動物と触れ合うことで利用者の心を癒すアニマルセラピー。
アニマルセラピーに限らずとも、飼っているワンちゃんと触れ合うことで癒された経験はあるのではないでしょうか。
近年、介護の現場でアニマルセラピストの活躍を見かけることも多くなってきました。
とても魅力にあふれる仕事ですが、仕事内容や資格についてあまり知られていません。
今回はアニマルセラピストの仕事内容や資格の取得方法、働くことができる場所について紹介します。
特に理解しづらいアニマルセラピーの種類についても解説しているので、ぜひご覧ください。
目次
1.アニマルセラピストになるために知っておきたいこと
介護士からアニマルセラピストを目指す場合、前もって理解しておくべきことがあります。
日本国内でのアニマルセラピーの認知度が高いとは言えないという事実です。
原因は様々考えられますが、大きなところで2つ挙げられます。
- 日本でのアニマルセラピーの歴史が浅い
- 医療制度・設備が整っていない
それぞれ詳しく解説していきます。
(1)日本でのアニマルセラピーの歴史が浅い
1つはアニマルセラピーの日本での歴史の浅さです。
1950年に欧米を中心に治療法として広まったアニマルセラピー。
日本では1970年代に馬を用いた乗馬療法がドイツから取り入れられ、2000年代になると近代的なセラピードッグを用るアニマルセラピーの普及が始まります。
セラピードッグと同じように海外から取り入れられ、人の助けとなる犬の仕事として活躍している代表的な例は盲導犬です。
セラピードッグと盲導犬を比較して見てみるとより理解しやすくなります。
日本で初めての盲導犬は1957年に誕生しました。
その後、国が公的に盲導犬の存在を認める身体障碍者補助犬法が成立したのは、45年後の2002年です。
今でこそ知られている盲導犬も認められるまで長い年月がかかったことがわかります。
アニマルセラピーの普及にはまだまだ時間がかかることが容易に想像できるでしょう。
(2)医療制度・設備が整っていない
アニマルセラピーの認知度が低いもう1つの理由として、日本で動物を医療に用いる制度が進んでいないことが挙げられます。
既にアニマルセラピーの実用化が進んでいる欧米では、医師が処方箋としてペットを飼うことを記すこともあるというから驚きです。
日本でも老人ホームや病院でアニマルセラピーを取り入れる施設が、確実に増えつつあります。
アニマルセラピーを取り入れる施設が増えている要因の1つは、協会や団体の活動によるものです。
アニマルセラピー協会・団体のほとんどがボランティアとして訪問活動を行っています。
一例として公益社団法人日本動物病院協会が訪問活動を行う施設を見てみましょう。
訪問施設一覧を見ると全国各地でアニマルセラピーが行われていることが分かります。
しかし、必要な設備を整え、実用化している所はまだまだ珍しいというのが現状です。
アニマルセラピーを取り入れている施設が少ないということは、それだけ働ける場所が少ないということが言えます。
もちろんアニマルセラピストを本業として生活することも不可能ではありません。
しかし、心構えとしてボランティア活動のため、介護士からスキルを身に付けてステップアップするための選択肢として割り切って考えることが必要になります。
2.アニマルセラピストになるために今からできること
アニマルセラピストになるために、一体どんな取り組みから行うのでしょうか。
実は、知識を持たずとも今すぐ始められることがあります。
「アニマルセラピーについて詳しく知りたいけど、何をしたらいいのか分からない。」
こういった悩みを持っている方に、今すぐにでも始められることを2つご紹介します。
- ボランティア活動への参加
- アニマルセラピストの無料講習
それぞれ見ていきましょう。
(1)協会が行うボランティア活動に参加してみる
アニマルセラピーの活動を行い、アニマルセラピーの普及に取り組んでいる団体や協会があります。
そういった団体で実際に体験できるのが、ボランティア活動です。
ボランティアでは、訪問活動やセラピードッグのお世話を体験することができます。
ボランティアとして参加した際に特に多くの体験ができるのが、「NPO法人ドッグセラピージャパン」 です。
「NPO法人ドッグセラピージャパン」では、セラピードッグのお散歩や犬舎の掃除といった、アニマルセラピストが実際に行う業務を体験できます。
