看護歴8年 28歳女性Tさん
――慢性期の看護をしていて良かったなと思うことを教えてください。
まずは時間的な働きやすさですね。シフト交代制で残業も少ないです。
プライベートを大事にしたい人や、結婚していたり子どもが居る家庭の人でもこなせる職場が多いのではないでしょうか。職場の人も優しいです(笑)
落ち着いた患者さんばかりなので処置も少なく、病棟時代のようにバタバタすることも少ないですね。
――逆に、大変なところは?
大変なところというか、ちょっとした不安に悩んでいた時期もありました。
――不安?
チャキチャキと患者さんを捌く急性期のナースって格好良いじゃないですか。慢性期の多い職場で看護師としてのスキルが鈍ってしまわないかなあという不安がありました。
――今はそうでもない?なにか心境の変化があったのでしょうか?
そうですね。今は自信をもってやっています!
急性期と慢性期では求められるスキルが違うんだなあと思えるようになったからです。
たくさんの患者さんを検温、保清、介助もそうですし、入退院の管理も行います。よくよく考えてみると、急性期ではやらない、また違った種類の仕事なんだなと気づいたんですよ。
――なるほど。慢性期、と耳にするとゆっくりしたイメージがありますが、実はそうでもないんですね。
そうですね、それだけ一人のナースが抱える患者さんの数は増えるので。たしかに「ゆっくり」というイメージはあるかもしれません。急患がほとんどないので、気持ち的にはある意味で「ゆっくり」かもしれません。ただ、ちゃんとやるべき仕事があってやりがいのある看護だと思います。
――それでは、これから慢性期へ転職を考えている後輩にアドバイスをお願いします!
そうですね、もし急性期が辛い!と考えているのであれば、ちょっと心配かな。病院や職場によってまちまちにはなるかと思いますが、同じ看護なので仕事の量自体はそこまで激しく変わらないはずです。
慢性期は慢性期で、また違った難しさや悩みがあるので。
もし消極的な理由で慢性期を選ぶのであれば、もう少し急性期で頑張ってみてもいいかもしれません。スキルを磨く良い機会になると思いますよ。
積極的な理由で慢性期を選ぶのであれば、もちろん大歓迎です。うちは人が足りないので助けてください~~(笑)
慢性期で看護師として働こうかお悩みですね。
慢性期で働くのは、仕事とプライベートを両立させたい看護師には人気な働き方です。
しかし、注意点も押さえておかなければ、給料が下がるなど不満を感じるかもしれません。
そこで今回は、慢性期で働く看護師になるメリットや事前に知っておきたいポイントをご紹介します。
慢性期で働く注意点も押さえた上で、自分に最適な働き方を選びましょう。
目次
1.慢性期で働く看護師とは?
慢性期で働く看護師とは、療養型病院で働いている看護師のことです。
慢性期の患者が入院する療養型病院には、医療療養病床と介護療養病床の2つがあります。
介護療養病床は2017年度末に廃止が決定して、介護医療院に移行中です。
そのため、これから慢性期で看護師として働くなら、医療療養病床や介護医療院を探すことになるでしょう。
慢性期で看護師として働くのは、2交替勤務が多くて働きやすいのが魅力の1つだとされています。
ですので、子供がいる看護師や中途採用の看護師も珍しくありません。
さらに、1日の看護業務の主な流れが決まっているケースがほとんどなので、仕事とプライベートを両立させやすいです。
家庭を大切にしながら、患者に長期的に寄り添いたい人にはピッタリな働き方だと言えます。
1−1.慢性期で働く看護師が関わる患者の特徴
慢性期で働く看護師が関わる患者は、体の調子の維持や改善を目指して治療を受けています。
そのため、一人ひとりの患者に対して長期的な看護を行わなければなりません。
なぜなら慢性期とは、病状は安定しているものの、治癒が難しい状態が長く続く時期だからです。
例えば、慢性期施設にいる患者には、脳卒中疾患を持っている患者が多いとされています。
さらに、心疾患や慢性呼吸器疾患、癌なども併発していることもあり、寝たきりの患者も珍しくありません。
70代や80代以上の高齢な患者が慢性期にはたくさんいます。
1−2.慢性期で働く際に役立つ資格や知識
慢性期で看護師として働く際には、以下の資格が役に立ちます。
- 認定看護師
- 専門看護師
- ケアマネージャー
認定看護師と専門看護師は、特定の看護分野におけるスペシャリストとなれる資格です。
例えば、脳卒中リハビリテーション看護の認定看護師になれば、慢性期で働く際に高待遇を狙えます。
