看護師の働く場所は病院や介護施設だけではありません。
「地域包括支援センター」という施設もまた、看護師の勤務する施設です。
あまり知られていないこの施設ですが、実はハードな働き方を見直したい看護師さんには非常におすすめの転職先といえます!
おまけに今までのキャリアを活かしてさらなる経験を積むのにもうってつけの場所です。
そこでこの記事では、「地域包括支援センター」について詳しくご紹介します。
どんな仕事内容があるのか、そこで働くメリットは何か、詳しい情報を一挙大公開!
転職を考えている看護師さんや、キャリアアップを目指す人は特に必見です。
ぜひこの記事の内容を参考に、地域包括支援センターを転職先の候補として検討してみてくださいね。
目次
1.あまり知られていない「地域包括支援センター」とは?
地域包括支援センターと聞いて、あまりピンとこない方も多いのではないでしょうか。
実際のところ、地域包括支援センターは看護師の転職先としてあまり認知されていません。
そこでまずはじめに、地域包括支援センターがどんな施設なのかご紹介します。
地域包括支援センターとは、いわば「地域に住む高齢者のためのサポートセンター」のようなものです。
高齢者が地域のコミュニティと関わりを持ちながら、自立した日常生活を送れるように支援するのが地域包括支援センターの役割といえます。
また、地域包括支援センターは市区町村ごとに設置されていることが多数。
市役所のように、その街の高齢者の生活を包括的にサポートします。
ちなみに対象となる高齢者に、介護度や持病などの制限はありません。
65歳の高齢者で、その地域に居住していれば誰でも利用できるのが特徴です。
さらに高齢者本人だけでなく、その家族や近隣住民からの相談も受け付けています。
では地域包括支援センターは、具体的にどのような業務をおこなう場所なのでしょうか。
さらに詳しく見ていきましょう!
2.地域包括支援センターの役割
では、地域包括支援センターは具体的にどのような業務を行う施設なのでしょうか。
地域包括支援センターの業務は、その役割ごとに分類することができます。
地域包括支援センターの役割をまとめると、以下の通りです。
- 介護予防ケアマネジメント
- 包括的・継続的マネジメント
- 相談窓口
- 高齢者の権利擁護
それではそれぞれの役割と、それに伴う業務内容を詳しく見ていきましょう。
役割1.介護予防ケアマネジメント
地域包括センターの役割1つめは介護予防ケアマネジメントです。
介護予防ケアマネジメントは、高齢者が介護を必要とせずに生活できるよう、健康をサポートするというもの。
要支援認定となった人や、介護が必要な人に対して介護ケアプランを作成します。
また、業務内容はこれだけではありません。
高齢者に対して、以下の項目が問題ないかどうか診断するのも仕事の1つです。
- 公共の交通機関を使って移動ができるかといった移動能力
- 日常の生活スキル
- 対人関係
- 健康
もしこれらのいずれか1つでも問題が発見された場合、その人に合ったケアプランを作成して実行するのが地域包括支援センターの仕事です。
ただ身体的な介護の必要な人に対してケアプランを作るだけでなく、精神的・肉体的な健康や、対人関係においても細やかに目を配ります。
そのうえで、運動機能向上のリハビリを勧めたり、うつ防止のセミナーへの参加を推奨したりするのです。
役割2.包括的・継続的ケアマネジメント
2つめの役割は、包括的・継続的ケアマネジメントです。
これは高齢者をあらゆる側面から、継続的にサポートするというもの。
そのために、地域包括支援センターを中心として地域に広いネットワークを構築します。
例えば介護施設やケアマネージャー、病院、役所の保険関係の部署、自治会など。
先ほどご紹介した介護予防ケアマネジメントという役割を果たすためにも、このネットワークは非常に重要です。
このネットワークが出来上がることにより、あらゆる機関を巻き込んで高齢者を支援していくことができます。
ただし当然他の期間に仕事を割り振るだけではありません。
地域包括支援センターでは具体的に、ケアマネージャーと相談する、自治体と一体となって地域ケア会議を開くなどします。
