看護歴8年 42歳女性Sさん
――資格の取得は大変でしたか?
そうですね。取得までお金も掛かるし、仕事も休職しないといけませんでした。
ようやく復帰しても、最初の方は取る前とあまり手取りは変わらなかったのにもびっくりです。
――そうなんですね。
その後、さらに経験を積んで、専門看護師を取ってからの期間をアピールして転職しました。今の職場では当初思い描いていたような額のお給料をもらうことができています。
――なるほど。収入アップまでは時間がかかる、ということですね。
そうかもしれませんね。
しかし、確実でもあります。収入を増やしたいなら院内で出世する――看護師長や看護部長に出世する――という道もあるでしょう。けれども、これは人付き合いや人脈作り・維持も大切になってきます。
自分にはそういうのはあまり向いていないので(笑)
それに比べるとすこし遠回りになるかもしれないけれど頑張ったら頑張った分だけ資格や知、経験として自分に還元される専門看護師の道を選んで良かったなと。いま振り返るとそう思います。
――これから専門看護師を目指す後輩にアドバイスをお願いします!
まだまだ目指す人が少ない資格ですよね。
大学院はハードですし、仕事も一旦休まないといけません。最初から選択肢から消している人がほとんどです。
だからこそ、「専門看護師になろうかな」と思った時点であなたは他のナースよりも一歩先を行っている。――くらいに考えて自分を鼓舞してあげてください。
難しい資格だからこそ、取得すれば収入も上がって、なにより自分の自信に繋がります。もし仮に今の職場が無くなったり、ブランクを空けて休職しなければいけない、なんてことになったとしても自分には資格と知識と経験があるから大丈夫!と胸を張れると安心できますよ。大変かもしれませんが、どうか頑張ってみてください。
専門看護師になるにはどうすれば良いのかをお調べですね。
専門看護師は高度な看護スキルを持っている看護師として、スキルアップやキャリアアップを目指す人に人気です。
しかし、なるためのハードルは決して低くないので、事前に必要な条件や手続きを知っておかなければなりません。
そこで今回は、専門看護師になるための方法を詳しく見ていきます。
専門看護師になる方法を理解して、資格取得を成功させましょう。
目次
1.専門看護師とは?
専門看護師とは、特定の分野の知識や能力を習得している、レベルの高い看護ケアを提供する看護師のことです。
解決が難しい看護にも対応できる看護師として、日本看護協会が認定した人だけが名乗ることができます。
専門看護師になるには、認定審査に合格しなければなりません。
専門看護師は2019年に2,500人を超えました。
年々人数は増えているので、あなたもスキルアップに興味があるなら専門看護師を目指しましょう。
1−1.専門看護師の行っている活動例
専門看護師は、専門的な知識や能力を活かして、様々な活動を行っています。
例えば、自分の職場にいる看護師全員のレベルを上げるために、研修や勉強会を企画するケースは非常に多いです。
他にも、自らが率先して対応が難しい患者を担当して、実務の中で周囲に看護方法を伝えていく専門看護師もいます。
自分のスキルアップに興味がある人や、周囲に良い影響を与えることに興味がある人に専門看護師はピッタリです。
1−2.認定看護師と専門看護師の違い
日本看護協会は、専門看護師と同様にレベルの高い看護ケアが提供できる認定看護師という制度を作りました。
認定看護師の方が専門看護師よりも、分野の内容が限定的なのが特徴です。
専門看護師 | がん看護、精神看護、地域看護、老人看護、小児看護、母性看護、慢性疾患看護、急性・重症患者看護、感染症看護、家族支援、在宅看護、遺伝看護、災害看護 |
認定看護師 | 緊急看護、皮膚・排泄ケア、集中ケア、緩和ケア、がん化学療法看護、がん性疼痛看護、訪問看護、感染管理、糖尿病看護、不妊症看護、新生児集中ケア、透析看護、手術看護、乳がん看護、摂食・嚥下障害看護、小児緊急看護、認知症看護、脳卒中リハビリテーション看護、慢性呼吸器疾患看護、がん放射線療法看護、慢性心不全看護 |
つまり、専門看護師の方が、認定看護師よりも多くの役割を担うことができます。
ただし、専門看護師になるのは認定看護師よりも難しいので注意が必要です。
ここからは、専門看護師になるための具体的なステップを見ていきましょう。
2.専門看護師になるには?必要な3ステップ
専門看護師になるには、必要な手続きが決まっています。
専門看護師になるのに必要なステップは3つです。
- 受験資格を満たす
- 書類審査と筆記試験に合格する
- 専門看護師認定証の交付を受けて登録する
順番にステップを踏まなければ専門看護師になれないので、事前に必要なステップを知ってスケジュールを立てましょう。
それぞれのステップについて、確認していきます。
ステップ1.受験資格を満たす
まずは、専門看護師の受験資格を満たさなければ、この後のステップに移れません。
受験資格は、以下の通りです。
