「国境なき医師団で看護師として働きたいけど、どんな進路選択をすれば失敗しないかな。」
「なり方を教えて欲しい!」
「あと、どんな仕事をするのかを知りたいな。」
今回はそんな悩みを解決していきます。
海外での経験や貧しい人々を救う仕事として人気なのが国境なき医師団。
しかし国境なき医師団の看護師として働くことはとても狭き門です。
そのため早くから国境なき医師団として働くことを目指し、目標に向けてできる努力をしていくことはとても良い選択と言えます。
本記事は進路選択で悩んでおり、国境なき医師団について知りたい方に向けの記事。
最後まで読むことで、国境なき医師団で働くための手順や国境なき医師団として働くメリット・デメリットが分かります。
高校生の方にとってまず重要なのが、進路選択を間違えないこと。
最悪学費を無駄にしてしまうことだってあり得るので、国境なき医師団として働くための手順をしっかりと理解しておきましょう。
目次
1.国境なき医師団とは?
国境なき医師団とは国際団体の一つで、フランスで発足された民間の非営利団体です。
紛争地域や災害地域で緊急性の高い医療を施すことが目的とされています。
被災者や貧困などの理由で医療を受けれない人々にサービスを提供することが主な役割です。
国境なき医師団では具体的には以下のような人々が活動しています。
- 医師
- 精神科医
- 薬剤師
- 看護師
- 指揮官
国籍関係なしに、医療従事者が協力しあって困っている地域の人々を助けるといったイメージです。
日本でも阪神淡路大震災や東日本大震災のときに派遣されており、発展途上国や先進国関係なしに支援しています。
2.国境なき医師団で看護師として働くために必要な資格
国境なき医師団の看護師として働くために必要な資格は以下の2つ。
- 看護師の国家試験を受けるための資格
- 看護師の国家資格
それぞれの資格を取るためにはどうすればいいのかを具体的に見ていきましょう。
(1)看護師の国家試験を受けるための資格
看護師になるためには国家試験を受けて、試験に合格する必要があります。
しかし国家試験を受けるためには文科省指定の大学を卒業しているまたは卒業見込みであることが必須です。
文科省指定の大学とは以下の通り。
- 看護学科のある3年制の専門学校
- 看護学科のある3年制の短期大学
- 4年制大学の看護学科
3年制大学や専門学校を卒業すれば、4年制大学を出る場合に比べて、1年早く仕事に就くことが可能です。
一方で4年制大学であれば、3年で学ぶよりもカリキュラムが充実。
国際教養などを学ぶ余裕もあるので国際理解を深めるのに役立つ知識を得るチャンスも増えます。
どちらが良いという正解はないので、早く実務経験を積みたいのか、しっかりと勉強してから看護師になるのかを考えて進路選択をしましょう。
3月に卒業が見込める状態になった場合に、卒業年度の2月に国家試験を受けられるようになります。
(2)看護師の国家資格
2月に行われる国家試験を合格することで、看護師として働けるようになります。
試験は筆記試験のみで実施され、看護に関する問題や人体についての問題がメインです。
厚生労働省が発表しているデータによると、毎年試験の合格率は9割程度。
毎年合格の点数は異なるので、上位90%に入るように勉強することが必須です。
学校のテストで勉強が苦手と感じる人でも、過去問の研究と勉強の積み重ねで勝ち取れる合格なので、諦めないことが重要ですよ。
3.国境なき医師団で看護師として働くために必須なキャリア
国境なき医師団のHPに記載されている必須キャリアは6つ。
- 臨床経験が5年以上ある
- 英語かフランス語で業務レベルの会話ができる
- 熱帯医学の学位を持っているか臨床経験がある
- 感染管理の経験が1年以上ある
- 強いリーダーシップを発揮できる
- マネージメントや監督、教育の経験がある
看護師としての様々な経験や知識が必要な他、責任感・決断力などを含めたリーダーシップなどの指揮するための能力も必要となります。
また感染管理や熱帯医学の臨床経験は看護師として普通に働くだけでは経験できないので、自ら積極的に研修に参加するべきです。
4.国境なき医師団で看護師として働くためにあったほうが良いキャリア
国境なき医師団の看護師として働くことは狭き門となります。
