看護師

看護師から保健師になるにはどうすれば?資格取得の方法と保健師の働き方を知ろう

実際の保健師の声:勤務歴9年 41歳女性 Sさん

――実際に保健師として働いてみてどうですか。

夜勤がなく心身の負担の少ない職場です。

自分は睡眠サイクルが崩れるとすぐに身体を壊しやすい体質なので、保健師の資格を取っておいて本当によかったなと思います。

業務内容に関しては、病院とはまた違った大変さもありますね。

上司は医療関係者じゃないから上手く話が噛み合わない……ということもしばしば。コミュニケーション能力が求められますよ。

――困っていることはありますか?

いま私は産業で働いて、雇用形態としては契約社員なんですよね。そこがネックというか、もう少し待遇の良いところに行きたいなぁと。

自治体は倍率が高くて年齢制限もあるし、企業に正社員で就職するのもなかなかの狭き門ですが、それでもなんとか頑張って一度転職したいなという気持ちです。いま子どもが小学生なのですが、もう少し手が掛らなくなった時に改めて転職を検討したいなと思います。

でも、学費を貯めてから頑張って資格を取った経験があるので、その時に比べると転職活動もそんなに苦ではないかな。

――学費を貯められたんですね!

はい、保健師資格を取りたいなと思ってから大学(専門学校の場合もありますが)に行くための学費と、その期間の生活費なども貯金していました。

大学では働きながら勉強している人や、他の夜勤や訪問入浴などのバイトをしている人もいましたよ。

私は夜が苦手なので、それだけは耐えられないなと思って先にお金を貯めることにしました。

――それでは最後に看護師から保健師になりたい人に向けて、アドバイスをお願いします!

今後はどんどん専門的な知識や経験が要求されるような時代になってくるのかもしれません。看護師だけでなく、保健師、助産師などの資格が実質必須……という日がくるのかも。

保健師もただ資格を取ればよいというわけではなく、日々勉強しながら自分の中の専門性を高めなければいけません。けれど、これは裏を返せば毎日飽きずに新鮮に仕事を続けられるという事です。

勉強は少し難しいかもしれないけれど、とてもやりがいのある仕事だと思いますよ。頑張ってください。

「保健師の仕事に興味がある」

「病気を未然に防ぎたいという気持ちがある」

こういった人は、看護師資格を活かせる保健師の仕事に興味を持つことが多いです。

病気の有無を問わず様々な人の健康管理に関わることが出来る保健師の仕事は、看護師とまた違った魅力があるでしょう。

そこでこの記事では、看護師から保健師になる方法と保健師として働ける場所を紹介します。

保健師としてのキャリアをリアルにイメージし、自分に合う仕事かどうかしっかり判断しましょう。

看護師資格を活かすなら
「看護のお仕事」

1.看護師から保健師になるには免許が必要!

