「訪問介護として働きたいけれど、何をすればいいかわからない」
「訪問介護で働くメリットや給料は?」
このようにお悩みではないでしょうか。
高齢社会に伴って、介護を受ける人も増加しているため、介護業界は慢性的に人手不足に悩まされています。
さらには昨今の医療制度により、退院後自宅で療養する方が増えたことで、訪問介護の需要は非常に高まっているのです。
ですが、訪問介護が実際にどんな仕事をしているのかご存知でしょうか?
この記事では訪問介護とは何か、訪問介護として働くメリットや業務内容、給料や訪問介護で働く上で知っておきたいことなどをご紹介していきます。
ぜひ最後までご一読ください。
目次
1.訪問介護(ホームヘルパー)とは
訪問介護とは、訪問介護員(ホームヘルパー)や介護福祉士(ケアワーカー)が利用者の自宅を訪問し、身体介護や生活援助を行うサービスのことです。
身体介護では食事や入浴、排泄のサポート、生活援助では掃除や洗濯などに加え、外出時の付き添いなども行います。
利用者が、自宅で安全かつ自立した生活を営むために、生活を支援することが目的です。
そんな訪問介護ですが、実はさまざまな雇用形態があります。
訪問介護の雇用形態は、基本的に以下の3種類です。
- 直接雇用
- 登録ヘルパー
- 派遣ヘルパー
一つずつ解説していきます。
(1)直接雇用
いわゆる正社員として雇用される形態です。
登録ヘルパーや派遣ヘルパーと違い、会社に雇用されるため、安定して就業できます。
給料や待遇も他の雇用形態のヘルパーよりも優遇されていて、ボーナスが支給されるところも。
また福利厚生面でも優れているところが多く、定期的な健康診断やカウンセリングなどが行われている事業所もあります。
しかし正社員になるためには1級ホームヘルパー相当の資格が必要です。
残業や休日出勤にも対応しなければなりません。
他の雇用形態と違って責任も重くなりますが、安定した働き方を希望している方は直接雇用を目指しましょう。
(2)登録ヘルパー
登録ヘルパーとは訪問介護独特の雇用形態です。
訪問介護を提供する事業所に登録し、自分の希望の範囲内で勤務します。
基本的に仕事内容は直接雇用の場合と変わりません。
利用者宅に訪問し、介護サービスおよび生活支援を行います。
登録ヘルパーが他の雇用形態と違うポイントが「給料」です。
登録ヘルパーは自分で時間を決めて働ける分、就業時間が日により異なります。
実際に働いた時間分の給料が支給されますので、毎月安定した給料というわけではありません。
ですが登録ヘルパーは自分の好きなタイミングで働けたり、直接利用者宅に訪問できたりするなど、融通の利く働き方です。
「事情により長く働けない」「副業として働きたい」という方には、おすすめの働き方になります。
(3)派遣ヘルパー
派遣ヘルパーは派遣会社から派遣された訪問介護です。
仕事内容は直接雇用、登録ヘルパーと変わりません。
派遣ヘルパーとして働くと、非常勤で働くよりも給料が良く、福利厚生面で優れているところが多いです。
ただし派遣ヘルパーの場合、契約期間が決められているため、契約期間が終了すると他の派遣先を探さなくてはなりません。
ようやく人間関係に慣れてきたという頃に、契約期間が終わることが多いようです。
また派遣先でトラブルを起こした場合、契約期間に関わらず、途中で契約を終了されてしまうこともあります。
「時給が高い方がいい」「人間関係が面倒」という方には、派遣ヘルパーがおすすめです。
さまざまな雇用形態があることがわかりましたね。
では実際に訪問介護士として働くと、どんなメリットがあるのでしょうか。
次の章でご紹介します。
2.訪問介護士として働く3つのメリット
訪問介護には、3つの雇用形態があることをお伝えしました。
雇用形態が3つあることで、ライフスタイルに合わせた働き方ができます。
わかりやすくするために、以下3つに分けてメリットをご紹介します。
- 家庭と両立しやすい
- 密にケアを実施できるためやりがいを感じやすい
- 人間関係のトラブルが少なく働きやすい
細かく見ていきましょう。
メリット1.家庭と両立しやすい
訪問介護の働き方は家庭と両立しやすく、ワークライフバランスが取れます。