体験できる業務の中には、自宅でセラピー犬を子犬から育てるというボランティアもあります。
参加する協会や団体によっては、アニマルセラピーが行われる現場に同行して、利用者の様子やセラピストの活動を間近で体験することが可能です。
代表的なものが、「NPO法人日本アニマルセラピー協会」で行っている、セラピー犬サポーターという会員制の取り組み。
セラピー犬サポーターは入会金と年会費を支払うことで、アニマルセラピー活動に見学として同行することができます。
あくまで同行であり、利用者に対してアニマルセラピーを行うことはできません。
しかし、アニマルセラピストの働き方を見て学ぶことは貴重な経験といえるのではないでしょうか。
入会金と年会費は合わせて15,000円程です。
会員になると、会報誌で協会の活動を確認したり、セラピー犬と触れ合うことができるサロンの無料招待券を受け取ることができるメリットもあります。
(2)アニマルセラピストの無料講習を受けてみる
協会・団体によっては、アニマルセラピストの資格取得に必要な講習を行っているところもあります。
アニマルセラピストを目指すのであれば、資格取得に必要な講習はとても有意義といえるでしょう。
「NPO法人アニマルセラピー協会」では、アニマルセラピー育成教室の一環として、その講習の一部を無料で体験することができます。
アニマルセラピストの資格勉強は1年以上の期間をかけて行う場合がほとんどです。
自身の現状の理解度や講習内容を事前に知っておくことで後悔のない選択ができるのではないでしょうか。
3.介護士からアニマルセラピストになるメリット
介護士という経歴を踏まえてアニマルセラピストを目指した場合、以下のようなメリットが挙げられます。
- 介護士とは違うアプローチで役立てる
- 介護の知識を活かすことができる
- 愛犬と一緒に仕事をできる
詳しい内容を確認していきましょう。
メリット1.介護士とは違うアプローチで役立てる
「介護を必要としているお年寄りと一生懸命コミュニケーションを取ろうとしたけど、心を開いてもらえない。」
介護士として働いている時、こんな経験をされたことはありませんか?
役に立ちたいという思いで接していても、心を開いてもらえない状況はとてももどかしいです。
アニマルセラピーではセラピードッグを介し、心を閉ざした高齢者とコミュニケーションを取れるようになる場合があります。
2013年、岡山県の介護高齢者ドッグセラピー協会では、認知症高齢者のリハビリ効果向上に向けてアニマルセラピーの効果を調査しました。
この調査では、介護拒否をしていた高齢者が自ら入浴を受け入れるようになったという実例が見られました。
中には、利用者がセラピードッグの訪問を心待ちにして、時間になると進んでベッドから起き上がるといった効果も見られています。
もちろんアニマルセラピーが全ての人に有効というわけではありません。
しかし、コミュニケーションのアプローチが1つ増えるだけでも、とても大きなメリットと言えます。
メリット2.介護の知識を活かすことができる
介護士からアニマルセラピストを目指した場合、介護の現場で学んだ知識を活かすことができます。
アニマルセラピストには、動物に対する知識や扱う技術が必要です。
それ以上に、セラピーを受ける利用者への理解や接し方を知っていることが大切になってくるでしょう。
介護士として働いた経験があるということは、アニマルセラピストに必要な知識を既にある程度身に付けているとも言えます。
その知識が資格取得の際に役立つことは言うまでもありません。
加えて言うと、アニマルセラピストとして活動していく時まで活用することが出来るのが、介護士の経験です。
介護士からアニマルセラピストを目指す人ならではのメリットといえますね。
メリット3.愛犬と一緒に仕事ができる
アニマルセラピーでは、基本的にセラピードッグとして訓練を受けた犬が用いられます。
しっかりと訓練を行えるのであれば、愛犬をセラピードッグとして活動することも可能です。
「仕事をしているからペットは飼うことができない」
と悩んでいた場合も、アニマルセラピストとして愛犬と一緒に活躍することでいつでも一緒に居ることができます。
特にレトリバー種やトイプードルといった犬種は、セラピードッグの適正があると言われています。
飼い犬の犬種が適正を持つ種類であれば、愛犬が仕事の相棒という夢のような話も現実になるかも知れません。
4.実はアニマルセラピーには種類がある
