看護歴16年 38歳女性Kさん
――良かった点はありますか?
お年寄りの看護、介護は自分の将来にも役立つ経験なのかなと思っています。いつかは自分が親をみなければいけないかも……とは考えているので。私はいま独身で兄弟もいないので。そういう意味でお金だけではない経験を得ることができる仕事だと思います。
――ほかには何かありますか?
老健と特養は業務内容は他のところとそこまで変わらないけれど、利用者の介護度が違います。特養は寝たきりの人とかは少ない印象です。そういう意味では体力的にハードな仕事ではないかなと!
――反対に悪い点はありますか?
立派な理念を掲げているところが多いけれど、実際のところは現場を見てみないとわからないですね。私はそれが原因で1度転職しました。就職する前に見学をさせてもらえる機会があるのなら積極的に利用するのが良いと思います。
――転職しても特別養護ホームへ?
はい。たしかに業界の中では収入は低い――というか高い職場もたくさんあるのですが、夜勤や残業が無くて自分のペースで進められるのが魅力です。再就職の時も養護ホームやグループホームのようなところに絞って転職活動をしていました。
――最後に、特別養護ホームで働きたいと思っている後輩に一言アドバイスをお願いします!
医療行為だけでなく利用者さんの衣食住も手伝うようなお仕事です。衣食住まで?とビックリするかもしれませんが、利用者さんをサポートしてあげるという芯の部分は一緒。あとは資格が必要かどうか、という分類わけですね。
特養や老健なら新卒でもしっかりこなせる仕事なのかなと思いますよ!
「特別養護老人ホームで働く看護師の仕事内容が知りたい!」と思ってますね。
特別養護老人ホームの看護師の主な役割は、入居者の健康管理です。
一見、「病院看護師よりも責任感が軽そう」と思うかもしれません。
しかし、医師がいない分、しっかりと利用者の健康管理を行う責任があります。
今回は、特別養護老人ホームの看護師の仕事内容について分かりやすく解説!
特別養護老人ホーム看護師への転職すべきか見極めましょう。
目次
1.特別養護老人ホームでの看護師の役割とは
特別養護老人ホームでの看護師の役割は、入居者の健康管理です。
介護士と一緒に入居者が健康で快適に過ごせるようにサポートを行います。
そもそも、特別養護老人ホームとは、要介護の認定を受けた高齢者が生活をするための介護施設です。
原則として以下の条件に当てはまる人が入居者となります。
- 65歳以上
- 要介護1〜5の認定を受けている
在宅介護が難しい利用者に対し、介護サービスを提供する場です。
基本的に、入居者は長期的に入所し生活します。
また、医療措置を必要とする利用者はお断りするケースが多いです。
そのため、医者が常駐することはありません。
次の章で具体的な看護師の仕事内容を見ていきましょう。
2.特別養護老人ホーム看護師の仕事内容
特別養護老人ホーム看護師の仕事内容は、大きく以下の2つに分けることができます。
- 入居者の生活支援・介助
- ケアプラン作成や薬の管理などの医療行為
詳しく見ていきましょう。
業務1.入居者の生活支援・介助
介護士と一緒に入居者の生活支援・介助を行います。
具体的には、以下のような業務内容です。
- 入浴・食事・移乗の介助
- 衣服・おむつの着脱のお手伝い
- 軟膏の塗布
- ガーゼ交換
- 爪切り
これらの業務は、通常介護士が行う業務です。
しかし、介護士の人手不足や必要な医療行為が少量なため介護の仕事も行います。
業務2.ケアプラン作成や薬の管理などの医療行為
ケアプラン作成やお薬の管理など、施設内での医療行為は全て看護師に任されます。
なぜなら、医療行為は看護師にしかできない仕事だからです。
具体的には、以下のような医療行為を行います。
- 入居者1人1人のお薬の管理
- バイタルチェック
- インフルエンザなど感染症予防のための環境づくり
- 吸引・呼吸器のケア
- 点滴
- たんの吸引
ほかにも、体調不良の入居者のバイタル状態を医師に伝えたり、医師から指示されたことを踏まえてケアプランを作成したりします。
一人一人の体調をしっかりと把握し、健康状態を保つことが大切です。
3.特別養護老人ホーム看護師の給料事情
特別養護老人ホームで働く看護師の年収は、400万円〜500万円程度です。
病院の年収と比べると、数十万円〜100万円近く低くなります。
なぜなら、夜勤や残業がほとんどないからです。
入居者の容態によっては、夜に呼び出されたり残業が発生することもあります。
しかし、病院と比べると日勤・定時上がりが当たり前にできる職場です。
そのため、病院で働いていたときの年収と比べると低くなってしまいます。
4.特別養護老人ホーム看護師に必要なスキル
特別養護老人ホームで看護師として働くのであれば、以下の2つのスキルが必要です。
- 看護師・准看護師の資格
- コミュニケーション力
具体的に確認していきましょう。
スキル1.看護師or准看護師の資格
看護師として働く以上、正看護師もしくは准看護師の資格が必要です。
