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看護師から研究者は目指せる?医療系研究者になるルートと難易度を解説

「研究者としてもっと看護学を学びたい」

「自分の興味を深められる場所で働きたい」

看護師の中には、研究者として興味のある分野をもっと深く研究したいと感じている人もいるでしょう。

しかし看護師から研究者を目指すには時間と勉強が必要なので、研究者になる難易度や方法をしっかり知っておく必要があります

この記事では、看護師から医療系の研究者を目指す方法・難易度を解説します。

研究者になった後の働き方も紹介するので、この記事を読み自分の興味を仕事につなげましょう。

1.看護師から研究者を目指すことはできる!

一度看護師として働き始めた人でも、研究者を目指すことは可能です。

しかし医療や看護の研究者として活躍するには、少なくとも看護系・その他医療系の大学院を卒業する必要があります。

学部時代に研究をした場合でも、研究者として働くには大学院卒業が必須となっているケースが多いです。

院卒を必須としていない研究所もありますが、基本的には大学院レベル以上の知識が求められるのでまずは進学を考えるべきでしょう。

さらに、大学の教授、国立大学の研究員などを目指す場合などは大学院だけでなく、博士課程に行かなければいけないケースもあります。

大学院の学費は、国立大学の場合130万円程度、私立大学の場合約180万円(平成29年度文科省調べ)となっています。

私立大学の場合は大学や学科ごとに学費が異なり、医療系では学費が高くなるケースも少なくありません

通う大学の学費は事前にしっかり調べておきましょう。

次は、看護師が研究者になるために大学院を目指す方法について解説していきます。

2.看護師はどうすれば大学院を目指せる?

