「看護師ってやっぱり残業多い?」
「自分の残業時間は普通なの?」
看護師として働いていて「残業が多くて毎日つらい」と感じている人は多いでしょう。
看護師の仕事はハードなので、残業は他の業種以上に大きな負担となってしまいます。
しかし、他の看護師が残業をどれだけしているか分からないと、職場を改善したり、転職すべきかどうか判断ができません。
この記事では、看護師の平均残業時間と残業代の実態を解説していきます。
残業代の請求方法もご紹介するので、この記事を読みハードな残業を少しでも楽にしましょう。
目次
1.気になる看護師の平均残業時間とは?
日本医療労働組合連合会 労働実態調査によると、日勤でも夜勤でも看護師の平均残業時間は約60分です。
厚生労働省が調査した労働者全体の平均残業時間は2019年時点で約14.5時間となっているので、労働者全体よりも少ないと言えるでしょう。
ただし、看護師の仕事は精神的にも肉体的にもハードであるため、残業の負担は他の職種より大きいです。
さらに、過労死ラインと呼ばれる残業時間も月に80時間と設定されている他の職種より低く、月50〜60時間とされています。
そんな中、先程の日本医療労働組合連合会の調査によると、残業をしている看護師は約9割、1ヶ月の残業時間が60時間(過労死ライン)を超える看護師は0.8%です。
同じ調査では73.6%もの看護師が慢性疲労を感じていると回答したため、残業は看護師にとって大きな負担になっていると考えられます。
病院によっては、毎日1時間以上の残業が慢性化しているところも少なくありません。
平均して毎日1時間以上残業している人は、他の看護師と比べ残業が多く非常にハードな状況だと言えます。
次は、残業代の実態について解説していきます。
「残業をしているのに、残業代が支払われない」とお悩みの人はぜひ参考にしてください。
2.支払われてない病院のほうが多い?残業代の実態
日本医療労働組合連合会 労働実態調査では、看護師の3分の2が賃金不払い労働(サービス残業)を行っているという結果が出ました。
サービス残業の時間が10時間以上と回答した看護師は17%以上もおり、残業代を支払わない職場は多いと分かります。
通常、看護師が残業をすれば通常の賃金の25%追加の手当が就きます。
もし、深夜に時間外労働をする場合は、50%もの追加手当です。
しかし、サービス残業では追加の手当はおろか、通常の給与も支払われません。
ハードな残業をこなしているのに、残業代が出ない状況に不満を持つ看護師は多いでしょう。
残業代が支払われていない場合、正当な権利として賃金を請求できます。
不払いがある看護師は「5.【参考】看護師が残業手当を請求する方法」を参照してください。
次は、看護師の残業が多い理由を解説していきます。
残業がつらい、残業を少しでも減らしたい、と感じている人はまず残業の原因を確認しましょう。
3.看護師の残業が多い理由とは?
人手不足が深刻化する看護師の職場では、業務量が増え残業が多くなってしまいがちです。
職場によっては、毎日何時間も残業しないと仕事が終わらない、ということもあるでしょう。
しかし、業務量以外にも看護師の残業を増やしている原因はあります。
看護師の残業がどうしても多くなる理由は、以下の通りです。
- 緊急対応が必要な場面が多い
- 看護師は残業して当たり前という空気がある
- 労働時間がしっかり把握されていない
それぞれ確認し、自分の職場で残業が多くなる理由を把握しておきましょう。
理由1.緊急対応が必要な場面が多い
看護師は緊急対応が必要なので、働く時間が定時を過ぎてしまうことも多いです。
患者が定時直前に急変し人手が要る場合、患者さんを放置して帰ることはできません。
看護師として患者の病状が安定するまではケアをしなければいけないので、どうしても予定していた時間に帰るのが難しいのです。
また、場合によっては急患が次々と運ばれてくるケースもあるでしょう。
院内の人材だけで対応できない場合、休日でも定時後でも休む暇もなく働かなければならないことも多いです。
理由2.看護師は残業して当たり前という空気がある
看護師は人の命を扱う、責任の重い仕事なので患者のために多少の残業はして当然だ、という風潮があります。
人手が常に足りない現場では、患者のため残業で仕事量をカバーするのが当然という空気があることも多いです。
特に新人の場合、早く仕事を覚えて現場で活躍してほしいという思いから、先輩や上司が長時間の残業をさせることもあります。
看護師として、多くの患者さんのために頑張って仕事をするのは当然でしょう。
しかしその気持ちが行き過ぎると、職場全体が「患者のために残業するのは当然」という雰囲気になり残業改善の努力がしにくくなるのです。
理由3.労働時間がしっかり把握されていない
職場によっては、看護師の労働時間が正しく把握されておらずサービス残業が発生することも少なくありません。
残業時間が正しく把握されていなければ、現場と管理職の間に認識の違いが生まれ長時間残業が見過ごされてしまいます。
厚生労働省が2017年に発表したガイドラインでは、着替え時間や研修の時間も労働時間です。
しかし、着替えや研修を労働時間に入れていない職場だと、残業代も支払われず勤務時間だけが長くなってしまいます。