- 日本で看護師免許を取得する
- 看護系大学院の修士課程を修了する
- 専門看護師教育課程基準の26〜38単位を取得する
- 実務研修を通算5年以上受けている
- 3年間以上の専門看護分野の実務研修を受けている
実務研修を5年以上受けなければならないので、看護師になってからすぐには専門看護師になれないことに注意してください。
大学院に通う際は、今の職場を休職・退職する人もいます。
大学院と仕事の両立は大変なので、職場と相談しながらどうするのかを決めることが重要です。
まだ受験資格を満たしていなければ、どのように満たしていくのか計画を立てましょう。
ステップ2.書類審査と筆記試験に合格する
受験資格を満たしたら、Web申請を行って審査料51,700円を振り込み、申請書類を提出します。
そして、書類審査と論述式の筆記試験に合格しなければなりません。
2017年では、344人中238人しか合格していないので、事前の勉強は必須となります。
筆記試験は以下のように、事例問題と総合問題の2つです。
出題方式 | 配点 | 試験時間 |
問題1. 事例問題 | 100点 | 120分 |
問題2. 総合問題 | 100点 |
Web申請は例年では7月初旬、筆記試験は10月から11月にかけて行われています。
受験資格を満たしたら、忘れずにWeb申請を行いましょう。
Web申請は、期間内に「認定看護師・認定看護管理者・専門看護師 審査・申請システム」から行うことができます。
ステップ3.専門看護師認定証の交付を受けて登録する
書類審査と筆記試験に合格したら、専門看護師認定証の交付と登録が行われます。
専門看護師は、5年ごとに更新が必要です。
更新の際には、看護や研修の実績、研究業績などの書類審査があります。
そのため、専門看護師になってからも積極的にスキルアップのために実務や研究を頑張りましょう。
以上、専門看護師になるのに必要な3つのステップでした。
まだ目指すのか悩んでいる人のために、専門看護師になるメリットを見ていきます。
3.専門看護師になる3つのメリット
専門看護師になるか悩んでいるなら、まずは得られるメリットに興味があるかを考えてみるのが良いです。
専門看護師になるメリットは、3つあります。
- 看護師としてスキルアップできる
- 重要な仕事に取り組めるようになる
- 給料や働き方を良くできる
専門看護師になれば、今よりも看護師としての能力が高まり、待遇を改善できます。
それぞれのメリットについて、順番に見ていきましょう。
メリット1.看護師としてスキルアップできる
専門看護師になるには専門的な知識や技術を習得しなければならないので、看護師として大きくスキルアップできます。
専門看護師に向けて大学院で勉強して実務研修を受けることで、より専門的なスキルを網羅的に得ることが可能です。
そのため、看護師としての自信をつけたい人にもピッタリだと言えます。
メリット2.重要な仕事に取り組めるようになる
専門看護師になると、患者への看護以外にも重要な仕事に取り組めるようになります。
なぜなら、専門看護師は患者の家族や、他の医療者への適切な対応も求められているためです。
例えば、患者の家族に退院後の患者に対する接し方の説明や、他の看護師へのアドバイス、他の専門職への指導などを行います。
今の仕事よりも難しい業務にも積極的に取り組みたい人には最適です。
メリット3.給料や働き方を良くできる
専門看護師になれば、給料や働き方といった待遇を良くしやすいです。
専門看護師になるのは難しく、まだまだ人数は少ないのが現状となっています。
そのため、待遇についての職場との交渉を有利に進めやすいです。
また、専門看護師は患者が起きている日中に活躍の場がたくさんあるので、夜勤が減るケースが珍しくありません。
管理職への昇進も狙いやすくなり、キャリアアップに役に立つケースも多いです。
以上、専門看護師になることで得られるメリットでした。
メリットに魅力を感じていても、専門看護師になるのは難しいので悩んでいる人もいるかもしれません。
ここで、専門看護師になるのが向いている人も見ておきましょう。
4.専門看護師になるのがおすすめな人
専門看護師は目指す途中で挫折しやすいので、事前に自分が本当になりたいのかを考えた方が良いです。
専門看護師になるのが向いている人には、以下のような人が挙げられます。
- 看護師としてキャリアアップしたい人
- 看護師として専門分野のスキルアップがしたい人
- 今よりも給料を高めたい人
- 夜勤や残業を減らしたい人
- 転職を有利に進めたい人
もしもあなたが当てはまるなら、専門看護師を目指しても後悔しない可能性が高いです。
専門看護師になれば、今よりも良い待遇で専門性の高い業務ができるようになります。
ただし、専門看護師になるには時間がかかるので注意しなければなりません。
すぐにキャリアアップしたいなら並行して別のアプローチを進めることもおすすめです。
5.資格以外でキャリアアップするには?