看護師が大学院に入学する方法

看護師が研究者になるには、大学院に行って学びを深める必要があります。

しかし一度看護師になった今どうやって大学院を目指せばよいか分からない、という人もいるでしょう。

そこでここからは、現役看護師が大学院を目指す3つの方法を以下の通り解説します。

  1. 社会人特別選抜を受験する
  2. 新しく大学院に入り直す
  3. 学部から大学に入り直す

研究者を目指している人は、ぜひチェックしてください。

2−1.社会人特別選抜を受験する

大学や短大を卒業し、社会人として働き始めている人は、各大学の「社会人大学院」を目指すことができます。

社会人大学院とは、社会人が仕事を続けながらでも通えるよう制度の整った大学院のことです。

社会人大学院なら、看護師の仕事を続けながら学びを深められるので忙しくはなりますが収入面での心配は減るでしょう。

看護系の研究者を目指す場合、「社会人特別選抜」の中で医療系・看護系の学科があるところを受験してください。

社会人大学院の入試は面接や小論文などで行われることが多いため、勉強の負担は少ないです。

しかし医療系の大学院だと、専門科目の学科試験を課すケースもあるのでまずは行ける範囲の大学院を調べてみましょう。

2−2.新しく大学院に入り直す

社会人大学院が近くにないという場合、通常の受験で大学院を目指す必要があります。

通常の大学院受験は学科試験が中心で、英語、専門科目、小論文、面接などが必須です。

看護系学部の場合、専門科目は学部卒業レベルの内容となるのでしっかりとした対策が必要になります。

また、学部を卒業したばかりの学生と競うことになるので、合格の可能性も低くなってしまいがちです。

可能であれば、多少遠方でも社会人向けの入試を行っている大学を目指すのがおすすめです。

2−3.学部から大学に入り直す

看護とは全く違う分野で医療系研究職を目指す人の中には、一から大学に入り、大学院に進学するケースもあります。

それは、学部レベルの知識が不十分な状態では大学院に進学しても研究ができない状態になるからです。

看護師となっている人の多くは、大学の看護学部などを卒業しています。

しかし、看護以外の分野で研究者になりたいと思った時、看護学部で学んだことだけで大学院の入試を突破するのは困難です。

例えば医療機器の研究開発がしたい、という場合、看護学部では工学の基礎を学べていないので大学院レベルの授業を理解するのはかなりハードになります。

そのため、看護と異なる分野の研究者を目指すなら学部レベルから学び直し、その後で大学院に行く必要があるのです。

今までとは全く違ったキャリアを歩みたい、という人は、まず高校生や浪人生などと同様、受験で大学を目指しましょう。

以上が、看護師が大学院を目指す方法でした。

大学院を目指す際は自分の興味のある分野、大学で実施している受験形態に応じてベストな方法を選びましょう

次は、大学院を卒業した後、研究者として働ける場所を解説していきます。

研究者としてのキャリアビジョンを明確にするため、ぜひチェックしてください。

3.看護師が研究者として働ける場所とは

看護師が研究者として働ける場所

看護師から医療系の研究者になった後、働ける場所は以下の通りです。

  1. 大学
  2. 研究所
  3. 民間企業

研究員は働く場所によって、研究の内容や目的が違います。

自分がどんな目的で研究をしていきたいのか、考えるきっかけしてぜひ参考にしてください。

3−1.大学

自分の興味のある分野の研究をひたすら深めていきたい人は、大学教授などを目指し大学に残るという方法があります。

しかし、大学教授など大学の正規職員になる枠は少なく、多くの博士号取得者がポスドクとして期限付きで働いているのが現状です。

ポスドクとは、博士号を取得しているものの正規の研究職や教育職に就いていない人のことを指します。

大学教員の募集は定期的にありますが倍率は高いので、長ければ10年以上ポスドクとして働く人も少なくありません

ポスドクの待遇は大学にもよりますが、社会保障が無いなど福利厚生が整っていないケースもあります。

博士号を取得した後の進路は、慎重に選びましょう。

3−2.研究所

博士号を取得すれば、看護系、医療系の研究所など、国立の研究所に就職することも可能です。

ただし国立の研究所も公募制となっており、倍率が非常に高いので採用されるまで大学に残りポスドクを続けなければいけないケースも少なくありません

一方、医療系研究者の場合、病院に附属する研究所に就職するという選択もあります。

病院附属の研究所の採用状況は年度によって異なるので、大学院を卒業し、博士課程を修了する年度には慎重に就職情報をチェックしましょう。

3−3.民間企業

数は少ないですが、民間企業の医療系研究所で研究者の採用を行っているところもあります。

民間研究所の採用条件は企業によって異なりますが、就職した後は企業の利益となりそうな分野を研究するのが基本です。

自分の興味分野を自由に研究できるわけではないので、注意してください。

一方、民間企業の研究所はポスドクより給与が高く、福利厚生も整っていることが多いです。

採用枠は限られていますが、安定した収入を得たい人は目指してみましょう。

以上が、研究者の就職先でした。

医療分野、特に看護分野で研究職を目指す人は多くなく、就職先も十分にない状況となっている可能性が高いです。

研究職の道を目指す前に、大学院に進んだ知人などに就職先の状況について聞いてみたほうが良いでしょう。

次は、研究者の年収と給与について詳しく解説していくので、ぜひ参考にしてください。

4.研究者として働く際の年収と給与を解説

大学で働く、ポスドクと呼ばれる研究者の年収は300万円前後と言われています。

大学ごとに年収は異なりますが、高い人でも500〜600万円程度とされており、一般企業に勤めるより給与は低くなりがちです。

一方、国立の研究所や民間企業に勤める研究員なら、勤め先によっても違いますが400〜500万円程度の年収が平均的になります。

ただし、20代の若手研究員の給与は250万円〜300万円ほどの研究所も多く、研究所の中で出世しなければ高収入を目指すのは難しいでしょう。

看護師の平均年収が481万円(平成28年度厚生労働省調べ)であることを考えると、収入が下がる可能性は大きいです。

しかし、好きな研究をしてお金をもらえるという点では、研究者はやりがいのある仕事といえます。

収入面のことも考えながら、研究者を目指かどうか考えましょう。

次は、看護師から研究者になる難易度について解説していきます。

5.看護師から研究者になるのは難しい!

現役看護師から研究者になるのは、簡単な道ではありません。

大学院は数多くありますが、人気の大学になると社会人受験でも難易度は上がります。

また、大学に1から入り直す場合は現役で勉強をしている高校生や浪人生に劣らない勉強量が必要です。

さらに、正規研究職を目指す場合は非常に少ないポストを狙うことになるので、なかなか安定した職に付けないままの可能性もあります。

研究者を第一志望にする場合でも、研究職以外での民間企業就職や、看護師として現場に戻るなど他の就職先も考えておく必要があるでしょう。

6.看護師から研究者になるべき人とは

看護師から研究者になるのが向いている人

看護師から研究者になるのは難しいので、ある程度適正のある人が目指すのが良いでしょう。

研究者になるのが向いているのは、以下のような人です。

  1. 看護学やその他の研究に興味がある人
  2. お金と時間に余裕のある人

それぞれ詳しく見ていきましょう。

6−1.看護学やその他の研究に興味がある人

看護学や他の分野に強い興味を持っており、なんとしてでも研究をしてみたいと感じている人は研究者を目指すべきです。

やはり自分の好きなことを仕事にすれば大きなやりがいを感じられますし、仕事への熱意も強くなるでしょう。

理系の研究者であれば大学だけでなく、民間企業や国立の研究所で活躍する場があります。

研究者になるまでには時間がかかることも少なくありませんが、熱意があるなら一度チャレンジしてみるのが良いでしょう。

6−2.お金と時間に余裕のある人

現役の看護師が研究者を目指すには、お金と時間が必要です。

特に大学の教員などを目指す場合、いつまでもポストが空かず何年も非正規雇用で働き続けなければいけないケースもあります

そのため、本格的に研究者を目指すなら200万円程度のお金と2年以上の時間を持っておかなければいけません。

大学院や博士課程に行くお金の余裕がない場合、しばらく看護師として働いて貯金をするのが良いでしょう。

以上が、研究者になるのが向いている人でした。

記事をここまで読み、研究者になるのは難しいかも、と感じた人は少なくないでしょう。

しかし、研究したいという気持ちを諦める必要はありません

研究者にならなくても、看護師として働きながら実地で学びを深めたり、専門看護師などさらに深い知識を得られる資格を取得することは可能です。

また看護学と異なる分野の勉強であれば、趣味としてある程度は自分で学ぶこともできます。

自分に合った方法で、持っている好奇心や意欲を伸ばしていったほうが良いでしょう。

まとめ

看護師が研究者を目指すには、必須ではないが大学院を卒業した方が良いでしょう。

そして研究者としてさらに学びを深めるには、博士課程への進学などそれ以上の勉強が必要です。

研究者を目指すには、勉強の時間も費用もかなり求められます。

ですが、それでも看護や医療の勉強・研究をこれからも続けたいという強い気持ちがある人は近くの大学を調べてみましょう