実務にも役に立つ知識が身につくので、スキルアップに興味があるなら取得を考えてみましょう。
ケアマネージャーは、医療と介護をつなぐ看護師になれる資格です。
患者にとって最適なケアが提案できるようになるので、一人ひとりの患者に自信を持って向き合いたい人にはピッタリだと言えます。
以上のような資格が役に立つ慢性期での看護ですが、具体的にどのような業務内容なのかを見ていきましょう。
2.慢性期で働く看護師の業務内容
慢性期で働く看護師の主な業務内容は、病状悪化の発見や予防のためのバイタルチェック
、日々の健康管理、リハビリのサポートです。
長期的に施設に入院する患者が多いので、医療行為だけではなく快適な生活環境の整備も求められます。
施設によっては、ターミナルケアのような終末期看護まで行うところも多いです。
介護士など他の専門職と力を合わせて、身体的なケアだけではなく、心理的なケアまで行います。
寝たきりの患者がストレスなく入院できるように、日常的な会話から困っていることを聞き取って解決するのも業務内容なのです。
実際に慢性期の施設で働くなら、血圧や体温測定、栄養剤の注入、入浴介助というように、1日の業務にルーチンがあるので事前に確認しましょう。
3.慢性期で働く看護師の3つのメリット
慢性期を選ぶかお悩みなら、メリットを確認してから考えてみるのがおすすめです。
慢性期で働く看護師には、3つのメリットがあります。
- 急性期病院よりも2交代制が多く体力的に楽である
- 患者と長期的に深い関係を築きやすい
- 歳をとってからも安心して働ける
急性期病院と比べると、体力面や時間面で働きやすさを感じる人が多いです。
また、患者と長期的に向き合うことにやりがいを感じる人もいます。
それぞれのメリットについて、順番に確認していきましょう。
メリット1.急性期病院よりも2交代制が多く体力的に楽である
慢性期の施設は、急性期病院よりも体力的に楽だと言われています。
なぜなら勤務は2交代制が多く、急な残業も少ないためです。
急性病院で働くのは体力的に厳しいと感じた人でも、慢性期でなら看護師として活躍できるケースは珍しくありません。
そのため、年齢を重ねてから看護師に復帰しようと思った人が慢性期を選ぶこともよくあります。
また、残業が少なくプライベートを大切にしやすいので、家庭を持っている看護師にも人気です。
メリット2.患者と長期的に深い関係を築きやすい
患者と長期的に深い関係を築きやすいのも、慢性期で働く看護師のメリットです。
急性期よりも長く入院している患者がほとんどなので、患者にとって慢性期の施設は生活の場となっています。
そのため、病気について以外の日常的な相談を受ける看護師も多いです。
患者に良い環境で生活してもらえるように、集中して看護師としての業務に取り組めます。
メリット3.歳をとってからも安心して働ける
慢性期では年齢を重ねた看護師が多数活躍しています。
なぜなら、中途採用の募集も多く、慢性期以外での経験も評価されやすいためです。
看護師全体の平均年齢は37歳程度だと言われています。
一方、慢性期で働く看護師の平均年齢は、全体よりも高い傾向が強いです。
急性期で積んだ経験を活かして慢性期に転職するベテラン看護師も多いです。
若いうちから慢性期で働くことを選び、キャリアを積み重ねる人も少なくありません。
40歳を超えても安心して働ける環境があるのは、慢性期の大きなメリットです。
以上、慢性期で看護師として働く3つのメリットをご紹介しましたが、知っておくと良い注意点もあるので見ていきましょう。
4.慢性期で看護師として働く前に知っておきたい注意点
慢性期で働く前に、注意点を知っておけば後悔しにくいです。
慢性期で看護師として働く前に知っておきたい注意点は、2つあります。
- 慢性期看護師の給料は残業代が少ない
- 慢性期で急性期のスキルアップはしにくい
注意点を知らないまま転職すると、環境に納得できずにまた転職しなおすことになるかもしれません。
それぞれの注意点について、順番に確認していきましょう。
注意点1.慢性期で働く看護師の給料は残業代が少ない
慢性期で働いている看護師の給料について、残業代が少ないことは事前に知っておくと安心です。
基本給自体は急性期で働いている看護師と同じなケースがほとんどとなっています。
しかし、残業代が少ない分、急性期の看護師よりは給料の合計金額が少なくなりやすいです。
また、1ヶ月における夜勤の回数も慢性期は急性期より少ない点も併せて押さえておきましょう。