特別養護老人ホームでは難しい医療行為を行うことはありません。
しかし、バイタルチェックやたんの吸引などは行うため、病院での勤務経験があればこなすことができます。
特別養護老人ホームには教えてくれる看護師が少ないため、数年でも病院勤務経験があれば採用されやすいです。
スキル2.コミュニケーション力
特別養護老人ホームでは、コミュニケーション力が求められます。
なぜなら、コミュニケーション力がなければ仕事をこなせないからです。
まず、入居者とのコミュニケーションを取っていく必要があります。
日々の健康状態を把握するためには、積極的に入居者と話さなければなりません。
また、介護士や栄養士とのコミュニケーションも不可欠です。
なぜなら、介護士や栄養士と一緒になって入居者の快適な生活をサポートしていく必要があるからです。
看護師だけでは解決できないことも多く出てくるため、他のスタッフと連携していくことは欠かせません。
このように、特別養護老人ホームで看護師と働くためには、病院で働くときよりもコミュニケーション力が求められるのです。
ここまでは、特別養護老人ホームの看護師の仕事面を見てきました。
しかし、「なぜ年収の低い特別養護老人ホームで働くの?」と気になる人もいるかもしれません。
次の章では、特別養護老人ホームで看護師として働くメリットを見ていきましょう。
5.特別養護老人ホーム看護師のメリット
病院と比べたとき、特別養護老人ホームで働くメリットは、以下の3つです。
- 医療行為がほとんどない
- 命に関わるプレッシャーが少ない
- 夜勤が少ない
メリットを知ることで、病院勤務との違いがはっきり分かります。
転職すべきか検討する材料にもなるはずです。
順番に見ていきましょう。
メリット1.医療行為がほとんどない
特別養護老人ホームの看護師は、ほとんど医療行為を行いません。
日常的に行う医療行為は、以下のような業務に限られています。
- 薬の管理・投与
- バイタルチェック
- 吸引・呼吸器のケア
- 点滴
- たんの吸引
基本的に、病院勤務を行っていれば難しく感じることはありません。
病院看護師に比べて、業務の難易度が低く覚えることも少ないです。
メリット2.命に関わるプレッシャーが少ない
病院に比べると、命に関わるプレッシャーが少ないです。
なぜなら、基本的に特別養護老人ホームに医療行為を必要とする入居者がいないからです。
命の危機と隣り合わせといった状態になることは、ほとんどありません。
病院であれば、日常的に命の危機に瀕する患者の治療をします。
そのため、常に緊迫したプレッシャーを感じてしまう看護婦も多いです。
しかし、特別養護老人ホームでは命に関わるプレッシャーを感じずのびのび働くことができます。
メリット3.夜勤が少ない
特別養護老人ホームの看護師には、夜勤がほとんどありません。
早出・遅出といった勤務時間の違いはありますが、夜はオンコール対応となります。
オンコール対応とは、要請があったらすぐに出勤できるよう自宅待機しておくことです。
夜勤で出勤している介護士から、入居者の体調の変化があった場合などに電話がかかってきます。
入居者は高齢者ばかりなので、全くオンコール対応がないわけではありません。
しかし、病院勤務時と比べると緊急対応は少ないです。
夜に出勤することが少なくなるので、家庭やプライベートとの両立がしやすいでしょう。
6.特別養護老人ホーム看護師のデメリット
一方、特別養護老人ホームで働く看護師にもデメリットはあります。
転職先として考えているのであれば、悪い面も知っておくことでイメージとの乖離を防ぐことが可能です。
転職を失敗しないためにもデメリットも把握しておきましょう。
特別養護老人ホームで働く看護師のデメリットは、以下の2つです。
- 要介護1~5の認定の人ばかりなので重労働になる
- 介護士と密にコミュニケーションを取る必要がある
順番に確認しましょう。
デメリット1.要介護1~5の認定の人ばかりなので重労働になる
病院で勤務している時と比べ、重労働の仕事が多くなる恐れがあります。
なぜなら、特別養護老人ホームの入居者は、要介護1〜5を認定されている人ばかりだからです。
要介護1 | 立ち上がりや片足立ちなどが困難。排泄や食事は1人でできる。 |
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要介護2 | 立ち上がりや歩行などが困難。排泄や食事には介助が必要となる。 |
要介護3 | 身だしなみ、立ち上がりが1人ででできない。排泄も一人ではできない。 |
要介護4 | 身だしなみ、立ち上がり、歩行が1人ででできない。排泄がほとんどできない。 |
要介護5 | 身だしなみ、立ち上がり、歩行が1人ででできない。排泄や食事ができない。 |
立ち上がりや歩行などが困難な入居者が多いため、介護士と一緒に、看護師も歩行や移乗、体位交換を行います。
薬を飲ませるにも、一度起き上がらせて服薬の補助をし、また寝かせてあげなければなりません。
このように、病院勤務と比べると特別養護老人ホームの看護師は重労働が多いです。
