看護歴4年 24歳女性Rさん
――精神科の特徴を教えて下さい。
一般の科に比べて「命にかかわる処置」があることは少ないです。ほとんど無いと言い切ってもよいかもしれません。秒読みで即座に判断を迫られる、という緊迫した場面はありません。そういう意味では比較的ゆったりとリラックスして仕事をすることのできる科なのかなと思います。
――良かったことはありますか?
露骨な話になってしまいますが、大丈夫ですか?
――もちろんです!
休みが取りやすいのが魅力ですね。「有給とはいえなかなか取りづらい……」という現場も多いかと思いますが、精神科の場合はスケジュール通りに動くことがほとんどだからです。柔軟に働くことができます。
――困ったことはりますか?
転職前の同僚からは患者さんからの暴力があるのかな? 暴言があったりするんじゃないの? なんて冗談交じりに脅されたりもしました。実際に調べてみると統合失調症などの患者さんにはこのような症状があります。ただ、少なくとも私の場合は患者さんの言動が原因で嫌な思いをしたという経験はありません。職場次第かもしれませんが、私のところは本当に良い職場だと思います!
だから困ったことはないですね。
ロッカー寒いなあ、とかそれくらい。これは精神科関係ないですね(笑)
――それでは最後に精神科を目指す後輩にアドバイスをお願いします!
一般的にはまだまだ「ちょっと怖い」と思われてしまう場所かもしれません。ナースの人からもそういう声を耳にするくらいですから。
でもですね、精神科の患者さんも普通の患者さんと何ら変わりません。普通の人です。ちょっとだけ人よりコミュニケーションが苦手なだけで、それ以外は本当にフラットです。ぱっと見で症状は分からないし、変化も感じ取りづらいです。毎日患者さんと丁寧に向き合って初めて分かるんですよね。
だからこそ患者さんと信頼関係を築けたなと思った瞬間は嬉しいですし、達成感があります。これこそが「看護」なのだなと強く実感します。とてもやりがいのある仕事です。是非みなさんも精神科へ!
精神科で看護師として働こうかお悩みですね。
精神科は患者の心のケアを行いたい人には人気な診療科です。
しかし、他の診療科ではあまり問題にならない小さなミスが重大なインシデントになりやすいので働く際には気をつけなければなりません。
今回は、精神科で看護師として働くのが向いている人について見ていきます。
精神科で働くのに使いやすい求人サイトも紹介するので、納得できる職場を見つけましょう。
目次
1.精神科で働く看護師とは?
精神科で働く看護師は、患者の精神疾患全般について看護します。
精神疾患とは、うつや統合失調症、不眠などです。
患者とコミュニケーションを取りながら、心のケアを行うのが精神科で働く看護師の大きな役割となっています。
医師に言いにくい話を看護師に話す患者も精神科には多いので、常に患者と良い関係を築く意識が大切です。
また、精神看護は、日本看護協会の専門看護師が認定している専門分野になっています。
そのため、スキルアップのために精神科で働く看護師も少なくありません。
1−1.精神科の看護師の給与
精神科の看護師の給与は、他の診療科の看護師と特に変わりはありません。
夜勤手当のような手当も含めて、年収300万円〜500万円が平均となっています。
そのため、月収では25万円〜35万円が相場です。
残業は少なめな傾向が強く、残業代はあまりつかないことには注意しておいてください。
給与を上げたいなら、資格を取るなどしてスキルを認めてもらうことが大切です。
高い給与をもらいたいなら、積極的にスキルアップを目指していきましょう。
ここで、スキルアップのために役に立つ資格を見ていきます。
1−2.精神科の看護師に役に立つ資格
精神科の看護師がスキルアップしたいなら、以下のような資格の取得を狙いましょう。
- 専門看護師
- 認定看護師
専門看護師も認定看護師も、日本看護協会が看護師のスキルアップを目的に作った制度です。
専門看護師なら精神看護分野、認定看護師なら認知症分野が精神科で働くには役に立ちます。
精神科で幅広い業務にあたって活躍していきたいなら、専門看護師を目指すのが良いです。
自分の働く病院に認知症患者が多いときは、認定看護師が良いでしょう。
専門看護師や認定看護師になるには、時間やお金が必要です。
しかし、大きくスキルアップが狙え、今後のキャリア形成の際には武器になるので積極的に検討してみることをおすすめします。
2.精神科の看護師の業務内容
精神科の看護師の業務内容は、心理的なものから入浴や食事の介助まで幅広いです。
大きく分けて、以下の4つの業務が挙げられます。
- 心理的なケア
- 患者状態のアセスメント
- セルフケアのサポート
- 与薬
精神科の看護師がどのようなことをしているのか、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
業務1.心理的なケア
精神科の看護師として大切な役割に、患者の心理的なケアがあります。
なぜなら、患者の気持ちに寄り添わなければ、治療が難しいためです。
例えば、精神疾患のある患者に正しく与薬をするのは、簡単ではありません。
そのため、患者と医師の橋渡しを看護師は行います。
