看護歴12年 46歳 女性
――認定看護師を取得するまでに大変だったことを教えてください。
時間やお金との戦い、みたいなところも正直ありました。病院も休職しなければならないし、その間はお給料をもらうことはできません。でも学費は200万円とか掛かってしまいますからね。
私は家族がサポートしてくれたので、かなり助かりました。
お金の面で言うと、遠征費も結構かかりますね。私は今も当時も静岡在住なのですが、研修などのために県外へ足を運ばなければいけなかったので……
――なるほど、それは盲点ですね。
逆に「いま都心に住んでいて、実家も都内」みたいな人でキャリアアップしたいなと考えている人は認定看護師のような上位資格を狙ってみるのも良いでしょう。私よりは恵まれているはずなので、チャレンジしやすいと思います!(笑)
あとお金の話ばっかりになってしまいますが、大きい病院だと資格取得をサポートしてもらえる制度があったりします。学費を一部負担してくれたり、資格取得後に数年働くことを条件に、取得期間中もお給料を支払ってくれたり。残念ながら私の病院にはなかったのですが、こういう制度を利用できる環境にいる人は積極的に活用すると良いですよ。
まずは院内制度を調べてみて!
――実際に認定看護師として働いてみてどうですか?
普段の業務はもちろんですが、5年ごとの更新が大変ですね。
あとはちょっとミスをしたり質問に即答できないと「認定看護師なのに……」と渋い顔をされることもありますね。でも、それだけ期待してもらえているということでもあります。頼られるのは嬉しいので、日々頑張らないとな、という気持ちです。
――患者さんの看護だけでなく、他の看護師さんを指導する立場でもあるんですよね。
はい、そうです。
教えるのが苦手なので苦労しましたが、なんとか慣れました。先ほどもちょっと触れましたが、「認定看護師だから」と無条件に期待されることが多いので、その期待に沿えるように自信が無くても堂々とする必要があります。
――なるほど、結構プレッシャーですね。
かもしれません。でも冷静に考えたら他の看護と一緒ですよね。患者さんに不安な顔は見せられませんから。そうやって思うとこれまでと何ら変わらないかなあという気もします。
――すごく納得しました、ありがとうございます。それでは最後に認定看護師を目指す後輩に一言アドバイスをお願いします!
とても長い道のりになります。脅すわけではありませんが、まずは取得するまでが大変です。取ってからの業務もこれまでより幅広くなります。
けれどもわざわざキャリアアップを目指そうと思っている人ならやりがいのあるハードさではないでしょうか。頑張ってください!
認定看護師になるにはどうすれば良いのかをお調べですね。
認定看護師の人数は年々増えているように、キャリアアップしたい人には非常に人気です。
しかし、認定看護師になるのは簡単ではないので、挫折しないように事前に必要なステップを知っておかなければなりません。
そこで今回は、認定看護師になるのに必要なステップや今すぐ行うと良いことをご紹介します。
認定看護師になって、今よりも納得できる環境で働きましょう。
目次
1.認定看護師とは?
