看護歴14年 46歳女性Nさん
ーーNさんは看護師長として働かれているそうですね。
はい。組織にもよると思いますが、勤務している病院には昇格試験がないので認定看護管理者の資格をとりました。師長になるのに認定看護管理者の資格は必須ではありませんが、最近だとこういう形で管理職になる人が多いみたいですね。
ーー実際に師長として働いてみてどうですか?
(管理職という)役職柄、やはり下の要望と上からの指示のすり合わせには常に苦労しています。スタッフに健康に平和に働いてもらうために、毎日背筋が伸びる思いです(笑)
勤務先によるとは多いますが、夜勤が減って生活リズムが整ったことと給与のアップは大きな魅力ですね。
ーーやはり役職が変わると環境も大きく変わるのですね。認定看護管理者として働いてみて気をつけることはありますか?
資格を取って昇格して終わりではなく、組織を俯瞰的に見ることや、マネジメント力、リーダーシップが求められるので、スタッフとの対話は大切にしています。
まだまだ未熟ですが、スタッフに「この人に付いていきたい」と言ってもらえるような師長を目指しています。
ーー最後に、これから認定看護管理者になりたい後輩に向けて、一言お願いします!
看護師がキャリアアップを目指すのに資格は必須ではありませんが、資格は選択肢を大きく広げてくれます。一緒に頑張りましょう!
認定看護管理者になるには、どうすれば良いのかをお調べですね。
認定看護管理者は看護体制を整える能力が認められている看護師のことで、管理職としてのスキルアップやキャリアアップを目指す人に人気です。
しかし、なるためには実務の経験や審査への合格が求められるので、必要な条件や勉強方法を押さえておかなければなりません。
そこで今回は、認定看護管理者になるための方法を詳しく見ていきます。
認定看護管理者になって、管理職として活躍していきましょう。
目次
1.認定看護管理者とはどういう人?
認定看護管理者とは、質の高い組織的な看護サービスを提供するための、専門的な知識や経験があると認められた人のことです。
看護管理者として看護レベルの向上を目指し、保健医療福祉に貢献しています。
認定看護管理者になるには、5年以上の実務経験や専門機関での勉強、認定審査への合格といった様々なステップを踏まなければなりません。
認定看護管理者になるのは大変ですが、スキルアップやキャリアアップに興味のある看護師には最適な資格です。
2019年で認定看護管理者の人数は4,000人を超えており、年々人数が増えています。
1−1.認定看護管理者の活動例は?
認定看護管理者の活動例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 職場のワークライフバランスの推進
- スタッフの採用計画の立案
- スタッフの配置の改善
- スタッフのキャリア開発の支援
- 新人看護師の離職率低下のための働きかけ
- 給与体系の改善
このように、認定看護管理者は看護師が働きやすい環境を整え、スキルアップに集中してもらえるように活動しています。
職場環境作りに興味がある人や、周囲のサポートをしたい人は認定看護管理者を目指すのがピッタリです。
2.認定看護管理者になる3つのメリット
認定看護管理者になるメリットは、以下の3つです。
- 管理職としてキャリアアップが狙える
- 今よりも高待遇で働きやすくなる
- 職場で頼られることになってやりがいを感じられる
メリットに興味を感じたなら、認定看護管理者になることを前向きに考えてみましょう。
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきます。
メリット1.管理職としてキャリアアップが狙える
認定看護管理者は、管理職としてキャリアアップしたい人に役に立つ資格です。
認定看護管理者の資格は、看護管理者という管理職としての一定のスキルがあることの証明になります。
そのため、職場内面談や転職面接といったキャリアアップのチャンスの際には、大きなアピールポイントにできるでしょう。
資格取得には実務経験や専門知識の学習も必要となるのでスキルアップにも役に立ち、より一層管理職に近づきます。
メリット2.今よりも高待遇で働きやすくなる
認定看護管理者になれば、今よりも高待遇で働きやすくなります。
現場を動かすポジションになる実力を証明する認定看護管理者の資格は、看護職の最高峰と言われることも多いです。
そのため、取得するだけでもスキルを認めてもらえ、昇給できる可能性は高くなります。
また、管理職は職場によっては夜勤を減らせるケースも珍しくありません。
給料や勤務体制をより良くしたいとき、認定看護管理者の資格が役に立つでしょう。
メリット3.職場で頼られることになってやりがいを感じられる
認定看護管理者になる大きなメリットに、仕事へのやりがいを感じられるということも挙げられます。
なぜなら、スキルの高い管理職として、職場で頼られる機会が増えるためです。
周囲のスタッフについて理解し、状況に応じて適切に動かしていくのは管理職ならではのやりがいだと言えます。
様々な人たちとコミュニケーションを取りながら、質の高い看護を患者本人や家族に提供することに興味がある人には最適な資格です。
3.認定看護管理者になるには4つの手順が必要!