訪問介護では正社員で働く以外にも、アルバイトやパートでの働き方、さらには登録制での働き方も可能です。
登録制の場合、好きな時間や好きな曜日を指定して働けます。
さらに職場によっては、利用者宅に直行直帰できるなど、家庭と両立して働ける点も特徴です。
ご家庭の状況と合わせて、自分に合ったスタイルで働けるでしょう。
メリット2.密にケアを実施できるためやりがいを感じやすい
訪問介護は一人ひとりに合わせた密な介護サービスを提供でき、やりがいを感じられます。
なぜなら訪問介護は一人ずつサービスを提供するため、利用者に寄り添った支援ができるからです。
個人に合わせたサービスは、利用者の満足感だけでなく、ほどよい信頼関係の構築にもつながります。
一般的に施設などでは画一的なサービスになりがちです。
それに対し訪問介護では密にケアを実施できるため、モチベーションの向上にもつながるでしょう。
メリット3.人間関係のトラブルが少なく働きやすい
訪問介護では、主に1人から2人でサービスを提供します。
そのため人間関係のトラブルが少なく、働きやすい環境です。
介護士として働く上で、人間関係は非常に重要なポイントになります。
介護労働安定センターの平成25年度介護労働実態調査によると、人間関係に不満を感じて辞めた人が最も多い結果となっているほどです。
その点、訪問介護では利用者もしくは数名の職員としか関わりません。
中には、ほとんど関わらない職員も出てくるほどです。
人間関係のトラブルが少なく働きやすいというのは、訪問介護独特のメリットとも言えるかもしれませんね。
訪問介護士として働くメリットを3つご紹介しました。
次の章では、訪問介護における具体的な業務内容について触れていきましょう。
3.訪問介護で介護士が行う業務内容
訪問介護士には、以下3つのメリットがあることをお伝えしました。
- 家庭と両立しやすい
- 密にケアを実施できるためやりがいを感じやすい
- 人間関係のトラブルが少なく働きやすい
訪問介護にメリットがあることはわかりましたが、実際にはどのような仕事なのでしょうか。
訪問介護の業務は、身体介護と生活援助の2つに大別されます。
さらに通院外出時の介助なども業務の一つです。
1日の流れを簡単に解説し、その後それぞれの業務について解説していきましょう。
内容1.1日の仕事の流れ
まずは1日の仕事の流れを見ていきましょう。
下記の表は正社員の1日になります。
あくまで参考なので、違いがあることは覚えておいてください。
時間 | 仕事内容 |
---|---|
8:00 | 出勤、事業所内で訪問の準備 |
9:00 | 1件目の利用者宅へ出発(自動車または自転車) |
9:30 | 1件目の利用者へのサービス開始 |
10:00 | 2件目の利用者宅へ移動 |
10:30 | 2件目の利用者へのサービス開始 |
11:30 | 昼食休憩、3件目の利用者宅へ移動 |
13:30 | 3件目の利用者へのサービス開始 |
14:30 | 一度事業所へ戻る |
15:00 | 帰社、他のヘルパーやケアマネと情報交換、申し送り、報告書の作成 |
16:00 | 4件目の利用者宅へ移動 |
16:20 | 4件目の利用者へのサービス開始 |
17:00 | 勤務終了、利用者宅から直接自宅へ帰宅 |
利用者へのサービスと言っても、一人ひとり求めているサービスは違います。
そのため身体介護だけ、生活援助だけなどと、それぞれに合わせたサービスを提供する形です。
訪問介護は1日3~4件周るのが目安
表を見ると、1日に4件利用者宅を訪問していますね。
訪問介護では1日に3〜4件の利用者宅を周るのが目安となっています。
ただし、これはあくまで目安です。
登録制のヘルパーなどの、限られた時間のみで就業を希望している場合は、臨機応変に対応できますので安心してくださいね。
内容2.身体介護
身体介護とは、主に利用者の身体に直接関わる介助です。
複数人で対応するレベルではなく、見守りや軽い補助がメインとなります。
例えば、身体介護では以下のようなものに対応することになるでしょう。
- 食事介助
- 入浴介助
- トイレへの移動や動作の介助
- オムツ交換
- 着替えの介助
- 体位変換の介助
- 服薬介助
利用者ごとに、何をするのかは決められているはずです。
