「看護師の仕事だけでなく医師の仕事もやりたい」
「看護師としての今の仕事に不満がある」
看護師の中には、多くの医療行為ができる医師を目指そうと考える人もいます。
現役で看護師をしている人でも、医学部に通うことができれば医師になることは可能です。
しかし看護師から医師になるには注意点もありますので、ぜひこの記事を参考に自分のキャリアを見つめ直してみて下さい。
目次
1.看護師から医師になることはできる!
フルタイム看護師としてのキャリアを一旦中断し、医学部に行くことができれば医師になれる可能性は非常に高いでしょう。
医学部に入った後は、必要単位を取り90%を超える合格率の医師国家試験に通過することで医師になります。
ただし、入試試験の難易度がかなり高い医学部に入り直し、6年間の勉強をするのは非常に難しいです。
特に、学費の安い国公立大学への入学を考えているなら、受験生の中でトップクラスの成績を取る必要があり看護師として働きながら合格を目指すのは厳しいでしょう。
また、医学部は卒業まで6年の勉強が必要なため、金銭的な問題もあります。
医学部に通う間、収入はどうするのかしっかりと見通しが立っている人でなければ、看護師から医師になるのは難しいでしょう。
2.看護師から医学部への編入も可能だが厳しい
大学で看護について勉強し看護学科の学士を持っている人であれば、2年次前期,2年次後期または3年次前期に医学部に編入することも可能です。
しかし医学部の編入は、通常の受験より遥かに難易度が高く一発で合格するのは現実的ではありません。
医学部への編入に成功した人の多くは、難関大学を出ている人、生物学について相当な知識がある人です。
大学入試からのブランクが大きいほど、編入は厳しくなるので基本的には一般の受験で医学部を目指すほうが現実的と言えます。
2−1.医学編入試験合格者の学力
医学部編入試験に合格できる人の多くは、東大・京大など難関大学の理系学部出身の人です。
しかし、編入試験の倍率は10〜20倍ほどと、一般入試より低いケースも多くあります。
そのため、医学部編入試験は一見して一般入試より簡単に入れると誤解している人もいるのではないでしょうか。
しかし医学部編入試験には、大学2年で習う生化学、生理学、免疫学、組織学などの生命科学分野についての問題が出題されます。
そのため、生命科学分野の勉強をしたことのない人は1から勉強をしなければいけません。
なので現在、医学部編入を狙う人の多くは都市部の予備校に通い専門的な勉強をしながら合格を目指すケースが多いです。
ただし、一例ですが予備校の費用は1年で300万円ほどとなっているため、金銭的に難しい状況であることは変わりません。
2−2.医学編入後の学費
医学部に編入した後の学費は、国公立大学か私立大学かによって大きく異なります。
国公立大学の場合、学費は初年度で100万円ほどとなっており、それ以降は毎年50万円ほどがかかります。
一方私立大学の場合、学費はさらに高く、6年間で併せて2,000万円〜4,000万円ほどです。
しかし私立大学の場合、学費が高いことから志望倍率が低く、国公立大と比べ合格しやすい状況となっています。
学食、金銭面の事情をしっかり考えて、医師を目指すべきかどうか判断しましょう。
2−3.医学編入試験の概要
医学部の編入試験は、大きく以下の3パターンに分かれています。
- Ⅰ型:英語+生命科学
- Ⅱ型:英語+生命科学+物理化学
- Ⅲ型:英語+生命科学+物理化学+数学
このうちどのタイプの科目が出題されるかは、学校によって異なるので必ず事前に確認して下さい。
Ⅰ型であれば試験勉強が必要な科目は少ないですが、物理化学、数学を勉強することで受験できる学校の幅が増えます。
医学部編入試験は、併願も可能です。
人によってばらつきはありますが、毎年5〜10校を併願する人が多くなっています。
どんな大学にも対応できるよう、物理化学と数学も勉強しておきましょう。
またほとんどの大学では第二試験として面接があります。
面接の対策については予備校などで行われていますが、よほど話下手な人でなけれ合格できるレベルです。
しかし面接が苦手な人とってはかなりの難関になるので、しゃべることに少しでも不安があるなら予備校に行ったり、面接の講習を受けるなどしましょう。
以上が、看護師から医師になる方法でした。
看護師資格と医師の資格は全く異なるものです。
そのため、医師になるまでの道はかなり困難なものになるでしょう。
しかし、それでも看護師から医師になることを検討すべき人もいます。
次は、手間とお金をかけても医師を目指すのがおすすめな人をご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
3.それでも看護師から医師を目指すべき人とは
現役の看護師が医学部を受験し、医師になるにはかなりの時間とお金がかかります。
しかし医師は、医学の分野で最も出来ることの多い職業です。
看護師と比べ裁量も大きくなるので、医師になれば開業など様々なキャリアへの道が開けるでしょう。