そのため必須なキャリアだけでなく、以下のようなキャリアを積み、採用確率を上げるのはとても重要です。
- 緊急や場面や子供、赤ちゃんを対象とするシーンで豊富な経験
- 感染管理認定看護師の認定証を持っていること
- NGOでの発展途上国における臨床経験
- HIV/エイズや結核の臨床経験
- 人材や資材が限られた国や島での臨床経験
大きな病院で働くことで、様々な経験を積むことができます。
勤め先の病院を選ぶときには、以上のような経験を積めるかを考慮してみてください。
そうすることが、1日でも早く国境なき医師団の看護師として働けることに繋がります。
5.高校生が看護師として働くための手順
以下3つの手順で高校生が看護師として働けるようになります。
- 文部科学大臣が指定する学校に入る
- 卒業年度に就職活動を行う
- 卒業する年の2月に国家試験を受け合格する
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
手順1.文部科学大臣指定の学校に入学
まずは国家試験の受験資格を得るために、文部科学大臣が指定する専門学校、短大、4年制大学へ入学しましょう。
入試の難易度が簡単というだけで、専門学校や短大に進学しようと考えるのは危険です。
なぜなら将来的に就職をする際、大卒という点が有利になることがあるから。
もちろん明確な理由があって専門学校や短大に進学するのは良いことです。
しかし入試が楽だからという理由だけで、4年制大学への進学を諦めるのは進路選びの失敗に繋がります。
手順2.卒業する年に就職活動を行う
短大や専門学校の学生であれば3年次に、4年制大学であれば4年次に就職活動を行います。
就職を有利にするめるためには、就職活動をする前から病院のリサーチを行ったり、インターンシップに参加したりすることが重要です。
大きな病院の方が患者さんも多く、経験できる仕事も多くなります。
たとえ人気の病院であっても大きな病院で働けるように積極的にチャレンジしていきましょう。
手順3.卒業年度の2月に国家試験を受け合格する
年に一度行われる看護師の国家試験を受けて、合格することで就職が決まっている病院で看護師として働けるようになります。
合格率は高いですが、落ちる人も一定数いるので、過去問を使ってしっかりと勉強しておくことが重要です。
具体的には、ひたすら過去問を解いて間違った部分を何度もやり直すことが合格への近道となります。
模試もあるので積極的に受験し、1発で合格するために十分な準備を行いましょう。
6.看護師が国境なき医師団として働くための手順
看護師になった後には以下の手順を踏むことで、国境なき医師団として働けるようになります。
- 看護師としての経験を積む
- 国境なき医師団の面接に応募する
- 国境なき医師団の試験を受け合格する
- 海外派遣スタッフとして登録される
- 研修を受ける
- 派遣先が決まる
それぞれの手順で具体的に何をするのか見ていきましょう。
手順1.看護師として臨床経験や感染管理などの経験を積む
看護師になったら以下の経験を積み、国境なき医師団の看護師になる条件を満たせるようにしていきましょう。
- 臨床経験が5年以上ある
- 英語かフランス語で業務レベルの会話ができる
- 熱帯医学の学位を持っているか臨床経験がある
- 感染管理の経験が1年以上ある
- 強いリーダーシップを発揮できる
- マネージメントや監督、教育の経験がある
看護師になりたての頃はどんどん教えてもらったことを吸収し、仕事に慣れてきたら熱帯医学の臨床経験や感染管理の経験を積んでいくのがおすすめです。
英語やフランス語は日常の業務ではなかなか身に付けづらいと思うので、スクールに通いつつ、独学で足りない部分を補っていきましょう。
経験だけでなく、人の上に立てるような人間性も重要になってきます。
新人へ教える立場や全体を指揮する立場になるチャンスがあれば積極的にアピールしていきましょう。
手順2.必要条件を満たした後に面接に応募する
必要な条件を満たしたら、国境なき医師団のホームページより応募します。
応募の際は文章を全て英語で書くことになるので、英会話だけでなく英文を書くことも慣れておきましょう。
書類などを取り寄せる必要は無く、メールで応募できるので文章を英語で書くことができればそこまで手間はかかりません。