このように、地域包括支援センターが主体となって様々な地域の施設と連携を取り、一人ひとりの高齢者をあらゆる角度から支援していくのです。
役割3.相談窓口
3つめの役割が個別相談窓口です。
地域包括支援センターでは、高齢者やその家族からのあらゆる相談に対応します。
業時間は常に営窓口での相談や電話での相談を受け付けているのが特徴です。
地域包括支援センターにはあらゆる相談が舞い込んできます。
例えば「おじいちゃんをそろそろ施設に入れたいのだがどうしたら良いか。」という相談がしばしば。
他には「退院してから家事が難しくなってしまったが、施設に入るようなお金はなくどうしたら良いのか分からない。」といったものまでさまざまです。
さらに、高齢者本人やその家族だけでなく、地域住民からの情報提供なども受け付けています。
例えば「ご近所の○○さんが徘徊しているみたいなんだけど…。」といった緊急性のある通報も届くのです。
この場合の対処法は、警察を呼ぶ場合もあれば職員が自ら保護しにいく場合もあり、ケースによりまちまち。
このように地域包括支援センターでは、舞い込んでくるあらゆる情報をもとに、高齢者のサポートを行っていくのが特徴です。
役割4.高齢者の権利擁護
4つめの役割は、高齢者の権利擁護です。
介護が必要であっても、認知症であっても、社会的な生活を送る権利は誰にでもあります。
こうした高齢者の権利を守るのが、地域包括支援センターの役割です。
では具体的にどのようにして、高齢者の権利を守るのでしょうか。
具体的には、悪徳商法などといった消費者被害を未然に防ぐ、高齢者虐待の早期発見や防止に努めます。
特に、高齢者虐待についてはあらゆる方面からの情報にアンテナを張り、高齢者の身に危険がないかどうか見張っていることが必要です。
こうした情報は中々公に舞い込んでくることがないので、本人の振る舞いや周辺からの情報が大切なカギといえます。
万が一虐待が発見された場合には本人に危険が及ばないよう、すみやかに市区町村に報告し保護してもらう手続きが必要です。
また、地域周辺で不審な電話や高齢者を狙った詐欺がある場合は、地域包括支援センターが率先して注意喚起を促します。
これも権利保護活動の一環です。
地域包括支援センターにはあらゆる専門家が在籍し、このような業務を分担して行っています。
では、地域包括支援センターの中でも、看護師は一体どのような仕事をしているのでしょうか。
続いて看護師の仕事内容について見ていきましょう!
3.地域包括支援センターにおける看護師の仕事内容
ここまで地域包括支援センター全体の業務についてご紹介しました。
看護師の業務内容を簡単にまとめると、以下の通りです。
- 介護予防に関する勉強会の実施
- 相談や通報への対応・応急処置
- 病院や退院後の受け入れ先の調整
- 医療に関する個別支援
- 介護予防を目的とした団体への支援
それでは、看護師の業務内容を詳しくご紹介します!
仕事内容1.介護予防に関する勉強会の実施
まずは介護予防ケアマネジメント業務の一環として行われる仕事です。
地域包括支援センターの看護師は、介護予防に関する勉強会を定期的に主催します。
例えば認知症予防の講習会や、口腔ケアに関する勉強会など。
医療を必要とせず、長く健康で暮らしてもらえるような知識を講義するのです。
ではこのような勉強会の参加者をどのようにして募るのでしょうか。
まず1つめは地域の掲示板や市役所にチラシを貼るという方法。
市区町村のホームページ上や広報に情報を掲載してもらうこともあります。
2つめは、自治会の会合で告知をするという方法です。
自治会合がある日に参加し、自治会長を中心に勉強会を周知します。
そこから町内会報の回覧などを通じて、住民に勉強会の告知をしてもらうのです。
このように、自身が企画した勉強会を集客から開催まで一貫して行います。
仕事内容2.相談や通報への対応・応急処置
看護師もまた、相談窓口の業務にあたります。
もし、医療の知識が必要な相談や医療保険に関する相談などがあった場合は、看護師の対応管轄です。
相談には個別に対応し、具体的なケアが必要な場合は病院を紹介するなどといった支援を行います。
