なし ①実務経験+実務研修
3年半以上
②養成施設 不要
仕事内容 現場の介護 指導的な立場も求められる
給料面 26~28万円 30万円前後

介護福祉士の資格を取得することで、給料が上がります。

また指導的な立場を求められたり介護主任の候補にもなることも。

介護福祉士を目指すのであれば、自分に合ったルートを選びましょう

介護福祉士のルートに関しては、こちらで紹介しています。

介護福祉士になるには実務経験を積もう!資格取得までを徹底解説

介護士としてステップアップを考えるなら、介護福祉士を検討してみてはいかがでしょうか。