そのため、訪問介護ではその家でどこまでするのかを的確に覚えておくと、スムーズにこなすことができるでしょう。
内容3.生活援助
生活援助とは、利用者に間接的に関わる介助です。
主に調理や掃除、洗濯などの、日常生活を送る上で必要な家事のサポートをします。
生活援助では、以下のようなものに対応することになるはずです。
- 料理や掃除、洗濯
- 日常に必要な買い物
- 薬の受け取り
基本的には、生活に必要なことのサポートだけです。
不必要な頼まれごとも、利用者から言われることもあるでしょう。
そんなときは、明確に断ることが大切です。
何でも支援するのではなく、その人のADLの向上に必要かという点は考えてみてください。
もし、悩むことがあれば上司に相談するなど、ケアプランから見直してもらう形が良いです。
内容4.通院外出の介助
訪問介護で忘れてはならない仕事の一つに、通院外出の介助があります。
病院への通院や、デイサービスでの通所といった外出時の付き添いが主です。
またそれ以外の、日常的な買い物の付き添いも対応します。
訪問介護の仕事内容について細かく見てきました。
これだけ多様な業務がある訪問介護ですが、仕事で得られる給料はどの程度なのでしょうか。
次章でお伝えします。
4.訪問介護で得られる介護士の給料目安は?
前の章では、訪問介護の業務内容について解説しました。
細かく見てみると、さまざまな業務がありましたね。
これだけ多くの業務がある訪問介護ではありますが、実際に得られる給料はどの程度になるのでしょうか。
平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果を参考に以下5つに分けてお伝えしていきます。
- 正社員
- アルバイト・パート
- 派遣
- 登録制度
- 資格手当
雇用形態によっても異なってきますので、形態別に確認していきましょう。
(1)正社員
正社員の場合、平均して291,930円の給料がもらえることになっています。
介護職員の中では比較的高めの給料となっていますね。
これには夜勤の有無や資格手当などが給料として反映されている事業所もあるようです。
詳しい資格手当については、下記の「資格手当」で解説します。
(2)アルバイト・パート
アルバイト・パートの場合、平均して208,210円の給料がもらえることになっています。
訪問介護の場合、時給が1000円を超えるところも多く、比較的高めの時給設定です。
規定の条件を満たせば、社会保険にも加入でき、福利厚生も受けられます。
正社員とほぼ同じ条件で働けるのです。
(3)派遣
派遣の場合、平均して233,050円の給料がもらえることになっています。
派遣は、事業所から給料をもらうのではなく派遣会社から給料が支払われる仕組みです。
そのため事業所による給料の違いというよりも、派遣会社と派遣先での就業条件交渉によるところが多くみられています。
また派遣の場合においても資格を有していると給料アップにつながりやすいようで、中には30万を超える人もいるでしょう。
(4)登録制度
登録型の場合、平均して93,790円の給料がもらえることになっています。
登録ヘルパーは好きな時間働けるというところがメリットですが、その分給料に反映されません。
また実際に訪問している時間のみ給料が支払われるため、最も給料の少ない結果となっています。
(5)資格手当
訪問介護において給料アップに欠かせないのが、資格手当の有無となります。
訪問介護における介護士は、介護職員初任者研修の資格を持っている方が多いです。
この資格があると、資格手当をもらえる事業所があります。
しかし手当としての恩恵は、正直なところ少ないのが現実です。
ですがこの資格の上位である介護職員実務者研修、介護福祉士という資格を取得することで、手当は増えていきます。
それだけでなく、新たな仕事やポジションを任されることで、総合的な給料アップにつながるでしょう。
5.訪問介護で働くのに必要な資格
訪問介護のそれぞれの雇用形態別に給料をお伝えしました。
雇用形態 | 給料 |
---|---|
正社員 | 291,930円 |
アルバイト・パート | 208,210円 |
派遣 | 233,050円 |
登録制度 | 93,790円 |