そこでここからは、医師になることのメリットを含め看護師から医師を目指すべき人を解説します。
- 前から医師を目指していた人
- 高収入を目指している人
1つずつ、見ていきましょう。
3−1.前から医師を目指していた人
以前から医師に強いあこがれを持っており、看護師になった後も夢を諦めきれないという人は医学部を目指すべきでしょう。
人の命を直接救える医師に憧れを持つ人は多くいるため、何歳でも医学部を目指す人は少なくありません。
医師の資格があれば、病院内で行う診察や治療のほとんどを行うことができます。
そのため、もっと幅広く医学に関わりたいという人が、医師を目指すのは自然です。
また、看護師の仕事をするなかで、医師の仕事を近くで見る機会は多いでしょう。
そんなとき尊敬している医師に出会い、自分も人の心に寄り添える、実力ある医師になりたいと感じたら、医師への道を検討しても良いかもしれません。
3−2.高収入を目指している人
数ある医療業界の中で、医師の専門性は非常に高いレベルにあるため年収もかなり高くなっています。
医師の年収は、民間病院の場合1,000万円ほど、国公立大学でも800万円ほどです。
さらに自分で開業し、コンスタントに患者が来るようになれば年収3,000万円を超えることも少なくないでしょう。
そのため、平均よりかなり高い給与を手に入れたい、という強い気持ちがあるなら医師がおすすめです。
一方看護師の年収は、400万円前後となっており、医師と比べてかなり開きがあります。
もしあなたが高い収入を得ることを目指しているなら、医師を目指すのはおすすめです。
以上が、看護師から医師になるべき人材でした。
しかし、医師になりたいという気持ちがあっても、お金や時間の関係で医師を目指すのは難しいのでは、と感じている方もいるはずです。
そのような人は、看護師の資格を活かして医師以外に目指せる職業を知っておきましょう。
医師以外にも、自分の理想の仕事ができる場所は見つかるかもしれません。
次は看護師が取れる代表的な資格を解説するので、ぜひ参考にしてください。
4.看護師が医師以外に目指せる責任ある仕事とは
看護師から医師になるまでの道のりが非常に遠いのを知り、医師としてではなく看護師としてのキャリアアップを目指す人もいるでしょう。
医師には及びませんが、看護師資格のままでもさらに専門性を深めたり、関連する別の仕事に就くことは可能です。
看護師がキャリアアップのために目指せるおすすめの資格は以下の通りです。
- 認定看護師
- 助産師
- 特定医療看護師
自分に適したキャリアアップの選択肢は何なのか、一度立ち止まってしっかり考えてみましょう。
資格1.認定看護師
認定看護師とは、特定の看護分野において詳しい知識を持っていることを証明する資格です。
医学的な知識だけでなく、患者さんのケアやその家族との接し方についても学べるので、より密接に患者さんと関わりたい人は取得を検討してください。
また、認定看護師と似た資格には「専門看護師」というものもあります。
専門看護師は、特定の分野に対する深い知識を持っているのはもちろん、同じ看護師に対する指導やフォローを行う力も求められます。
将来看護主任、看護師長、看護部長など役職付きの看護師を目指しているなら専門看護師の資格も取得しておきましょう。
資格2.特定医療看護師
医療現場だけでなく在宅で患者さんのサポートをしたいと考えている人には、特定医療看護師の資格がおすすめになります。
なぜなら、現在は医療機関の負担を減らすため、在宅での診療・治療に注目が集まっており非常にニーズの高い資格だからです。
特定医療看護師は、在宅での治療に限り医師しかできない38の医療行為を、看護師が代わりに行うことができます。
もちろん医師の指導は必要ですが、ペースメーカーの操作や投薬なども可能になるので、最も医師に近い職業と言えるでしょう。
2016年に始まった制度なので今はまだ知名度が低めですが、早めに取得すれば今後の仕事にも活かせます。
資格3.助産師
助産師は、看護師資格を持っているだけが取得できる資格です。
助産師になるには、看護師資格に加え1〜2年の勉強と試験が必要になります。
しかし経験を積めば自分で助産院を開くこともできるので、自分の医院で直接患者さんと関わりたいという人に向いているでしょう。
また、助産師になればお産の時赤ちゃんを直接取り上げることも可能です。
お産に感動したことのある人にとって、かなりやりがいのある職業だと言えるでしょう。
まとめ
看護師から医師になるには、再度医学部を受験する必要があり非常に難易度が高いです。
それでも医師になりたい、という気持ちがあるならすぐに生命科学などの勉強をして対策を始めましょう。
一方、医師に限らず今の働き方を変えたいという人は、看護の経験を活かせる別の資格を取ってキャリアアップを目指すのがおすすめです。
助産師など、看護師資格を持っているからこそ取れる責任ある仕事も多くあります。
自分の得意分野を見極め、医学に携わるものとして前向きにキャリアの見直しを行いましょう。