また、急を要する相談や通報があった場合は、現地に駆けつけて健康状況を確認したり救急車を呼ぶこともあるのが特徴です。
こうした通報は毎日入るわけではありませんが、まれにあります。
血圧計などを持参し、現地に急行することがあるのは地域包括支援センターの看護師ならではの業務内容です。
さらに、ときには病院に付き添って、医師に経過報告などをすることも。
必要に応じて、地域包括支援センターの看護師は様々な業務をこなします。
必ずしも施設の中だけでなく、近隣の病院や介護施設など様々な場所に足を運ぶ機会があるのも特徴です。
またそれに伴い、地域のあらゆる施設の人と関わる機会があります。
仕事内容3.病院や退院後の受け入れ先の調整
続いてのお仕事は、病院や退院後の受け入れ先の調整です。
地域包括支援センターの看護師は、入院が必要な高齢者に病院を探すことも仕事の1つ。
相談を受けた場合には、相談者に最適な受け入れ先を探します。
また、ただ探すだけでなく病院に橋渡しを行うのも業務の一環です。
相談者の情報を伝え、受け入れ状況を確認したうえで病院を手配します。
また、退院後に家族の支援が受けられない場合や家に戻るのが困難な場合は、受け入れ先を探すこともあるのが特徴です。
入院で手術をした結果、1人での生活が困難になってしまうこともあります。
家族が近くにいない、または支援が受けられない場合には、こうした高齢者の支援を考えるのも看護師の仕事です。
通所型のデイサービスに通うのか、リハビリセンターをすすめるのか、などその人に合ったケアプランを紹介します。
仕事内容4.医療に関する個別支援
医療に関する相談は、基本的に看護師もしくは保健師が対応します。
地域包括支援センターにはあらゆる分野のプロフェッショナルが在籍しており、それぞれの専門に応じた対応を行うのです。
「身体の調子がなんだか悪くて…。」という相談に始まり、「身体が悪いものの、手術をするお金がない」といった相談もあります。
この相談に1件1件対応するのが看護師の仕事です。
相談への受け答えには、ある程度の知識や経験が求められます。
また、医療そのものだけでなく、医療保険に関する相談も看護師の管轄です。
つまり医療保険についてもある程度の知識が求められます。
さらに相談に受け答えをして終わりではありません。
話を聞き、支援が必要そうな人に対しては本人の希望がなくてもピックアップして個別にアプローチすることがあります。
介護士やケアマネージャーと連携を取り、医療的な側面から自発的に支援するのもまた看護師の仕事なのです。
仕事内容5.介護予防を目的とした団体への支援
最後は、介護予防を目的とした団体への支援です。
介護予防を目的とした団体と聞いても、あまりぴんとこないかもしれません。
例えば、認知症予防体操を行なう団体など。
高齢者が介護を必要としないようなサービスを提供している団体が、これにあたります。
このような団体は、地域包括支援センターと目的が同じです。
つまり地域包括支援センターとしてはこうした団体をサポートし、さらに盛り上げていく必要があります。
そこで行うのが、介護予防を促進する団体への支援活動。
支援活動とは具体的に、運営をサポートしたり、活動内容にアドバイスをするなどといった内容です。
このような団体が新設される場合は、運営体制をバックアップすることもあります。
地域包括支援センターは、自分たちだけが介護予防につとめるのではなく、周囲と一緒に高齢者をサポートしているのです。
地域包括支援センターにはこのような仕事内容があります。
ただし働くにあたり、重要なのは仕事内容だけではありません。
勤務体系を確認することも必要です。
そこで、次は地域包括支援センターの勤務体系についてご紹介します!
4.地域包括支援センターの勤務体系
ここまで地域包括支援センターでの仕事内容について詳しくご紹介しました。
では、地域包括支援センターで働く看護師はどのような勤務体系なのでしょうか。
地域包括支援センターでの働き方を簡単にご説明すると、以下の通りです。
- 夜勤がない
- 土日は休みのセンターが多い
- 福利厚生が手厚い施設が多い
- 臨機応変に仕事内容が変わる
それでは早速、それぞれの内容を詳しく見ていきましょう!
