コラム

宮内庁病院で働く!看護師の待遇やメリットとデメリットなど解説!

「安定して長く職場に勤めたい」

そんなあなたへ宮内庁病院で働くという選択肢はいかがでしょうか。

宮内庁病院は皇居内にある皇族とその関係者のみが利用できる病院です。

看護師にとって大きな違いは、看護師でありながら立場が国家公務員となることでしょう。

今回は宮内庁病院や宮内庁病院で看護師として働くメリットとデメリットについて、紹介していきます。

1.宮内庁病院について

はじめに宮内庁病院について解説します。

宮内庁病院とは皇居の東側、大手門から入ると右側に位置する宮内庁によって管理される国立病院です。

下記の3つの項目に沿って紹介します。

  1. 基本情報
  2. 病院の人数規模
  3. 対象患者

それぞれ確認していきましょう。

(1)基本情報

宮内庁病院の基本情報を下記のグラフに簡潔にまとめました。

診療時間は基本的に9時〜16時とされていますが、一般の方々が宮内庁病院を利用することができません

病院の窓口も皇族と一般用でわかれており、その特殊性が伺える構造です。

また院内には下記の診療科が設けられています。

  • 内科
  • 外科
  • 皮膚泌尿器科
  • 産婦人科
  • 眼科
  • 耳鼻咽喉科
  • 放射線科
  • 歯科

実際に宮内庁病院の産婦人科では多くの皇族が利用した実績があります。

具体的には天皇徳仁や秋篠宮文仁親王、眞子内親王、佳子内親王、敬宮愛子内親王がこの病院で誕生しました。

住所 東京都千代田区千代田1−2
住民案内用連絡先 03-3213-1111
病床数 20(一般病床)
診療時間 09:00~12:00 13:00~16:00
外来受付時間 09:00~11:30 13:00~15:30
休診日 土、日、祝日、1月2日、1月3日、12月31日
ホームページ https://www.kunaicho.go.jp

(2)病院の人数規模

続いて宮内庁病院の人数規模について解説します。

下記の図は東京都医療機関案内サービスひまわりを参照しています。
(2018年12月26日時点)

職種 総数 常勤 非常勤
医師 6.3 6 0.3
歯科医師 1.6 1 0.6
薬剤師 2.0 2
看護師 15.2 15 0.2
診療放射線技師・診療エックス線技師 1.0 1
臨床検査技師・衛生検査技師 1.0 1
管理栄養士 1.0 1
歯科衛生士 0.4 0.4
歯科技工士 0.4 0.4
従事者合計 28.9 27 1.9