訪問介護は無資格でも働くこと自体は可能です。
ですが資格があることで就職に有利になったり、資格手当がもらえたりします。
資格手当がもらえる資格の代表的なものが以下の3つです。
- 介護職員初任者研修
- 介護福祉士実務者研修
- 介護福祉士
それぞれ一つずつ解説していきます。
資格1.介護職員初任者研修
介護初任者研修は訪問介護として働くにあたって、入門とも言える資格です。
訪問介護で身体介護に携わる場合、この資格を有していることが必須条件となっています。
そのため訪問介護で働く方にとって、取得しておくべき資格とも言えるでしょう。
介護初任者研修は昔はヘルパー2級とも呼ばれていました。
資格を取得するためには規定のカリキュラムを受講しなければなりません。
制度の変更によって、講義終了後にあった実習がなくなり、代わりにカリキュラム終了後に筆記試験があります。
筆記試験といっても、カリキュラムの振り返りといった意味合いが強く、ほとんどの方が合格しているようです。
受講期間は全カリキュラム、筆記試験も含めて、約3ヶ月となっています。
また受講料は6〜15万円ほどとなっており、時期によってはハローワークで無料で受講できる期間もあるようです。
さらにハローワーク以外にも、資格支援制度を設けている派遣会社に登録することで、資格取得の支援をしてもらえます。
資格2.介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修は介護福祉士を目指す場合、取得しておいたほうが良い資格です。
この資格を取得することで、介護士としての実務経験に関係なく、サービス提供責任者になれます。
サービス提供責任者は、訪問介護事業所に必ず配置しなければなりません。
そのため介護福祉士実務者研修の資格を有していると、就職に有利になることがあります。
事業所側としても、積極的に採用に動いている職種です。
介護福祉士実務者研修の資格を取得するにあたって、必要な経験や資格はありません。
極端に言えば、全くの未経験からでも取得が可能です。
ただし取得するためには450時間ものカリキュラムを受講しなければなりません。
カリキュラムの内容も基礎知識を前提として組まれています。
余裕のある方は介護職員初任者研修から受講しておきましょう。
また訪問介護で働きながら、資格取得、キャリアアップ支援を行っている事業所もあるようです。
その場合、初任者研修取得後、訪問介護で働きながら実務者研修の資格取得に動くというのも一つの手でしょう。
資格3.介護福祉士
たくさんある介護資格の中で、唯一の国家資格でもある介護福祉士です。
介護職としてキャリアアップを目指しているのであれば、取得しておきたい資格の一つでもあります。
介護福祉士の資格を取得すると、給料に資格手当が追加されるだけでなく、さまざまな優遇措置が受けられることも。
これからの介護業界においても、持っておいて損はない資格です。
では介護福祉士の資格を得るためにはどうしたら良いのでしょうか。
介護福祉士の資格を取得するためには、国家試験を受け合格する必要があります。
国家試験を受験するためには以下の3通りの受験要件を満たさなくてはなりません。
- 実務経験ルート
- 養成施設ルート
- 福祉系高等学校ルート
それぞれ細かくみていきましょう。
実務経験ルート
実務経験ルートとは具体的に以下の経験が必要になっています。
(1)実務経験3年以上 + 実務者研修の修了
(2)実務経験3年以上 + 介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修の修了
法律改正により、上記の実務者研修や介護職員基礎研修は一本化され、介護福祉士実務者研修の取得のみ義務付けられています。
養成施設ルート
養成施設ルートの場合、以下の内容で受験要件を満たせます。
(1)高等学校を卒業+介護福祉士養成施設(2年制以上)を卒業
(2)高等学校を卒業+福祉系大学か社会福祉もしくは保育士養成施設のいずれかを卒業+介護福祉士養成施設(1年制以上)を卒業
実は、これまで介護福祉士養成施設を卒業した方は、無条件に介護福祉士の資格を取得できました。
しかし2016年に法律が改正され、養成施設ルートの場合でも国家試験を受験しなければなりません。
