「妊娠したけど看護師の仕事も続けたい」
「妊娠したらまずどうすればいいの?」
妊娠は喜ばしいことですが、職場への報告や今後の仕事について悩んでしまう看護師も多いでしょう。
妊娠していても看護師の仕事は続けられますが、母子の健康を守るため仕事の内容には注意しなければいけません。
この記事では、妊娠した看護師が行うべき報告と、仕事を続ける上での注意点を解説します。
健康にお腹の子供を育てながら、看護師として活躍していきましょう。
目次
1.妊娠した看護師はまずどうすればいい?
妊娠した看護師は、まず職場にその旨を報告しましょう。
妊娠しても変わらず働き続けたいという人は多いですが、突然体調が変化しうまく働けなくなる可能性もあります。
必ず上司に妊娠した旨を相談し、今後の働き方について話し合いましょう。
職場が人手不足だと「妊娠は病気じゃないから報告すると怒られそう」「職場に迷惑をかけるかも」という気持ちで報告を先延ばしにする人は少なくありません。
日本労働組合総連合会の調査によると、職場に妊娠報告をすることに対して34.5%もの人が「ためらいがあった」と回答しています。
人手不足の職場で妊娠を報告するのは勇気が必要ですが、いずれ分かることなので早めに相談するほうが職場の人にとってもありがたいでしょう。
妊娠報告の時期は、つわりなどが起きやすい妊娠初期の8週目前後、もしくは16週目以降の安定期がおすすめです。
もし初産であれば、倦怠感やつわりがひどく出る可能性があるので8週目前後には報告しておくと良いでしょう。
妊娠の報告は、いずれ必要になるものです。
ためらいがあっても、上司にしっかりと報告することが大切です。
次は、報告以外に妊娠した看護師が行うべき対応を解説します。
妊娠中も仕事を続けるため、ぜひ読んでおいてください。
2.報告以外にすることは?妊娠した看護師の対応3つ
妊婦さんになった看護師は妊娠報告以外に、いつ休むのか、これからの仕事はどうするのか伝える必要があります。
早めに今後の休みについて説明しなければ、職場のメンバーもどうやって仕事を配分すれば良いか分からず困ってしまうからです。
後で伝えるよりも、先に伝える方が相手への負担も減りますので必ず動き出しましょう。
妊娠が発覚したら、妊娠報告以外にやっておきたいことは以下の通りです。
- 業務上の配慮をお願いする
- 産休を取る時期を伝える
- 出産後のキャリアプランを伝える
職場の人からのサポートをもらうため、それぞれ確認していきましょう。
対応1.業務上の配慮をお願いする
妊娠をしたら、自分と子供を守るために仕事の量や内容に配慮をお願いしましょう。
ハードな看護師の仕事をそのまま続けてしまうと、母体にストレスがかかり妊娠異常の可能性が上がってしまいます。
人手不足の中頑張っている職場の人に申し訳ない気持ちを持つ人もいますが、ぐっとこらえて仕事を減らすよう求めなければいけません。
特に、夜勤は大きなストレス要因になりますので、夜勤を無くすか、できる限り減らす方向で交渉しましょう。
事業者が、妊娠している人に対して何の配慮もしないのはマタハラです。
配慮を求めるのは従業員としての権利なので、諦めずお願いをしてみましょう。
対応2.産休を取る時期を伝える
職場の人には、いつから産休に入るのかなるべく早い段階で伝えておきましょう。
いつから休むか分からない状態だと、仕事の割り振りもしにくくなります。
職場の人に負担をかけないためにも、いつから休むか、そして可能であればいつから復帰できるかしっかり伝えましょう。
産休は、出産の6週間前から申請するのが一般的です。
また、産後休暇は出産翌日から8週間程度取得する女性が多くなっています。
自分の体調を見て、必要な休暇を取りましょう。
対応3.出産後のキャリアプランを伝える
出産後、どういった働き方をするのかについても早い段階で上司に伝えておきましょう。
出産後も変わらず働くことができるのか分からない状態では、上司も対応に困ってしまいます。
必ず伝えておきたいのは、出産後も今の職場で働き続ける意志があるのかどうかです。
また、子育てとの両立のため勤務体系を変えて欲しい場合もここで相談をしてください。
そして、出産後に退職を決意しているなら早めにその旨を伝えましょう。
人材が減ると分かれば、職場も早い段階で求人を出すことができます。
出産後のキャリアをどうするか、優先して考えておきましょう。
以上が、妊娠した看護師がすべきことでした。
妊娠という大きなライフイベントが起きた時、職場のことまで考えるのは負担かもしれません。
しかし、今後も看護師として働くなら職場への相談や報告が必須なので、体調の良いときに話してみてください。
次は、妊婦さんが看護の仕事を続ける際の注意点を解説します。
母子の健康を守るため、ぜひチェックしてください。
3.妊婦さんが看護師の仕事で気をつけるべきこと
看護師の仕事は非常にハードなので、仕事で身体に負担がかからないよう細心の注意を払わなければいけません。
日本医療労働組合連合会の「看護職員の労働実態調査」(2017)によると、看護師の35%が切迫流産・早産を経験していることが判明しました。
これは他の業種を含めた女性労働者の27.5%よりも高い数値です。