手順3.一次試験・二次試験を受けクリアする
一次選考は書類審査と語学力のテストによって通過者が選ばれます。
二次選考は採用担当者と就活のような面接を行うイメージです。
二次選考は英語またはフランス語で行われ、応募動機などを聞かれるのでしっかりと答えられるように練習を積むことが必要不可欠です。
手順4.海外派遣スタッフとして正式に登録される
試験を無事クリアしたら、海外派遣スタッフとして正式に登録されます。
その際には看護師免許証やパスポートの提出が必要です。
手順5.事前研修を行う
日本で国境なき医師団の活動についての研修を行います。
具体的には、どういった活動を行っていくのか、派遣先ではどういった課題があるのかを学び、考えを深めていくための研修となっています。
手順6.派遣先が決定する
派遣可能な時期やこれまでの職歴を参考に、派遣先が決められます。
すぐに派遣先が決まらないこともあることを理解しておきましょう。
派遣先決定後は、出発準備や打ち合わせなどが行われます。
7.国境なき医師団で看護師として働く良い点
国境なき医師団として働くメリットは以下の3つです。
- 海外での医療経験が積める
- 各国の優れたスタッフと一緒に働ける
- 仕事の達成感がある
詳しく見ていきましょう。
メリット1.海外での医療経験が積める
国境なき医師団として働くことで、多くの場合は海外での医療経験を積むことができます。
普通に国内で看護師として働いていたら、海外で働ける機会なんて無いことが多いです。
海外で働くことで、日本とは違う環境で看護をしたり、日本ではなかなか見ない症状の患者さんの相手をしたりします。
日本ではなかなかできないような経験を海外では積むことができ、看護師キャリアとして大きな糧になることがメリットの1つ目です。
メリット2.優れたスタッフたちから多くを学べる
優秀なスタッフと働き、多くのことを学べます。
国境なき医師団には日本国内、海外問わず経験を積んで試験を合格した優れたメンバーの揃っているからです。
そんな優れた人たちと一緒に働くことで、患者さんとの接し方や緊急事態の立ち回りなど多くのことを学べます。
日本で働いていても学べることはあるのは事実です。
しかし日本と海外では教育制度の違いもあるため、外国人と一緒に働くことで学べることが多くなります。
メリット3.仕事の達成感がある
困難な仕事を乗り越えることで、仕事の達成感を味わうことができます。
国内での医療現場とは異なり、物資や医療環境が充実してないことが多いからです。
物資や医療環境が充実していない中での仕事では、困難が多くそれでも乗り越えなければなりません。
困難が多い仕事だからこそ、やるべき仕事を乗り越えたときには達成感を味わうことができます。
8.国境なき医師団で看護師として働くデメリット
国境なき医師団として働く場合、良い面だけでなく以下のように悪い面もあります。
- 日本よりも不便な生活が強いられる
- 給料が低い
- 精神的に辛くなる
デメリットを詳しく見ていきましょう。
デメリット1.日本よりも不便な生活が強いられる
発展途上国に派遣されることが多く、日本よりも不便な生活が強いられることがあります。
発展途上国だと科学技術の発展が遅れていたり、水が自由に飲めなかったりするからです。
あって当たり前と思っているスマホだって使えないかもしれないし、ジュースを飲みたくても自販機がないかもしれません。
海外で働くということは今よりも不便な生活をする可能性があるということを理解しておきましょう。
デメリット2.給料が低い
国境なき医師団のHPに記載されているデータによると、最初は控除前で17万円ほどの給料しかもらえず、かなり低い給料と言えます。
国境なき医師団は給料目当てでは無く、ボランティア志向の強い団体だからです。
入るのは苦労しても、給料があまり高くことを理解しておきましょう。
デメリット3.精神的に辛くなる
国境なき医師団で働いていれば、精神的に辛くなることだってあります。
精神的に辛くなる理由をいくつかあげると、以下の通り。
- 仕事がハード
- 馴染みのある日本人が少ない
- インフラが整備されておらず携帯で友人と連絡が取れない
きついことばかりが続くと、精神的に疲れてしまいます。
高校生の場合だと、宿題で難易度の高い問題をずっと解いているようなものです。
