看護師

重症心身障害児(者)施設での看護師の役割や仕事内容、必要なスキルを解説

重症心身障害児(者)施設で働く人の声:
ナース歴13年、重心2年目の47歳女性Hさん

ーー実際に働いてみてどうですか?

医療行為は少なく、主に生活援助のルーチン業務ではありますが体力勝負の現場です。 入浴も食事もオムツ交換もみんな看護師の仕事ですから。拘縮や変形が強いので、採血やルート確保も難しく、就職したてのころは、腰や手首が痛かったです。

でも一般病棟とは違い、休憩も仮眠もしっかり取れるのは有り難いですね。私の職場は病棟の雰囲気も福利厚生も良いし、入所者さんと関わるのも楽しいので、続けていきたいと思っています。

ーーなるほど、入居者さんとのコミュニケーションも魅力なんですね。

はい。毎日癒されていますし、利用者さんやご家族から学ぶ事も多いです。

一般的に思われている看護師スキルは身につかないかもしれませんが、療育や観察力、想像力など、言葉で訴える事ができない重症心身障害児(者)の看護だからこそ身に付くスキルもあります。とても奥の深い世界です。

あ、あと重心では利用者さんの生活を全介助するので日常生活援助のスキルは他病棟の看護師より磨けるかもしれませんね。

ーーでは、反対に大変な点はありますか?

全然連絡がとれないご家族や、入所してから一度も面会にこないご家族との関わりについては日々頭を悩ませています。利用者さんやご家族によって温度感が違うので、個別性を持って対応しなければなりません。

まぁでも、スタッフ達と連携を取りながら、じっくり利用者さんと向き合えることはやりがいの一つでもありますね。

ーーそれでは最後に、これから重症心身障害児(者)施設で働きたい後輩にアドバイスをお願いします!

体力勝負だし一般病棟と違うスキルが求められる現場ではありますが、看護の枠を超えて、人との関わりの中で学べることがたくさんあります。

じっくり利用者さんと向き合いたい方、小児看護に興味のある方には特に向いている現場だと思います。一緒に頑張りましょう!

重症心身障害児(者)施設における看護師の役割や仕事内容が気になっていますね。

重症心身障害児(者)施設での看護師の役割は、利用者のバイタルチェックをして健康を守ることです。

病院と比べて医療行為は少なく、難しい医療行為をする必要はありません。

利用者は、知的発達障害・重度の肢体不自由な人ばかりなので、コミュニケーションを取ることが難しいです。

今回は、重症心身障害児(者)施設で働く看護師の役割や仕事内容をご紹介!

