「介護の仕事が辛くてうつになってしまった」
「うつ病っぽい症状があるんだけどどうすれば良い?」
介護士の仕事はストレスが溜まりやすく、うつ病になってしまう人も少なくありません。
うつ病かも、と思ったら、早めに適切な対処をしてしっかりと休むことが大切です。
この記事では、うつ病の症状と原因、対処の手順を一つずつ分かりやすく解説していきます。
今抱えている不安や落ち込みを少しでも解消していきましょう。
目次
1.介護士は心に病を抱えやすい仕事である!

介護士の仕事は肉体的にも精神的にもハードで、ストレスが溜まりやすいです。
厚生労働省の調べによると、精神障害による労災申請が最も多かったのは、医療・福祉・介護の分野でした。
精神的に辛く、悩んでいる介護士は想像よりも多いです。
うつは甘え、うつは心の弱い人だけがなるものだ、という人もいますが、自分を責める必要はありません。
うつは誰でもなりうる病気なので、適切な治療で明るい毎日を取り戻しましょう。
介護士に多い「燃え尽き症候群」とは?
介護士に多い「燃え尽き症候群」は、メンタル不調の1つです。
うつ病とは原因が異なりますが、近い症状もあるため「うつ病かも」と思っている人は燃え尽き症候群も疑いましょう。
燃え尽き症候群とは、今まで熱心に仕事に取り組んでいた人が、急に熱意を失う様子のことを指します。
具体的な症状は、以下の通りです。
- 遅刻や欠勤が増える
- 仕事に集中できない
- 仕事はどうでも良いと感じる
- 仕事のミスが増える
昔は熱意があったのに、最近突然やる気が無くなってしまった、という人は燃え尽き症候群かもしれません。
心当たりのある人は、医師に相談してみましょう。
次は、介護士のうつ病で起こりがちな症状を解説します。
「もしかしてうつ病かも」
と不安な人はぜひ参考にしてください。
2.介護士のうつ病で起こりがちな症状とは?
体力的にも精神的にもハードな介護の仕事では、うつ病が起こりやすいものです。
「これが原因!」
と思える分かりやすいストレスが無くても、日々の疲れからうつ病になる人は多いでしょう。
しかし、自分がうつ病なのか判断できないという人もいるはずです。
そこでここからは、うつ病の代表的な症状を以下の通り解説していきます。
- 倦怠感がある
- 食欲がない
- 仕事中もぼーっとしてしまう
なんだか体調が悪くて仕事が辛い、という人はぜひ自分の症状と照らし合わせてみてください。
症状1.倦怠感がある
十分に寝ているはずなのに、ずっと身体がだるいのはうつ病が原因かもしれません。
介護の仕事は肉体的にハードなので、倦怠感や疲労感を感じることは多いはずです。
しかし、何もしていない日に疲れたり、倦怠感がひどく最低限の仕事をこなすのが苦しいという状況はメンタル不調と考えられます。
うつ病になると、朝起きて顔を洗ったり、少し歩いたりするだけでも倦怠感を感じるので、日常生活が困難になることも少なくありません。
症状2.食欲がない
うつ病になると、これまでと比べ食欲が無くなることもあります。
好きなものを前にしても食べる気が起きない、無理をして食べても美味しくない、という症状があれば、メンタル不調かもしれません。
また、食べることそのものに苦痛を感じる場合、生きるのに必要な最低限の食事も取れなくなる可能性があり非常に危険です。
食欲がなくどんどん痩せている、という人はぜひ医療機関を受診してください。
一方、ストレスが原因で食欲が増えてしまう人もいます。
数ヶ月前、と比べ、食生活がおかしいと感じたらうつ病を疑っても良いでしょう。
症状3.仕事中もぼーっとしてしまう
うつ病の症状の中には、ぼーっとしてしまい物事に集中できないというものがあります。
例えば、以下のような状態はうつ病の「思考抑制」という症状の一部です。
- 利用者や同僚の話が頭に入ってこない
- 考えがまとまらず自分の意見が言えない
- 文字を処理するのに時間がかかる
- 文字がなかなか出てこない
- 単語を思い出すのが遅い
- いつもできていた仕事ができない
集中力が切れている状態では、仕事のミスも増えてしまいます。
命を扱う介護の仕事に悪影響が出ないよう、早めに対処する必要があるでしょう。
以上がうつ病の代表的な症状ですが、人によっては症状が異なることもあります。
程度に関わらず、「毎日つらい」「仕事に行くのがしんどい」という人は、楽観視せず早めに対処することが大切です。
次は、介護士がうつ病になりやすい原因を解説していきます。
自分のストレスに心当たりの無い人は、ぜひ読んでみてください。
3.介護士がうつ病になってしまう理由