認定看護師とは、特定の分野において高い看護スキルや知識を持っている看護師のことです。
看護が必要とされるあらゆる場所でレベルの高い看護を実現できるように、日本看護協会は認定看護師という制度を作りました。
認定看護師になるには、実務研修や教育機関への入学、審査の合格などが必要です。
2020年現在の人数は、21,000人を超えているのでかなりの人数の看護師が認定看護師になっています。
キャリアアップに最適な資格なので、興味があるなら積極的に目指してみましょう。
1−1.認定看護師と専門看護師の違い
日本看護協会は、認定看護師の他に専門看護師という制度も作っています。
専門看護師は認定看護師よりも求められる水準が高く、幅広い分野の看護スキルや知識が必要です。
ですので、認定看護師になってから、専門看護師を目指す人もいます。
ただし、専門看護師になるのは難しく、まだ全国で2,500人ほどしかなれていません。
さらなるキャリアアップを目指すなら、認定看護師になってから専門看護師についても検討してみるのが良いでしょう。
2.認定看護師になるには?登録までの5ステップ
認定看護師になるには、定められた順番で手続きを進めていかなければなりません。
認定看護師になるには、以下の5つのステップが必要です。
1.看護師免許を取得する
2.実務研修の経験を5年以上積む
3.認定看護師教育課程を終える
4.認定審査に合格する
5.認定看護師認定証の交付を受けて登録する
認定看護師になるには、5年の実務経験が必要というように長期的な計画が必要です。
事前に認定看護師になるまでのステップを知り、無理なくなれるようにスケジュールを立てましょう。
それでは、それぞれのステップについて順番に見ていきます。
ステップ1.看護師免許を取得する
認定看護師になるには、看護師免許を取得していなければなりません。
他には保健師や助産師の資格でも、認定看護師になることができます。
看護師になっていなければ認定看護師にはなれないという点にだけ注意しましょう。
もしもまだ看護師免許を取っていなければ、まずは免許の取得を目指してください。
ステップ2.実務研修の経験を5年以上積む
認定看護師になるには、看護師免許を取得してから5年以上の実務研修が必要です。
そのうち3年以上は、認定看護師になりたい分野の研修が求められます。
認定看護師が選べる看護分野は、以下の通りです。
認定看護師が 選べる分野 |
緊急看護、皮膚・排泄ケア、集中ケア、緩和ケア、がん化学療法看護、がん性疼痛看護、訪問看護、感染管理、糖尿病看護、不妊症看護、新生児集中ケア、透析看護、手術看護、乳がん看護、摂食・嚥下障害看護、小児緊急看護、認知症看護、脳卒中リハビリテーション看護、慢性呼吸器疾患看護、がん放射線療法看護、慢性心不全看護 |
自分が働きたい職場で求められる看護分野や、スキルアップしたい看護分野はどれなのかを考えてみましょう。
ステップ3.認定看護師教育課程を終える
次に、認定看護師教育機関に入学して、6ヶ月・615時間以上の教育課程を修了しなければなりません。
2020年までは、A課程認定看護師教育機関という行為研修のない機関が主流でした。
しかし、A課程認定看護師教育機関は、2026年度で教育を終了し、行為研修があるB課程認定看護師教育機関に切り替わります。
B課程認定看護師教育機関は、2020年度から始まりました。
A課程で修了した人への認定審査には期限があるので、今から認定看護師になるならB課程を選びましょう。
B課程の教育機関は、「2019年度 認定機関一覧(B課程認定看護師教育機関)」から見ることができます。
ステップ4.認定審査に合格する
認定看護師になるには、審査への合格が必要です。
日本看護協会は1年に1回、認定看護師の認定審査を行っています。
事前にWebから申し込みをして、審査料51,700円を振り込んで書類を提出してください。
例年なら、3月下旬から4月初旬にWeb申し込みから書類提出を行い、11月初旬に認定審査があります。
認定審査はマークシート方式の四者択一の筆記試験で、内容は以下の通りです。
出題方式 | 出題数 | 配点 | 出題範囲 |
問題1. 客観式一般問題 | 20問 | 50点 | 共通科目を含めた各認定看護分野の教育基準カリキュラム |
問題2. 客観式状況設定問題 | 20問 | 100点 |
1年に1回しか受験のチャンスがないので、事前にカリキュラムを確認して勉強しておきましょう。
ステップ5.認定看護師認定証の交付を受けて登録する