働き方1.夜勤がない
地域包括支援センターでの勤務は、基本的に夜勤がありません。
地域包括支援センターは市役所などと同じく、9時から17時といった営業時間を採用している施設が多い傾向にあります。
また入院患者のいる病院とは異なり、夜に必要となる業務はありません。
そのため、夜勤がなく定時で帰ることができるのがポイントです。
もちろん、施設や時期によって残業はあります。
残業の多さは施設によって異なるので、事前に確認しておくのがおすすめです。
とはいえ朝は定刻の出社で、夜勤がないというのは大きいメリットといえるでしょう。
看護師といえば夜勤をするのが当たり前、と思っている方も少なくありません。
しかし、地域包括支援センターなら日勤のみで正社員として働けます。
夜勤を負担に感じている方や、生活サイクルを乱したくないという方にはうってつけの職場といえるでしょう。
働き方2.土日は休みのセンターが多い
地域包括支援センターは、土日休みの施設が多い傾向にあります。
一般的な開所日は月曜から金曜です。
さらに、勤務体制はシフト制ではありません。
地域包括支援センターは正社員を中心に雇用するのが一般的です。
そのため、月曜から金曜までの定時にフルで働くという勤務体系が基本となります。
曜日固定の休日となれば、数ヶ月先の予定も容易に立てられるでしょう。
さらに世間一般の休みと合うことで、人と会いやすくなるのも大きなメリットです。
お子さんがいる場合は、運動会などといったイベントが土日に入ることもしばしば。
仕事を休まずにイベントに参加できるのも魅力的といえます。
働き方3.福利厚生が手厚い施設が多い
地域包括支援センターは看護師に対する福利厚生が手厚い施設が多い傾向にあります。
というのも、地域包括支援センターで勤務する職員は全員準公務員扱いとなる場合が多いからです。
賞与はもちろん家賃補助や各種手当が付くなど、福利厚生が充実している施設が多数あります。
看護師資格を活かしながら、準公務員扱いで勤務できるのは、地域包括支援センターならではのメリットです。
前職や現職の福利厚生に不満があった人や、もう少し手厚いフォローを求めている方にとってはうってつけの職場といえるでしょう。
ただし、全ての地域包括支援センターにおいて職員が準公務員扱いされているわけではありません。
中にはそうでない地域包括支援センターもあるので、注意が必要です。
地域包括支援センターを転職先として検討する際には、こうした福利厚生の手厚さをチェックしておくことをおすすめします。
同じ市内にある施設でも、福利厚生の種類はまちまちです。
また、口コミなどを見て福利厚生を確認するのも良いでしょう。
働き方4.臨機応変に仕事内容が変わる
地域包括支援センターの仕事は、日々変化があります。
もちろん勉強会の開催などといった定期的な仕事もありますが、急な相談が飛び込んでくることもしばしば。
そしてそれぞれの相談に対して、1つずつ丁寧に対応していく必要があります。
時には急を要する相談もあるので、その場合は優先度を高く迅速に対応することが必要です。
そのため地域包括支援センターでの仕事はルーティンワークになりにくい傾向があるといえます。
「決まった仕事を毎日こなすより、日々違った仕事をしたい!」という方にはうってつけの職場です。
また、こうした日々の仕事が地域の高齢者の生活の質を向上していると考えれば、やりがいも感じられることでしょう。
経験や知識を活かした柔軟な対応が求められる反面、そのやりがいはひとしおです。
相談者や家族から直接、お礼を言われることも少なくありません。
仕事にやりがいや充実感を求める人にとっても最適な職場です。
しかし、どのような職場にもデメリットが存在します。
デメリットを把握することで、より客観的に職場を選ぶことができるのです。
5.地域包括支援センターで働くデメリット
地域包括支援センターは、看護師の職場として非常に魅力的な施設です。
しかし、その一方でデメリットがあることも忘れてはいけません。
地域包括支援センターで働くデメリットは以下の通りです。
- 業務の幅が広い
- 臨機応変な対応を求められる
- 残業が多い施設がある
それでは、それぞれの内容について詳しく見ていきましょう!
デメリット1.業務の幅が広い
地域包括支援センターの看護師は、病院勤めの看護師に比べて業務の幅が広い傾向にあります。
病院では、医療的なケアや入院患者の巡回、医師のサポートなどを行うのが一般的です。
しかし、地域包括支援センターでは相談業務や勉強会の企画・開催、病院と相談者の橋渡しなどといったあらゆる業務を行う必要があります。
毎日の仕事にルーティンはなく、その日その時の問題や相談に都度対応していく、という形です。
そのためオーバーにいえば、相談者の数だけ業務の種類が増えるといえます。
地域包括支援センターはその名の通り、包括的な支援を行なう施設です。
そのため業務が多岐にわたるのは、当然といえば当然。
しかしこのような勤務体系を、忙しなく感じる場合があるかもしれません。
人によっては日々、変化があって面白いと感じることもあるでしょう。