専門看護師になる以外でキャリアアップするには、職場を変えるという方法も人気です。
同じ診療科でも働く場所を変えるだけで、やりたい業務ができるようになることも珍しくありません。
また、勉強会が豊富でスキルアップに積極的な看護師が多い職場に移れば、専門的なスキルを身につけることも可能です。
転職の際に今までの経験が評価されれば、管理職になれるケースもあります。
資格取得を奨励している職場なら、仕事を続けながら大学院に通えるかもしれません。
どうするかお悩みなら、職場を変えてキャリアアップをしてから、落ち着いて専門看護師を目指すのも良いでしょう。
6.キャリアアップを目指す人にピッタリな転職エージェント3選
キャリアアップを目指すなら、転職エージェントを活用すればスムーズに次の職場を見つけることができます。
利用しやすい転職エージェントは、以下の3つです。
- マイナビ看護師
- 看護roo!
- 看護のお仕事
どの転職エージェントに頼るのか悩んだら、まずは3つのいずれかを試してみてください。
それぞれについて、順番に見ていきましょう。
エージェント1.マイナビ看護師
1つ目のエージェントは、マイナビ看護師です。
求人数は2020年7月現在、約41,600件となっています。
マイナビ看護師では、看護師専任のキャリアアドバイザーが相談に乗ってくれるのが特徴です。
キャリアアドバイザーには、新しい職場への条件交渉や、今の職場への退職交渉まで頼めるので心強さを感じるでしょう。
普段の仕事が忙しくて転職活動を自分で進めにくいけれど、転職先に妥協したくない人には最適なエージェントとなっています。
サイト名 | マイナビ看護師 |
URL | https://kango.mynavi.jp/ |
特徴 | ・条件交渉や退職交渉までキャリアアドバイザーに頼める ・定着率の高い好条件な職場から紹介してもらえる |
エージェント2.看護roo!
2つ目のエージェントは、看護roo!です。
求人数は2020年7月現在、約51,300件となっています。
看護roo!は転職サポートサービスを行っていて、今の仕事の悩みを聞いてもらえるのが特徴です。
悩みを解決する職場の紹介や、その職場で実際に働いている人の口コミを聞くことができるので、自分に今よりも合った職場を見つけやすいでしょう。
今の職場や業務内容に満足していない人にとって、看護roo!は頼れるパートナーになります。
サイト名 | 看護roo! |
URL | https://www.kango-roo.com/career/ |
特徴 | ・今の仕事の相談をしながら職場探しができる ・事前に職場の内情を知れる |
エージェント3.看護のお仕事
3つ目のエージェントは、看護のお仕事です。
求人数は2020年7月現在、約120,000件となっています。
看護のお仕事では、一般には非公開の求人をキャリアアドバイザーに教えてもらえるのが特徴です。
実は、給料や休日などの条件が良い求人は、応募が殺到しないように非公開になっていることが珍しくありません。
看護のお仕事は、他の求人サイトには載っていない好条件の求人の中から希望に合ったものを提案してくれます。
求める条件や待遇が決まっているなら、一度相談してみましょう。
サイト名 | 看護のお仕事 |
URL | https://kango-oshigoto.jp/ |
特徴 | ・好条件な非公開求人の情報を教えてもらえる ・取り扱っている求人数が多い |
まとめ
専門看護師になるには、看護師としての条件を満たし、書類審査や筆記試験に合格する必要があります。
専門看護師は、特定の専門看護分野の知識や技術を深めた看護師のことです。
看護師としてのキャリアアップに最適なので、目指してみるのが良いでしょう。
専門看護師になる以外でキャリアアップしたいなら、転職を考えてみてください。