「一度病院看護師から離れて、企業へ転職してみたい」とお考えですね。
民間企業で活躍する看護師は意外と多くいます。
しかし、メリット・デメリットをしっかり把握しておかなければ、転職を後悔しかねません。
今回は、看護師が企業に転職する方法やメリット・デメリットを徹底解説!
狭き門と言われる企業への転職に成功するためのコツも紹介しています。
企業へ転職し、理想の働き方を実現しましょう。
目次
1.看護師が企業へ転職するための4つの方法
看護師が企業へ転職したいのであれば、以下の4つの方法で働くことができます。
- 産業看護師
- フィールドナース
- 臨床開発モニター
- 治験コーディネーター
どの働き方でも「看護師」として働くことに違いはありませんが、医療機関で働く看護師とは仕事内容が異なります。
仕事内容や年収について詳しく確認していきましょう。
方法1.産業看護師
産業看護師とは、企業の従業員の健康を守る看護師です。
企業の従業員として採用され、企業の医務室で働くことになります。
具体的には、以下のような仕事内容です。
- 怪我や体調不良の応急措置
- メンタルケア・カウンセリング
- 健康相談
- 健康診断の準備・サポート
- 車内の衛生管理
常に患者のいる医療機関とは違い、従業員に健康で生き生きと働いてもらうための環境づくりをすることが主な仕事です。
たとえば、インフルエンザが流行する季節になったら総務部と相談して従業員へ予防接種を促したり、健康診断の結果をまとめたりもします。
そのため、医療機関看護師と比べると事務作業や会議の時間が多いです。
民間企業で働くため、完全週休二日制・夜勤なしという働き方になります。
年収は一般的な民間企業の総合職と同じくらいで、450万円〜500万円程度です。
事務作業が得意な人や家庭やプライベートと両立させたい人におすすめと言えます。
方法2.フィールドナース
フィールドナースとは、医療機器メーカーや製薬会社で商品のプレゼンテーションや製品の導入サポートを行う看護師のことです。
フィールドナースになるには、看護師の資格を持っていなければなりません。
営業マンと一緒に医療機関へ営業へ赴いて医師や看護師とのコミュニケーションを取ることが多いので、看護師経験を十分に活かせます。
もちろん命に関わる仕事は一切なく、陰で医療機関を支えることにやりがいを持って働くことが可能です。
民間企業の社員と働けるので、完全週休二日制・夜勤なしという働き方を実現できます。
年収は、600万円〜800万円と比較的高めです。
営業として働くため営業実績を積めば昇給しやすくなります。
営業マンとして向上心のある人や医療機関を影からさせることで命を守りたい人におすすめです。
方法3.臨床開発モニター
臨床開発モニターとは、治験のスケジュール管理やモニタリングをする人のことです。
新薬を投与してカルテに経過を書き込む仕事は、医療機関での看護師の仕事によく似ています。
しかし、被験者を看護するわけではないため、看護師の資格はいりません。
臨床開発モニターには、薬品会社に所属する人と医療機関に所属する人の2通りあります。
最初の年収は400万円〜450万円程度ですが、企業所属の方が能力と勤務年数によって年収1,000万円を狙うことも可能です。
医療機関の看護師よりも高い年収を目指したい人や、新薬の開発に拘りたい人におすすめと言えます。
方法4.治験コーディネーター
治験コーディネーターとは、治験を行う医師や患者に対するサポートを行う人です。
治験の内容を医師や患者にわかりやすく説明し、患者のケアを行います。
患者のケアをすることは、医療機関で働く看護師の仕事と似ているので働きやすいでしょう。
治験コーディネーターに看護師の資格は必須ではありませんが、看護師の資格や経験を持っている人を積極的に採用したいと考える薬品会社は多いです。
基本的に治験は長期間に渡って行うため、長期間患者と向き合って看護することができます。
転職初年度の年収平均は、330万円〜430万円程度です。
夜勤がほとんどないにもかかわらず、高収入を狙えます。
また、勤務年数や能力次第で、順調に昇給していくことも可能です。
看護師としての経験をいかしつつも、企業勤めしたい人におすすめの仕事と言えます。
2.病院看護師が企業へ転職する4つのメリット
病院看護師が企業へ転職することで、以下のような4つのメリットを享受できます。
- カレンダー通りに休める
- 夜勤や残業がほとんどない
- 医療ミスや命に関わる精神的負担が少ない