常勤と非常勤を含めて30名満たない小規模な病院であることがわかります。

看護師の場合最も人数規模が多く、常勤15名非常勤0.2名となっており非常勤の採用も行っているようです。

夜勤の業務もあることから人数が多めに配置されています。

(3)対象患者

次に対象患者です。

皇居の内部にある宮内庁病院はセキュリティーや秘匿性の観点から一般の患者を受け付けていません。

したがって利用対象者は皇族の人々、宮内庁、皇宮警察本部の職員とその家族、さらに職員の紹介を受けた人に限定されます。

2.宮内庁病院の看護師が行う仕事内容

次に宮内庁病院の看護師が行う仕事内容について解説します。

宮内庁病院の詳細な業務内容は公表されていませんでした。

しかし、募集要項に実務経験5年以上の看護師免許証取得者と条件があります。

このことから、看護師の基本業務である医師の診察補助や患者の医療的なケアが中心業務だと推測できるでしょう。

通常の病院とは異なり、小規模で携わる患者が限定されます。

したがって患者1人ひとりの情報を把握した上で適切な処置が求められるでしょう。

勤務形態は交替制で一週間あたりの勤務時間は38時間45分、夜勤は月平均4回と募集要項に明記されていた実績があります。

目安として参考すると良いでしょう。

3.宮内庁病院・看護師の給料や待遇

宮内庁病院の看護師の平均収入・月収

続いては宮内庁病院の看護師の給料や待遇についての解説です。

宮内庁病院の看護師は国家公務員の立場になります。

したがって給与は「一般職の職員の給与に関する法律」に基づき、経験や学歴が考慮されて決定するのが一般です。

募集要項によると、短大(3年制)または専門学校(3年制)卒で5年の実務経験後に採用された場合の俸給月額は232,700円とされています。

上記の給与をベースに地域手当・扶養手当・住居手当・通勤手当・期末手当などが別途支給されるようです。

4.宮内庁病院で看護師として働くメリット

宮内庁病院の看護師のメリット

ここでは宮内庁病院で看護師として働くメリットを紹介します。

ここであげるメリットは次の3つです。

  1. 社会的信頼が得られる
  2. 少人数を相手に仕事ができる
  3. 職員の入れ替わりが少ない

それぞれ確認していきましょう。

メリット1.社会的信頼が得られる

1つ目は社会的信頼を得られること。

特に宮内庁病院に勤める看護師は国家公務員の立場です。

これにより国家公務員としての恩恵で、ローンを組みやすくなります。

国家機関だからこそ運営母体が安定しており、それが社会的信頼につながっているという背景があるのです。

自動車の購入やマイホームを建てるなど、自分の人生設計において高額な支払いが必要になる場面があるかもしれません。

その際に多くの人がローン審査を受け、資金を調達することになるでしょう。

基本的に公務員という立場であれば、その社会的信頼性から審査が通りやすく将来設計を立てやすいというメリットがあります。

給与も段階的に昇給される傾向にあるため、見通しを立てた安定した生活を構築しやすいメリットもあるでしょう。

メリット2.少人数を相手に仕事ができる

2つ目は少人数を相手に仕事ができることです。

既に述べたように、宮内庁病院は対象患者が限定されています。

したがって関わる患者の人数が他の病院と異なり少なく、小規模感で仕事をすることが可能です。

1人ひとりにきめ細やかな医療ケアをしたい

そう考えているのであれば、少人数を相手に仕事ができる宮内庁病院は大きなメリットとなるでしょう。

メリット3.職員の入れ替わりが少ない

3つ目は職員の入れ替わりが少ないことです。

宮内庁病院の看護師募集は定期的な頻度で行うものではありません。

病院の規模も大きくないことから、欠員が生じたタイミングのみ宮内庁ホームページより募集をするのが基本です。

常勤募集が一般的ですが、過去には2年間の有期雇用で募集されたことがありました。

頻繁に募集を行っていない現状から職員の定着率が高く、長く安定して働くことができる職場だと判断できます。

また宮内庁病院としての在り方は確立されているため、その理念に共感できるのであれば強い使命感と責任を持って業務に取り組むことができるでしょう。

5. 宮内庁病院で看護師として働くデメリット

宮内庁病院の看護師のデメリット

続いては宮内庁病院で看護師として働くデメリットを紹介します。

考えられるデメリットは次の3つです。

  1. 閉鎖的な空間
  2. お役所仕事が多い可能性がある
  3. 先端医療から離れてしまう可能性がある

それぞれ確認していきましょう。

デメリット1.閉鎖的な空間

1つ目は閉鎖的な空間であることです。

宮内庁病院は構造上、秘匿性が高く外部との接点が多くありません。

患者は限定され、スタッフの入れ替わりが少ないことも理由の1つです。

これによって刺激のない日々の仕事や環境に変化をもたらすことは少ないでしょう。

その結果マンネリを感じてしまう可能性があります。

環境に頼らず自分自身で日々の仕事に価値や意義を見い出し、主体的に行動していく必要があるかもしれません。

デメリット2.お役所仕事が多い可能性がある

2つ目はお役所仕事が多い可能性があることです。

これはあくまでも推測にすぎません。

しかし、宮内庁管轄という特殊な位置づけにある宮内庁病院だからこそ、一般の医療法人とは異なる特別なルールやしきたりが存在する可能性が考えられるでしょう。

例えば上皇后が体調不良で宮内庁病院の診察を受けた報道をされた際は、宮内庁ホームページで容態や医療サポートに関して細かく報告しています。

このようにこれまでの看護師として経験した業務とは全く異なるような仕事や、仕事のやり方に順応する必要があるでしょう。

デメリット3.先端医療から離れてしまう可能性がある

3つ目は先端医療から離れてしまう可能性があることです。

皇族やその関係者専用の病院と聞くと、最先端の充実した設備が整った施設を想像するかもしれません。

しかし病院の規模感から考えると、外部の病院のほうが充実した先端医療設備を整えていると考えられます。

例えば天皇徳仁や上皇后が入院されたときに選ばれた病院は東京大学医学部附属病院という外部の医療機関でした。

これは、宮内庁病院が入院を想定した医療設備を整えていないという考え方ができるように、必ずしも先端医療設備を整えているわけではないと推測できます。

したがって先端医療の現場で様々な経験やスキルを積んでいきたい人にとっては、ギャップを感じてしまう可能性があるでしょう。

6.宮内庁病院の看護師に関連するよくある質問

ここでは宮内庁病院の看護師に関連する、よくある質問をまとめました。

情報が少なく不透明な宮内庁病院について情報収集しておきましょう。

ここで紹介する質問は次の6つです。

  1. 募集はどれくらいの頻度で行われるのか
  2. 勤務のための条件はあるのか
  3. どんな人が向いているのか
  4. 一般の人を受け入れることはあるのか
  5. 採用までの道のり
  6. 他に国家公務員として働ける環境はあるのか

