看護師

看護師の仕事を時給換算すると平均いくら?パート看護師って時給が安いの?

自分の仕事を時給換算するといくらなんだろう?

と、気になったことってありませんか?

この記事は看護師の時給がわかるデータを読み解き、パート看護師の時給について考えた記事です。

さらに、正社員看護師がパート看護師に切り替わったときのメリットとデメリットも検証したいと思います。

自身の仕事の価値に悩み、働き方を検討したい正社員看護師さんは、必見です。

1.結論:看護師の仕事を時給換算すると高くもなく低くもない

看護師の時給が決まる要因

まずお伝えしたいのは、看護師の給料は時給換算しても高くもなく、低くもないという結論です。

他業種と比べても、ちょうど中間に位置する程度の金額でした。

  1. 看護師の給料実態
  2. 夜勤手当の占める割合は大きい
  3. 30代がターニングポイント

これら3つの項目をキーワードに、看護師の給料実態と金額が決定される要因について考えます。

(1)高給取りと言われる看護師がもらう給料の実態

看護師がもらっている給料は実際のところ平均的なものでした。

女性の30~34歳の1月当たりの賃金を産業別にグラフにしたものがこちらです。

情報通信業や教育学習支援、金融保険業と比較すると低く、製造や建設業などと比べると高いという結果でした。

産業 医療・福祉

教育

学習支援

建設 製造 情報通信

金融

保険

賃金 257,300円 269,600円 239,200円 215,300円 291,800円 263,900円

令和元年賃金構造基本統計調査 結果の概況 産業別より参照。

すべての産業と比較すると、女性の医療従事者の賃金はちょうど中間値に位置します。

(2)夜勤手当が給与全体に与えるインパクトは大きい

看護師の給料が思ったほど高くない理由は、賃金に含まれる夜勤手当にあります。

先ほども解説した産業別の賃金の表ですが、ここには諸手当が含まれていません。

諸手当には時間外勤務、深夜勤務、休日出勤、宿日直、交替などの手当が該当します。

つまりここから考えられるのは、看護師の賃金を引き上げる要因は主に夜勤手当と考えるのが妥当です。

基本給の部分は普通水準、という点は理解しておきましょう。

(3)ライフスタイルが変わる30代前後がターニングポイント

女性看護師は30歳までの働きぶりが、今後のキャリアや給料に影響を与える可能性が高いようです。

理由は看護師の賃金の増減幅にあります。

先ほど解説したデータを参考に見ると、看護師の基本給がテンポよく増えるのは19歳~25歳でした。

30代に差し掛かるまでにトータル100万円近く上昇し、その後は定年まで一定の割合で上昇しています。

つまり、30歳まで仕事に励めば励むほど、人材としての評価も給料も上がりやすいのです。

たとえばそこから正社員からパート看護師にキャリアチェンジすればどうでしょうか。

おそらく築きあげた地位や仕事における評価はそのままキープできるでしょう。

ちなみに令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況を参照すると女性の初婚年齢は29.6歳だそうです。

さまざまな人生や選択肢がある中で一概には言えませんが、仕事は30代前後までにある程度やりきっておく方が無難でしょう。

2.看護師経験者ならパートでも看護師として働いたほうがいいの?

次に、この章では正社員看護師が働き方を切り替える際、同じ看護師を続けた方がいいのか、違う職種を選んだ方がいいのかを考えます。

  1. 看護師の基本給から算出した時給
  2. 短時間労働者に区分される医療福祉従事者の時給

この2つからパート看護師がもらう時給を検証し、パートになっても看護師を続けるべきかを考えましょう。

参考1.看護師の基本給から算出した時給とは?

看護職の給与データ(2018年版)によると勤続10年になる看護師の基本給与は平均で244,445円、時給換算すると1,528円でした。

さらに前章のデータをベースにした計算も実施しておきます。

こちらの時給は1,838円でした。

産業別 医療・福祉

教育

学習支援

建設 製造 情報通信

金融

保険

賃金 1,838円 1,926円 1,495円 1,538円 2,084円 1,885円

※夜勤手当は含まず。

地域差もありますが、一般的に考えられるパートの時給は800円後半~1,200円程度でしょう。

つまり他業種と比べると時給は平均的ではあるものの、パート看護師は一般的なパート勤務者より時給は高い部類に入るのです。

参考2.短時間労働者に区分される医療福祉従事者の時給とは?

同じ女性の短時間労働者で比較すると、医療・福祉従事者の時給はもっとも時給が高いという結果が出ています。

  医療・福祉 製造 卸売・小売 宿泊・飲食 サービス業(それ以外)
平均時給 1,318円 1,025円 1,041円 1,021円 1,092円

令和元年賃金構造基本統計調査 結果の概況 短時間労働者引用。

つまり、看護師勤務を経験した人であればパートであっても看護師を続けていた方が時給は高い状態を保てるのです。

3.看護師が正社員からパートに切り替えると働き方はどうなる?