注意点2.慢性期で急性期のスキルアップはしにくい
慢性期で急性期のスキルアップはしにくいということも、事前に押さえておけば納得できるキャリア形成がしやすくなります。
なぜなら、慢性期と急性期は必要となる看護スキルや知識が異なるためです。
もしも急性期で活躍できる能力をつけたいなら急性期で働く必要があります。
もちろん慢性期での業務を学び、急性期に移るケースも珍しくありません。
もしも不安なら、まずは慢性期で働いて看護師として向いているのかを考えてみましょう。
5.慢性期で看護師として働くのが向いている人
慢性期で看護師として働く人の多くは、長期的な患者への看護や、仕事とプライベートの両立に魅力を感じています。
慢性期で看護師として働くのが向いている人は、以下の通りです。
- 一人の患者と長期的に向き合いたい人
- 残業を減らしてプライベートを大切にしたい人
- 2交代制で残業の少ない環境で働きたい人
- 中途採用で看護師として働きたい人
- 長く看護師として働き続けたい人
- 給料を最重要視していない人
もしもあなたが以上のようなポイントに共感するなら、慢性期で働くことを前向きに考えてみましょう。
一方で、急性期ならではのやりがいにも関心がある人は、ケアミックス型という選択肢もあります。
5−1.慢性期と急性期の両方を扱うケアミックス型で働くのも有り
慢性期で働くか悩むなら、慢性期と急性期の両方を扱うケアミックス型を選ぶのも良いです。
ケアミックス型なら、慢性期と急性期の両方の実務を試すことができます。
そのため、今後のキャリアについてより深く考えられるはずです。
また、ケアミックス型では幅広い病状の患者と接するので、看護師として適切な状況判断を行う能力が身につきます。
いろいろなケースで多くの経験を積んで、看護師としてスキルアップしたいならケアミックス型で働くことも考えてみてください。
最後に、看護師が慢性期やケアミックス型で働く際に使いやすいサイトをご紹介します。
6.慢性期で働くのに看護師が使いやすい転職サイト3選
療養型病院の掲載数が多い転職サイトを使えば、慢性期で看護師として働きやすくなります。
慢性期で働くのに看護師が使いやすい転職サイトは、以下の3つです。
- ナースAGENT
- 看護roo!
- ジョブメドレー
それぞれの転職サイトについて、順番に確認していきましょう。
おすすめ1.ナースAGENT
慢性期で働くのに、まず利用しておきたいサイトがナースAGENTです。
ナースAGENTは、慢性期の求人数が1,000件以上とたくさん掲載されています。
ほとんどのサイトが200件から300件程度なので、ナースAGENTの求人数は多いです。
都道府県や市区町村で検索結果を絞ることができるので、自分の働きたいエリアに慢性期の求人が無いかを見てみましょう。
サイト名 | ナースAGENT |
URL | https://www.nurse-agent.com/ |
特徴 | 慢性期の求人数が1,000件以上(2020年6月現在) |
おすすめ2.看護roo!
慢性期で働いた経験がなく転職が不安なら、看護roo!の利用も考えてみましょう。
看護roo!は、無料で応募手続きの代行や、履歴書の添削、面接指導が受けられるのです。
転職経験がない人にもおすすめできるサイトとなっています。
サイト名 | 看護roo! |
URL | https://www.kango-roo.com/ |
特徴 | 無料での手厚い転職サポート |
おすすめ3.ジョブメドレー
慢性期以外の求人も併せて探したいという人は、ジョブメドレーが最適です。
ジョブメドレーは、2020年6月現在、全国でおよそ280,0000件の事業所の求人情報を掲載しています。
業界最大規模の求人数なので、給料や勤務時間などあなたの希望に沿った職場が見つかりやすいです。
サイト名 | ジョブメドレー |
URL | https://job-medley.com/ |
特徴 | 日本最大級の求人数 |
まとめ
慢性期で働く看護師は、慢性期病院で入院患者のサポートを行い、患者の回復を支援します。
患者と接して深い関係を築き上げることに魅力を感じる人や、プライベートも大切にしたい人には、慢性期で看護師として働くのが向いているでしょう。
急性期で働く看護師よりは、残業が少なく、2交代制が多いので体力面で働きやすいのは嬉しいメリットです。
慢性期で働くことに興味があるなら、まずは求人情報を見てみましょう。