「看護師資格を活かして海外で働きたい」
「海外で医療に悩む人の助けになりたい」
そうした思いから、青年海外協力隊を志望する看護師は少なくありません。
看護師の国際協力について日本ではまだあまり知られていませんが、JICA(国際協力機構)では青年海外協力隊看護師の募集もあり活躍の場は広いです。
しかし実際にどうやって海外青年協力隊として働くのか、イメージがつかない人もいるでしょう。
そこでこの記事では、看護師が海外青年協力隊となって場合の仕事内容や求人に応募する歩法などを解説します。
国際協力に興味のある人は、自分のキャリアを見直すためにもぜひ一度読んでみてください。
目次
1.看護師は青年海外協力隊として求められている!
看護師の国際協力についてまだ日本では一般的ではありませんが、医療支援が必要な国はたくさんあるため看護師のニーズは高いと言えます。
青年海外協力隊とは、開発途上国に行き、現地がさらに発展できるよう適切な支援を行う人材のことです。
募集している人材は日本語講師、技術指導、スポーツ講師、農業支援など多岐に渡ります。
その中で医療分野の支援もあり、看護師が応募することも可能です。
海外の人を助けたい、他の国にも安心な医療を提供したい、という人はぜひ青年海外協力隊として活躍してみましょう。
次は、看護師が青年海外協力隊として働く場合の具体的な仕事内容を解説します。
青年海外協力隊に興味はあるけれど、どんなことをするのかイメージがつかない、という人はぜひ参考にしてください。
2.青年海外協力隊としての看護師の仕事とは?
青年海外協力隊として看護師が現地で行う仕事は多岐に渡ります。
現地に派遣されればその場の環境や状況に応じて、様々な仕事をしなければいけないケースも多いです。
看護師が行う基本的な業務については、自分が担当する以外のものも行う可能性があると考えてしっかり把握しておきましょう。
青年海外協力隊としての看護師の仕事は、以下の通りです。
- 病院スタッフへの指導
- 地域住民への啓発活動
- 看護の専門学校で学生を指導
それぞれの仕事内容についてみていきましょう。
仕事1.病院スタッフへの指導
青年海外協力隊の看護師隊員は、その地域の病院などで病院スタッフに医療技術や患者のケア方法などを指導します。
指導の内容は状況によって異なりますが、実際に医師のサポートをしながら看護業務について教えることも少なくありません。
また、院内感染、医療事故の防止方法についても指導を行います。
実務経験が幅広く活かせる仕事となっているので、看護師としてのキャリアが長い人に最適です。
仕事2.地域住民への啓発活動
看護師隊員は、病院や診療所の外で地域住民に健康指導を行うことも仕事の一つです。
具体的には、対象の保健センターや村落を周り生活習慣病予防や感染症予防のための方法を指導し、病気の発生を未然に防ぎます。
この仕事の意義は、より多くの人に病気に関する正しい知識を持ってもらうことです。
指導の対象は子供から大人、高齢者まで幅広いので語学力が必要なケースも多くあります。
仕事3.看護の専門学校で学生を指導
看護師隊員は、現地にある看護師養成学校で学生に指導を行うこともあります。
現地の看護師が正しい知識を身に着けてその地域で活躍できる看護師になれるよう、サポートするのが主な目的です。
指導は実習が中心となりますが、必要に応じて学生の質問を受け付けたり、その他の看護技術を指導することもあります。
学生に指導を行う仕事に応募する場合、看護師としての指導経験(新人看護師を教育した経験など)があると有利になるでしょう。
以上が、青年海外協力隊で活躍する看護師の仕事でした。
看護師の募集は、時期にもよりますが年50件近くあります。
募集ごとに仕事内容は異なるので、自分の経験やスキルが活かせる場所を見つけましょう。
次は、看護師が青年海外協力隊として働く場合の給与を解説していきます。
3.看護師が青年海外協力隊としてもらえる給与
看護師が青年海外協力隊として働いている間は、生活費として派遣国の大卒程度の金額が支払われます。
しかしエリアによってこの金額には違いがあり、日本円にして数万円程度のところも少なくありません。
そしてその生活費に加え、手当として訓練期間は月4万円、派遣期間は5万5千円が振り込まれます。
いくら現地の物価が安いとは言っても、日本で看護師として働くよりは給与が下がってしまうので注意しましょう。
ただし、物価が安く娯楽も基本的にはないため手当に関してはほとんど全額貯金ができるという人も多いようです。
ちなみに、現地までの交通費や必要な経費については全てJICAに負担してもらうことができます。
次は、看護師が青年海外協力隊に応募する条件を解説するので、ぜひチェックしてください。
4.青年海外協力隊に応募するための必須条件とは
看護師として青年海外協力隊に応募する場合は、規定の要件を満たさなければいけません。
看護師として採用される要件として必須なのは看護師の国家資格です。
それに加え、業務の幅を広げるために実務経験3年以上、もしくは5年以上が求められるケースもあります。
また、保健師や助産師の資格を取得し実務経験を持っている人なら、母子への指導や栄養面での健康指導など現地で幅広い仕事ができるでしょう。
そして要請内容によっては、以下の資格や経験が求められるとされています。
- 特定の疾患や部署での知識や実務経験
- プライマリ・ヘルスケアや母子保健に関する知識・経験
- 5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)についての知識や経験
- 糖尿病療養指導士資格
- 英語その他の語学力
派遣先によってはこうした資格や経験が必須の場合があるので、実際に求人を探す際にチェックしましょう。
次は、看護師が青年海外協力隊に応募する方法や採用の難易度について解説します。
5.青年海外協力隊に応募する方法・倍率を解説!