福祉系高等学校ルート
福祉系高等学校ルートの場合、以下の内容で受験要件を満たせます。
(1)2009年度以降に福祉系高等学校を卒業(新カリキュラムを履修し卒業)
(2)2008年度以前に福祉系高等学校を卒業(旧カリキュラムで介護技術講習を受講していない場合、国家試験当日に実技試験あり)
(3)2009年度以降に特例高等学校を卒業+9ヵ月以上の実務経験(介護技術講習を受講していない場合、国家試験当日に実技試験あり)
上記3つのルートが国家試験を受けるために必要な条件です。
国家試験は毎年1月下旬に筆記試験・3月上旬に実技試験が実施されています。
2020年に行われた国家試験の合格率は69.9%となっており、比較的高めの合格率とも言えるでしょう。
国家試験の問題の傾向は毎年大きく変わっているわけではありません。
学校のテキストや過去問題集を上手に利用し、国家試験合格を目指してください。
訪問介護で働くために必要な資格についてご紹介しました。
次の章では、実際に訪問介護で働く上で知っておきたいことをお伝えしていきます。
6.訪問介護で働くなら知っておきたいこと
訪問介護で働く上で必要な資格をご紹介しました。
どの資格も資格手当がつき、介護職として確かな知識と技術を証明できる資格です。
訪問介護の現場でも、学んだ知識と技術を活かすことができます。
ここで実際に訪問介護で働く上で、最低限知っておきたいことをお伝えしていきましょう。
知っておきたいこととして以下の3点が挙げられます。
- コミュニケーション能力が求められる
- 最低限の家事能力が必要になる
- 家族への対応が必要になる
順番に見ていきましょう。
(1)コミュニケーション能力が求められる
訪問介護はコミュニケーション能力が求められます。
基本的に訪問介護は利用者のプライベート空間で働くことになり、言葉遣いや接遇が重要視されるためです。
また利用者とも密な関わりをするために、より良い信頼関係を築く必要があります。
言葉遣いや接遇だけでなく、総合的なコミュニケーション能力が必要です。
(2)最低限の家事能力が必要になる
訪問介護では家事能力も必須です。
訪問介護の仕事内容として、身体介護だけでなく、生活援助も行います。
生活援助では料理や洗濯、掃除などの家事を代行しなければなりません。
そのため必要最低限の家事能力が求められるでしょう。
またこちらが主体で行うのではなく、利用者が自立できるような支援を心がけてサービスを提供する必要があります。
(3)家族への対応が必要になる
訪問介護の場合、家族対応も必要です。
利用者の家族から仕事中に話しかけられることは多々あります。
基本的には利用者が援助の対象ですが、実際の現場ではそうもいきません。
家族から何か頼まれた際などは、柔軟な対応が必要になってきます。
ここまで、訪問介護士として知っておきたいことを紹介しました。
介護職全般に求められるものもあれば、訪問介護独特のものもありましたね。
次章では訪問介護においてできることとできないことを解説していきます。
7.訪問介護の介護士としてできること・できないこと
訪問介護で働く上で知っておきたいことをご紹介しました。
- コミュニケーション能力が求められる
- 最低限の家事能力が必要になる
- 家族への対応が必要になる
訪問介護はサービスの提供先が利用者の自宅が多く、生活支援や家族対応などの独特な状況も発生します。
ですが訪問介護は何でも屋ではありません。
できることと、できないことがあるのです。
訪問介護の現場は基本的に一人で、何かあった時に相談できる方が身近にいるとは限りません。
ですから必要最低限の訪問介護の介護士として行っても良いことを知っておく必要があります。
「できること」と「できないこと」にそれぞれ分けて解説していきましょう。
(1)できること
できることとして身体介護、生活支援、医療支援それぞれの項目ごとにご紹介します。
身体介護
- 体位変換、移動介助、移乗介助
- 食事介助、食事の見守り
- 入浴介助、清拭
- トイレ誘導、排泄介助、オムツ交換
- 更衣介助
- 洗面介助、整髪介助
- 乗車・降車のための介助、病院内での自立生活支援のための見守り
生活支援