認定看護管理者になるには、4つの手順が必要です。
- 看護師になって5年以上の実務経験を積む
- 定められた教育を受ける
- 認定審査を受けて合格する
- 認定看護管理者認定証の交付を受けて登録する
認定看護管理者になるのは簡単ではないので、事前に手順を知って無理のない計画を立てることが大切です。
それぞれの手順について、順番に確認していきましょう。
手順1.看護師になって5年以上の実務経験を積む
認定看護管理者になるためには、看護師資格を取得してから5年以上の実務経験を積む必要があります。
したがって、看護師になってからすぐに資格取得はできません。
もしもまだ看護師になってから5年が経っていないなら、まずは5年間働いて看護師としての基礎的なスキルを身につけましょう。
その際に、職場の管理職の人がどのように働いているのかについて注目してみると勉強になります。
手順2.定められた教育を受ける
5年間看護師として実務経験を積んだら、次は定められた教育を受けなければなりません。
認定看護管理者教育を受けるか、大学院で看護管理の単位を取って修士課程を修めましょう。
具体的には、以下の4パターンのいずれかを満たせば良いです。
- 認定看護管理者教育課程サードレベルを修了する
- 看護系大学院で看護管理を専攻し修士号を取得して、修士課程修了後の実務を3年以上経験する
- 師長以上の職位で管理職を3年以上経験し、看護系大学院で看護管理を専攻し修士号を取得する
- 師長以上の職位で管理職を3年以上経験し、大学院で管理に関連する学問領域の修士号を取得する
4つのうち、自分の今の状況から最も満たしやすい条件を選べば問題ありません。
ちなみに、認定看護管理者教育課程は、ファーストレベルが105時間、セカンドレベルが180時間、サードレベルが180時間なので、合計すると465時間は必要です。
教育機関は、「教育機関検索」から調べることができるので、自分が無理なく通える教育機関を調べてみてください。
手順3.認定審査を受けて合格する
審査を受ける条件が満たせたら、1年に1回行われる認定審査を受けます。
認定審査は例年では11月に行われていますが、「審査に関するご案内」を見て最新の情報を確認しておきましょう。
認定審査は120分間で、内容は以下の通りです。
出題方式 | 出題数 |
---|---|
問題1. 客観式一般問題 (マークシート方式・四肢択一) |
20問 |
問題2. 論述問題 | 2問 |
認定看護管理者の審査に必要な勉強は、出題範囲である「認定看護管理者カリキュラム基準」を確認しましょう。
社会保障制度や政策についてや、看護実践における倫理的な課題、人事労務管理の基礎知識など、勉強する内容は非常に幅広いです。
看護師として普段働いているだけではなかなか目を向けないジャンルも多いので、しっかりと「認定看護管理者カリキュラム基準」に沿った勉強をしてから試験に臨んでください。
合格率は70%程度なので、試験勉強をすることで十分に合格を狙えます。
手順4.認定看護管理者認定証の交付を受けて登録する
認定審査に合格したら、認定看護管理者認定証の交付を受けます。
交付の際は、認定登録料として51,700円が必要なので準備しておきましょう。
交付を受けた後に登録手続きを行えば、認定看護管理者資格の取得完了です。
資格の有効期間は5年間なので、5年ごとに更新しなければなりません。
更新の際には、以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 看護師免許を持っている
- 申請時に、認定看護管理者である
- 申請時に、過去5年間における看護管理実践および自己研鑽の実績がある
この中でも、3つ目の看護管理実践と自己研鑽の実績が重要です。
認められるには、看護実践時間が2,000時間以上であり、実践活動の実績や学会への参加・発表の実績が合わせて50点以上でなければなりません。
「自己研鑽の点数換算表」が公開されているので、5年間で50点以上になるように活動していきましょう。
4.看護管理者として活躍したい人には認定看護管理者がピッタリ!
