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【介護士の給料が安いと言われる理由とは】資格取得で高収入を目指そう

【介護士の給料が安いと言われる理由とは】資格取得で高収入を目指そう

介護士の仕事は採用のハードルが低く安定しているため、就職を希望する人が大勢います。ただし、「給料が安い」というイメージがあるのがネック。

本当に給料が安いのであれば、いくら社会的に意義のある仕事とはいえ就職をためらってしまうことでしょう。そこでこの記事では、介護士の給料の相場と安いと言われる理由、そして高収入を得る方法についてご紹介します。

また「介護福祉士の手取り額」について詳しく知りたい方は、こちらで解説を行っていますのでぜひ確認してみてくださいね。

介護士の給料は安い?

介護士の給料は安い?

一般的に介護士の給料は安いと言われています。では、どれくらい安いのか?まずはいくつかの職業と平均給料で比較します。

業種 平均年収 平均月給
飲食店(正社員) 324万円 27万円
アパレル店(正社員) 336万円 28万円
介護士 378万円 31.5万円
コールセンター(SV) 403万円 33.5万円

介護士と同じく、比較的採用されやすい職業の平均年収を表にしてみました。厚生労働省が発表した「令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職員の平均給与は31万5,850円。

この金額は飲食店やアパレル店に勤務する正社員よりも高い額です。さらに百貨店員や理美容師の平均給与よりも介護士の方が高いとされています。

そう考えると「給料が安い」というイメージには疑問符がつきますよね。

給料が安いというのは仕事内容との相対評価

給料が安いというのは仕事内容との相対評価

額面だけみれば決して安いとはいえない介護士の給料。しかし仕事内容を加味して考えると別の結論が見えてきます。

というのも、介護士は重労働かつ長期間勤務。体力と力を使う場面が多く、なおかつ残業や夜勤もあるから。つまり時給に換算して単位時間あたりの仕事量を割り出すとかなり安い給料だといえます。

この点が「介護士は給料が安い」といわれる主な理由なのです。

業務の専門性が理解されていないという側面も

業務の専門性が理解されていないという側面も

介護士の給料が安いと言われるのには、業務の専門性が理解されていないという側面もあります。弁護士や会計士など、一般的に専門性の高い職業は給料も高くなりがち。

介護士にも高い専門性が求められるので本来ならば高い給料になるはずなのですが…残念ながら「無資格でもある程度の業務をこなせる」というイメージから専門性が高いとは思われていません。

その結果、専門性が必要なわりには給料が安いという状況が続いてのです。

介護士の給料が仕事のわりに安い理由

介護士の給料が仕事のわりに安い理由

「給料が安い」というイメージも影響して介護業界は慢性的な人手不足です。

「だったら給与を上げればいいじゃないか」と思うかもしれませんが、実は構造的にそうもいかない事情があります。

一体何がネックで仕事のわりに給料が安いままなのか?その理由をご説明します。

介護報酬に上限がある

介護報酬に上限がある

介護を行う事業所の売上は介護報酬によって成り立っています。要介護状態の段階によってサービス内容と介護報酬が決まるので、事業所側が自由に料金設定しにくいのです。

なおかつ、売上を伸ばすには介護士の人数が必要。営業会社のように一人の社員が莫大な売上をもたらすというようなことはありません。これはつまり、売上が伸びにくいということを意味しています。

実際、介護事業所の人件費は売上の60~70%にもなります。その結果、介護士一人一人に支払える給料には限界があり、どうしても安い給料にせざるを得ないのです。

施設や設備の維持費が高い

施設や設備の維持費が高い

介護業界は生活が不自由な人を対象としているため施設や設備が特殊です。その分、一般的な企業とくらべて施設運営費には高いコストがかかります。

また、利用者が安心して長期的に利用できるように、内部留保を分厚くしておく必要があります。そのため利益がたくさん出てもボーナス等で還元しないというのが業界の常識。

これも介護士の給料が安いままである理由の一つとなっています。

赤字の事業所が多い

赤字の事業所が多い

事業所には安い給料を改善するだけの体力がないという指摘もあります。というのも、介護事業所の多くが赤字経営だから。

平成29年度を例にとると介護保健施設の20.2%が赤字。その他、特別養護老人ホーム(従来型33.9%、ユニット型31.7%)、グループホーム35.2%、通所介護(地域密着45.5%、通常規模35.1%)という赤字率です。