距離が近くなりすぎると、妄想を抱かせてしまうなど患者の病状に悪影響が出ることも多いです。
バランスの良いコミュニケーションを取り、関係性を構築していかなければなりません。
安易に肯定や否定をせず、あくまでも患者と医療者であることを忘れずにケアを行っていきましょう。
業務2.患者状態のアセスメント
精神科の患者は自分で状態を正しく伝えられないケースも多いので、看護師のアセスメントが重要となります。
アセスメントの結果、異常が想定されるときは迅速に医師に伝えなければ、大きなトラブルになりかねません。
排泄回数が普段と違うことで、薬の副作用がわかることもあります。
日常的なバイタルチェックや、ちょっとした会話から患者状態をアセスメントしていきましょう。
業務3.セルフケアのサポート
精神疾患によっては、入浴や食事、排泄のようなセルフケアが患者自身でできないこともあります。
その場合、看護師がセルフケアのサポートをするケースも珍しくありません。
最近は、看護師助手がセルフケアのサポートを行うことも増えてきました。
しかし、施設によってはまだまだ看護師がセルフケアを手助けしているので、気になるなら働く前に確認すると良いでしょう。
業務4.与薬
精神科の看護師にとって、与薬も重要な業務です。
精神科での治療は、薬物療法が主に行われています。
しかし、病識がない患者や、薬に抵抗を示す患者も多いです。
そのため、精神科によっては、必ず看護師が見ているところで患者に薬を飲み込んでもらうというルールを決めている場合もあります。
患者の症状を良くするために、適切な与薬を続けていきましょう。
以上、精神科で働く看護師の業務についてでした。
精神科で働くのは簡単ではありませんが、多くのやりがいがあるので確認していきましょう。
3.精神科の看護師として働く4つのやりがい
精神科で働くかどうかお悩みなら、やりがいを確認してから考えてみるのが良いです。
精神科で働く看護師には、以下の4つのやりがいがあります。
- 患者の回復していく過程を見れる
- 患者と丁寧に関わり仲良くなれる
- 退院後を見据えた看護を行える
- 今までの看護技術を役立てられる
精神科で働く看護師は、やりがいの多さを感じている人が多いです。
患者や家族とじっくり関わった上で、一緒に退院を迎えられることに喜びを感じる人も珍しくありません。
それぞれのやりがいについて、順番に確認していきましょう。
やりがい1.患者の回復していく過程を見れる
患者の回復していく過程を間近で見れるのは、精神科で働く大きなやりがいです。
精神科の患者は、長期的に治療を進めていくこともよくあります。
そのため、ずっと寄り添ってきた患者が回復する喜びは、看護師にとっても非常に大きなものです。
最初は治療に対して消極的だった患者も、回復に向けて前向きになっていくことも珍しくありません。
やりがい2.患者と丁寧に関わり仲良くなれる
精神科で働くなら、患者とのコミュニケーションが重要となります。
長期的にコミュニケーションを取り続ける必要があるので、患者と仲良くなることが可能です。
あくまでも患者と医療者という距離感は意識しなければなりません。
しかし、最初は会話も難しかった患者が自分から世間話をしてくれるようになって、やりがいを感じたという看護師はたくさんいます。
やりがい3.退院後を見据えた看護を行える
精神科で働く看護師には、退院後を見据えた看護を行うことにやりがいを感じる人も多いです。
精神的な疾患は、退院後の患者の生活についても考えなければなりません。
再発のおそれがある精神疾患も多いので、退院後のことは医師や患者とも話し合うことが大切です。
しっかりと話し合い、患者にとってベストな暮らし方を見つけることはやりがいに繋がります。
やりがい4.今までの看護技術を役立てられる
精神科での看護に必要なスキルは幅広く、今までの看護技術を役立てられる可能性は高いです。
今まで精神科で働いたことがなくても、予想していなかった局面でスキルを活用できることはよくあります。
精神科では、精神疾患以外に身体疾患の知識も求められるケースが多いです。
そのため、今までに培ってきた能力を役に立てられることに、やりがいを感じる看護師はたくさんいます。
以上、精神科で看護師として働く4つのやりがいをご紹介しましたが、知っておくと良い注意点もあるので見ていきましょう。
4.看護師が精神科に転職する前に知っておきたい注意点
精神科に転職を決める前に、注意点を知っておけば後悔しにくくなります。
精神科で看護師として働く前に知っておきたい注意点は、以下の2つです。
- 患者と信頼関係を築くのが難しい
- 小さなミスが重大なインシデントになりやすい
それぞれの注意点について、順番に確認していきましょう。
注意点1.患者と信頼関係を築くのが難しい
精神科で働く際には患者とのコミュニケーションが必須ですが、信頼関係を築くのが難しいケースも多いです。
精神疾患の場合、病識を持っていない患者も珍しくありません。
その場合、根気強くコミュニケーションを取り続けることが重要です。
精神科では患者から心無い暴言を投げかけられることもありますが、対応を続けなければなりません。
患者との関わり方に、どんなケースでも当てはまる正解はありません。
