「理学療法士としてキャリアを始めたい」
「リハビリを専門職にしたい」
そう考えている看護師は少なくありません。
リハビリに関われる代表的な職として理学療法士がありますが、看護師から理学療法士になるにはどのようにすれば良いのでしょうか。
この記事では、看護師から理学療法士になるルート、理学療法士の働く環境について解説します。
作業療法士との違いもご紹介するのでリハビリ関連職に興味のある人はぜひ役立ててください。
目次
1.看護師から理学療法士になるには資格の取得が必須!
理学療法士になるには、身体機能に関する専門的知識が必要となるため、指定の養成校で3年以上学ぶ必要があります。
さらに、卒業後は国家試験に合格することで、ようやく理学療法士として働くことができるのです。
そのため、看護師からそのまま理学療法士になることはできません。
理学療法士養成学校の学費は、私立学校・3年間で400〜550万円ほどが相場になっています。
公立学校の場合はそれより安く、卒業までの学費が300万円ほどのところもありますが入学の倍率が高く、学校の数も少ないです。
そのため、理学療法士になるには3年間で400万円超の出費になると考えておいたほうが良いでしょう。
また、学校での授業や実習は基本的に昼間に行われるため、看護師とのWワークはパート・アルバイトでなければ基本的には難しいです。
しかし、一部の学校では夜間過程が開講されているので、そうした学校に行けば看護師を続けながら理学療法士を目指すこともできます。
しかし看護師として働き続けるにせよ、学費などでお金は必要です。
どうやってお金を確保し、生活費を稼いでいくのかしっかり考えた上で理学療法士の養成校を選びましょう。
次は、リハビリ関連のキャリアを選ぶ上で知っておきたい理学療法士と作業療法士の違いを解説します。
自分がどちらになるべきか悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。
2.理学療法士と作業療法士はどこが違う?
理学療法士と作業療法士は、一言で言うと患者さんに対してサポートを行う範囲が異なります。
まず、理学療法士は基本的に歩行や入浴など、日常の動作ができるようになるまで身体機能の改善・向上をサポートすることを目的としています。
具体的にはリハビリのプランを組んだり、必要であればマッサージや電気刺激をしたりと、身体面でのサポートが中心です。
一方作業療法士はそうした身体面のサポートだけでなく、日常生活を送る上での精神面・環境面でのサポートも重視します。
作業療法士は、家族のサポート体制についてアドバイスを行ったり、メンタル面での相談を受け付けたりしながら社会復帰を手助けするのが仕事です。
理学療法士と作業療法士は、似ているようで仕事の範囲が異なります。
身体機能の回復を重視したいなら理学療法士、日常生活への復帰に向け総合的なサポートをしたいなら作業療法士を目指すと良いでしょう。
次は、仕事や働き方から見る理学療法士と看護師の具体的な違いを解説していきます。
3.理学療法士の仕事と看護師の仕事との違いを解説
理学療法士が基本的に夜勤がないため、年収は看護師より低いケースが多いです。
しかし、看護師とは違った目的、働き方ができるので、看護師との違いをしっかり理解して目指しましょう。
ここからは理学療法士の仕事内容、働く場所、勤務体系について看護師との違いを解説します。
理学療法士ならではの魅力を知るため、ぜひ読んでみてください。
違い1.仕事の内容
看護師の基本的な仕事内容は、医師の診察のサポートや患者さんのお世話になります。
一方、理学療法士はリハビリテーションに特化した職業であり、診察のサポートなどに関わることはほとんどありません。
仕事の幅で考えれば、点滴や駐車などの医療行為ができる看護師の方が広いですが、リハビリに特化しているのは理学療法士です。
リハビリテーションの専門家として活躍するなら理学療法士、医療行為全般に関わるなら看護師のままでいるのがおすすめだと言えます。
違い2.働く場所
理学療法士も看護師も、多くが病院や診療所などで働いています。
看護師は病院の他、保育園や大学などの保健の先生として働くことも少なくありません。
一方、理学療法士の場合は、病院だけでなく介護現場や障害者施設などで働くこともあります。
また、身体機能について詳しい知識を持つ理学療法士は、スポーツの現場などでリハビリのサポートをするケースもあるでしょう。
看護師も理学療法士も活躍の場は幅広いので、自分の好きなことに関連する職場や、福利厚生の整った職場など自分なりの基準を決めて仕事を探すことが重要です。
違い3.勤務体系
看護師は勤め先の病院によって夜勤や早朝の勤務がありますが、理学療法士には基本的に夜勤がありません。