事業所の存続そのものが危ぶまれる状況なので、安い給料を改善するどころではないというのが実状なのでしょう。

介護士が給与を増やす方法

介護士が給与を増やす方法

ご紹介したように、介護業界には給与が安いという状況を改善しにくい事情があります。とはいえ、そのまま手をこまねいているわけにもいかず何らかの対策が必要。

そこで介護士が給料を増や方法についてご紹介していきます。

介護福祉士の資格を取得する

介護福祉士の資格を取得する

安い給料から脱却するには国家資格である介護福祉士を取得するというのが一番です。というのも、介護福祉士にはより多くの介護報酬が支払われるから。

介護福祉士を一定割合配置することでサービスの質の確保・向上を行っている介護事業所を評価するという「サービス提供体制強化加算」があるのです。

したがって介護福祉士の資格を取得すると無資格の介護士より平均月給で5万円のアップになります。年収にして60万円も違うわけですから「給料が安い」と思うなら介護福祉士を目指すべきです。

介護福祉士の取得方法

介護福祉士の取得方法

介護福祉士を取得するには以下のいずれかの条件を満たし試験に合格しなければなりません。

  • 介護福祉士養成施設(2年以上)を卒業(修了)
  • 介護福祉士養成施設(1年以上)を卒業(修了)
  • 3年以上介護等の業務に従事した人で、実務者研修を修了
  • 3年以上介護等の業務に従事した人で、介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修(第1号研修または第2号研修)を修了
  • 福祉系高校で新カリキュラムを履修した卒業
  • 特例高校を卒業した翌日後に9か月以上介護等の業務に従事
  • 経済連携協定(EPA)で介護等の業務に従事

直ぐに取得できるような資格ではありませんが、仕事をしながら勉強していっても十分に合格できるというのが特徴。

その意味では「3年以上介護等の業務に従事した人で、実務者研修を修了」という条件がもっとも達成しやすく低予算です。

介護福祉士からさらにキャリアアップさせる

介護福祉士からさらにキャリアアップさせる

介護福祉士を取得しても、他の業界の平均年収と比べれば高所得者とはいえません。そのため別の資格を取得してさらにキャリアアップさせるという方法をとります。

  • 生活相談員
  • ケアマネージャー
  • サービス提供責任者

これらになれれば介護業界におけるいわゆる勝ち組。安い給料から脱却できるだけでなく、体力的な負担も少なくてすみます。

給料と体力は中高年を迎えたときに必ずシビアな問題となりますので、介護業界で長く働くつもりならいずれかを視野にいれて計画的に準備をした方が良いでしょう。

生活相談員

生活相談員

生活相談員は要介護者本人やその家族から受けた相談を様々な部署・担当者と連携しながら解決していくのが仕事。つまりベストなサービス提供に向けての調整役となります。

そんな生活相談員になるには、

  • 社会福祉士
  • 精神保健福祉士
  • 社会福祉主事任用資格

のいずれかが必要です。(自治体によって必要なものが異なります

民間の事業所でも働くことができますが、生活相談員の一番のメリットは地方公務員にもなれるということ。

地方公務員ならたとえ給料の額面は安いままでも福利厚生や退職金、共済年金などで大きなメリットがあります。

サービス提供責任者

サービス提供責任者

サービス提供責任者は訪問介護計画の作成や、ヘルパーのスケジュール調整、利用者の状態の把握、関係機関との連携などを行うのが仕事。

介護事業所(訪問介護・重度訪問介護)でサービス提供責任者になるには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 介護福祉士資格を持っている方
  • 実務者研修を修了された方
  • 初任者研修を修了し、実務経験3年(540日)以上ある方

介護福祉士の資格があれば良いということで管理職向きの資格として考えるのが一般的。「一つの事業所に長く勤めたい」という人はこのサービス提供責任者を目指すと良いでしょう。

介護支援専門員(ケアマネジャー)

介護支援専門員(ケアマネジャー)

要介護者や家族に対してケアプランの作成や施設などとの連絡調整を行うのがケアマネージャーの仕事です。

ケアマネージャーの受験資格は定められている業務について5年以上かつ900日以上の勤務実績があること。また、試験に合格した後は介護支援専門員実務研修を受講し修了する必要があります。