- 福利厚生に恵まれる
このように、医療機関で正社員として働き続けていると実現できないことが企業勤務なら実現できます。
順番に確認していきましょう。
メリット1.カレンダー通りに休める
基本的に、企業で働くとカレンダー通りに休むことができます。
土日祝は無条件で休みになるので、学校へ通う子どもや企業で働く夫と生活リズムを合わせられるのです。
また、友人との予定も合わせやすくなるので、プライベートを充実させられます。
メリット2.夜勤や残業がほとんどない
企業勤務だと、夜勤や残業がほとんどありません。
そのため、子育てに注力させたい人や資格を取るための勉強をしたい人にとって働きやすいと感じるでしょう。
しかし、職種によっては出張や繁忙期があることも。
確実に夜勤・残業なしで働きたいのであれば、出張や残業の有無をしっかり採用担当者に確認しておくことをおすすめします。
メリット3.医療ミスや命に関わる精神的負担が少ない
医療ミスや命に関わる精神的負担が少なく働けます。
なぜなら、直接患者に携わることがほとんどないからです。
たしかに、治験中の患者や気分の悪い社員のケアをすることもあります。
しかし、前提として元気な人の健康を守ることが仕事です。
急性患者に関わる機会が少ないため、精神的なプレッシャーをほとんど感じずに働けます。
メリット4.福利厚生に恵まれる
看護師を雇う企業は上場しているような大企業であることが多く、福利厚生に恵まれる可能性が高いです。
たとえば、家賃補助・子育て支援・レジャー補助・有給消化などの制度が整っています。
医療機関からの転職であれば、充実した福利厚生に驚くかもしれません。
福利厚生の内容は企業ごとに違うので、求人票や労働契約書で詳細を確認しましょう。
3.病院看護師が企業へ転職する3つのデメリット
一方で、病院看護師が企業へ転職すると以下のような3つのデメリットを感じます。
- 同僚が少なく相談できる相手が少ない
- 看護師としてのスキルアップがしづらい
- 事務作業が多く慣れるまで大変
デメリットも知っておくことで、本当に自分が企業で働くべきか判断できます。
3つのデメリットについて確認していきましょう。
デメリット1.同僚が少なく相談できる相手が少ない
企業には同じ職種の同僚が少ないため、ちょっとしたことを相談できる相手が少ないです。
その分自分一人で判断する機会も多く、責任感を過度に感じてしまうかもしれません。
看護師ばかりの病棟で働いてきた人にとっては、不安に感じるでしょう。
自信を持って自分で判断をするには、十分に臨床経験を持っている必要があります。
企業の医務室や治験中の緊急対応にも問題なく一人で対処できるだけの知識と経験が必要です。
また、職種を超えた社内でのコミュニケーションも重要になります。
職種が違っても同じ仕事をする仲間として信頼し合い、相談し会える関係づくりをしましょう。
デメリット2.看護師としてのスキルアップがしづらい
企業勤めをすると、看護師としてのスキルアップがしづらくなります。
なぜなら、医療措置や看護ケアをする機会がなくなるからです。
そのまま企業に勤め続けるのであれば、スキルアップさせる必要がないので何も問題はありません。
しかし、将来的に医療機関へ勤務したいと思っているのであれば、臨床での感覚を忘れてしまうでしょう。
看護師としてのブランクを作ってしまうので注意しましょう。
デメリット3.事務作業が多く慣れるまで大変
企業で勤めると、事務作業が多く慣れるまで大変です。
医療機関の主な仕事は看護や医療ケアのため、ほとんどパソコンを使うことはありません。
しかし、企業だとデータ分析をしたり報告書を作成したりする仕事がメインとなり、新しく覚えなければならないことが多いです。
新しいスキルを身につけることに抵抗がある人は、企業勤めを検討しなおしてみましょう。
4.就職は難しい?看護師が企業に転職するための4つのコツ
企業勤めのメリット・デメリットを見た上で「企業に転職したい」と思うのであれば、看護師が企業に転職するためのコツを確認しましょう。
というのも、企業への就職は難しいからです。
看護師需要の高い医療機関や福祉施設などと比べて、企業は狭き門と言われています。
そのため、以下の4つのコツをしっかり抑えておきましょう。
- 面接対策をしっかりしておく
- 3年以上の臨床経験を持っておく
- 求人情報を常に探す
- 資格を取得しておく
順番に確認していきましょう。
コツ1.面接対策をしっかりしておく