落ち着いて毎日決まった仕事をこなしたい派の方には、あまりおすすめできません。
デメリット2.臨機応変な対応を求められる
地域包括支援センターに勤務する看護師には、臨機応変な対応が求められます。
なぜなら、そのときどきでさまざまな相談が舞い込んでくるからです。
その日に来る相談は、内容も件数も予測できません。
ある日は10件、ある日は1件かもしれないのです。
また、相談内容も急を要するものであれば緊急事態として対応する必要があります。
例えば「自宅で貧血気味になっている」という連絡があれば、看護師が家に出向くこともしばしば。
相談者の自宅で体温や心拍数、血圧をはかり、適切な対応を判断します。
場合によっては救急車を呼び、病院まで付き添う場合も。
このようなその場での判断力は、今までの経験や知識を必要とします。
そのため、看護師歴の浅い人や、自分の知識に自信がない人にとってはプレッシャーを感じてしまうかもしれません。
デメリット3.残業が多い施設がある
地域包括支援センターは平日出勤の土日休みの施設が多いとご紹介しましたが、中には業務過多で残業が多い施設があります。
また、中には土曜出勤のある施設や、夜19時まで営業している施設もあるので注意が必要です。
施設ごとの勤務体系は、事前に口コミなどで確認することをおすすめします。
全ての地域包括支援センターがホワイトな働き方をしているとは限りません。
施設の場所によってはどうしても多くの相談が舞い込んでくることもしばしば。
さらには職員の人数が足りておらず、1人あたりの仕事量が多くなってしまっている施設もあります。
勤務体系については事前にチェックしておきましょう。
さて、ここまでデメリットについてご紹介しました。
デメリットがあればメリットも当然あります。
では地域包括支援センターで働くメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
6.地域包括支援センターで働くメリット
続いて地域包括支援センターで働くメリットをご紹介していきます。
- さまざまな視点で高齢者を支援できる
- 仕事に飽きない
- やりがいを感じられる
- 自分のアイデアでイベントを開ける
- 1人の人と長く付き合える
- 看護師としての経験を活かせる
- 保健士の資格を活かせる
ぜひデメリットと比較しながらご覧ください。
それでは地域包括支援センターで働くメリットを詳しく見ていきましょう。
メリット1.さまざまな視点で高齢者を支援できる
地域包括支援センターでは健康診断の受診促進や講習会の開催など、さまざまな活動を通して地域の高齢者を支えます。
つまり看護師であっても、その支援の方法は自ら医療ケアを行なうだけにとどまらないということです。
病院では、当然ながら自身の采配で勝手に講習会を開いたり健康診断の受診を勧めることはできません。
また、必要以上に患者さんの相談に乗るのも看護師としてはあまり良くないことです。
それに対し、地域包括支援センターではあらゆる手段を尽くして高齢者のサポートを行うことができます。
地域包括支援センターに配置される看護師は、1人が基本です。
つまり自分1人の采配で、自由に医療的なケアを推進することができるでしょう。
地域の施設や病院など、あらゆる機関とのネットワークが密にできていればそれだけ選択肢が増えていきます。
方法を縛られず、あらゆる角度から支援ができるというのは、地域包括支援センターで働くからこそ得られるメリットといえるでしょう。
メリット2.仕事に飽きない
デメリットでもご紹介した通り、地域包括支援センターでの業務は実に多岐にわたります。
そのため仕事がルーティンになることはほとんどなく、飽きがこないのが特徴です。
病院勤めの看護師は、1日の流れがおおよそ決まっています。
もちろん地域包括支援センターでの業務にも流れはありますが、突発的な相談などに対応することも多々あるのが特徴です。
このように、その場その場の対応が必要になるため、毎日新鮮な気持ちで業務に当たることができます。
そのため、ルーティンワークの苦手な人には非常におすすめの職場です。
また、ルーティンでない仕事をこなすことであらゆる経験を積むこともできます。
病院では経験できないような仕事もここでは幅広く担当することができるのです。
自身の可能性を伸ばしたい人や、キャリア形成を考えている人にとってもおすすめの職場といえます。
メリット3.やりがいを感じられる
地域包括支援センターは高齢者のすぐ傍で支援を行うことができます。
相談者と直接話す機会も多く、「この人のために働いている」という意識が芽生えやすい職場といえるでしょう。
また、自分の支援がどのように実を結んでいったのかを見届けることもできます。
例えば、自身が病院を探したAさんの経過がどうなったのか、など。
支援して縁が切れるのではなく、その後も継続的に高齢者を見守っていくことができるのです。
自分のやったことがうまく行けば、それが強いやりがいに繋がります。
また、相談者やその家族から直接お礼を言われることも少なくありません。
自身の判断に選択肢が多く、采配の大きい仕事だからこそ、大きなやりがいを感じられます。
