「リハビリの仕事に興味がある」
「治療後もしっかり患者さんと関わりたい」
そう考えるうち、看護師から作業療法士を目指すことを検討する人は少なくないでしょう。
しかし、看護師から作業療法士への転職はどのようにすれば良いのでしょうか。
作業療法士の仕事や資格について知らないまま転職を決めると、想像と現実にギャップを感じてしまい、仕事が辛くなるかもしれません。
この記事では、看護師から作業療法士になる方法や働き方、気になる給与・年収まで解説していきます。
この記事を読み、専門的にリハビリと関わりたいという夢を叶えましょう。
目次
1.看護師から作業療法士になるには資格取得が必須

作業療法士になるには、国家試験を受け合格する必要があります。
そのため、看護師資格のままで作業療法士として働くことはできません。
また、作業療法士の国家試験を受ける前に指定の養成学校で少なくとも3年以上学ぶ必要があるので時間もかかります。
指定の養成校として認められているのは、文部科学大臣が指定する以下の学校です。
- 4年制の大学
- 3年制の短期大学
- 3年制の専門学校
- 4年制の専門学校
学ぶ期間は異なりますが、最終的に得られる作業療法士の資格は同じなので安心してください。
また、作業療法士養成学校の学費が気になっている人も多いでしょう。
養成学校の学費は、学ぶ年数にもよりますが年間100万円前後が必要です。
さらに初年度は入学金を求められる学校がほとんどで、相場は50〜80万円ほどとなっています。
私立学校の場合、さらに学費が高くなるケースも少なくありません。
そのため、貯金が少ないのであれば看護師のパートなどと両立しながら学校に通うのがおすすめです。
また、夜間過程を用意している学校も少数ですがあるので、看護師の仕事と両立するならそうした所に通うのが良いでしょう。
次は作業療法士の資格を取得した後のことを具体的にイメージするため、作業療法士の仕事内容を解説します。
2.作業療法士はどんな仕事をしているの?

作業療法士は、理学療法士と異なり、身体機能の向上だけでなく社会生活に必要な精神面でのサポートも行います。
そのため、職場としては理学療法士とほぼ同じですが、患者さんの悩みを聞いたり、家族とも面談を行うなど仕事の幅は非常に広いです。
理学療法士と作業療法士の具体的な仕事の違いについては、以下の記事も参照してください。
(「看護師から理学療法士になるには」の記事にリンク)
ここからは、作業療法士の仕事内容を詳しく解説します。
リハビリ関連職が複数ある中で作業療法士は何ができるのか、しっかり理解しておきましょう。
仕事1.身体的なリハビリを補助する
作業療法士はリハビリの専門職として、身体機能の回復をサポートします。
患者さんが歩行・入浴など日常の動作をスムーズに行えるようリハビリのメニューを組んだり、サポートしたりするのが基本の仕事です。
また、作業療法士はそうした基本的な動作だけでなく、遊びやスポーツなど、心をさらに豊かにする動きの向上も助けます。
勤め先によってはスポーツの動きを教えたり、手工芸の楽しみ方を伝えたりと患者さんによって教える動作は様々です。
理学療法士は日常に必須の動作ができるようサポートすることを重視しますが、作業療法士は必須のものだけではない複合的な身体機能向上を目指します。
仕事2.社会技能の向上を補助する
作業療法士は、身体の機能だけでなく社会生活を送る上で必要な社会適応能力の向上をサポートします。
コミュニケーションのとり方や人との接し方をロールプレイングゲームなどでレクチャーする他、心理的な悩みの相談に乗るのも仕事の一つです。
また、患者さんと一緒に生きがいややりがいを見つけるサポートを行うのも作業療法士ならではの仕事と言えるでしょう。
作業療法士なら身体機能にとどまらず、患者さんがより豊かな社会生活を送れるよう精神的なサポートもしっかりと行う必要があります。
以上が、作業療法士の基本的な仕事内容でした。
次はこの仕事内容を踏まえ、作業療法士が働く場所と詳しい働き方について解説していきます。
3.作業療法士が働く場所は幅広い!
作業療法士は身体面だけでなく、精神面でも患者さんと関わることができる貴重な存在です。
そのため、働ける場所の幅も地域の患者さんのニーズに合わせて多様になります。
ここからは、以下の通り作業療法士が働く場所別に詳しい仕事内容を解説します。
- 病院・診療所
- 介護施設
- 患者さんのいる家庭
それぞれの場所で、自分が働く姿をイメージしてみましょう。
場所1.病院・診療所
病院や診療所において、作業療法士は身体的なリハビリの補助や社会生活復帰に向けたサポートを総合的に行います。
患者さんとしっかりコミュニケーションを取り、患者さんにとってベストなリハビリを提案できるのは、大きなやりがいだと言えるでしょう。
場所2.介護施設
介護施設でも、日常の動作やコミュニケーションが困難な入所者の方に向けたサポートを行います。
作業療法士が働く介護施設の種類は様々で、老人ホームだけでなく通所リハビリ(デイケア)でも活躍可能です。
高齢化社会となっている今の日本では、病院や診療所だけでなく介護施設における作業療法士のニーズは非常に高いと言えます。
場所3.患者さんのいる家庭
昨今は病院や介護施設に患者さんの方が通うのではなく、医師や作業療法士などが家を訪問してリハビリの手伝いをするケースも増加しています。
家庭でのリハビリの場合、実際に患者さんの住む家を見ながらどんな動作で訓練が必要か考えることが可能です。
そのためより患者さんの事情に沿った、具体的なリハビリを提案することができるでしょう。
さらに、家庭を訪問することで家族のサポート体制についてもアドバイスを行うことが可能です。
以上が、作業療法士の働く場所でした。
ここまで紹介した以外にも作業療法士の活躍の場はあり、行政が運営する福祉施設や特別支援学級の職員などになる人もいます。
作業療法士向けの転職サイトや転職サービスを活用しつつ、自分に合う職場について考えてみましょう。
次は、作業療法士の仕事を給与・年収の面から解説していきます。
4.作業療法士の気になる給料と年収