認定審査に合格したら、認定看護師認定証が交付されます。
審査に合格するだけではなく、登録手続きをしなければならないので気をつけてください。
また、認定看護師の資格は5年ごとに更新しなければ、有効期限が切れてしまいます。
5年経ったら看護の実践と自己研鑽の実績についての書類審査があるので、認定看護師になってからも気を抜かずにスキルアップに取り組みましょう。
以上、認定看護師になるために必要な5つのステップを紹介しました。
認定看護師になるのは時間がかかるので、目指すのか悩んでいる人もいるはずです。
次は、認定看護師になるメリットを見ていきます。
3.認定看護師になる3つのメリット
認定看護師になるか悩んでいる人は、3つのメリットに関心があるかを考えてみましょう。
認定看護師になるメリットは、以下の3つです。
- キャリアアップにつながる
- 取り組める仕事の幅が広がる
- 給料や働き方といった待遇が良くなる
認定看護師になれば、現在の職場よりも好条件なところに転職しやすくなります。
また、現在の職場でも仕事の幅が広がり、待遇も良くできるはずです。
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
メリット1.キャリアアップにつながる
認定看護師になると、看護師としてのキャリアアップにつながります。
実務研修や認定審査を乗り越えてきた看護師ということで、施設内外問わず今よりも評価されやすくなるからです。
また、現在より上のポジションで働けるようになるケースや、好条件での転職もしやすくなります。
今後のキャリアについて考えているとき、認定看護師という資格は大きく役に立つでしょう。
メリット2.取り組める仕事の幅が広がる
認定看護師になることで、取り組める仕事の幅が今よりも広がります。
なぜなら、認定看護師は、一定の分野での高い看護スキルが認められているためです。
認定されている分野の仕事をするとき、難易度の高い看護を任せられることが増えるでしょう。
また、他の看護師への指導も任せられ、新たなやりがいを感じる認定看護師も多いです。
メリット3.給料や働き方といった待遇が良くなる
認定看護師は、資格を持たない看護師に比べると給料や働き方といった待遇を良くしやすいです。
認定看護師の資格手当がある施設なら、資格を取るだけで毎月3,000円〜10,000円程度の給料アップが見込めます。
また、高い看護スキルを評価してもらえれば、昇給が認められたり、夜勤を減らすなどの働き方改善をしてもらえることも少なくありません。
以上、認定看護師になる3つのメリットでした。
メリットに魅力を感じていても、認定看護師になるには時間と費用が必要なので、簡単には決められないかもしれません。
特に費用は高額になるケースもあるので要注意です。
ここで、認定看護師になるのに必要な費用も見ておきましょう。
4.認定看護師になるときに必要な費用
実は、認定看護師になるには、合計で100万円程度はかかります。
事前に必要な金額を計算して、支払うための計画を立てておかなければなりません。
認定看護師になりたい人が全員必要となる費用は、以下の通りです。
教育機関の入試費 | 5万円 |
教育機関の入学費 | 5万円 |
教育機関の授業料 | 70万円 |
教育機関での実習費 | 10万円 |
認定審査料 | 5万円 |
登録費 | 5万円 |
このように、絶対にかかる費用だけでも100万円は用意しなければなりません。
ただし、認定看護師になるのをサポートしてくれる施設で働いているなら、自己負担は減る可能性が高いです。
例えば、教育機関の入学費を出してくれるケースや、授業料の半分を出してくれるケースがあります。
また、すぐに用意できそうにないなら、奨学金も利用することも可能です。
日本看護協会の奨学金を利用すれば、120万円までなら借りることができ、認定看護師の教育課程を終えて3ヶ月後から返済していけば問題ありません。
自分にとって無理のないプランを考えて、気持ちにも余裕を持って認定看護師を目指しましょう。
費用について知って、認定看護師になるのか悩んでいる人もいるはずです。
ここで認定看護師になるのがおすすめな人についても見ておきます。
5.認定看護師になるのがおすすめな人
認定看護師は時間や費用がかかるので、事前に自分が向いているのかを考えるのが良いでしょう。
認定看護師になるのがおすすめなのは、以下の人です。
- 看護師としてキャリアアップしたい人
- 看護師として専門分野のスキルアップがしたい人