アニマルセラピーについて興味を持って調べたことがある人には、当たり前に思えるかもしれませんね。
日本で”アニマルセラピー”と呼ばれているものには、3つの種類が定められています。
そもそも日本で使われている”アニマルセラピー”という言葉は、日本で作られた造語であることはご存知でしょうか。
日本でアニマルセラピーという既に名前が浸透していることから、便宜上そのように呼ばれています。
アニマルセラピーという言葉は、本来どのような意味を持っているのでしょうか。
アニマルセラピーの種類を知ることで、より深く理解することが可能になります。
3種類のアニマルセラピーの区分はこちらです。
- 動物介在活動(AAA)
- 動物介在教育(AAE)
- 動物介在治療法(AAT)
それぞれ解説していきます。
種類1.動物介在活動(AAA)
アニマルセラピーを知っている場合、最も想像しやすいのが動物介在活動です。
介護施設で行われるレクリエーションでのふれあい活動がこれに該当します。
Animal Assisted Activityを略してAAAと表記されることが多いです。
本来セラピー(療法)とは、治療の方法を意味し、医療行為に当たります。
AAAでは動物と利用者が触れ合うことを目的としているため、アニマルセラピーという言葉が持つ本来の意味とは違ってきますね。
種類2.動物介在教育(AAE)
幼稚園や小学校にアニマルセラピストが訪問する形で行われるのが動物介在教育です。
Animal Assisted Educationの頭文字をとりAAEと略して表記されます。
セラピードッグを用いた教育は、学校飼育としてよく知られているうさぎや鳥の飼育とはまた違ったものです。
セラピードッグによるAAEには、命の大切さや犬とのふれあいかたを学ぶ他、気持ちをリラックスさせる効果もあります。
種類3.動物介在療法(AAT)
アニマルセラピーという言葉の意味に最も近いものが動物介在療法です。
医師が患者に対して必要だと考えた際に適切な動物を介在させ、治療として行います。
ポイントは医師が行うもので、アニマルセラピストの判断で行われる行為ではないということです。
作成された計画や目的のもと実施されるAATでは、アニマルセラピストもその計画の一員として活動することになります。
5.アニマルセラピストの資格
アニマルセラピーへの知見が深まったところで、資格取得について見ていきましょう。
実は、アニマルセラピストになるために取らなければいけない資格はありません。
アニマルセラピストの資格は様々なものがあるものの、国家資格として定められたものはなく、全てが民間資格です。
例えば、介護福祉士や社会福祉士といった資格は馴染み深いのではないでしょうか。
介護福祉士や社会福祉士は法律で定められた国家資格です。
国家資格には、法的な効力としてその資格の名称を名乗ることができる名称独占や業務独占が認められます。
一方で民間資格は、民間の事業者が独自の基準で運営している資格です。
民間資格には法的な効力は無く、資格を持っていなくても業務を行うことができます。
極端な話をすれば、今すぐ「私はアニマルセラピストです。」と言うこともできるということです。
しかし、何の知識もない人がアニマルセラピストとして活動することは非常に難しいといえるでしょう。
民間資格でも、相応の能力を持っている証明になり、信頼につながります。
アニマルセラピストに関係する資格では、動物に対する知識と人間に対する知識の両方が必要です。
認定している団体によって基準や資格名が変わってきます。
ここでご紹介するのは代表的な3つです。
- アニマルセラピスト
- 動物介在福祉士
- セラピードッグトレーナー
それぞれ見ていきましょう。
(1)アニマルセラピスト
NPO法人日本アニマルセラピー協会で取得することができるのが「アニマルセラピスト」という資格です。
履修内容はベーシック、プログレス、アドバンスの3段階。
ベーシックでは動物介在活動に関する内容、プログレスでは動物介在教育に関する内容、アドバンスでは動物介在療法に関する内容を学ぶことができます。
自宅で1年間かけて学ぶ通信コースと3カ月間で集中して資格取得することができる2種類のコースがあるのが特徴です。
(2)動物介在福祉士
「動物介在福祉士」は、一般社団法人全日本動物専門教育協会(SAE)が定める資格です。
動物取扱業(動物の繁殖、展示、飼育、売買を行う)に必要な動物取扱責任者として登録することができるという特徴があります。