看護師は、妊娠しても業務を減らしてもらいにくく、妊娠異常が起こりやすいと考えられるでしょう。
母子ともに安全に出産を目指すため、看護師は以下の点に気をつけてください。
- ハードな業務は可能な限り避ける
- 重いものは持たない
- 感染リスクのある職場からは外してもらう
働きやすい環境を整え、大切な子供を守りましょう。
注意点1.ハードな業務は可能な限り避ける
妊娠が判明したら、その時点でハードな業務はできる限り避けましょう。
ハードな仕事が多いと、母体にストレスがかかり切迫流産・早産の危険も上がります。
子供を守るために、しんどい仕事は無理を言ってでも断りましょう。
特に夜勤は身体的にも精神的にもハードなので、夜勤からはできる限り外してもらうことが大切です。
同僚や先輩にも配慮をお願いして、仕事の担当を変わってもらいましょう。
注意点2.重いものは持たない
何度も重いものを持ったり、かなり重いものを持ち上げるときは注意が必要です。
重いものを持ち上げるときはお腹に力が入るため、子宮が萎縮し出血する可能性があります。
また、妊娠中は靭帯が緩んでいるため、腰痛も起こしやすい状況です。
労働基準法でも、妊娠中の従業員に重いものを持たせる業務をしてはいけないと書かれています。
患者さんの移乗・移動介助は、心苦しいですがなるべく他の看護師さんにやってもらいましょう。
注意点3.感染リスクのある職場からは外してもらう
妊娠したら、感染リスクのある職場からは外してもらうことが必要です。
感染症患者を受け入れている病院では、院内感染のリスクが非常に高いと言えます。
特に、昨今は感染症の専門病院ではなくても、新型肺炎の患者を受け入れざるを得ないケースが多いです。
感染すれば母体だけでなく、子供にも影響が出かねません。
妊娠後も働き続ける際は、感染リスクの低い職場に変えてもらいましょう。
以上が、妊婦さんが働く上での注意点でした。
母子の健康を守るには、これまでの仕事を見直して周りの人に配慮してもらわなければいけません。
しかし、妊娠した看護師に配慮をしない、または退職を迫る職場も少なくありません。
妊婦さんに対するこうした嫌がらせは「マタハラ」と呼ばれるものです。
日本医療労働組合連合会の「看護職員の労働実態調査」(2017)によると約1割の看護師が経験していました。
では、もしマタハラを受けてしまったらどうしたら良いのでしょうか。
次は、妊婦になりマタハラを受けた場合の対処法を解説します。
マタハラが不安な人、すでに周りから嫌味を言われた経験がある人はぜひチェックしてください。
4.妊婦になるとマタハラを受ける可能性も
妊婦になると、職場の人からマタハラを受け苦しむ可能性も少なくありません。
マタハラとは、マタニティハラスメントの略で、妊娠している人に対して嫌がらせをすることを指します。
マタハラの具体的な事例は、以下の通りです。
- 「妊婦は休めて羨ましい!」と怒りをぶつけられる
- 「妊婦はいても邪魔」と職場から追い出される
- 妊娠したからという理由で退職を迫られる
- 妊娠しているのに長時間労働を強いられる
- 「妊娠は甘え」と産休取得を許されない
- 「子供のことが一番大事だから」といって退職を勧められる
看護師の職場には時間的な余裕がなく、妊娠した看護師の仕事をカバーするのが難しいのでマタハラが起こりやすい環境になっている言えます。
妊娠はおめでたいことなのに、職場で理解が得られず退職を勧められたり、嫌味を言われる日々は非常につらいものです。
もし、周りの人に「マタハラかも」と思える発言をされたら、日時、相手、場所、内容をしっかり記録しておいてください。
マタハラがひどい場合は、記録をもとにして院内の相談窓口や上司に相談をしてみましょう。
もしマタハラが院内で解決できない場合、労働局の雇用環境均等(部)室へ相談して対処法を聞くことも大切です。
問題が深刻であれば、労働局がマタハラを辞めるよう職場に対して指導してくれる可能性もあります。
マタハラをされたら、「妊娠した自分が悪い」と思わず信頼できる人に相談しましょう。
次は、妊娠後の働き方について悩んでいる看護師へのアドバイスをご紹介しています。
子育てのことを考えると今の職場はきつい、という人はぜひ参考にしてください。
5.妊娠して職場に悩んだら
今の職場で出産後も働くのが非常に難しい場合、転職を選択するのも良いでしょう。
しかし、妊娠しているときに転職先を探すのは非常に大変です。
そのため、ひとまず今の職場で産休・育休を最大限取得して身体を休めましょう。
もし、職場から「人手不足だから産休や育休は取れない」と言われたら労働基準法第65条違反なので、労働局に相談してください。
産休・育休をしっかり取った上で、今後のキャリアについて考えていきましょう。
もし退職の決意ができたら、職場のためにも早い段階で退職の意志を伝えることが大切です。
まとめ
妊娠したら、まずは時期を見て職場の人に報告をしてください。
そして、夜勤から外れる、残業を減らすなどして、無理のない働き方で勤務を続けましょう。
妊娠を機に転職を検討する妊婦さんも多いですが、妊娠しながらの転職活動は非常にハードです。
いったん産休・育休を取り、十分休んでから、子育てと両立できる勤め先を見つけましょう。