うつ病から回復していくには介護士の働く環境を理解し、ストレスをなるべく減らすことが大切です。
ストレスが解消されないまま働き続けても、心の落ち込みはなかなか回復しません。
そこでここからは、介護士が働く中で辛いと感じやすいポイントを解説していきます。
- 職場の人間関係が上手く行かない
- 夜勤で生活が不規則になる
- 責任が重くが精神的にきつい
それぞれ確認して、自分の働き方を思い出してみましょう。
理由1.職場の人間関係が上手く行かない
職場の人間関係が悪く、ストレスを感じる介護士は少なくありません。
介護施設では職員同士のコミュニティが狭く、人事異動も難しいので人間関係のトラブルがそのままになりがちです。
他の介護士に嫌がらせを受けている、仕事を教えてもらえないという日々が続けば、職場に行くのも嫌になってしまうでしょう。
例えば、以下のような経験はないでしょうか?
- 直接いじめや嫌がらせを受けている
- 上司が指導のとき必ず怒鳴る
- ちょっとしたことで怒る同僚がいる
このような状態が続くと、あなたの気が付かない間にストレスが溜まります。
人間関係のトラブルは1人で解決できることではないので、悩みが長期化しうつにつながる可能性は高いでしょう。
理由2.夜勤で生活が不規則になる
夜勤のある介護施設では、生活が不規則になることで心身のバランスが崩れることもあります。
夜勤で介護の仕事をするデメリットは、以下の通りです。
- 夜に起きているのが体力的に辛い
- 友人や家族と生活リズムが変わってしまう
- 昼夜逆転の生活になってしまう
- 寝ても疲労が解消されにくい
- 昼間になかなか眠れない
また、夜勤は少人数で仕事をこなさなければいけないケースが多く、身体的な疲労も大きいです。
夜勤の疲れが十分に解消されないまま働き続けていると、メンタルの不調が起こってしまいます。
理由3.責任が重く精神的にきつい
介護士は利用者の命を預かる仕事なので、常に精神的な負荷がかかっている状態だと言えます。
食事や異動の介助で少しでもミスがあれば、利用者が命を落としてしまう可能性も少なくありません。
たとえ介護の経験が少なくても人命の重さは同じなので、特に新人のときは責任の重さに苦しむ人もいるでしょう。
また、看取り介護の仕事では生きることの意味や死について考えることも多く、精神的に落ち込みがちです。
介護の仕事を続けるなら、責任の重さと上手く付き合っていく方法を自分なりに探す必要があるでしょう。
以上が、介護士にうつ病が多い原因でした。
介護士の仕事を続ける中で、気づかぬうちにストレスを溜めてしまっている人は少なくありません。
仕事のストレスがメンタルに来てしまうと、毎日出勤するのも辛くなるので早めに対処をしましょう。
次は、介護士が「うつかも」と感じたらするべき対処法を解説します。
落ち込んでいる日が多い、仕事でミスが増えた、という人はぜひ読んでください。
4.介護士がうつ病になったときの対処手順を知ろう

介護士がうつ病になったら、まずは病院に行き医師のアドバイスをもらいましょう。
うつ病は、心の病気です。
治療には医師からの助言や薬が必要になるので、自力で体調を元通りにするのは難しいと言えます。
自分がうつ病かも、と感じたら、以下の手順で周りの人の力を借りましょう。
- 精神科・心療内科で相談する
- 勤務継続ができるか判断する
- 職場に配慮を求める
体調がおかしいな、と感じたら早めに対処してうつ病の悪化を防ぎましょう。
手順1.精神科・心療内科で相談する
うつ病かも、と思える症状があれば、精神科・心療内科で医師に相談してください。
「ちょっとだるいかも」「仕事がなんとなく辛く感じる」など比較的軽い症状でも、早めに専門機関を受診することが大切です。
今自分がどういったストレスを抱えているのか、医師に話してみましょう。
もし、職場に産業医がいる場合はそちらに相談するのもおすすめです。
産業医とは、職場の事情を踏まえて相談しやすいのでぜひ利用してみましょう。
手順2.勤務継続ができるか判断する
医師に相談し、うつ病だと分かったらこのまま働き続けることができるか判断しましょう。
働きながら治療を進めるのか、しばらく仕事を休むのかは、医師のアドバイスをもらって決めることができます。
もし働きながら投薬と通院で治療をする場合は、職場に相談し残業なし、もしくは時短勤務で働かせてもらうよう相談しましょう。
また、仕事に行ける状態ではない場合、施設の休職制度を使って休みを取りましょう。
休む期間については、適宜医師がアドバイスをくれるので必要な期間しっかり治療に専念してください。
手順3.職場に配慮を求める
職場に復帰する際は、必要に応じて業務量の配慮をお願いしましょう。
例えば、体力的にハードな仕事は他の人に任せる、問題の利用者の担当を外してもらう、残業を無くしてもらうなどが挙げられます。
うつ病は、再発の危険もあるメンタル不調です。
無理な働き方をすればまた心を病む可能性もあるので、たとえ元気でも仕事の負担は軽くしてもらいましょう。
以上が、うつ病の疑いがある介護士の対処法でした。
うつ病は、軽度なものから重度のものまで様々ですが、悪化する前に早めの対処が必要です。
少しでも違和感を感じたら、迷わず病院に行ってください。
次は、職場環境の改善をしてもらえなかったときの対処法を解説します。
医師にも相談して診断書も出してもらったのに、上司が残業を押し付けてくる、という人はぜひ読んでみてください。
5.職場環境が改善されないときは転職も考えて
職場環境が改善されないときは、自分の心を守るため転職も検討してください。
職場の上司に相談しても労働環境が改善されない場合、復職してもまた精神を病んでしまう可能性は高いです。
休職制度はできる限り使って、それでも職場復帰が難しいときは転職すべきでしょう。
うつ病が再発しにくいおすすめ施設の特徴は、以下の通りです。
- 有給休暇がしっかり取れる
- 休みを取りやすい雰囲気がある
- 残業時間が少ない
- 人員に余裕がある
- うつ病について上司や先輩が理解してくれる
介護のストレスと上手くつきあって行くには、施設側に配慮をしてもらうことが必要です。
体調が辛いとき、スムーズに休みが取れる介護施設で自分の活躍の幅を広げましょう。
まとめ
介護士はうつ病になりやすい環境で働いているので、精神的に落ち込んでいるからといって自分を責める必要はありません。
倦怠感、極度の落ち込み、集中力の欠如などどれか当てはまる症状が少しでもあれば、まずは専門家に相談してアドバイスをもらってください。
辛いなら無理をせず、自分のできる範囲で休んだり、薬を飲んだりして体調の回復を目指しましょう。