管理職として活躍したい人には、認定看護管理者の資格取得が最適だと言えます。
なぜなら、看護部長や看護師長、看護主任といったポジションで働くことに関心がある人には、資格取得による役に立つことがたくさんあるためです。
例えば、資格取得によって管理職への昇進の可能性も高まります。
認定看護管理者を目指す過程は、管理者としてのスキルを一気に高めるチャンスです。
管理者として広い視野で看護と向き合い、現場をより良くしていきたいと考えている人は積極的に資格取得を目指すのが良いでしょう。
5.今すぐにキャリアアップしたいなら職場を変えるのもアリ
今すぐに管理職にキャリアアップをしたいなら、職場を変えるという方法もあります。
認定看護管理者になるには、教育を受けて試験に受からなければならず、長い時間が必要です。
一方で、ある程度の看護師経験があれば、職場を移ることで管理職として働けることもあります。
管理職未経験でも応募を受け付けている求人も珍しくないので、試しに管理職として働いてみてから適正を判断し、資格取得を考えるのも良いでしょう。
6.看護管理者としてキャリアアップするのに使いやすい転職サイト3選
看護管理者としてキャリアアップするのに使いやすい転職サイトには、以下の3つが挙げられます。
- スマイルナース
- ナースAGENT
- ジョブメドレー
管理職の求人がたくさん掲載されている転職サイトを使って、希望する条件の職場を効率良く探しましょう。
それぞれの転職サイトについて、順番に確認していきます。
6−1.転職サイト1.スマイルナース
スマイルナースは、管理職や管理職候補の求人数が非常に多い転職サイトです。
2020年8月現在1,040件ほどの管理職・管理職候補の求人が掲載されています。
したがって、幅広い求人の中から、自分好みの職場を探すことが可能です。
もしも掲載されている中で良い求人が見つからなくても、業界への知識が豊富な専門家による求人紹介サービスを受けられます。
サイト名 | スマイルナース |
URL | https://www.smile-nurse.jp/ |
特徴 | ・管理職や管理職候補の求人が多い ・専門家による求人紹介サービスがある |
6−2.転職サイト2.ナースAGENT
ナースAGENTも看護管理者の求人が複数掲載されている転職サイトです。
2020年8月現在50件ほどの管理職の求人が掲載されています。
看護師転職のプロによる無料の転職相談を受けられるので、管理職経験がなくて不安な場合は悩みを話してみるのも良いでしょう。
自分の希望するエリアで管理職の求人がない場合は、看護師専門の紹介会社や派遣会社に一括で登録して求人を探してもらうこともできます。
サイト名 | ナースAGENT |
URL | https://www.nurse-agent.com/ |
特徴 | ・検索結果を絞り込みやすい ・専門の紹介会社や派遣会社に一括登録できる |
6−3.転職サイト3.ジョブメドレー
管理職以外の求人もあわせて探したいなら、ジョブメドレーが使いやすいです。
ジョブメドレーは、2020年8月現在、看護師の求人数が26,000件ほどと多数掲載されています。
管理職の求人数も50件以上あるので、希望する条件の職場が見つかる可能性は決して低くありません。
そもそも転職するかどうかを決めかねている段階なら、たくさんの求人を比べて今後のことを考えてみましょう。
サイト名 | ジョブメドレー |
URL | https://job-medley.com/ |
特徴 | ・医療介護業界において日本最大級の求人数がある |
まとめ
認定看護管理者とは、組織を管理するために関係者に働きかけ、質の高い看護サービスの提供体制を整える人のことです。
認定看護管理者になるには、必要な教育を受けた上で、認定看護管理者認定審査に合格しなければなりません。
キャリアアップにも最適な資格なので、興味があれば積極的に目指してみましょう。
ただし、今すぐに管理職として働いてみたいなら、転職を考えるという方法もあります。