面接対策をしっかりしておきましょう。
というのも、医療機関と企業では採用時に重視するポイントが違うからです。
医療機関では、看護師としてのスキルや経験を重要視されます。
そのため、ある程度経験のある看護師は、たいていすぐに内定をもらえるのです。
しかし、企業では看護師としてのスキルだけでなく人柄や価値観が重視される傾向にあります。
しっかりと企業の経営理念を理解し、自分がどのように企業に貢献できるのかを伝えなければなりません。
採用されるためにも、企業ならではの面接対策をしておきましょう。
コツ2.3年以上の臨床経験を持っておく
看護師経験を武器にするためにも、3年の臨床経験を持っておきましょう。
というのも、3年の臨床経験があれば一人立ちしていると考えられるからです。
もちろん、2年でも十分一人で仕事をこなせる看護師は多いでしょう。
しかし、転職において「3年」という年数は一つの基準とされているのです。
実際一人で判断する場面も多いため、3年以上の臨床経験を持っていると安心して働けます。
コツ3.求人情報を常に探す
求人情報を常に探しておきましょう。
というのも、企業での看護師の求人は非常に少ないからです。
民間企業の求人の多い医療ワーカーを例に見てみましょう。
病院やクリニックの求人は4万5,000件ほどある一方で、企業の求人数は500件程度しか見つかりませんでした。(2020年9月情報)
このように、病院やクリニックと比べると、企業の求人数は圧倒的に少ないです。
病院やクリニック、介護の現場などでは看護師の数が足りておらず、常に多くの求人情報が出ています。
しかし、企業ではそれほど多くの需要はなく、採用する企業数も少ないため狭き門と言われているのです。
求人情報を逃さないためにも、高頻度で求人をチェックしておきましょう。
コツ4.資格を取得しておく
保健師の資格を取得していると、企業で働きたい人に有利です。
というのも、産業看護師の他に産業保健師の採用をしたいと考えているケースがあるからです。
保健師として働けるようになれば、企業で採用される可能性も高まります。
さらに、公務員として働くことも可能です。
しかし、保健師の資格を取得することは簡単ではありません。
全日制の保健師の養成学校に1年間通い、国家資格に合格する必要があります。
転職先の選択肢を広げたいなら、保健師の資格を持っておきましょう。
5.企業に転職したいなら看護師転職サイトを利用しよう
企業に転職したいのであれば、看護師転職サイトを利用することをおすすめします。
なぜなら、看護師や保健師に特化した求人情報ばかりを扱っているため、転職先が見つかりやすいからです。
中でも企業の求人情報を豊富に持っている看護師転職サイトは、2つあります。
- マイナビ看護師
- 医療ワーカー
それぞれの特徴を確認しましょう。
転職サイト1.マイナビ看護師
マイナビ看護師は、総合職の転職サポート大手のマイナビが運営する看護師向けの転職サイトです。
総合職転職事業で民間企業との繋がりが強いため、民間企業が求める看護師の求人情報も豊富に取り扱っています。
実際に求人検索してみると、看護師資格・経験を活かせる一般企業の求人が300件以上、治験関連企業の求人が200件以上見つかりました。(2020年9月時点)
全国20箇所以上にオフィスがあり、対面で相談に乗ってもらうことが可能です。
地方の求人情報も豊富に持っているので、企業勤めを目指すなら登録してみましょう。
転職サイト2.医療ワーカー
医療ワーカーとは、看護師向けの求人を9万件以上取り扱う業界最大級の転職サイトです。
医療機関や介護施設以外の求人も多く取り扱っています。
実際に「企業」にチェックして求人検索してみると、500件以上の求人が見つかりました。(2020年9月時点)
医療ワーカーは利用満足度97%と高満足のサポートをしてくれます。
企業へ転職したい看護師であれば、登録しておきたい転職サイトです。
まとめ
民間企業で活躍する看護師は意外と多くいます。
医療機関勤務と違って、民間の会社員と同じような働き方ができ、医療ミスのプレッシャーもなく働けることが魅力です。
しかし、民間企業に看護師が転職することは難しいとも言われています。
以下のようなコツをしっかり押さえた転職活動を意識すべきです。
- 面接対策をしっかりしておく
- 3年以上の臨床経験を持っておく
- 求人情報を常に探す
- 資格を取得しておく
狭き門と言われる民間企業へ転職し、理想の働き方を実現しましょう。