- 今よりも給料を高めたい人
- 夜勤や残業を減らしたい人
- 転職を有利に進めたい人
当てはまる項目が多い人ほど、認定看護師を目指すのがピッタリです。
認定看護師は看護師としてのキャリアアップやスキルアップに役に立ちます。
また、待遇の改善にも使いやすいので、興味があるなら積極的に資格の取得を考えていきましょう。
ただし、5年間の実務研修があって時間がかかるので、今すぐにキャリアアップしたいなら資格以外の方法で行うのも良いです。
次は、資格以外でキャリアアップする方法について説明していきます。
6.資格以外でキャリアアップする方法
認定看護師になるには時間がかかるので、転職で職場を変えてキャリアアップする人もいます。
また、認定看護師になるのをサポートしてくれる職場に移れば、仕事を続けながら教育機関に通うこともやりやすいです。
今すぐにキャリアアップしたい人や、今の職場で認定看護師を目指すのが難しそうな人は、一度職場を移ることも考えてみましょう。
最後に、キャリアを意識した転職がしやすいエージェントをご紹介します。
7.キャリアアップにピッタリな転職エージェント3選
キャリアアップを目指すなら、転職エージェントにサポートしてもらうのがおすすめです。
日頃の業務が忙しくても、自分に最適な職場を簡単に見つけることができます。
認定看護師を目指す人が使いやすい転職エージェントは、以下の3つです。
- スマイルナース
- マイナビ看護師
- ベネッセ看護師お仕事サポート
3つのいずれかを試せば、あなたにピッタリな職場を見つけることができるでしょう。
それぞれについて、順番に確認していきます。
エージェント1.スマイルナース
スマイルナースでは、認定看護師になるのを応援してくれる施設の求人を調べることができます。
2020年7月現在で、認定看護師になるのをサポートしてくれる施設の求人数は540件ほどです。
もしも掲載されている求人に興味があるものがなくても、医療や福祉の業界に詳しい専門家による求人紹介サービスを受けることができます。
認定看護師になりたいなら、非常に利用しやすい転職エージェントです。
サイト名 | スマイルナース |
URL | https://www.smile-nurse.jp/ |
特徴 | ・認定看護師になるのを応援している求人を検索できる ・専門家による求人紹介サービスがある |
エージェント2.マイナビ看護師
マイナビ看護師では、資格取得支援制度がある施設に絞って求人を調べることができます。
2020年7月現在、資格取得支援制度を行っている求人は、900件ほどです。
看護師専任のキャリアアドバイザーが丁寧に相談に乗ってくれるので、忙しい人や転職が初めての人も安心して利用できます。
施設の実際の雰囲気や評判も聞くことができるので、認定看護師を目指せる環境なのかも事前に考えやすいです。
サイト名 | マイナビ看護師 |
URL | https://kango.mynavi.jp/ |
特徴 | ・資格取得支援制度のある求人を探せる ・キャリアアドバイザーのサポートが手厚い |
エージェント3.ベネッセ看護師お仕事サポート
ベネッセ看護師お仕事サポートでは、認定看護師の求人を調べることができます。
2020年7月現在で認定看護師の求人掲載数は、数件ほどしかありません。
しかし、一般には非公開の求人にも応募できるので、認定看護師になってからそのまま同じ職場で活躍したい人は見てみるのが良いでしょう。
専門性の高いコンサルタントに相談にも乗ってもらえるので、スムーズに転職手続きを進めていけます。
サイト名 | ベネッセ看護師お仕事サポート |
URL | https://kango.benesse-mcm.jp/ |
特徴 | ・認定看護師の求人を探せる ・コンサルタントの専門性が高い |
以上、認定看護師になりたい人や、今すぐにキャリアアップしたい人が使いやすい転職エージェントでした。
まずは自分の地域の求人をチェックしてみましょう。
まとめ
認定看護師とは、特定分野における高い看護スキルや知識を持っている看護師のことです。
認定看護師を目指す人は多く、2020年現在でも21,000人を超えています。
キャリアアップや待遇改善を考えているなら、積極的に取得を考えてみてください。
ただし、認定看護師になるには時間や費用が必要なので、しっかりスケジュールを立てることがポイントです。
今すぐにキャリアアップをしたい人や、安心して認定看護師を目指せる職場を知りたい人は、転職エージェントに相談してみましょう。