重症心身障害児(者)施設の看護師のメリット・デメリットを知って、転職に役立てましょう。

重症心身障害者施設で働くなら
「看護のお仕事」

目次

1.重症心身障害児(者)施設で働く看護師の役割

重症心身障害児(者)施設で働く看護師の役割は、日々の健康を守りながら利用者の日常生活のサポートをすることです。

医療行為を目的とする病院と違って、重症心身障害児(者)施設では不自由なく日常生活を送ることに重点が置かれています。

そもそも、重症心身障害児(者)とは、知的障害者や肢体が不自由な人など1人1人抱えている問題は様々です。

年齢も、乳幼児から高齢者まで多岐に渡ります。

一人ひとりの利用者の特性をしっかり把握し、利用者に寄り添った看護をしなければなりません。

実際に、重症心身障害児(者)施設で働く看護師がどのような仕事をしているのか次の章で確認しましょう。

2.重症心身障害児(者)施設で働く看護師の仕事内容

重症心身障害児(者)施設で働く看護師の仕事内容は、大きく3つに分けられます。

  1. バイタルチェック・医療ケア
  2. 医療機関受診の付き添い
  3. 日中活動の支援

詳しく確認していきましょう。

仕事1.バイタルチェック・医療ケア

日々のバイタルチェックや医療ケアをして、利用者の健康を守ります。

うまく話せない利用者も多いため、微妙な表情の変化や心拍数から訴えを読み取ることが大切です。

日々接する中で、利用者の変化を読み取らなければなりません

また、医療行為には以下のようなことが含まれています。

  • 胃ろう・腸ろう
  • 呼吸器の装着
  • 栄養剤・薬の投与
  • リハビリ
  • 医療機器の管理

このように、行う医療行為は多岐に渡ります。

ただし、医師の指示に従って行うため、安心して医療行為を行うことができるでしょう。

仕事2.医療機関受診の付き添い

重症心身障害児(者)施設の看護師は、利用者の医療機関受診の付き添いをします。

普段から付けているバイタルカルテを持参し、普段の様子や小さな変化を利用者の代わりとなって医師に伝えなければなりません

今後しなければならない医療ケアや投薬なども、利用者に代わって聞いてあげましょう。

医師から聞いた話はしっかりメモし、重症心身障害児(者)施設のスタッフに伝えます。

今後のケアプランに欠かせない情報なので、重要な仕事です。

仕事3.日中活動の支援

日常生活の支援も看護師の仕事です。

  • 食事や入浴
  • 衣類の着脱
  • おむつ交換・排泄介助
  • リネン交換

このように、利用者が快適に過ごせるためのサポートを行います。

重症心身障害児(者)施設では、日中活動支援が仕事のほとんどを占めます。

利用者の体調の変化を読み取るために大切な仕事です。

3.重症心身障害児(者)施設で働く看護師の給与事情

病院と仕事内容が異なるため、「どれくらいの給料がもらえるの?」と気になる人もいるでしょう。

重症心身障害児(者)施設で働く看護師の平均年収は、500万円〜600万円程度です。

病院勤務と同じくらいかすこし高いくらいと覚えておきましょう。

定時で上がれることが多く、夜もオンコール対応をする重症心身障害児(者)施設が多いです。

病院で働く時と比べるとプライベートの時間を守りながらも、年収をキープできます。

しかし、重症心身障害児(者)施設で働くには、豊富な看護師経験が求められるのです。

ほかにも、重症心身障害児(者)施設で働く看護師に必要なスキルは多くあります。

次の章でスキルについて詳しく見ていきましょう。

4.重症心身障害児(者)施設で働く看護師に必要なスキル

重症心身障害児(者)施設で働く看護師に必要なスキルは、以下の3つです。

  1. 看護師経験10年以上
  2. マネジメント力
  3. 普通自動車免許

これらのスキルを全て持っていなければならないわけではありません。

しかし、持っていると有利に就職活動ができます

就職活動を始める前に確認しておきましょう。

スキル1.看護師経験10年以上

重症心身障害児(者)施設では、看護師経験(臨床経験)10年以上と書かれている求人がたくさんあります。

なぜなら、重症心身障害児(者)施設では幅広い知識が必要だからです。

重症心身障害児(者)施設には、乳幼児から高齢者の様々な障害者がいます。

一人ひとりに合わせた看護はもちろん、臨機応変な対応をしなければなりません。

そのため、看護師経験が求められるのです。

また、重症心身障害認定看護師も重宝されます。

重症心身障害認定看護師とは、重症心身障害についての医療・看護・リハビリ・生活支援の理解を深めるための実習型の研修を受けた看護師のことです。

認定を取得することは簡単ではありませんが、看護師としてのスキルアップに繋がります。

スキル2.マネジメント力

重症心身障害児(者)施設の看護師には、マネジメント力が求められます。

なぜなら、必要なケアや気をつけるべきことを医療専門家の目線で施設のスタッフに伝えて実践してもらわなければならないからです。

重症心身障害児(者)施設には、医師の常駐を義務付けされていません。

そのため、必要なケアや医療器具の取り扱い方法、注意点を伝えることは看護師の役目なのです。