正社員、もしくはパート看護師がもらう給料の実態を調査してきました。

この章では、パート看護師として働いた場合の働き方の変化を考えます。

  1. パート看護師として働くメリット
  2. パート看護師として働くデメリット

この2つは働き方を決める上でも重要なポイントですので、しっかりと押さえておきましょう。

(1)パート看護師として働くメリット

パート看護師のメリット

まず正社員として働いていた看護師が同一の職場でパート看護師として働くと、どのようなメリットがあるのでしょうか。

  1. 時間の融通がきく
  2. 仕事の責任が軽くなる
  3. 働き方のみを変えられる

この3つについて考えていきます。

時間の融通がききやすくなる

まず正社員看護師がパート看護師に切り替わるメリットとして考えられるのが、時間の融通がきくことです。

パート看護師は給料が時給計算されるので、勤務時間を忠実に守りやすい傾向にあります。

たとえばパート看護師が、就業時間の終了間際に入ってきた急患を対応するケースはごく稀です。

所定の勤務時間を超過しないよう、対応に工夫している勤務先も多いので、時間の融通がききやすくなります。

仕事における責任が軽くなる可能性も

パート看護師は時給によって働いているため、業務負荷が軽くなる傾向にあります。

業務負荷が軽くなると必然的に、仕事における責任も軽くなるものです。

時間通りにこなせる仕事が主な業務となるので、検温や入浴介助、投薬チェックなどタスク要素の強い仕事に就くことになるでしょう。

時間通りに仕事が終われるということは、責任が軽くなるものなのです。

新しく仕事を覚えずに働き方を変えられる

同一の職場で正社員からパート看護師に切り替えた場合、新しく仕事を覚えずに働き方のみを変えることができます。

看護師の業務は一般的に勤務先によって細かな取り決めがあり、対応が違うものです。

この取り決めや対応についても新しく覚え直す必要もなく、さらに一緒に働いてきたメンバーや環境を変えずに済みます。

ただ単純に働き方だけを変えたい!という思いを持った看護師には非常に大きなメリットでしょう。

(2)パート看護師として働くデメリット

次にデメリットについても考えていきます。

  1. 業務内容と給料が釣り合わない
  2. やりがいを喪失してしまう恐れもある

この2点は別の職場に転職した際にも懸念される事項なので、注意しましょう。

業務内容のわりに安月給になる可能性も

正社員からパートに切り替わることで、同じ仕事をしているのに給料だけが減る可能性があります。

たとえば担当していた患者や、業務を引き継げる人材がいないとこのような事態に陥ってしまうのです。

職場全体が慢性的な人手不足に陥っていると、業務内容が軽くなることはないので注意しましょう。

既存の職場で正社員からパートへとキャリアチェンジする際はもちろん、転職時にもこの点については注意してください。

面談や面接時に、現状のパート勤務看護師の働き方をきちんとヒアリングしておくことをおすすめします。

仕事におけるやりがいを見失わぬよう注意

責任が軽いパート看護師は、ともすれば仕事のやりがいを見失う可能性があります。

今まで正社員としてバリバリ働いていた人ほど、仕事が簡単なものになると物足りなさを感じる可能性があるのです。

看護師としての仕事に誇りを持っており、働く事で充実感を得られる人ほど注意が必要です。

パート看護師に切り替えるタイミングで趣味や、何か仕事以外で熱意が注げるのものを見つけておくといいでしょう。

4.パート看護師として働きながら時給をアップさせる方法

パート看護師が時給を上げる方法

ここまで調べた結果から、パート看護師は世間で言われるほど高給取りというわけではありません。

しかし、工夫次第で時給をアップさせる方法が2つあります。

  1. 夜勤専従として働く
  2. 転職する

看護師として培った経験とノウハウを活かし、より効率よく時給を上げる方法について考えます。

(1)夜勤専従として働く

パート看護師であっても夜勤専従として働けば時給はアップします。

冒頭でもお伝えした通り、看護師の賃金をアップさせる主な要因は夜勤です。

夜勤専属のスタッフとして働けば、当然時給も上がります。

もちろん、プライベートの状況や体調などが整っていることは前提条件ですが検討の余地は十分あるでしょう。

専従とまではいかずともシフトを上手く申請し、夜勤の回数を増やすのも一つの手です。

(2)転職して勤務先を変えてみるのも一つ

転職して職場を変えることで看護師の時給は上がる可能性があります。

看護師の給料は職場の属性や規模などによって多少なりとも差が出るからです。

たとえば同じ勤続10年の看護師でも、勤務先が社会保険団体であれば基本給与は276,093円、医療法人であれば232,020円でした。

正社員からパート看護師にキャリアチェンジするのであれば、勤務先のパート看護師の待遇を知る必要があります。

職場によってはパート看護師がメインで活躍している勤務先もあるでしょう。

パート看護師のさまざまな可能性に目を向けて、広く転職先を探すことをおすすめします。

まとめ

一般労働者や短時間労働者のデータ、ほか産業との比較、看護師の基本給をもとにパート看護師の時給について検証してきました。

パート看護師の時給は決して安くはないものの、夜勤があってこその金額という点は注意しておきましょう。

さらにパート看護師として勤務した時のメリットとデメリットもしっかりと検討しておくべき項目でした。

働く上でのやりがいを大事にしたい人は、パート看護師の働き方や勤務先の業務内容をしっかりと調べた上でパート看護師を選びましょう。