また、記録や情報収集は定時後に看護師個人でやることが多く、上司が時間を把握していないことも多いです。
そのため、看護師の職場はサービス残業が起こりやすいと言えるでしょう。
以上が、看護師の残業が多くなる理由でした。
看護師の残業が多い理由は職場にあることも多く、個人で解決するのは難しい問題です。
しかし、自分からアクションを起こすことで残業を減らせるチャンスもあるでしょう。
次は、看護師が残業時間を減らす方法を解説していきます。
残業を少しでも減らして早く家に帰りたい、そんな看護師はぜひ読んでみてください。
4.看護師が残業時間を減らす方法3つ
看護師が残業時間を減らし、余裕を持って働くには自分から行動を起こす必要があります。
自分1人で残業をゼロにするのは難しいですが、職場に対応を求めたり、残業代を請求したりして働く環境を良くしましょう。
残業に悩む看護師は、ぜひ以下の方法に挑戦してみてください。
- 同僚や先輩と話し合う
- 残業代をしっかり請求する
- 残業の少ない診療科に移る
職場を改善し、残業を減らしていきましょう。
方法1.同僚や先輩と話し合う
自分だけでなく、同僚や先輩看護師も残業に苦しんでいる場合、みんなで対策を話し合ってみてください。
同じ悩みを共有し、解決策を出し合えば今の職場に合った改善策も見つかるでしょう。
残業時間が多いのは、ほとんどの看護師にとって大きな悩みです。
そのため、一度勇気を出して「残業多いと思わない?」「毎日残業で大変です」と周りの人に相談してみれば案外共感してもらえるかもしれません。
看護師の多くが「残業を減らしたい」と考えていれば、問題解決に向けて職場全体が前向きに動けるはずです。
同じく残業時間に悩む看護師を見つけて、みんなで対策を考えていきましょう。
方法2.残業代をしっかり請求する
残業代を上司に請求することで、残業に問題意識を持っていることが伝わり改善を試みてくれるでしょう。
残業が多い、と相談するだけでは動かない上司も、正式な手続きをして残業代を請求すれば無視できません。
未払いの残業代を請求する詳しい方法には「5.【参考】看護師が残業手当を請求する方法」で解説しますが、まずは残業の記録を付けてみてください。
勤務記録をしっかり付け、未払いの分を請求すれば上層部が対策のため動いてくれるはずです。
ちなみに、働き方改革関連法案の成立により、有給休暇も年5日以上取得しなければいけません。
有給も取れていない状況なら、法律を元に上司に相談し、ワークライフバランスについて考えるよう促しましょう。
方法3.残業の少ない診療科に移る
同僚や先輩、上司に相談しても残業が減らない場合、残業の少ない診療科に移るのも良いでしょう。
残業は職場全体の協力がなければなかなか解決しません。
周りの人に相談しても協力してもらえず、自分1人でどうにもならない場合は働く環境自体を変える必要があります。
複数の診療科が集まった病院であれば、異動を希望しもっと残業の少ない診療科に行きましょう。
院内に他の診療科がない場合、働きやすい職場を探し転職するのもおすすめです。
実際の残業時間は場合によって異なりますが、以下の職場は救急の対応が少ないため残業を減らせる可能性があります。
- 回復期リハビリテーション病棟
- 慢性期病棟
- 皮膚科
- 精神科
患者が自立しており、急変の少ない職場は残業が少なくなる傾向にあります。
これまでの経験や、先輩・同僚の話を踏まえながら自分に適した職場を探しましょう。
以上が、看護師が残業を減らすポイントでした。
次は、参考として看護師が残業手当を請求する方法を解説します。
「残業手当も出ない状況では頑張れない!」とお悩みの人はぜひ読んでみてください。
5.【参考】看護師が残業手当を請求する方法
看護師が残業代の請求をするのは、労働基準法で保証された権利です。
職場の上司に「残業代は出ないから我慢して」と言われた場合でも残業代の請求はできるので、諦めず請求の準備を始めましょう。
残業代の未払いがある場合、まずは残業をしたという証拠を集めてください。
タイムカードや業務日報、自分の付けているメモや日記などは残業の証拠になります。
何日に、何分残業をしたのか分かるものを集めてください。
次に、証拠を職場に持っていって改めて残業代の請求を行います。
もし職場が応じてくれない場合は、労働基準監督署に相談しましょう。
労働基準監督署は、残業代を支払うよう職場側と話し合うことができます。
それでも上手く行かないときは、裁判所に訴え労働裁判をしたり、労働訴訟を起こしましょう。
未払いの残業代を請求できるのは、2年以内です。
どれだけ未払いの残業があっても、2年経過すると残業代の請求ができなくなるので早めに手続きを始めましょう。
まとめ
看護師は、命を預かる責任を抱えて残業をこなさなければいけないという、過酷な状況で働いています。
個人がすぐ職場の残業を無くすのは難しいですが、同僚と声を上げれば改善されるかもしれません。
まずは諦めず、同じ職場の看護師と相談して残業を減らすよう対策を上司にお願いしましょう。
もし残業が改善されず、精神的にも肉体的にもハードな場合、残業の少ない診療科に移るのも効果的です。
患者さんのため、自分が無理せず働ける環境で頑張りましょう。