看護師と同じく、理学療法士でも事務処理が終わらない場合、研修会などが急遽入った場合は残業が必要になることもあります。
しかしリハビリのほとんどは日中に行われるので、看護師と比べて理学療法士になれば安定したリズムで生活することができるでしょう。
以上が、理学療法士と看護師との違いでした。
双方の仕事にはそれぞれ違ったやりがいや環境があるので、自分に合うのはどちらなのかじっくり考えて決めましょう。
次は、身体機能の回復に重点を置きサポートをしたい理学療法士志望者向けに、理学療法士の収入についてご紹介します。
現在看護師として働く環境なども考慮し、キャリア選択の一助としてください。
4.理学療法士の気になる収入と年収
平成28年度厚生労働省の調査によると、理学療法士の平均年収は約406万円です。
日本国民の取得は中央値で420万円ほどとされているので(調査同年)、資格取得後は平均的な収入になると考えておくと良いでしょう。
一方、看護師の平均年収は同年の調査で約481万円と、理学療法士より多いです。
この要因としては、夜勤の有無が挙げられるでしょう。
理学療法士は基本的に夜勤がありません。
そのため日勤の時給としては同じくらいの職場でも、夜勤のある看護師の方が年収としては高くなりやすいのです。
収入面だけを考えるなら看護師を続けるほうがおすすめなので、理学療法士になぜなりたいのかしっかり考えておく必要があるでしょう。
次は、理学療法士を目指すべきか迷っている人に向け、どんな人が理学療法士になるべきか解説します。
5.こんな人は看護師から理学療法士を目指せる!
理学療法士になるには3年間の勉強が必要となるため、本気で目指すべきか迷っている人も多いでしょう。
そこでここからは、どんな人が理学療法士に向いているか以下の通り解説していきます。
- 治療後のケアに課題を感じている人
- 患者さんの回復を近くで見守りたい人
本当に理学療法士が自分に向いているのか、お悩みの人はぜひ参考にしてください。
5−1.治療後のケアに課題を感じている人
理学療法士はリハビリに専門的に関わる仕事なので、治療後のケアに課題意識を持っている人が向いているでしょう。
通常、看護師が担当できるのは診療の補助などであり、治療後のケアについて深く関わることはできません。
しかし実際に患者さんが社会生活を送るには、治療と同じくらいリハビリが大切なのです。
看護師として働く中で、リハビリの重要性を強く感じているなら、理学療法士として専門的な知識を持って患者さんに関わるのが良いでしょう。
5−2.患者さんの回復を近くで見守りたい人
理学療法士になれば、治療後の患者さんの回復を近くで見守ることができます。
理学療法士は、患者さんに合わせたリハビリのプランやサポートを主体的に行うので、自然と患者さんとの関わりも増えるでしょう。
患者さんによってはリハビリに時間がかかるケースも多いですが、一度担当になれば一人の患者さんとじっくり話ができるということでもあります。
たくさんの患者さんと短期間で次々と関わるのではなく、一人の患者さんの回復をしっかり見守りたいという人は理学療法士が向いているでしょう。
以上が、理学療法士を目指すべき人でした。
看護師の仕事はハードですが、年収面で考えると理学療法士の方が低めです。
そのため、お金ではなくリハビリに関わりたいという気持ちが、理学療法士を目指す上では最も大切になります。
気になる学校の説明会に参加したり、身近な理学療法士の人に話を聞いてみたりしてじっくりと自分のキャリアを考えていきましょう。
次は、「やっぱり理学療法士になるのは難しいかも」と感じた人向けに、資格取得以外でリハビリに関わる方法を解説していきます。
6.理学療法士以外でリハビリに関わりたい人へ
理学療法士の資格を取得するにはお金と時間がかかるので、別の方法でリハビリと関わりたいという人もいるでしょう。
しかし、作業療法士を始めリハビリ関連職はどれも学校で専門的な勉強が必要です。
そのため、すぐにリハビリの専門職に就くのは難しいでしょう。
一方、看護師資格を活かして、看護師として介護施設、障害者のサポート施設に転職するという方法もあります。
直接リハビリに主体的に関わることは難しいですが、理学療法士、作業療法士のサポートを行いながらもう一度自分のキャリアについて考えてみると良いでしょう。
まとめ
看護師から理学療法士になるには、資格の取得が必要です。
資格取得までの期間も長いので、リハビリに必ず関わりたい、という人でなければ目指すのは難しいと言えるでしょう。
しかし、それでも理学療法士の資格が気になっているなら専門の知識が学べる学校を探すのがおすすめです。
養成学校では3年の勉強が必要なので、無理なく学べる環境と整えて理学療法士としてのキャリアを実現させましょう。