作業療法士の平均年収は、平成28年度厚生労働省の調査によると全国で471万円となっています。
同年、看護師の平均年収は481万円となっているので、ほぼ同程度の収入だと言えるでしょう。
ただし、作業療法士の仕事は看護師の仕事とは違いほとんど夜勤がありません。
そのため作業療法士の時給は看護師よりも高い、という職場は少なくないと考えられます。
もちろんエリアによっても異なりますが、看護師と同程度の収入で夜勤なしを希望しているなら、作業療法士への転職は向いているでしょう。
次は、本当に看護師から作業療法士を目指すべきか悩んでいる人に向け、これから勉強を始めた方が良い人の特徴を解説します。
作業療法士へのキャリアチェンジに不安を感じているなら、ぜひ読んでみてください。
5.看護師から作業療法士になるべきなのはどんな人?

看護師から作業療法士を目指すにあたって、自分に作業療法士の仕事が向いているのが不安に感じている人もいるでしょう。
そこでここからは、以下の通り看護師から作業療法士を目指すのがおすすめな人を解説します。
- 患者さんと心理的に深く関わりたい人
- 主体的にリハビリに関わりたい人
- 夜勤の少ない仕事がしたい人
看護師との仕事の違いを確認しつつ、それぞれ見ていきましょう。
5−1.患者さんと心理的に深く関わりたい人
作業療法士は総合的に患者さんの社会復帰をサポートできるので、患者さんの生き方にも深く関わることが可能です。
特に患者さんの精神面をサポートすることから、一人の患者さんと関わる時間は自然と長く深いものになるでしょう。
患者さんのことを第一に考えて、それぞれの個性を尊重した治療法について考えられる人は、作業療法士として向いています。
責任の重い仕事ではありますが、その分やりがいは大きいはずです。
5−2.主体的にリハビリに関わりたい人
リハビリに興味があり、主体的にリハビリに関わりたいと考えている人は作業療法士が向いているでしょう。
作業療法士の主な仕事は、医師の指導を受けながら総合的な観点からリハビリを主体的に行うことだからです。
一方、看護師の仕事はあくまで「診療の補助」「療養上の世話」であるため、なかなか自分で考えて患者さんを診る機会が少ない状況にあります。
そのため、患者さんと直接向き合い主体的にリハビリのプランなどを考えていきたいという人は、作業療法士や理学療法士などリハビリの専門職を目指すと良いでしょう。
5−3.夜勤の少ない仕事がしたい人
作業療法士の仕事は基本的に昼間のみで夜勤はないので、夜勤がなく安定した働き方をしたい人に向いています。
看護師は高時給と言っても、夜勤があるので生活リズムが不規則になりがちです。
しかし作業療法士は同程度の年収で夜勤ありの職場が非常に少ないため、看護師より働きやすい環境にあるといえるでしょう。
以上が、作業療法士を目指すべき人でした。
患者さんと深く関わることができる作業療法士の仕事に興味を持つ人は少なくありません。
しかし、実際に資格を取るには3年以上の勉強が必要なことから、本当に転職すべきか悩む人もいるでしょう。
そこで次は、作業療法士以外でリハビリに関われる仕事や転職先を紹介していきます。
6.作業療法士以外でリハビリに関わる仕事とは?
作業療法士になるには3年以上の勉強と国家試験突破が必要なので、時間や金銭面で難しい、と感じた人もいるでしょう。
そのような看護師の人は、リハビリ施設、介護施設などに転職して作業療法士や理学療法士と連携を取りながら患者さんに接していくのがおすすめです。
主体的にリハビリと関わることはできませんが、作業療法士や理学療法士などリハビリの専門家に近い場所で働くことができます。
また、病院で働きたいという気持ちがあるなら、リハビリ専門科を設けている病院に転職するという方法良いでしょう。
他にも、リハビリに看護師として関わることができる場所はたくさんあります。
看護師向け転職サイトや転職相談サービスでアドバイザーに相談し、関連の仕事を探してもらいましょう。
まとめ
看護師から作業療法士になるには3年以上の勉強が必要です。
そのため作業療法士になりたい、という強い覚悟がある人でないと看護師から目指すのは難しいでしょう。
しかし介護施設など、リハビリに関連する施設は多くあるため、看護師資格のままでも作業療法士に近い仕事ができる可能性もあります。
自分の今のキャリアやこれからやりたいことを考えて、後悔しない道を選びましょう。