看護師

外国人の介護士が増えてるのってナゼ?受け入れ条件やメリットを確認しよう

「外国人介護士を雇うことはできるの?」と疑問に思っていますね。

実は、平成31年時点で3,000人以上もの外国人介護士が日本で雇用されています

ただ、介護士職員の中には「一緒に働くことになって不安」という人も少なくありません。

今回は、外国人介護士の雇用実態や受け入れるメリット、一緒に働く時の注意点を解説します。

外国人介護士を受け入れ協力しながら、利用者の快適な生活を支援しましょう

1.外国人介護士の雇用の現状とは

外国人介護士の雇用の現状

外国人介護士がどれくらい日本で働いているのか気になりますよね。

厚生労働省の『外国人介護職員の雇用に関する介護事業者向けガイドブック』によると、平成31年1月1日時点で677箇所の施設において3,165人の外国人介護士が雇用されています

外国人介護士を受け入れる制度は平成20年度から始まっており、受け入れ人数は平成30年度までに4,302人を超えているのです。

一度受け入れた施設では、80%近くが「今後も受け入れる予定」と回答しており、積極的に受け入れたいと考える施設が多いです。

今まで受け入れ経験のない施設でも、「受け入れる予定」が20.2%と5つに1つの施設は雇用を前向きに検討しています

このように、外国人介護士を受け入れたいと関心を持つ介護事業者は多くなってきました。

2.外国人介護士が日本で増えている2つの理由

外国人介護士が増えている理由

「外国人介護士がなぜ日本で増えているの?」と疑問に思う人もいるでしょう。

外国人介護士が増加している理由は、2つあります。

  1. 介護・福祉業界の慢性的な人手不足解消
  2. 日本からの技能移転

詳しく確認していきましょう。

理由1.介護・福祉業界の慢性的な人手不足解消

現在、日本の介護・福祉業界は慢性的な人手不足で悩まされています。

日本人の手だけでは足りないため、外国人介護士を頼らざるを得ない状況となっているのです。

実際、2025年に団塊世代のすべてが75歳を迎え、65歳以上の高齢者が三人に一人という超・高齢化社会を迎えてしまいます。

さらに2035年には介護サービスを必要とする後期高齢者が爆発的に増え、医療崩壊・介護崩壊を起こすかもしれないと言われているのです。

これを、「2035年問題」と呼ばれています。

日本の高齢社会問題の課題を解決するための1つの策として、外国人介護士を増やし合いという政府の意向があるのです。

理由2.日本からの技能移転

日本の福祉・介護の技能を海外へ移転することも、外国人介護士受け入れの目的です。

というのも、日本は世界の中でも65歳以上の人口比率が高く、これから高齢社会を迎える国々にとって参考になる技術をたくさん持っています

そのため、母国で技能をいかすために、日本で実習を受けている外国人介護士もいるのです。

実際、受け入れをしているフィリピン・インドネシア・ベトナムなどは、今後高齢化社会となる予測がされています。

母国へ技術移転してもらって国交を深めることも、外国人介護士受け入れ増加の一因なのです。

3.外国人介護士を受け入れる2つのメリットを知っておこう

「外国人介護士が増えている理由は分かるけど、施設としてのメリットは何かあるの?」と、気になる人もいるでしょう。

外国人介護士を受け入れるメリットは、2つあります。

  1. 現場の介護士が楽になる
  2. 多言語に対応できる

メリットを知れば、受け入れを前向きに検討できるかもしれません。

順番に確認していきましょう。

メリット1.現場の介護士の負担が減る

外国人介護士を受け入れることで、現場の介護士の負担が減ります。

というのも、人手不足を感じている介護施設・福祉施設は多いからです。

厚生労働省の『介護人材の確保について』によると、採用が困難で採用段階で不足を感じている施設がたくさんあることが分かります。

十分な介護スタッフを雇えていない施設であれば、猫の手も借りたいほど忙しいはずです。

介護士一人一人の負担が増えてしまうと、離職率は高くなってしまうでしょう。

今働く介護士の負担を少しでも減らすため、外国人介護士の採用は有効です。

メリット2.多言語に対応できる

外国人介護士を雇うことで、多言語対応した施設として売り出すことができます。

実際、令和元年末時点で外国人永住者の数は、79万3,164人です。(法務省『令和元年末現在における在留外国人数について』

近年、永住権を持つ外国人が介護施設を利用することも珍しくなくなってきました。

外国人介護福祉士がいれば、外国人であっても安心して利用できるでしょう。

これからの時代、多言語対応した介護施設・福祉施設であることは、売りになります。

積極的に採用を検討しましょう。

4.外国人介護士を雇用するための4つの制度

外国人介護士を受け入れる方法

「外国人介護士を雇用しよう!」と思っても、どのように受け入れたら良いのか分からない人がほとんどだと思います。

外国人看護師を雇用するには、以下の4つの制度を利用しましょう

  1. EPA(経済連携協定)に基づいた受け入れ
  2. 日本の介護福祉養成学校を卒業した外国人の受け入れ
  3. 技能実習制度を活用した受け入れ
  4. 特定技能1号を持つ外国人の受け入れ

詳しく確認していきましょう。

制度1.EPA(経済連携協定)に基づいた受け入れ

EPA(経済連携協定)に基づいて、外国人介護士を受け入れられます。

EPAとは、インドネシア・フィリピン・ベトナムの3カ国との経済活動の連携強化を目的とした制度です。

母国で日本語研修を6ヶ月〜1年受け、さらに日本語能力試験に受かった人だけが対象となっています。

入国後も日本語や介護の研修を2.5ヶ月〜6ヶ月程受けた上で、介護事業所で雇用されるのです。

入国してから4年後に介護福祉士の国家試験を受けることができます。

合格すれば介護福祉士として永続的に日本で働けますが、不合格の場合は帰国しなければなりません。

永続的に働いてもらうには、介護福祉士の試験に合格してもらうよう施設としての支援を行う必要があります。

EPAを活用して外国人介護士を受け入れるには、受け入れ調整機関であるJICWELS開催の受け入れ説明会に参加しましょう。

制度2.日本の介護福祉養成学校を卒業した外国人の受け入れ

日本の介護福祉養成学校を卒業した外国人を受け入れることができます。

養成学校に入学するには、日本語能力試験に合格し、日本語教育機関で6ヶ月以上学習した上で日本語試験N2(日常的な会話や幅広いシーンで自然に会話できるレベル)以上を取得しなければなりません。