介護福祉士から累計するとかなりの道のりですが、給料を含むあらゆる待遇面を考えれば目指す価値は十分にありますよ。  

夜勤の回数を増やす

夜勤の回数を増やす

資格取得とは別に単純に体力勝負で安い給料から脱却する方法もあります。それが夜勤手当です。介護士が夜勤を行うと、1回あたり5,000~8,000円ほどが加算されます。

仮に月10回の夜勤をこなせば数万円の給料アップ。これだけで介護福祉士の資格を取得したのと同じ効果が発生するのです。

年齢を重ねると体力的な問題が出てきますが、「若いうちにお金を貯めたい」という人にはうってつけの方法といえます。

より条件の良い事業所に就職する

より条件の良い事業所に就職する

より良い条件の事業所へ転職するという方法も有効です。どの事業所も人手不足なので応募すれば高確率で採用されます。したがって条件の事業所を見つけられるかどうかの方が大事。

給料の面ではどの事業所もほとんど変わらないはずですから、福利厚生や昇進のしやすさなど、金額には表れない部分に目を向けるようにしましょう。

また、十分なキャリアがある人は、転職活動で管理職へ応募してみると給料が一気にアップするかもしれません。

待遇の良い事業所を探すなら転職サイト

待遇の良い事業所を探すなら転職サイト

「安い給料を何とかしたい」「もっと待遇の良い事業所に移りたい」という人におすすめなのが転職サイトです。転職サイトを使えば短時間で多くの求人を閲覧可能。

求人は絶えず出ていますし万単位の数がありますからそれらを比較検討し自分の希望に合った事業所を探せるのです。。

なかでも以下の3つは評判が良いのでぜひ登録してみてください。

<おすすめの転職サイト>

  • きらケア
  • 介護レポ
  • マイナビ介護

きらケア:レバレジーズメディカルケア株式会

きらケア:レバレジーズメディカルケア株式会

就職活動に関して手厚いサポートが欲しい人におすすめなのがきらケアです。きらケアでは応募先の雰囲気を詳しく知ることができ、なおかつその応募先における面接対策も行ってくれます。

どちらも応募者自身では何ともし難い部分なので、きらケアからの情報がきっと役に立つはず。

職場の雰囲気を重視する人はきらケアに登録するのをおすすめします。

*引用元:https://job.kiracare.jp/

介護レポ:株式会社repo

介護レポ:株式会社repo

介護レポは就職後に自身をキャリアップさせたい人におすすめです。というのも、教育体制や資格取得支援制度、職場環境などについて詳しく教えてくれるから。

事業所ごとで教育体制や支援制度の中身が異なるので、どこに就職するかによって資格取得のしやすさが大きく変わってきます。介護福祉士までならどの事業所であっても取得できそうですが、その先となると話は別です。

フルに働きながらの勉強はかなりしんどくなってくるので、事業所側がどこまでサポートしてくれるかが重要。介護レポならそういった勉強しやすい事業所を見つけることができます。

*引用元:https://www.repo.co.jp/kaigolp/

マイナビ介護:株式会社マイナビ

マイナビ介護:株式会社マイナビ

マイナビ介護は求人数の多さに定評のある転職サイトです。常時5万件以上の求人が出ており、待遇面の比較をするにはうってつけ。

給料だけでなく、勤務地、勤務時間、将来性など、いくつかの条件にこだわって探すことができます。さらに専門のキャリアアドバイザーによる給与アップ、キャリアプラン、産休などのアドバイスも付きます。

就活初心者から上級者まで幅広く対応しているサイトなので、主力の転職サイトとして利用してみてはいかがでしょうか。

*引用元:https://kaigoshoku.mynavi.jp/

キャリアップで安い給料から脱却しよう

キャリアップで安い給料から脱却しよう

この記事では介護士の給料相場と給料アップの方法についてご紹介しました。介護士の平均給料を他の業界と比べると決して安いわけではありません。しかし、それは夜勤手当や残業手当がたくさんついたうえでのこと。

単位時間あたりの仕事量と金額で考えれば、介護士の給料は安いと言わざるを得ません。そんな状況を変えるには介護福祉士の資格を取得するのがおすすめ。その後は別の資格を取得することで更なる給料アップが期待できます。

また、夜勤を中心にシフトを組んだり待遇の良い事業所に転職するしたりすることでも安い給料を高くすることができます。いずれにせよ自分の目的を達成しやすい事業所に就職することが重要なのでご紹介した転職サイトでしっかり探しましょう。