- 一般的な調理、食事の準備、後片付け
- 洗濯、洗濯物の取り込み、アイロンがけ
- トイレ掃除、居室内の掃除、ゴミ出し
- 日用品の買い物、日常生活必需品の買い物、薬の受け取り
- 通院同行、公共サービスの申請、選挙などへの同行、日用品買い物への同行、金融機関への同行、
- 衣服の整理、免許更新の付き添い、住民票の取得など
医療支援
- 爪切り、爪やすり
- 耳垢の除去
- 歯ブラシや綿棒を使った口腔ケア
- 一包化された内服薬を飲む介助、軟膏やクリームを塗る、湿布を貼る、目薬をさす、利用者本人がインスリンを打つ際の見守り
- 切り傷ややけどなどの外傷に対して専門的な知識を必要としない場合の処置、ストーマパウチ内に溜まった排泄物の処理、血糖測定の声かけ・見守り
- 電子体温計での測定、自動血圧計での測定、パルスオキシメーターの装着
上記の表に記載のあるものが、ヘルパーができることとなっています。
利用者を対象とした、専門的知識や技術を必要としないものはヘルパーがやっても問題ありません。
(2)できないこと
できないこととして身体介護、生活支援、医療支援それぞれの項目ごとにご紹介します。
身体介護
- 散髪
- 受診待ち時間中の付き添い、利用者もしくはヘルパーの自家用車を使用した送迎
生活支援
- 利用者以外への料理、おせちなどの行事料理
- 利用者以外の洗濯・アイロンがけ
- 利用者以外への掃除、庭木の手入れ、ベランダの掃除、ペットの世話、引っ越し準備
- 遠くのデパートへの移動・買い物、嗜好品の購入、お歳暮の購入
- 美容院への同行、墓参りや葬式への同行、金銭授受代行
- 話し相手
医療支援
- 専門的な処置が必要な方の爪の管理
- 耳垢塞栓の除去
- 重度の歯周病のある方の口腔ケア
- 内服薬の管理や仕分け、インスリン注射
- 褥瘡処置、ストーマパウチの交換、導尿や摘便、血糖測定
- 水銀血圧計を用いた血圧測定
上記で挙げたものが訪問介護のヘルパーはやってはいけません。
基本的に訪問介護の対象は利用者ですので、それ以外を対象にした身体介護、生活支援は禁止です。
また医療支援は専門性が高いので、基本的には難しいことの方が多いと思います。
判別が難しい場合は、一度確認を取ってから次回以降のサービスで提供するようにしましょう。
またこれらの支援範囲は、各自治体ごとに独自のルールがあります。
自治体のホームページ上で、訪問介護における支援の判断基準が作成されていますので、ぜひ活用してください。
次の章では訪問介護で働くのに向いている人をご紹介していきます。
8.訪問介護で働くのに向いている人
訪問介護士のできること、できないことをご紹介しました。
サービスを提供できる時間は限られていますから、対応範囲を知っておくことは大切です。
実際に訪問介護で働くのに向いている人はどのような人なのでしょうか。
以下のような特徴を持つ方は訪問介護に向いています。
- 気が長い
- 判断力や行動力がある
- 体力に自信がある
- 一人ひとりと向き合った介護がしたい
- 家庭と両立させたい
それぞれ細かく解説していきますね。
特徴1.気が長い
これは訪問介護に限らず、介護職に携わる方であれば必要なことでしょう。
介護の現場では相手が高齢者のため、物事がゆっくり進むことが多いです。
限られた時間内でサービスを提供しなくてはなりませんが、思うようにいかないことも多々あります。
気が長い方はそういった状況の中でも焦らず、利用者のペースに合わせた支援ができますので、訪問介護に向いているでしょう。
特徴2.判断力や行動力がある
訪問介護の現場は1人で利用者と向き合うことが多く、時に判断力や行動力が求められます。
とっさの出来事に対応できるような、臨機応変に動ける方は重宝されるでしょう。
特徴3.体力に自信がある
介護の仕事は体力勝負なところもあります。
しかも訪問介護では1日に何件も周らないといけないため、非常に忙しいと言えるでしょう。
ですが体力に自信がある、パワフルな方は1日の訪問件数を増やし、バリバリ働いている方もいます。
特徴4.一人ひとりと向き合った介護がしたい
これは訪問介護ならではのメリットとも言えるでしょう。
利用者一人を対象に、しっかりとした介護サービスを提供でき、一人ひとりに向き合った介護ができます。