それぞれ1つずつ解説していきます。

Q1.募集はどれくらいの頻度で行われるのか

1つ目は募集はどれくらいの頻度で行われるかについてです。

結論から言うと、欠員募集のため決まった頻度はありません

直近では令和2年4月1日の採用を目指して募集をしていた記録がありました。

基本的に募集は常勤ですが、状況によっては期限付きの常勤有期雇用の募集もあるようです。

募集案内は宮内庁ホームページで行われるため、興味がある人はホームページをチェックして見逃さないようにしましょう。

Q2.勤務のための条件はあるのか

2つ目は勤務のための条件はあるのかどうかです。

勤務のための条件は次の2つだと募集要項に明記されています。

  • 看護師免許証取得者
  • 実務経験5年以上

このように短大や専門学校で看護師免許証を取得し、学校卒業後に5年間勤務した経験があれば誰でもチャレンジすることができます

ただし採用後は国家公務員として勤務することになるため、下記に該当する人は応募することができません。

たとえば、暴力的な反社会的団体に所属した経験がある人や禁錮以上の刑罰を受けた人物は国家公務員になることができません。

敷居が高いように感じますが、看護師資格を持ち5年以上の経験があれば多くの人がチャレンジできる要件です。

関心のある人は積極的にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

Q3.どんな人が向いているのか

3つ目はどんな人が宮内庁病院の看護師に向いているのかについてです。

いくつかあげられますが大切な点として、高い責任感とやりがいを持って仕事ができる人だと考えられます。

宮内庁病院は皇族とその関係者のために存在する病院です。

したがって、患者となる皇族関係者たちに適切な医療サポートを行うなど皇族のために誇りを持って仕事をする必要があります。

また宮内庁病院は、扱う患者や業務内容の秘匿性が極めて高いです。

個人情報はもちろん守秘義務を遵守できる人物も宮内庁病院で勤務するために大切な要素だと言えるでしょう。

Q4.一般の人を受け入れることはあるのか

4つ目は一般の人を受け入れることはあるのかどうかです。

前述したとおり、基本的に宮内庁病院では一般の人を受け入れることはありません。

しかし過去には東日本大震災で被災をされたひとたちを対象に、患者の受け入れを行った実績がありました。

このように例外的に一般の人を受け入れ、病床提供や医療サポートを提供する場合があるようです。

Q5.採用までの道のり

5つ目は採用までの道のりです。

宮内庁ホームページで募集要項が掲示された後、応募することができます。

段階としては書類選考・面接・健康診断の流れです。

書類選考では履歴書、職務経歴書、看護師免許証の写し、そして1000文字以内の志望動機書を提出します。

書類選考で差が生まれやすい部分は職務経歴書と志望動機書でしょう。

情報が少ない分、業務内容のイメージを膨らませて臨む必要があります。

Q6.他に看護師が国家公務員として働ける職場はあるのか

最後は他に看護師が国家公務員として働ける職場はあるのかどうかです。

結論から言うと看護師が国家公務員として働ける環境は他にもあります。

次の5つが国家公務員として看護師が働ける施設です。

宮内庁病院 皇族やその関係者を対象にした皇居内にある病院
国立ハンセン病療養所 国立医療機関として全国13箇所にあるハンセン病患者の療養施設
刑務所 刑務所に常駐し、受刑者に看護業務を行う
厚生労働省 厚生労働省で看護系技官として医療的な観点で制度の改善や創設を行う
自衛隊 自衛隊に所属し、自衛官の体調や健康面のサポートを行う

このように看護師として勤務をする環境もあれば、看護師経験を生かして制度をつくる環境で活躍する厚生労働省のような環境もあります。

国家公務員という立場の性質上、業務内容が専門的な領域に踏み込むこともあるでしょう。

まとめ

今回は看護師として宮内庁病院で働くための概要からメリット・デメリットまで幅広く解説しました。

一般には馴染みの薄い宮内庁病院ですが、あなたの看護師としてのキャリアを活かせる環境です。

「長く安定して看護師として働いていきたい」

そんな想いがあるのであれば、1つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。