メリット4.自分のアイディアでイベントを開ける
地域包括支援センターで働くと、自分が講習会や勉強会を主催する機会があります。
これは自身のアイディアを実現させることができるチャンスです。
病院で勤務していると、このような機会はあまり経験できません。
相談者のために創意工夫してイベントを作り上げていくのは、地域包括支援センターならではの業務です。
講習会やイベントでは、「こんなことを知ってほしい!」または「もっと健康への意識を高めてほしい!」といった想いを自ら参加者にプレゼンできます。
その結果、参加者から「面白かったよ」「ためになったよ」といった声が聞ければ、非常にやりがいを感じるでしょう。
もちろん、準備や企画には多くの時間を要します。
しかし、自らのアイディアや知識を直接、披露できるというのは地域包括支援センターならではのメリットといえるでしょう。
メリット5.1人の人と長く付き合える
地域包括支援センターでの仕事は、1人に対して1回相談に乗って終わりではありません。
1人の人に対して、継続的に支援を行うのが特徴です。
つまり、1人の人と長く付き合うことができるというメリットがあります。
病院では、一般的に体が回復すれば退院し、その後も継続して患者と会うことはありません。
しかし、地域包括支援センターは地域に住む高齢者全員をサポートするという役割を持っています。
また、本人からのSOSが無くとも権利保護や虐待防止のために目を光らせておく必要があるのです。
つまり、単に健康に問題がないからといってそこで関わりが絶たれてしまうわけではありません。
何か問題が起こりそうな場合は未然にそれを防ぐべく、日ごろからアプローチをかけておくことが求められるのです。
その結果、知り合いになる高齢者の人も多いでしょう。
見知った顔なら、お互いに信頼関係が生まれやすくなります。
メリット6.看護師としての経験を活かせる
地域包括支援センターでは、看護師としてのキャリアや経験、知識を存分に活かすことができます。
なぜなら、地域包括支援センターではさまざまな相談に対応するために、医療だけでなく、介護保険や業界に関する知識も求められることがあるからです。
つまり医療の知識に限らず、保険や周辺の病院事情などの知識も求められます。
そのため、地域包括支援センターでは経験の豊富な看護師を採用する傾向にあるのです。
元からある程度の看護師経験や知識があれば、採用されやすいでしょう。
なおかつ、現場に出た時にも柔軟かつスムーズに動くことができます。
そして地域包括支援センターで勤務すれば、今まで以上に知識や経験の幅を増やせるはずです。
メリット7.保健士の資格を活かせる
看護師の他に保健士の資格を持っている人は、看護師資格と同時に保健士の資格も活かすことができます。
なぜなら、地域包括支援センターでは保健士の配置が必須とされているからです。
一方、看護師の配置は必須ではありません。
施設によっては看護師を配置しない地域包括支援センターもあります。
つまり、看護師だけでなく保健士の資格を持っておくとどんな地域包括支援センターからも採用されやすくなるということです。
保健士と看護師の仕事内容はかぶる部分も多いので、保健士としてキャリアを積むのも悪くないでしょう。
保健士として働く場合にも、看護師として培った知識や経験は十分に活かすことができます。
このように、地域包括支援センターで働くにあたり、メリットは多くあるのです。
しかし、これだけで全ての人にとって完璧な職場とはいえません。
仕事のやりがいや充実感を感じながら働くためには、仕事内容が自分に合っているかどうかを見極める必要があります。
7.地域包括支援センターで働くならこんな人がおすすめ
ここまで地域包括支援センターで働くメリットや、デメリットについてご紹介してきました。
何をメリットに感じ、何をデメリットに感じるかは人それぞれです。
そこで最後に、地域包括支援センターで働くのにおすすめな人の特徴をご紹介します。
地域包括支援センターでの勤務に向いているのは、以下のような人です。
- 地域住民と密接に関わりたい人
- 仕事にやりがいを求める人
- 土日休みで働きたい人
- 夜勤なしの職場で働きたい人
- 仕事に変化が欲しい人
- 経験の幅を広げたい人
以上の条件に当てはまれば、地域包括支援センターでの勤務に向いているといえるでしょう。
特に地域包括支援センターは、地域に根差した施設です。
そのため、地域住民に直接支援を行うという傾向が強いのが特徴といえます。
自身の知識や経験がそのまま支援へとつながるので、やりがいも感じやすいでしょう。
ぜひ自身の思う働き方に合っているかどうか確認しながら、転職候補としてご検討ください!
まとめ
看護師の転職先として、地域包括支援センターをご紹介しました。
意外と知られていない地域包括支援センターですが、詳しく調べてみると魅力の多い職場といえます。
特に看護師でも夜勤なしで働ける点や、土日休みが取れるという点は大きなメリットです。
病院勤務や夜勤が辛いという人、自分のスキルで新しいことにチャレンジしてみたい人は、ぜひとも地域包括支援センターへの転職を検討してみてはいかがでしょうか。