特徴5.家庭と両立させたい
こちらも、訪問介護なら可能です。
訪問介護にはさまざまな働き方があります。
家庭やご自身の状況に合わせて柔軟に働き方を選択でき、家庭との両立が可能です。
では逆に向いていない人とはどのような人なのでしょうか。
以下でみていきましょう。
向いていない人
ホームヘルパーに向いていない人として以下のような方が挙げられます。
- 協調性のない人
- 効率重視の人
基本的に訪問介護は1対1の介護が中心ですが、それはあくまで現場の話です。
事業所に帰れば、他のヘルパーや別の業種の方も多くいます。
そういった中で協調性のない行動をしてしまうような方は、あまりこの仕事に向いていないかもしれませんね。
また、訪問介護という限られた時間でサービスを提供する場合、テキパキと行動しなくてはなりません。
だからと言って効率を重視して仕事をしてしまうと、利用者のペースをないがしろにしてしまいます。
たとえ非効率であろうと、利用者のペースややり方を大切にしてください。
これまで訪問介護に向いている人、向いていない人についてご紹介しました。
次の章では、訪問介護士の求人にはどのようなものがあるのか、代表的な介護士求人サイトを紹介していきます。
9.まずは訪問介護士の求人を見てみよう
訪問介護で働くのに向いている人、向いていない人を紹介しました。
もし少しでも興味がある、向いていると感じる人は、ぜひ求人サイトをのぞいてみてください。
介護士求人サイトは多くの求人を取り扱っており、その数は数万件にものぼります。
求人サイトは希望する条件や持っている資格で検索でき、自分の探している条件の求人を見つけられるはずです。
ここで代表的な介護士求人サイトを3つご紹介します。
- スマイルSUPPORT介護
- 介護ワーク
- マイナビ介護職
それぞれ異なるメリットがありますので、一つずつみていきましょう。
サイト1.スマイルSUPPORT介護
スマイルサポート介護は全国を対象に、業界最大級の求人を保有している求人サイトです。
その数は10万件とも言われており、希望する求人が見つからないということは、ほぼないでしょう。
無料で利用できますので、「とにかくたくさんの求人がみたい」という方におすすめの求人サイトです。
名称 | スマイルSUPPORT介護 |
対応地域 | 全国 |
URL | https://www.h-career-support.com/kaigo |
サイト2.介護ワーク
介護ワークは正社員での転職に強みを持っている求人サイトです。
求人の内容やアフターフォローに定評があり、多くの方が満足した結果を出せています。
応募書類の添削や面接対策までしっかりと対応してくれますので、満足のいく転職が叶うはずです。
名称 | 介護ワーク |
対応地域 | 全国 |
URL | https://kaigo-work.jp/ |
サイト3.マイナビ介護職
株式会社マイナビが運営する介護職を専門とした求人サイトです。
無料で登録でき、元介護職経験者を中心としたキャリアアドバイザーに、詳しい条件や希望を相談できます。
マイナビだけが取り扱っている非公開求人などもありますので、高条件を探している方は登録しておいて損はないでしょう。
名称 | マイナビ看護 |
対応地域 | 全国 |
URL | https://kango.mynavi.jp/ |
【補足】転職エージェントも利用しよう
上記でお伝えした求人サイトの他に、転職エージェントも合わせて利用することをおすすめします。
求人サイトは取り扱っている求人数は多いのですが、非公開の求人も多いです。
転職エージェントを利用することで、公開・非公開問わず、希望の条件にあった求人を選定してくれます。
また面接対策や条件面の交渉も代わりに行ってくれますので、利用した方がお得です。
まとめ
訪問介護について解説してきました。
いかがでしたでしょうか。
訪問介護の分野は今後も需要拡大していく分野であり、その分多くの求人が出ることになります。
施設などで働くよりも柔軟な働き方ができる点は、他にはないメリットでしょう。
この記事を読んで、訪問介護に興味を持った方はぜひ求人サイトを確認してみてください。
きっと希望の条件や求人が見つかるはずですよ。