さらに、卒業後介護福祉士を取得し、「介護」という在留資格を持っている外国人に限られます。

「介護」の在留期間は本人の希望があれば繰り返し更新できるので、永続的に雇用することが可能です。

この制度を利用しようと思っても、受け入れ調整機関はありません。

そのため、介護福祉養成学校と連携したり、ハローワークに求人を出したりして積極的に採用活動をしましょう

制度3.技能実習制度を活用した受け入れ

技能実習生度を活用した外国人(技能実習生)を受け入れることもできます。

技能実習制度とは、日本から海外への技能移転を目的として日本に一定機関実習してもらう制度です。

OJTを通じて介護スキルを学んでもらい、母国の経済発展に役立ててもらいます。

技能実習生は出国前に事前選考を受け、マッチング、日本語能力のチェックをされます。

日本語能力はN4(ゆっくりであれば会話できる程度)あることが要件です。

入国後、さらに講習を受け、介護事業所での雇用が開始されます。

入国1年後の試験で合格すれば追加で2年、3年後の試験に合格すればさらに2年日本で実習の受講が可能です。

帰国して技能移転することが目的であるものの、実習期間中に介護福祉士の国家資格を取得すれば在留資格「介護」を取得できます

地域の監理団体が技能実習生と雇用先をマッチングしているので、一度問い合わせてみましょう。

制度4.特定技能1号を持つ外国人の受け入れ

特定技能1号を持つ外国人人材を受け入れることもできます。

特定技能1号とは、平成31年4月から始まった就労目的で来日する外国人に対する在留資格のことです。

事前に技能水準・日本語水準を満たさなければ、入国できません。

在留期間は、最長5年です。

しかし、在留中に介護福祉士の国家資格を取得すれば、在留資格「介護」を取得できます

永続的に働いてもらうためには、介護福祉士になれるよう積極的に施設から支援をしましょう。

また、入国後3年目までに終了した技能実習生は、特定技能1号に必要な試験が免除されます。

特定技能1号を持つ外国人を受け入れるには、登録支援機関から登録しましょう。

5.外国人介護士と一緒に働くときに気をつけたい3つの注意点

外国人介護士と働くときの注意点

ここまでは外国人介護士を雇用するための制度を見てきました。

しかし、以下の気をつけたい注意点を知っておかなければ、外国人介護士とトラブルになるかもしれません。

  1. 宗教や文化の違いを理解する
  2. 安い労働力とみなさない
  3. 利用者との架け橋となる

3つの注意点について、確認しましょう。

注意点1.宗教や文化の違いを理解する

外国人介護士との宗教や文化の違いを理解して接しましょう。

というのも、日本人の当たり前が世界では当たり前でないことも多いからです。

たとえば、宗教によって食事の制限があったり、家族との過ごし方も違います。

仮に価値観の違うことに直面しても、真っ向から否定することは失礼です。

考え方や価値観に理解はできなくても、「違うんだ」ということを受け入れなければなりません。

日本人的な考えを押し付けることは絶対にやめましょう。

注意点2.安い労働力とみなさない

外国人介護士を雇うときは、安い労働力とみなさないように注意して下さい。

特に研修生として受け入れる場合は、労働基準法が適用されません。

そのため、最低賃金や労働時間の規制がされていないのです。

さらに、3年間転職できないという規定もあります。

そういった条件を悪用し、「低賃金で使えるだけ使おう」と受け入れるブラック施設があることも事実です。

日本人スタッフと比べて著しく低い賃金や、狭い部屋で共同生活を強制させるなどの実例があります。

結果的に、研修生が失踪したり不正就労をしたりとトラブルに繋がってしまうのです。

このとき、経営者に責任問題が問われます。

現場リーダーに任せず、経営者自らが外国人介護士をマネジメントするようにしましょう。

注意点3.利用者との架け橋となる

日本人スタッフは、外国人介護士と利用者との架け橋になるよう努めましょう。

なぜなら、高齢の利用者の中には外国人にお世話されることを嫌がる人も少なくないからです。

たしかに、一部の地域を除けば外国人労働者に出会う機会はほとんどありません。

そのため、入浴や排泄の介助を「外国人だから」という理由で拒否する人がいることも事実です。

そこで、外国人介護士と利用者が打ち解けられるよう工夫しましょう。

たとえば、レクリエーションの時間を積極的に行ったり、自己紹介の時間を取ったりします。

利用者も外国人介護士も居心地の良いと思える環境づくりを心がけましょう。

まとめ

外国人介護士は、人手不足の福祉現場を助けてくれる救世主です。

3,000人以上の外国時介護士が働いていますが、今後もっと増えていくと見込まれています。

海外にとっても日本の介護技術が移転されるので、大きな恩恵を受けていますう。

もし、一緒に働くことになったら最初は戸惑うかもしれません。

しかし、文化や宗教の違い等に気をつけながら、仲間意識を持って一緒に利用者さんが快適に過ごせるようサポートしましょう