青年海外協力隊として実際に活動する前には、求人に応募し、面接などを通過して採用される必要があります。
応募から採用の流れや倍率について、ここから詳細を解説していきます。
5−1.青年海外協力隊に応募する方法
JICAの青年海外協力隊に応募するには、直接公式サイトにアクセスして応募ページから申し込む必要があります。
仕事の詳細は派遣地域によってそれぞれ異なり、派遣期間は1〜2年間が基本です。
しかし、場所によっては1年未満の募集も少なくありません。
現地の環境や求められる仕事の内容は、各種求人から確認しましょう。
青年海外協力隊は過酷な環境でしか働けない、と考えている人もいますが、電気・水道が安定しておりインターネットの使用もできるエリアも多いようです。
募集の時期は2〜3月の春選考、8〜9月の秋選考に分かれているので、時期が来たらこまめに公式サイトを確認してください。
5−2.青年海外協力隊の採用倍率
JICAが2018年秋に公開したデータによると、看護師の採用倍率は約46%で、応募者の半数近くが採用されています。
また、保健師では57%、助産師では69%となっており、追加で資格があれば採用倍率はさらに上がるでしょう。
しかし、いくら半数近くが採用されると言えど倍率は2倍程度です。
本当に自分が海外青年協力隊として活躍できるのか、不安に感じる人もいるでしょう。
そこで次は、看護師が青年海外協力隊に採用されるコツを解説します。
語学力や実務経験など応募に必須の条件を満たしている人は、ぜひチェックしてください。
6.看護師が青年海外協力隊に採用される大切なコツ
青年海外協力隊は、非常にやりがいのある仕事なので、多くの看護師が応募します。
採用されるためには、スキルはもちろん熱意をアピールするのが一番大切でしょう。
ここからは、以下の通り看護師が青年海外協力隊に採用されるためのコツを解説します。
- 働きたいという思いを伝える
- 具体的にどんな国でどんな支援ができるか伝える
- これまでの経験やスキルをアピールする
採用のポイントを知り、少しでも海外で活躍できる可能性を増やしましょう。
コツ1.働きたいという思いを伝える
青年海外協力隊として働く上で最も大切なのが、熱意です。
もちろん、採用されるためには最低限以上の医療知識・経験・語学力を身に着けておく必要がります。
しかし他の人と比べてスキルだけなら特筆すべきものがない人でも、規定の期間、発展途上国で全力で働きたいという気持ちが示せれば採用の確率は上がるでしょう。
どうして国際協力に興味を持ったのか、自分の経験やスキルがどう活かせるのかを具体的に説明すれば、きっと熱意が伝わるはずです。
コツ2.具体的にどんな国でどんな支援ができるか伝える
看護師の青年海外協力隊採用は年に40件以上あるので、どうしてその国で活動したいと思ったのか理由を説明することが大切です。
医療技術が足りず、苦しい生活をしている発展途上国の人々は少なくありません。
なぜその国でその仕事をしようと考えたのか、自分のスキルや経験を踏まえてしっかり伝えれば志望動機に具体性が出て採用の可能性が上がるでしょう。
また、自分の経験が活かせそうな仕事に応募するというのも効果的です。
これまで病院や診療所でどんな患者さんを診てきたのか、どんな資格を持っているのか改めて整理して自分のキャリアに合った青年海外協力隊の仕事を探しましょう。
以上が、青年海外協力隊として看護師が採用されるコツでした。
希望する時期に希望する国で支援ができるよう、この後説明する質問会や説明会などに参加して面接対策を進めましょう。
7.青年海外協力隊が開催する説明会に行ってみよう!
青年海外協力隊についての説明はJICA公式サイトなどでされていますが、やはり生の声を聞きたいと感じている人も多いでしょう。
そこでおすすめなのが、JICAが開催している説明会です。
青年海外協力隊として働く場所はどんな感じなのか、毎日の生活はどんな様子なのか、現地の人と上手くコミュニケーションが取れるのか…、いろんな不安を、先輩に直接ぶつけてみましょう。
先輩看護師の体験談などを聞けば、具体的に自分が働く姿をイメージすることができます。
また、説明会が遠方で行きにくいという場合、JICA公式が行うWEB質問会への参加も可能です。
青年海外協力隊の仕事について理解を深め、自分のキャリアをもう一度考えてみましょう。
まとめ
看護師が国際的な課題意識を持ち、青年海外協力隊として働くことは非常に有意義なことです。
採用倍率も2倍程度なので、あきらめずしっかり面接対策や実務経験などを積めば希望の場所で働ける可能性は高いといえます。
気になる人はまずは説明会などに行き、青年海外協力隊の仕事をしっかりと理解しましょう。