看護師だけでは目の届かないので、施設内でのスタッフ動詞の連携は欠かせません。

医療面では看護師が仕切ることになるため、マネジメント力が必要になるのです。

スキル3.普通自動車免許

重症心身障害児(者)施設の看護師に転職する場合、普通自動車免許を持っていると有利になります。

なぜなら、医療機関への付き添いの際に車で行くことが多いからです。

必ずしも持っていなければならないわけではありません。

持っていなければ、他のスタッフが運転してくれるでしょう。

しかし、人手不足が深刻化している現場だと、看護師と利用者だけで通院して欲しいと考えます。

そのため、普通自動車免許を持っている方が採用されやすいのです。

ここまでは、重症心身障害児(者)施設の仕事内容や平均年収、必要なスキルを見てきました。

しかし、実際に働いている人がどのようなメリット・デメリットを感じているのかが気になりますよね。

次の章からは、重症心身障害児(者)施設の看護師のメリット・デメリットを確認していきましょう。

5.重症心身障害児(者)施設の看護師のメリット

重症心身障害児(者)施設の看護師のメリットは、以下の4つです。

  1. じっくり一人の患者と向き合える
  2. 障害者や介護の知識が身に付く
  3. 定時で上がれることが多い
  4. 夜勤はなく、オンコール対応が多い

メリットを確認し、自分の理想とする働き方ができるのかを確認しましょう。

メリット1.じっくり一人の患者と向き合える

病院と違って、じっくり一人の患者と向き合うことができます。

重症心身障害児(者)施設の利用者は、さまざまな障害を抱える人です。

年齢も幅広いため、1人1人に違ったケアプランを作成しなければなりません。

どのような症状を抱えているのか、どのような性格や特性を持っているのかを判断することで、利用者に寄り添ったケアプラン作りができます。

そのため、利用者としっかりコミュニケーションを取らなければなりません。

また、看護体制は7:1と比較的多く配置されています。

利用者に対して看護師が多いため、利用者とじっくり向き合うことができるのです。

メリット2.障害者や介護の知識が身に付く

障害者や看護の知識を身に付けることができます。

なぜなら、重症心身障害児(者)施設の利用者は、障害者のみだからです。

知的障害・身体障害とさまざまな障害と向き合わなければなりません。

たとえば、経管栄養チューブや気管カニューレの使い方、重症者のサインの読み取り方などが身につきます。

知識として障害のことを理解していても、実際に利用者と向き合うことで理解できることも多いです。

障害者や介護の知識を身につけたい人にはおすすめの職場と言えます。

メリット3.定時で上がれることが多い

重症心身障害児(者)施設の看護師は、ほとんど定時で上がれます。

なぜなら、緊急対応が少ないからです。

病院であれば、緊急搬送や予定にない入院対応があります。

しかし、重症心身障害児(者)施設に利用者が新しく入る際、事前にスケジュールを決めておくのです。

そのため、急な対応が少なく定時で上がりやすくなります。

メリット4.夜勤はなく、オンコール対応が多い

基本的に、重症心身障害児(者)施設の看護師に夜勤はありません。

代わりにオンコール対応をします。

オンコール対応とは、自宅待機をして緊急対応が必要な場合にのみ出勤することです。

オンコール対応担当の日は、出勤がなくても手当がつきます

このように、重症心身障害児(者)施設の看護師、家庭やプライベートを大切にしたい人におすすめの職場です。

6.重症心身障害児(者)施設の看護師のデメリット

一方、重症心身障害児(者)施設の看護師にはデメリットもあります。

悪い面も見ておくことで、転職後の後悔を少しでも減らしましょう

重症心身障害児(者)施設の看護師のデメリットは、以下の3つです。

  1. 利用者とのコミュニケーションが難しい
  2. 専門家との連携を取る必要がある
  3. 体力を使う

順番に確認しましょう。

デメリット1.利用者とのコミュニケーションが難しい

重症心身障害児(者)ばかりなので、コミュニケーションを取ることが難しいです。

上手に自分の意思を伝えられない人が多く、利用者の希望や嫌なことを読み取ってあげれないことに不安を感じるかもしれません。

利用者の微妙な表情や脈拍の変化を見て、体調の変化に気づく必要があります。

しかし、しっかり1人ひとりの特性を見抜き、施設のスタッフと協力し合うことでコミュニケーションを取れるようになるでしょう。

例えば、「Aさんがジッと見てくるときは体を起こしてほしいサインだよ」など、小さなことでも共有しておきます。

カルテに書くと医師・看護師しか見れないので、ミーティングで共有したり、1人1人のケアプランに書いておくなど工夫しましょう。

利用者と意思疎通ができるようになった時に感謝されると、一層喜びを感じるはずです。

デメリット2.専門家との連携を取る必要がある

重症心身障害児(者)施設の看護師は、さまざまな分野の専門家と連携を取らなければなりません。

例えば、医師や介護士、保育士、児童指導員との連携が必要です。

特に、医師は常駐していないため少ないコミュニケーション量で意思疎通をしなければなりません。

また、重症心身障害児(者)施設内には以下のような専門家がいます。