資格取得のためにはSAEに加盟している専門学校に通い、学科と実技を修めなければいけません。
資格の等級が初級、中級、上級、教師の4段階に分けられています。
上級までは1年間で取得可能ですが、教師の等級は3年間の実務経験が必要です。
(3)セラピードッグトレーナー
「セラピードッグトレーナー」は一般社団法人日本ペット技能検定協会が定める資格です。
ドッグトレーナーという名前ではあるものの、身に付ける知識はアニマルセラピーの分野も含まれています。
ヒューマンアカデミーの通信講座の1つであるドッグトレーナー講座で取得可能です。
ヒューマンアカデミーでは、標準学習期間を4か月としています。
6.アニマルセラピストの資格取得から実際に働くまで
アニマルセラピストの資格を取得するから実際に働くまでの流れは2つに分けられます。
- アニマルセラピストの資格取得
- アニマルセラピストとして就職する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
流れ1.アニマルセラピストの資格取得
資格取得に向け必要な知識を身に付けます。
資格の種類は様々なものがあるため、自分に合っていると感じたものを選ぶようにしましょう。
働きながら資格勉強をする場合は、取得方法が通信講座で行えるものなのかという点を意識すると選びやすくなります。
判断基準の1つとして、学校に通う必要があるのかという点も大事です。
資格選びの段階で後悔することのない選択をしましょう。
アニマルセラピストの資格が取れる専門学校に通う
専門学校に通う場合の多くが2年制である点に注意が必要です。
仕事を続けながら通うのか、一旦辞めて専念するのか、金銭的な問題も考えなければいけません。
しかし、専門学校に通う場合、生徒として先生から指導を受けられる、成績という形で実力を確認できるというメリットがあります。
本気でアニマルセラピストを目指す際には外せない選択肢です。
認定協会が行う講座に参加する
資格を定めている協会の講座を受けることで資格取得が可能です。
ボランティア活動に参加していればある程度協会の空気感なども感じ取れるため、慣れた環境で講座を受けられるメリットがあります。
NPO法人日本アニマルセラピー協会の魅力は、比較的短期間で資格取得が可能な3カ月取得コースです。
スピード感を持って取り組むことができるため、他にはない利点ともいえるでしょう。
流れ2.アニマルセラピストとして就職
資格取得後はアニマルセラピストの仕事を探し、就職します。
介護士として働いている場合は、職場で技能を活かす環境を整えるという選択肢も考えましょう。
資格を取得した協会によっては、アニマルセラピストの仕事を斡旋していることもあります。
一から職探しをするよりも工程をショートカットすることができる点が大きなメリットといえるでしょう。
7.アニマルセラピストの就職先
就職先を自力で探したいと考える人は、アニマルセラピストの就職先について知る必要があります。
既に冒頭でも述べたように、知名度の低さから職業として成立することが難しいのがアニマルセラピストです。
しかし、就職先が全く無いというわけではありません。
アニマルセラピストとして仕事をできる職場は主に以下の2つが挙げられます。
- アニマルセラピーを取り入れている介護施設
- アニマルセラピー協会
それぞれについて詳しく見てみましょう。
職場1.アニマルセラピーを取り入れている介護施設
アニマルセラピーを取り入れている施設では、正しい知識を持ったアニマルセラピストが求められています。
気を付けなければいけないのは、アニマルセラピスト専任として働けるかという点です。
介護施設でアニマルセラピーに積極的に取り組んでいる場合は、介護士とアニマルセラピストを兼任することも考えられます。
通常の介護士としての業務を行いつつ、レクリエーションの際はアニマルセラピストとして活動するという働き方です。
アニマルセラピスト専任として働きたいと考えている場合は注意しましょう。
職場2.アニマルセラピー協会
アニマルセラピストの資格を認定している協会にそのまま就職するという手段もあります。
アニマルセラピーに取り組んでいる協会では、セラピードッグのお世話、育成を行うスタッフを求めている場合がほとんどです。
純粋にアニマルセラピストとして働きたいのであれば、この選択肢が一番しっくりくるのではないでしょうか。