馴染みのある日本人が少ないと、外国人と会話をすることが多くなります。
地元にいる日本人と連絡しようにも、連絡するための設備が整っておらず、連絡が取れないことも多いです。
会話していて落ち着く相手とそうでない相手がいると思います。
最初のうちはなかなか慣れず、精神的に辛い思いをすることが多いです。
仕事がハードなのに、慣れ親しんだ人とのコミュニケーションが取れないことがきっかけで精神が辛くなってしまいます。
9.国境なき医師団の看護師はこんな人におすすめ
国境なき医師団として働くのに向いている人の特徴は以下の通り。
- 報酬よりも仕事のやりがいを優先したい人
- 責任感・リーダーシップのある人
- 厳しい環境でも耐えられる精神力のある人
- 英語やフランス語でのコミュニケーションに抵抗がない人
国境なき医師団のHPによると、最初1年間は毎月17万1505円の給料しかもらえないと記載があります。
大卒の初任給の平均が21万円ほどなので、苦労して国境なき医師団のメンバーになったとしてもかなり給料が低いです。
そのため報酬第一に職業選びをする方には向かない仕事と言えます。
一方で困っている人に尽くすことにやりがいを感じ、報酬はそこまで求めない方には向いている仕事です。
現地では自ら判断し、人を動かす立場になることもあるので、責任感やリーダーシップがあり人を引っ張って行くのが好きな人に向いています。
日本で働いていては想像もできない辛いことがあるかもしれません。
そんな辛いことを自ら乗り越えていける精神力があればきっと国境なき医師団の一員として活躍していけます。
コミュニケーションを取る場合には英語またはフランス語の場合がほとんど。
外国語で話すことに抵抗があると、コミュニケーションすらできず業務に支障がでてしまう可能性だってあります。
日本人は英語を話すときに自信が無さそうに話すことが多いですが、気にせずに堂々と話せる能力が必要です。
10.国境なき医師団で働くことに対してよくある質問
国境なき医師団を目指す上で、不安に思いそうなことをピックアップして少しでも疑問を解消していきます。
Q1.看護師自身が戦争や紛争の被害に巻き込まれることはないのか
紛争地域に派遣された場合は、危険と隣り合わせになってしまうこともあります。
そんな地域に出向いた場合、看護師自身も戦争や紛争の被害に巻き込まれることだってありえます。
以下で紹介している事例では、死者は出ていませんが、建物が被害を受けたとあります。
そのため100%の安全がないことを承諾の上、国境なき医師団の参加を決めるべきです。
参考記事:https://www.msf.or.jp/news/detail/pressrelease/yem20191108.html
Q2.英語やフランス語はどのように勉強すればいい?
英語やフランス語を勉強する場合は、スクールに通うのがおすすめです。
国境なき医師団として働く場合は、業務で会話できるレベルまで語学力を磨く必要があり、ハイレベルな語学能力を身につける必要があります。
独学したり本を買って知識を身に付けただけだと、どうしても実践レベルの語学力は身につきません。
レベルの高い語学力を身につけるためにも、お金を払って語学の勉強をした方が上達も早く、自信も付きやすいです。
Q3.国境なき医師団の看護師として働く倍率は高い?
具体的な倍率は分かりませんが、国境なき医師団のHPにはかなり倍率が高いと記載されています。
そのため国境なき医師団の一員になるための必須条件をクリアすることはもちろん、あれば良いとされる経験も積極的に積むことが必要です。
まとめ
国境なき医師団で看護師として働くための方法や、メリット・デメリットについて紹介してきました。
高校生が国境なき医師団の海外派遣スタッフになるための手順は以下の通り。
- 文部科学大臣公認の専門学校・短大・4年制大学に入る
- 卒業年度に行われる看護師の国家試験に合格する
- 経験を積み必要な人材の条件をクリアする
- 国境なき医師団のHPより応募して試験や面接を受ける
- 合格後派遣スタッフとして登録されて研修を受ける
- 派遣先が決まる
派遣スタッフのメンバーになるまでも、派遣された後も厳しい世界が待っていますが、やりがいを感じることのできる仕事です。
まずはその第一歩として、看護師を目指してみませんか?