そのため、患者のささいな変化にも気づき、そのときによって適切な対応を考えていきましょう。
注意点2.小さなミスが重大なインシデントになりやすい
精神科では、小さなミスが重大なインシデントになりやすいことにも注意が必要です。
病室にペンを置いたままにしただけで、患者がペンで自分を傷つけてしまうこともあります。
そのため、病室内に置いておく物についても細かく医師の指示を受けなければなりません。
また、精神科の病棟では看護師が入院患者の持ち物チェックも行っています。
他の診療科では問題にならないくらいささいなミスでも、重大なトラブルになりかねないので注意深く業務に取り組みましょう。
以上、精神科で看護師として働く前に知っておきたい注意点でした。
もしも自分が精神科で働くのが向いているのかわからないなら、どんな人が向いているのかを確認してみましょう。
5.精神科の看護師として働くのが向いている人
精神科の看護師の多くは、じっくり患者の気持ちに寄り添う看護ができることや、スキルアップとキャリアアップがしやすいことに魅力を感じています。
精神科で看護師として働くのが向いている人は、以下の通りです。
- じっくり患者の気持ちと向き合いたい人
- 幅広い看護スキルを得て看護師としてレベルアップしたい人
- やりがいを感じたい人
- 精神的にタフな人
- キャリアを積みたい人
もしもあなたが以上のような人に共感するなら、精神科で看護師として働くことを前向きに考えてみましょう。
精神科の看護師になったら他の診療科に移れないのではないかと思う人もいますが、そんなことはないので安心してください。
6.精神科の看護師になってから別の診療科に移る人も多い!
精神科の看護師になってスキルをつけてから、別の診療科に移る人も多いです。
例えば、精神科で看護しているうちに内科の知識との関連の強さに気がついて、内科に移る人は珍しくありません。
他にも、長期的な看護にやりがいを感じて、地域により密着している訪問介護の分野に移る人もいます。
このように、精神科の看護師としてのスキルを活かせる機会は非常に多いです。
精神科で働くことに関心があるなら、まずは求人情報を見て職場見学をさせてもらうのが良いでしょう。
7.精神科の看護師になるのに使いやすい転職サイト3選
精神科の求人掲載数が多い転職サイトを使えば、スムーズに転職がしやすいです。
精神科で働きたい看護師が使いやすい転職サイトとして、以下の3つをご紹介します。
- 看護roo!転職サポート
- マイナビ看護師
- ジョブメドレー
それぞれの転職サイトについて、順番に確認していきましょう。
おすすめ1.看護roo!転職サポート
看護roo!転職サポートは、転職サポートサービスを行っている看護師専用の求人サイトです。
転職サポートサービスでは、勤務条件を伝えればピッタリな職場を紹介してもらえます。
また、求人への応募を代わりに行ってもらえたり、面接練習も受けられるのも特徴です。
忙しくてゆっくりすべての求人を見比べるのが難しい人や、転職経験が少なくて手続きや面接に不安がある人はサポートを受けるのが良いと言えます。
会員登録しなくてもサイト内の情報がすべてチェックできるので、まずは気になる求人がないかを確認してみるのも良いでしょう。
サイト名 | 看護roo!転職サポート |
URL | https://www.kango-roo.com/career/ |
特徴 | 手厚い転職サポートサービスが受けられる |
おすすめ2.マイナビ看護師
マイナビ看護師は、看護師の中で認知度が非常に高い看護師転職サイトです。
看護師専任のキャリアアドバイザーに相談できるので、初めての転職でも安心して進めていけます。
転職するのが良いのか自体を悩んでいる場合も、キャリアアドバイザーに相談可能です。
今後のキャリアについてアドバイスを受ければ、働きたい職場やなりたい看護師像が見えてくるでしょう。
気になるなら、転職サポートを申し込んでみてください。
サイト名 | マイナビ看護師 |
URL | https://kango.mynavi.jp/ |
特徴 | 看護師専任のキャリアアドバイザーに相談できる |
おすすめ3.ジョブメドレー
ジョブメドレーは、2020年6月現在、全国でおよそ280,0000件の事業所の求人情報を掲載しています。
そのため、精神科以外の求人も見ながら比較したいという人は、ジョブメドレーが使いやすいです。
精神科の求人数も400件程度あるので、あなたに最適な求人が見つかる可能性は低くありません。
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サイト名 | ジョブメドレー |
URL | https://job-medley.com/ |
特徴 | 日本最大級の求人数がある |
まとめ
精神科の看護師は、患者の心のケアを行います。
治療が長期化することも多い精神看護は、やりがいがたくさんありますが、細かなミスが大きなトラブルに発展しかねないので注意力が必要です。
精神科看護師を経験してから別の診療科に移ってキャリアを積む人も多いので、興味があるならまずは職場見学をしてみましょう。
スキルアップやキャリアアップに興味があるなら、幅広い知識や経験が得られる精神科はピッタリです。