  • 児童指導員
  • 保育士
  • 理学療法士
  • 栄養士

それぞれの専門家から利用者が健康で快適に過ごすために必要なことがたくさん共有されます

看護師も医療の専門家として、指導しなければならない場面もあるでしょう。

このように、多くの専門家と連携を取って、利用者の健康を守っていくのです。

デメリット3.体力を使う

重症心身障害児(者)の介護をする時間が多いため、体力を使います。

たとえば、起き上がったり立ち上がったりするときの介助、入浴介助などは体力仕事です。

もちろん、介護士や保育士と協力しながら行いますが、看護師も常に動いている状態になります。

そのため、妊娠中や産休明けの人には働きにくいと感じるかもしれません。

重症心身障害児(者)施設で働く際には、体力仕事を覚悟しておきましょう。

7.重症心身障害児(者)施設の看護師が向いている人・向いていない人

ここまで、重症心身障害児(者)施設の看護師のメリット・デメリットを確認してきました。

メリット・デメリットを踏まえて、どんな人が重症心身障害児(者)施設の看護師に向いているのか・向いていないのかをまとめています。

順番に確認していきましょう。

(1)重症心身障害児(者)施設の看護師が向いている人

重症心身障害児(者)施設の看護師が向いている人は、以下のような人です。

  • 障害者介護のスキルを伸ばしたい人
  • 体力に自信がある人
  • コミュニケーション力に自信がある人
  • 仕事とプライベートを両立しながらも年収を維持したい人

このような項目に当てはまるのであれば、重症心身障害児(者)施設で働くとあなたの理想の働きができます

積極的に転職を検討してみましょう。

(2)重症心身障害児(者)施設の看護師が向いていない人

一方、重症心身障害児(者)施設の看護師が向いていない人は、以下のような人です。

  • 障害者とのコミュニケーションに不安がある人
  • 多方面の専門家との連携に自信がない人
  • オンコールでも夜勤をしたくない人

このような項目に当てはまるのであれば、重症心身障害児(者)施設に転職をしても「辛い」と感じることが多いかもしれません。

すべての項目に当てはまるのであれば、病院・幼稚園・保育園で働く看護師が向いています。

ここまで読んで、「重症心身障害児(者)施設へ転職したい!」と考えるのであれば、求人サイトを見てみましょう。

求人サイトに掲載されている内容を見ることで、仕事内容や給与、福利厚生などを詳しく確認できます。

重症心身障害児(者)施設の看護師の求人が掲載されている求人サイトを次の章で確認しましょう。

8.重症心身障害児(者)施設の看護師へ転職するときにおすすめの求人サイト

重症心身障害児(者)施設の数は全国的に少ないため、求人自体少ないです。

そのため、求人サイトによっては掲載されていないこともあります。

重症心身障害児(者)施設の求人が掲載されている看護師求人サイトを確認しましょう。

求人サイト1.コメディカルドットコム

コメディカルドットコムは、全国4.5万件の求人情報が載っている医療従事者のための求人サイトです。

コメディカルドットコムで重症心身障害児(者)施設を検索してみると、2020年7月現在約90件の求人情報が出てきました。

掲載されている求人から、直接施設に応募することができます。

施設とのやりとりはマイページの中で完結させることが可能です。

事前にマイページ上でキャリアシートを作成しておけば、複数の施設に同じものを送っても構いません。

希望すれば職場見学もできるので、仕事場としてふさわしいか自分で判断しやすいでしょう。

登録しなくても求人検索ができるので、一度見てみて下さい。

求人サイト2.医療ワーカー

医療ワーカーは、全国9万件以上もの求人情報が載っている看護師のための転職サイトです。

重症心身障害児(者)施設を検索してみると、2020年7月現在200件以上の求人情報が出てきました。

医療ワーカーは、非公開求人をたくさん持っていることで有名です。

非公開求人とは、条件に合う人にだけに紹介をする優良求人のことを指します。

登録後、専任のアドバイザーに自分の希望条件を伝えることで紹介してもらえるのです。

もちろん、登録しなくても公開求人を検索できます。

希望の働き方(常勤・日勤のみ・夜勤のみ)や、希望エリア、キーワード「重症心身障害」を入れて検索してみましょう。

まとめ

重症心身障害児(者)施設での看護師の役割は、利用者のバイタルチェックをして健康を守ることです。

病院と比べて医療行為は少なく、難しい医療行為をする必要はありません。

知的発達障害・重度の肢体不自由な人とのコミュニケーションは難しいですが、その分やりがいは大きいです。

以下のような人であれば、重症心身障害児(者)施設で働くことが向いていると言えます。

  • 体力に自信がある人
  • 障害者介護のスキルを伸ばしたい人
  • コミュニケーション力に自信がある人
  • 仕事とプライベートを両立しながらも年収を維持したい人

重症心身障害児(者)施設へ転職し、今後のキャリアに役立てましょう。

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