看護師から保健師になるには、看護師免許に加え保健師免許が必要になります。

保健師は、患者さんの治療を中心に行う看護師とは異なり、生活・栄養面の指導により病気を未然に防ぐ役割を持った専門職です。

治療だけでなく病気の予防という観点から、知識を新しく得る必要があるため、保健師免許が別途必要になります。

保健師免許を取るには、保健師養成校で1年間勉強をしなければいけません。

保健師養成校を卒業した後、保健師の国家試験を受け合格すれば、無事保健師として活躍することが可能です。

保健師の国家資格を得るには、看護師免許が必須になります。

そのため現在、准看護師として働いている人はまず看護師免許を取得する必要です。

准看護師が看護師免許を取得するには、2年間(定時制の場合は3年間)看護師学校養成所に通わなければいけません

実務経験は7年以上ある人は、通信制で2年間看護師学校養成所に通うことで看護師免許の受験資格を得ることが可能です。

保健師を目指す人は、今の自分の仕事と環境を見直し、必要な資格取得に向けて舵を切りましょう。

2.現役看護師でも保健師を目指せる

保健師の免許取得に年齢制限は無いため、現役看護師として長いキャリアを築いてきた人もここから保健師を目指すことは可能です。

しかし、保健師養成学校は基本的に全日制となっており、朝から夕方まで授業が入っていることは多くあります。

そのため、フルタイムで看護師として働きつつ、保健師を目指す人は少ないと言えるでしょう。

収入面に不安がある場合は、平日の夜間や休日に看護師のパートを入れるなどして対応するのがおすすめです。

一方、保健師養成学校の中には夜間コースを設けているところもあり、働きながら保健師を目指す人もいます。

現在、夜間コースがあるのは東京・大阪・名古屋など都心部の学校となっているので、通学が可能な人は検討してみると良いでしょう。

2−1.公務員を目指す人は年齢制限に注意

保健師の資格自体は何歳でも取得可能ですが、公務員を目指す場合、自治体によって年齢制限が設けられているケースもあります。

自治体が就職に年齢制限を設けることについては現在議論が行われており、今後年齢制限がなくなる可能性も少なくありません。

しかし、現在はまだ「未経験の場合30歳まで」といった年齢制限が存在するので、勤めたい自治体の試験情報を早めに調べましょう。

以上が、看護師から保健師を目指す際のポイントでした。

保健師になるまでには、少なくとも1年の勉強が必要であるため中途半端な気持ちでは目指しきれません

保健師というキャリアを選ぶにあたっては、保健師の仕事に関する具体的なイメージを持つことが大切です。

そこで次は、看護師から保健師になった後、どこでどんな仕事をするのか詳しく解説していきます。

3.看護師から保健師になった後で働く場所

保健師には、病院や診療所だけでなく、以下のようにいろいろな活躍の場があります。

保健師が働く場所

  1. 病院や診療所
  2. 保健所
  3. 市町村保健センター
  4. 企業や事務所
  5. 学校

ここからは保健師が働ける場所について解説するので、それぞれの特徴を踏まえて自分に合う就職先をイメージしましょう。

場所1.病院や診療所

保健師の家焼く10%ほどが、病院や診療所で働いています。

病院や診療所では、退院に向けた支援のほか、健康診断に訪れた人に対する生活指導を行うのが基本的な仕事です。

患者さんの家族とも連携しながら、どのように生活の改善を行い病気の再発を防ぐか、具体的な案を出すのも大切な仕事になります。

また、現在は病院や診療所に勤めるスタッフの健康管理を行うことも少なくありません

病院や診療所に関わる様々な人の健康をチェックし、それぞれの人に最適な生活プランを提案することができるのは、保健師ならではの仕事だと言えます。

場所2.保健所

保健所とは、都道府県や政令指定都市、中核都市などの大きな都市に設置されている行政の施設です。

保健所では、各地域に住む人の保健サービスを行っています。

具体的に保健師が関わるのは、以下のような業務です。

  1. 離乳食に関する講習
  2. 乳幼児の健康相談
  3. 3歳児検診
  4. 精神障害についての相談
  5. 感染症に関する相談・予防・検査

保健所には、医師や看護師、薬剤師や理学療法士・作業療法士など様々な専門家が在籍しています。

いろんな専門家と連携を取りながら、地域住民の課題を解決していくことが、保健所職員の重大な業務となるでしょう。

場所3.市町村保健センター

市町村保健センターは、市町村単位で設置することのできる健康施設です。

仕事内容は保健所と似ていますが、保健所に比べ規模が小さく、さらに地域住民に密着した活躍が求められます

そのため、コミュニケーションが得意な人、話を聞くのが好きな人に向いている職場でしょう。

また、保健センターの所長は医師でなく、保健師が勤める場合もあります。

役職のランクをアップさせ、施設を代表する職員になりたいと考えている人にもおすすめです。

場所4.企業や事務所

昨今求人が増加傾向にあるのは、企業や事務所に勤める「産業保健師」です。

産業保健師の仕事は、企業に勤める従業員の健康指導や精神・健康に関する相談の受付などとなっています。

企業によっては、衛生管理部門など産業保健師に向けた専門の部署を用意して従業員のケアに勤めているケースも少なくありません。

企業が保健師を配備するのは法律上の義務ではないため、現状保健師の募集を行っているのは余裕のある大企業が中心です。

しかし、労働によるうつなどの精神疾患が大きな問題となっている今、中小企業でも保健師の配備が進んでいます。

働く人のサポートをしたい方、労働による精神疾患について大きな課題意識を持っている方に向いている職場と言えるでしょう。

場所5.学校

小学校や中学校、高校、大学で働く学校保健師も少なくありません。

学校では子どもたちのメンタルケアの他、学生同士のトラブルに教員とは異なる観点から対応することも求められます。

国公立の小中学校・高校では保健師の役割を養護教諭(保健室の先生)が勤めるのが基本です。

しかし、私立学校、大学では養護教諭の免許がない人でも子供や学生のケアを行うことができます

子供と関わるのが好きな人、子供の助けになりたい人は、学校での求人を探してみましょう。

4.保健師の給与・年収

保健師の平均年収は、役職や経験によって異なりますが400万円前後です。

看護師の平均年収も400万円ほどとなっているので非常に大きな差がある、とは言えないでしょう。

ただし、保健師の仕事は治療ではなく健康管理となっているため、基本的には夜勤がありません

また、保健師の多くは公務員なので安定した給与を得られるという点では民間の看護師より安心感があるとも考えられます。

夜勤なしで医療スキルを活かしたい人、安定した働き方をしたい人は、給与面で大きなsアがなくても保健師として働くことを検討するのがおすすめです。

5.保健師になるのは難しいと感じている方がすべきこと

看護師から保健師になるには、一旦フルタイムの仕事を休んで保健師養成学校で1年間勉強する必要があります。

さらに公務員として働く行政保健師を目指すなら、公務員試験の勉強も必須なので目指すにはハードルが高すぎると感じている人もいるでしょう。

そのような人は、健康管理士、予防医学指導士資格、実践健康経営指導士などの資格を取得するのもおすすめです。

病気の予防、健康指導に関する資格を持っていれば、病院や診療所で患者の健康管理や指導などの仕事に就くことも可能でしょう。

また、実践健康経営指導士という資格を取得すれば、企業などで健康指導を行うことも可能です。

健康管理・生活指導に関する資格は他にもあるので、受験できそうなものから勉強を始めると良いでしょう。

また、公務員を目指しているという方なら県立・市立病院に勤務する看護師を募集している自治体に応募するのもおすすめです。

行政の運営する病院で看護師として働く場合、公務員試験を受ける必要はなく、小論文や面接のみで採用されます。

求人さえ見つかれば、今の仕事と両立して対策を進めることも可能でしょう。

まとめ

看護師から保健師になるには、1年以上の勉強が必要です。

また、保健師になるための勉強に加え公務員試験の対策も行う人が多いため、実際に保健師として働くまでにかかる負荷は重いと言えます。

ただし、病気の有無に関わらずたくさんの人のケアができる保健師に魅力を感じる人は多いはずです。

保健師の仕事が気になっているなら、まずは資格が取得できる近隣の学校を探してみましょう

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