体力的にしんどいと感じるかもしれないことを覚えておきましょう。
デメリット2.介護士と密にコミュニケーションを取る必要がある
特別養護老人ホームでは、介護士と密にコミュニケーションを取りながら仕事をしなければなりません。
というのも、介護士と協力しなければ解決できないことも多くあるからです。
たとえば、施設内の衛生状態を保ったり、1人1人の体調変化に目配せをしてもらわなければなりません。
医師のいない特別養護老人ホームにおいて、医療面の責任は看護師にあります。
しかし、衛生面の管理や体位交換などは看護師だけでできるわけではありません。
介護士に観察すべきポイントやケアの方法を伝え、実行してもらうことも必要です。
逆に、介護士の仕事とされている食事や排泄の介護を看護師が協力することもあります。
互いに協力しながら、チームとして入居者の健康を守っていく必要があるのです。
7.特別養護老人ホーム看護師が向いている人・向いていない人
ここまで、特別養護老人ホームで働く看護師のメリットとデメリットを見ました。
メリットとデメリットを踏まえ、どのような人が特別養護老人ホームに向いているのか確認しましょう。
(1)特別養護老人ホーム看護師が向いている人
特別養護老人ホームの看護師に向いているのは、以下のような人です。
- 命に関わるプレッシャーを感じずに働きたい人
- 家庭やプライベートの時間を確保したい人
- 高齢者とのコミュニケーションが得意な人
- 体力に自信がある人
このような人であれば、特別養護老人ホームで働くことに向いています。
介護の現場を知れる良いきっかけなので、転職を検討してみるのも良いでしょう。
(2)特別養護老人ホーム看護師が向いていない人
一方、特別養護老人ホームの看護師に向いていない人は、以下のような人です。
- 命を助けることにやりがいを感じる人
- 今よりも年収を下げたくない人
- 高齢者とのコミュニケーションに自信がない人
- 体力に自信がない人
このような人は、特別養護老人ホームで働いても長続きしないかもしれません。
ですので、病院看護師や他の働き方を模索しましょう。
ここまで読んで「特別養護老人ホームで働いてみたい」「転職先として考えたい」と思った人もいるかもしれません。
次の章で、特別養護老人ホーム看護師の求人が載っている転職サイトについて確認していきましょう。
8.特別養護老人ホーム看護師の求人が載っている転職サイト
少しでも、特別養護老人ホームで働くことに興味があるなら、求人情報をみておきましょう。
なぜなら、病院勤務と比べると給料やシフトなどの条件面で大きく違いがあるからです。
実際に掲載されている求人情報を見た上で転職の判断をしましょう。
サイト1.医療WORKER
医療WORKERは、業界内でトップレベルの求人数を誇る看護師求人サイトです。
2020年6月時点では、特別養護老人ホームで求人検索をかけると、5,200件以上の求人情報が出てきます。
さらに医療WORKERには非公開求人もたくさんあります。
非公開求人とは、掲載するとすぐに応募が殺到するような優良求人のことです。
専任のアドバイザーが条件に合うと判断すれば、紹介してもらうことができます。
登録しなくても求人検索ができるので、どのような仕事があるのか一度見てみましょう。
サイト2.コメディカルドットコム
コメディカルドットコムは、直接応募ができる医療関係の求人サイトです。
2014年スタートの比較的新しい求人サイトですが、特別養護老人ホームの求人情報は2020年6月時点で800件掲載されていました。
コメディカルドットコムは、登録しなくても求人チェックが可能です。
さらに直接施設に応募ができるので、アドバイザーに転職を急かされることもありません。
ゆっくり求人情報を見て転職を検討したい人には、おすすめの求人サイトと言えます。
サイト3.マイナビ看護師
マイナビ看護師は、全国にオフィス展開をする看護師求人サイトです。
特別養護老人ホームの求人を検索すると、2020年6月時点で2,000件程度の求人情報が出てきました。
比較的、年収や時給の高い求人情報が取り揃えられています。
病院から転職することで、収入が下がってしまうことを懸念に感じているのであれば一度マイナビ看護師で求人検索してみましょう。
マイナビ看護師には、正社員だけでなくパート・アルバイトの求人も豊富です。
検索画面で条件の絞り込みができるので、自分に合う働き方を探しましょう。
まとめ
特別養護老人ホームの看護師の主な役割は、入居者の健康管理です。
介護士と協力しながら、入居者が快適に健康的に暮らせるサポートを行います。
もし、以下のような人なら特別養護老人ホームで看護師として働くことは合っていると言えます。
- 命に関わるプレッシャーを感じずに働きたい人
- 家庭やプライベートの時間を確保したい人
- 高齢者とのコミュニケーションが得意な人
- 体力に自信がある人
一度、求人情報を確認し、転職を前向きに検討しましょう。
自分の考える理想の働き方ができるはずです。