多くのアニマルセラピー協会がNPO法人であることから、給料も受け取ることができます。
NPO(非営利組織)という名称から勘違いされがちではありますが、利益をあげていないわけではありません。
活動によって得た収益を分配することはできないものの、必要な資金を稼いで活動しているのがNPO法人です。
アニマルセラピストとして働きながら、その活動の推進や普及に取り組むことができる魅力があります。
8.アニマルセラピストとして働いた場合の仕事内容
実際にアニマルセラピストとして働いた際の一日の流れを確認してみましょう。
ここでは協会や団体に所属してアニマルセラピストとして活動した場合の仕事内容を3つに分けてご紹介します。
- 犬の世話
- セラピー活動
- セラピードッグの訓練
それぞれ見ていきましょう。
内容1.犬の世話
朝出勤したら、まず向かう先は犬舎です。
トイレの掃除、ブラッシング、散歩といった基本的なお世話をします。
協会によっては飼っている犬の数も多くなるため、その分大変な作業です。
セラピードッグの健康にも注意して確認を行います。
セラピードッグは仕事のパートナーでありながら、その命を預かっているという意識も忘れてはいけません。
内容2.セラピー活動
セラピー活動がある場合は、活動先の施設に向かいます。
アニマルセラピーはただセラピードッグを利用者に預けるだけではありません。
高齢者であれば、相手にセラピストが声をかけ、コミュニケーションを取りながら行います。
注意しなければならないのは、犬が苦手・嫌いな利用者もいるという点です。
トラブルを未然に防ぐためにも、事前に施設に確認を取るなどの対策を取りましょう。
セラピー活動中は、セラピードッグの安全にも配慮します。
- セラピードッグに対して暴力を振るうことがないか
- おやつ(人の食べ物)を与えることがないか
このような点を施設スタッフと連携を取りながら確認し続けなければなりません。
老人ホーム、介護施設の場合は人獣共通感染症(ズーノーシス)にも細心の注意を払います。
人獣共通感染症は人と動物で共通して感染・寄生する病原体を原因とする感染症です。
基本的には動物から人間に感染することはごくまれで、家庭で飼われている犬からの感染を必要以上に恐れる必要はありません。
しかし、アニマルセラピーを行う対象は、必然的に免疫力が低い高齢者や子どもが多くなります。
セラピードッグの管理(散歩後の汚れた足の洗浄、糞便の処理)から、利用者の口を舐めることがないように普段からしつけることが大切です。
内容3.セラピードッグの訓練
訪問活動を終え、協会に戻ってからもセラピードッグの世話は必要です。
朝に行ったブラッシングや散歩に加え、空いた時間でセラピードッグの訓練も行わなければいけません。
セラピードッグは基本的な号令を常に使用します。
基本的な号令は、一般的にもなじみ深いおすわり、おて、ふせ、まてといったものです。
また全てのしつけの基礎ともいえるアイコンタクト(こちらに注目させる)もあります。
トイレやウォーキングのトレーニングでは、セラピードッグならではの教え方をします。
- 車椅子に怯えることなく一緒にウォーキングを行う
- ベッドに寝て起き上がらない人のそばでふせの状態で待つ
- とてもゆっくりのスピードでウォーキングを行う
- 決められた場所以外でトイレをしない
できるようになったことも繰り返し訓練することが大切です。
セラピードッグが一度でも事件を起こしてしまったら、それだけで今まで積み上げてきた活動の全てが台無しになってしまいます。
訓練が十分でなく、セラピードッグが暴れるようなことがあった場合の責任を取るのは人間です。
しかし、怖い、嫌い、といった感情は犬に対して向けられてしまうということを忘れないようにしましょう。
まとめ
アニマルセラピストになるためにはどうしたらいいのか、必要な資格や心構えについて見てきました。
犬好きの人にとっては夢のような職業に思えるアニマルセラピストですが、日本での認知度の低さや、それに伴う就職の問題についてもご理解いただけたかと思います。
そんなアニマルセラピストだからこそ立ち会える、素敵な場面があることも事実です。
活動が活発になれば、アニマルセラピストの国内での認知度の向上にも繋がっていきます。
セラピードッグと利用者が心を通わせる架け橋として、アニマルセラピストを目指す方の参考になれば幸いです。